Parabola GNU/Linux-libreのインストールと初期設定
Windows11とParabola GNU/Linux-libreのマルチブート環境構築手順です。
Parabola GNU/Linux-libreは、通常のLinuxカーネルではなく、Linux-libre(https://www.fsfla.org/ikiwiki/selibre/linux-libre/ )という完全に自由なソフトウェアだけで構成されたカーネルを用いています。Archから派生したディストリビューションですが、パッケージマネージャーで導入できるソフトウェアも全て自由なソフトウェアのみで構成されています。
WifiやBluetooth、GPUの選択によっては潔く諦めることが求められますが、多少の不便さを受け入れれば、日曜プログラマー的には何も問題のないディストリビューションです。
手順の構成としては、
- Windows11のクリーンインストール
- Secure BootなどのBIOS設定
- Parabolaのインストール、初期設定色々
といった流れで記載しています。
インストール先のハードウェアはVAIO SX12です。
Windows 11 クリーンインストール
LinuxとWindowsをマルチブートさせる際、Windowsがデフォルトで作るEFIシステムパーティションだと容量が足りないので、EFIシステムパーティションを512MBにします。
WindowsはノートPCのBIOS更新などで残しておきたいだけなので、Windows11のクリーンインストールを行い、その際に以下の3つのパーティションの容量を設定する形で進めます。
- EFIシステムパーティション(ESP)
- MSR(Microsoft Reserved)パーティション
- Windowsシステム領域(NTFS)
手順
- コマンドプロンプトを開く(Windowsインストーラ中に
Shift + F10
で起動) - 以下のコマンドを順に実行
diskpart
ユーティリティを起動。
diskpart
接続されているディスクの一覧を表示。
list disk
インストール先ディスクを選択(この例では disk 0
)。
select disk 0
ディスクのすべてのパーティションを削除します。
clean
UEFIではGPT形式にしないとダメなので変換します。
convert gpt
EFI システムパーティション (ESP)を512MB作成し、FAT32でクイックフォーマット。
create partition efi size=512
format quick fs=fat32 label="EFI"
MSRパーティションを128MBで作成します。フォーマット不要。
create partition msr size=128
Windowsをインストールするパーティションを256GBで作成。
create partition primary size=262144
format quick fs=ntfs label="Windows"
assign letter=C
diskpart
を終了し、コマンドプロンプトを閉じます。
exit # `diskpart`の終了
exit # コマンドプロンプトの終了
パーティションについて
-
EFI パーティション:
- UEFI ファームウェアが読み込む最初のブートローダ(例:
bootx64.efi
)を格納。 - FAT32形式である必要があります。
- UEFI ファームウェアが読み込む最初のブートローダ(例:
-
MSR パーティション:
- Microsoftの仕様により、GPTディスク上のWindowsには必要。
- ディスク管理ツールなどからは見えない予約領域。
-
Windows パーティション:
- 実際のOSがインストールされる場所。
- 通常は NTFS フォーマット、Cドライブとして割り当て。
インストールの続行
このパーティション作成後、Windowsインストーラーに戻って、作成した256GBのパーティションにインストールします。EFI パーティションには自動的にブートファイルが配置され、UEFIブートが可能になります。
Microsoft365、ゲームパスの宣伝、Microsoftアカウントでのログインを強制される苦行を乗り越え問題なくインストールが完了したら、次のステップに進みます。
Parabola インストール前の準備
WindowsのBitLocker暗号化を無効にし、Linux導入のためにBIOS(UEFI)設定を変更します。
BitLockerを無効化する
- 設定アプリを開く
- 「プライバシーとセキュリティ」→「デバイスの暗号化」→「BitLockerドライブ暗号化」を選択
- 対象ドライブの「BitLockerを無効にする」をクリックして暗号化を解除する
高速スタートアップを無効化する
- 方法1: 高速スタートアップの無効化設定を有効にする
- 方法2: シャットダウン時に Shift キーを押しながら「シャットダウン」をクリックする
※Linuxなど別OSからの起動時に不具合を防ぐための操作です
BIOS(UEFI)に入る方法
VAIO SX12の場合:
- PCの電源がオフの状態で、F3キーを押しながら電源ボタンを押す
- 「VAIOレスキューモード」が起動する
- 画面の案内に従ってBIOSを起動
参考: https://solutions.vaio.com/5773
BIOSの設定内容
以下の項目を確認・変更します。
起動モード
- UEFIモードであることを確認する
- Secure Boot を Disabled に設定する
- Fast Boot を Disabled に設定する
Advanced 設定
- Absolute Persistence Module → Disabled にする
Boot Configuration
- USB Device Boot → Enabled にする
