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AIプロダクトを開発したらドメインモデルの課題に気づいた

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SaaSは人間や人間の集まりが業務フローを遂行するのを補助する、いわば紙とペンのような存在である。
我々が開発しているHERP Hireも例外ではなく、採用業務に関する様々な情報、例えば候補者とのコミュニケーションを共通の基盤に集約することが主な提供価値だった。

ところが、近年のAIの隆盛によって、事情が少し変わってくる。「AIを使って業務を自動化したい」というニーズが生まれたのだ。

では、APIをそのままラップしてMCPサーバーにしてLLMと繋げば、採用業務のAI化が達成されてハッピーエンド、となるだろうか⸺答えは明確に否だ。筆者は、そこに三つのハードルがあると考える。

  • LLMは、我々スタートアップ風情のプロダクトやAPIの仔細など知らない
  • コーディングのように、単独で黙々と進められる業務ではない
  • プロダクトが、業務に必要な情報を網羅していない

まず、世界に無数のソフトウェアがある中で、一スタートアップ風情のAPIをどうやって使うかなど、LLMにとって知る由もない。できるのはせいぜい当てずっぽうであり、業務を正しく遂行できる保証はない。

また、採用業