- 起動の優先順位で USB Device を一番上にする
Secure Boot
- Secure Boot → Disabled にする
BIOSの保存と再起動
設定変更が完了したら、保存して再起動します。
Secure Boot を無効化した状態で Windows が正常に起動することを確認します。
※Secure Boot を変更した場合、Windows 側で PIN の再設定を求められることがあります。
Parabolaのインストール
ParabolaのISOを取得。USBメモリへの書き込み
https://wiki.parabola.nu/Get_Parabola にアクセスし、Parabolaのインストールイメージ(Live環境)を取得します。日本のミラーがあるので、https://repo.jing.rocks/parabola/iso/ から https://repo.jing.rocks/parabola/iso/x86_64-systemd-cli-2022.04/parabola-x86_64-systemd-cli-2022.04-netinstall.iso をダウンロードします。
イメージの日付は2022.04と古いですが、インストールに支障はありません。
Windows上で Rufus ( https://rufus.ie/ja/ )を使い、ダウンロードしたISOをUSBメモリに書き込めば、インストール用USBの作成は完了です。
USBメモリからの起動
Boot Deviceの優先度を変更している場合は、USBメモリからParabola GNU/Linux-libreのインストーラーが起動します。もしくは、もう一度F3でVAIOレスキューモードに入り「USBメモリーやディスクから起動」を選択することでインストーラーが起動します。
最初に出るダイアログは、Language、Keyboardともにデフォルトのenglishを選択します。
[root@parabolaiso ~]#
というプロンプトが表示されれば、USBメモリからの起動は成功です。
パッケージマネージャー初期化
有線LAN環境にあることを確認して、以下のコマンドでインターネット接続が可能かを確認します。有線LANで接続している限り問題は起きないはずです。おそらくは。
# ping parabola.nu
パッケージマネージャーのPacman
を使う前に、鍵周りの初期化、更新を行います。
# pacman-key --init
# pacman -Sy
# pacman -S archlinux-keyring parabola-keyring --needed
署名チェーンを再構築します。
# pacman-key --populate archlinux parabola
これでパッケージマネージャーを使えるようになります。
インストール時のフォント設定
画面の文字が小さいと感じる場合は、フォントを一時的にインストール、設定します。
# pacman -S terminus-font
ls /usr/share/kbd/consolefonts/
setfont ter-v32b.psf.gz
パーティション作成とファイルシステムのフォーマット
まず、ディスクのパーティション状況をlsblk
で確認します。
# lsblk
NAME MAJ:MIN RM SIZE RO TYPE MOUNTPOINTS
nvme0n1 259:0 0 1.8T 0 disk
├─nvme0n1p1 259:1 0 512M 0 part /boot
├─nvme0n1p2 259:2 0 128M 0 part
├─nvme0n1p3 259:3 0 255.3G 0 part
├─nvme0n1p4 259:4 0 686M 0 part
トータルで1.8T、そのうちの256GB+αをWindowsで使っているため、残りをLinux用に割り当てます。fdisk
コマンドでもパーティションの情報を確認できます。
# fdisk -l /dev/nvme0n1
Disk /dev/nvme0n1: 1.82 TiB, 2000398934016 bytes, 3907029168 sectors
Disk model: KIOXIA-EXCERIA PLUS G3 SSD
Units: sectors of 1 * 512 = 512 bytes
Sector size (logical/physical): 512 bytes / 512 bytes
I/O size (minimum/optimal): 512 bytes / 512 bytes
Disklabel type: gpt
Disk identifier: AD3C19EF-C72E-413E-9295-733610B0B350
Device Start End Sectors Size Type
/dev/nvme0n1p1 2048 1050623 1048576 512M EFI System
/dev/nvme0n1p2 1050624 1312767 262144 128M Microsoft reserved
/dev/nvme0n1p3 1312768 536776703 535463936 255.3G Microsoft basic data
/dev/nvme0n1p4 536776704 538181631 1404928 686M Windows recovery environment
パーティションの作成にはgdisk
を使います。
# gdisk /dev/nvme0n1
p
で、現在のパーティションを確認します。
Command (? for help): p
n
でパーティションを作成します。まずはSwapパーティションを作成します。
Command (? for help): n
パーティション番号(自動割り当て)
First sector: そのままENTER
Last sector : +32GB
Hex code or GUID : 8200 (Linux Swap)
Linux Filesystemパーティションを作成します。
Command (? for help): n
パーティション番号(自動割り当て)
First sector: そのままENTER
Last sector : (残り全部使うので)そのままENTER
Hex code or GUID : 8300 (Linux Filesystem)
作業が完了したら、w
でパーティション情報を書き込みgdisk
を終了します。
Command (? for help): w
念のためfdisk
を再度実行し、パーティションが作成されていることを確認します。
# fdisk -l /dev/nvme0n1
Disk /dev/nvme0n1: 1.82 TiB, 2000398934016 bytes, 3907029168 sectors
Disk model: KIOXIA-EXCERIA PLUS G3 SSD
Units: sectors of 1 * 512 = 512 bytes
Sector size (logical/physical): 512 bytes / 512 bytes
I/O size (minimum/optimal): 512 bytes / 512 bytes
Disklabel type: gpt
Disk identifier: AD3C19EF-C72E-413E-9295-733610B0B350
Device Start End Sectors Size Type
/dev/nvme0n1p1 2048 1050623 1048576 512M EFI System
/dev/nvme0n1p2 1050624 1312767 262144 128M Microsoft reserved
/dev/nvme0n1p3 1312768 536776703 535463936 255.3G Microsoft basic data
/dev/nvme0n1p4 536776704 538181631 1404928 686M Windows recovery environment
/dev/nvme0n1p5 538181632 605290495 67108864 32G Linux swap
/dev/nvme0n1p6 605290496 3907028991 3301738496 1.5T Linux filesystem
問題なくパーティションを作成することができたら、mkswap
コマンドを使いSwapパーティションを指定し、Linux filesystemのほうはext4でファイルシステムをフォーマットします。
# mkswap /dev/nvme0n1p5
# mkfs.ext4 /dev/nvme0n1p6
ファイルシステムのマウントとSwapの有効化
パーティション作成とファイルシステムのフォーマットが完了したので、Live環境からパーティションをマウントします。また、Swapを有効化します。
Linux Filesystemは/mnt
、EFIシステムパーティションは/mnt/boot
を作成しマウントします。
# swapon /dev/nvme0n1p5
# mount /dev/nvme0n1p6 /mnt
# mkdir /mnt/boot
# mount /dev/nvme0n1p1 /mnt/boot
EFIには既にWindowsのBoot関連のファイルがあり、/mnt/bootにマウントしたので中身を確認しておきます。
/mnt/boot/EFI/Boot/bootx64.efi
/mnt/boot/EFI/Microsoft/Boot/
/mnt/boot/EFI/Microsoft/Recovery/
ベースシステムのインストール
Parabolaのインストールは、Live環境からインストール先のディスクをマウントし、そこに各パッケージを展開していきます。
まず、pacstrapを使いマウントした/mnt
(nvme0n1p6)にベースのシステムをインストールします。
# pacstrap /mnt base linux-libre linux-libre-firmware
次に、インストール先に/etc/fstab
を作成します。このファイルはデバイス識別ID、マウントポイント、ファイルシステムなどの情報を持ち、Linux起動時に適切にファイルシステムをマウントするために利用される必須のものです。
genfstabを使用すると、現在マウント中のファイルシステムとSwapを検出し、インストール先に/etc/fstab
を自動的に作成します。
# genfstab -U /mnt >> /mnt/etc/fstab
/etc/fstab
が正常に作成されたかを確認します。
-
/dev/nvme0n1p6
(Linux Filesystem) -
/dev/nvme0n1p1
(EFI) -
/dev/nvme0n1p5
(Swap)
以上の3つの設定があるかを確認してください。
# cat /mnt/etc/fstab
ここまでの作業が完了したら、arch-chroot
を使いインストール先の/mnt
をroot
として取扱い、インストール先の中で作業を行います。
# arch-chroot /mnt
ロケール、言語の設定
arch-chroot
で中に入ったら、設定ファイル編集のためにvi
をインストールしておきます。
# pacman -S vi
ロケールの設定
システムで利用可能なロケールのリストを設定します。
# vi /etc/locale.gen
利用可能にするロケールのコメントアウトを解除します。ここでは、en_US.UTF-8 UTF-8
のコメントアウトを解除します。
/etc/locale.gen
を編集したら、以下のコマンドでロケールのリストを生成します。
# locale-gen
Generating locales...
en_US.UTF-8... done
Generation complete.
選んだロケールが正しく生成されたかどうかを確認し、問題がなければ次に進みます。/etc/locale.conf
にロケール情報を書き込みます。
# echo "LANG=en_US.UTF-8" > /etc/locale.conf
en_US.UTF-8
を分解すると、
- en : 言語(english)
- US : United States
- UTF-8 : 文字エンコード
という形式になっています。日本語で設定したい場合には(locale.genでコメントアウトを解除した上で)以下のようにします。
# echo "LANG=ja_JP.UTF-8" > /etc/locale.conf
/etc/vconsole.conf
にキーマップを設定します。設定しない場合はUSキーになるため、USキーの場合は実行しなくても問題ありません。
# echo 'KEYMAP=us' > /etc/vconsole.conf
タイムゾーンで使われるローカルタイム、/etc/localtime
(GLIBC関連で使用)は、シンボリックリンクを作成して設定します。
# ln -sf /usr/share/zoneinfo/Asia/Tokyo /etc/localtime
ホスト名
コンピューター名を決めて/etc/hostname
に書き込みます。なんでも大丈夫です。
# echo yourhostname > /etc/hostname
/etc/hosts
にも以下の内容を記述します。
# vi /etc/hosts
127.0.0.1 localhost
::1 localhost
127.0.1.1 yourhostname.localdomain yourhostname
ネットワークとBluetooth
GNOMEが管理しているNetworkManagerというパッケージを入れておきます。systemdに登録し有線LAN自動設定(DHCP)、WiFiの接続管理、nmcli
というコマンドでネットワークデバイスの確認や操作が行えます。
# pacman -S networkmanager
# systemctl enable NetworkManager
Bluetooth関連のパッケージをインストールします。blueman
はグラフィカル環境でBluetooth機器の検索、ペアリングを行うためのアプレットを提供します。
# pacman -S bluez bluez-utils blueman
# systemctl enable bluetooth
GUI
GUI関連のパッケージも入れます。X Window System(xorg-serer)、デスクトップ環境はXFce4、グラフィカルログインマネージャーはLightDMを使用します。
# pacman -S xorg-server xfce4 xfce4-goodies lightdm lightdm-gtk-greeter
xfce4-goodies
で全てをインストールする際、以下のような警告が表示されますが無視してください。
warning: cannot resolve “libxnvctrl”, a dependency of “xfce4-sensors-plugin”
libxnvctrl
はNVIDIA Proprietary Driver専用のライブラリで、xfce4-goodies
に含まれるxfce4-sensors-plugin
はこれに依存しているため使用できません。
インストールしたLightDMを有効化します。
# systemctl enable lightdm
Intel Xe Graphicsのための固有のパッケージをインストールします。
# pacman -S mesa vulkan-intel intel-media-driver libvdpau-va-gl
注意) libva-intel-driverは古いIntel GPUのもので廃止予定で不要
GRUB
GRUBをインストールすることでLinuxとWindowsをそれぞれ起動できるようにします。
# pacman -S grub efibootmgr os-prober
grub-install
コマンドでマウントしている/boot
(/dev/nvme0n1p1)に対して、GRUBをインストールします。--bootloader-id
に指定した値が、GRUBブートメニューに表示されるLinuxの名前になります。
# grub-install --target=x86_64-efi --efi-directory=/boot --bootloader-id=Parabola
Windowsのブートローダーを検出する必要があるため、/etc/default/grub
を開いて設定を修正します。
# vi /etc/default/grub
GRUB_DISABLE_OS_PROBER=false
のコメントアウトを解除し、Windowsのブートローダーを検出できるようにします。
# grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
Generating grub configuration file ...
Found linux image: /boot/vmlinuz-linux-libre
Found initrd image: /boot/initramfs-linux-libre.img
Found fallback initramfs image: /boot/ initramfs-linux-libre-fallback.img
Warning: os-prober will be executed to detect other bootable partitions.
Its output will be used to detect bootable binaries on them and create new boot entries.
Found Windows Boot Manager on /dev/nvme0n1p1@/EFI/Microsoft/Boot/bootmgfw.efi
Adding boot menu entry for UEFI Firmware Settings ...
done
Linux imageとWindows Boot Managerがログで検出されていれば正常です。GRUBメニューのエントリーを念のため確認するには、/boot/grub/grub.cfg
を確認してください。
# grep menuentry /boot/grub/grub.cfg
Windowsが見つからないときは、/etc/default/grub
のGRUB_DISABLE_OS_PROBER=false
のコメントアウトを解除しているかどうか、もう一度確認してください。
起動に関わることなので、慎重に行きます。os-prober
コマンドで、Windows Boot Managerが出力されるかを確認します。
# os-prober
以下のような結果になれば問題ありません。
/dev/nvme0n1p1@/EFI/Microsoft/Boot/bootmgfw.efi:Windows Boot Manager:Windows:efi
追加でGRUBの設定をしておきます。
GRUBのメニューで何も操作をしない場合、デフォルトのOSが起動されます。この待ち時間の初期設定は5秒なので、20秒くらいにしておきます。
# vi /etc/default/grub
GRUB_TIMEOUT=5
↓
GRUB_TIMEOUT=20
変更したらもう一度grub-mkconfigを実行します。
# grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
rootユーザーのパスワード設定と、一般ユーザーを追加
rootパスワード設定は、passwd
コマンドを使ってそのまま設定します。確認のため2回パスワードをタイプしてください。
# passwd
以下のコマンドで一般ユーザーを追加します。
# useradd -s /bin/bash -m username
# passwd username
ユーザー追加時のデフォルト設定は以下のコマンドで確認してください。
# useradd -D
追加した一般ユーザーでsudoを使えるようにしておきます。
# pacman -S sudo
# visudo
##
## User priviledge specification
##
root ALL=(ALL:ALL) ALL
username ALL=(ALL:ALL) ALL # 追加
ここで一度システムを再起動します。
# exit (chroot終了)
# umount /mnt/boot
# umount /mnt
# reboot
USBメモリはもう不要です。問題がなければGRUBが起動し、LinuxとWindowsのどちらかを選択できるようになっているはずです。Linuxを選べば、LightDMによるグラフィカルなログインマネージャーが表示され、ログインすればXFce4のデスクトップ環境が立ち上がるはずです。
GRUBの文字小さい問題
GRUBのメニューには
- Parabola GNU/Linux-libre
- Advanced options for Parabola GNU/Linux-libre
- Windows Boot Manager (on /dev/nvme0n1p1)
- UEFI Firmware Settings
が並んでいるはずです。しかし、おそらく最近の高解像度は環境では文字が小さいので、GRUBの解像度設定を行います。UEFIがサポートしている解像度をまずは確認するため、GRUBでcを押して
grub> videoinfo
を実行し、サポートされている解像度、色深度を確認します。1280x720x32
がサポートされているという前提で確認が終わったらESCでGRUBを抜けてLinuxを起動します。
/etc/default/grub
を開き、GRUB_GFXMODE=1280x720
と記述します。
$ sudo vi /etc/default/grub
GRUB_GFXMODE=1280x720
おそらくデフォルトで以下のようになっているはずですが、カーネルも同じ解像度にしたいときはkeep
になっていることを確認します。
GRUB_GFXPAYLOAD_LINUX=keep
変更したらgrub-mkconfig
でgrub.cfg
を再作成します。
# grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
再起動し、GRUBメニューの解像度が変更されたことを確認してください。
インストール後の設定
WiFi
LightDMによるログイン、XFce4が立ち上がっていることを前提に進めます。
まずはネットワーク接続が可能かを確認します。
$ ping parabola.nu
もし駄目な場合は、NetworkManagerのステータスを確認します。
$ sudo systemctl status NetworkManager
動いていない場合は以下のコマンドで有効化&即実行させます。
$ sudo systemctl enable NetworkManager --now
$ ip link
でネットワークの状態を確認します。enp
からはじまるデバイス名は有線、wlp
からはじまるデバイス名は無線を表します。Parabolaは、AR9271のチップを持つWiFiデバイスしか認識しないため、AR9271のWiFiデバイスがない場合は、有線LAN、もしくは無線→有線LANの変換アダプタを利用します。
ネットワーク設定をGUIで管理するため、network-manager-appletをインストールします。
$ sudo pacman -S network-manager-applet
WiFiデバイスが正しく認識されているかを確認します。
$ nmcli device
network-manager-applet
を即座に起動するには(通常はXFce4が起動時に自動開始)、以下のコマンドで立ち上げます。
$ nm-applet &
AR9271のチップを利用し、WiFiデバイスが見つからない場合は以下のポイントをチェックします。
$ lsmod | grep ath9k # モジュールがロードされているか
$ nmcli device # デバイスが認識されているか
$ nmcli radio # WiFiがenabledになっていること
$ nmcli radio wifi on # WiFiがdisableだった場合はonに
$ nmcli device wifi list # アクセスポイントが取得できるか
すべてクリアしている場合、network-manager-appletでWiFi接続可能になっているはずです。
リムーバブルドライブの自動マウント
$ sudo pacman -S gvfs
gvfsを入れた後は一度再起動してください
時刻合わせ
$ sudo timedatectl set-timezone Asia/Tokyo
$ sudo timedatectl set-local-rtc 0
$ sudo timedatectl set-ntp true
確認
$ timedatectl
XDG USER DIRS
ホームディレクトリ以下にDocuments、Videos、Pictures、Musicなどの一般のデスクトップで使うディレクトリを生成するには、xdg-user-dirs
パッケージを導入します。
$ sudo pacman -S xdg-user-dirs
$ xdg-user-dirs-update # ディレクトリの生成
Intel Xe GraphicsでVideo Accelerationが効くか確認
動画のエンコード、デコードにハードウェアアクセラレーションが有効かどうかを確認します。
$ sudo pacman -S libva-utils
$ vainfo
$ vainfo
Trying display: wayland
Trying display: x11
vainfo: VA-API version: 1.22 (libva 2.22.0)
vainfo: Driver version: Intel iHD driver for Intel(R) Gen Graphics - 24.1.3 ()
vainfo: Supported profile and entrypoints
VAProfileNone : VAEntrypointVideoProc
VAProfileNone : VAEntrypointStats
VAProfileMPEG2Simple : VAEntrypointVLD
VAProfileMPEG2Main : VAEntrypointVLD
VAProfileH264Main : VAEntrypointVLD
VAProfileH264Main : VAEntrypointEncSliceLP
VAProfileH264High : VAEntrypointVLD
VAProfileH264High : VAEntrypointEncSliceLP
VAProfileJPEGBaseline : VAEntrypointVLD
VAProfileJPEGBaseline : VAEntrypointEncPicture
VAProfileH264ConstrainedBaseline: VAEntrypointVLD
VAProfileH264ConstrainedBaseline: VAEntrypointEncSliceLP
VAProfileVP8Version0_3 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCMain : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCMain : VAEntrypointEncSliceLP
VAProfileHEVCMain10 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCMain10 : VAEntrypointEncSliceLP
VAProfileVP9Profile0 : VAEntrypointVLD
VAProfileVP9Profile1 : VAEntrypointVLD
VAProfileVP9Profile2 : VAEntrypointVLD
VAProfileVP9Profile3 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCMain12 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCMain422_10 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCMain422_12 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCMain444 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCMain444 : VAEntrypointEncSliceLP
VAProfileHEVCMain444_10 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCMain444_10 : VAEntrypointEncSliceLP
VAProfileHEVCMain444_12 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCSccMain : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCSccMain : VAEntrypointEncSliceLP
VAProfileHEVCSccMain10 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCSccMain10 : VAEntrypointEncSliceLP
VAProfileHEVCSccMain444 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCSccMain444 : VAEntrypointEncSliceLP
VAProfileAV1Profile0 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCSccMain444_10 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCSccMain444_10 : VAEntrypointEncSliceLP
サウンド
通常のデスクトップ用途であればPipeWireを選択します。
sudo pacman -S pipewire pipewire-pulse pipewire-alsa pipewire-jack wireplumber pavucontrol
sudo pacman -S alsa-utils
aplay -l
aplay: device_list:279 no soundscards found...
……残念なことにサウンドデバイスを認識できないので、Bluetoothオーディオ、DACを使うことにします。諦めが肝心です。
Bluetoothを使う
Parabolaでは、CSR8510というチップを持つUSBドングルでBluetooth接続ができます。lsusbで実際に確認することができます。IDが0a12:0001
で、Cambridge Silicon Radio
という名前で検出されます。
$ sudo pacman -S usbutils # lsusbを使えるようにする
$ lsusb
...
Bus 003 Device 005: ID 0a12:0001 Cambridge Silicon Radio, Ltd Bluetooth Dongle (HCI mode)
...
BluetoothデバイスがCSR8510の場合、Bluetoothのサービスが動いているか確認します。
$ sudo systemctl status bluetooth
GUIアプレットをインストール
$ sudo pacman -S blueman
システムトレイにBluemanのアイコンが表示されない(画像が読み込まれない)状態の時には、アイコンテーマを切り替える、別のものを入れると直ることがあります。
papirus-icon-theme
$ sudo pacman -S papirus-icon-theme
Bluemanアプレットでは、Bluetooth接続機器の検索、ペアリングなどをGUIで簡単にできます。
日本語環境
USキーボード、en_US.UTF-8というロケールでインストールを行いましたが、日本語入力環境を設定します。
日本語入力は、入力(IM:Imput Method)フレームワークとかな漢字変換システムで成り立っており、
- IM : fcitx5
- 変換システム : Anthy
を選択します。
以下のコマンドで、fcitx5とanthyのパッケージをインストールします。
$ sudo pacman -S fcitx5 fcitx5-configtool fcitx5-gtk fcitx5-qt fcitx5-anthy anthy
fcitx5-configtool
を起動すると、左側にCurrent Input Method
、右側にAvailable Input Method
とあるため、右側の検索欄にAnthy
と入力し、それを左側に登録してAnthyを使える状態にします。
また、Shift+Space
でIMEのオンオフを行いたいので、Global Options
のTrigger Input Method
でShift+Space
を登録します。
GTKやQTなどで利用するIMを指定するため、~/.xprofile
に以下の環境変数設定を記述します。
export GTK_IM_MODULE=fcitx5
export QT_IM_MODULE=fcitx5
export XMODIFIERS="@im=fcitx"
export INPUT_METHOD=fcitx
これで日本語入力環境の構築は完了です。
ノート向け、電力管理
電源やラップトップの開閉などを監視、処理するacpid
、電力制御のためのtlp
、WiFiやBluetoothの電力制御のためのtlp-rdw
をインストールします。
sudo pacman -S acpid tlp tlp-rdw
sudo systemctl enable acpid
sudo systemctl start tlp
sudo systemctl enable tlp
sudo systemctl start tlp
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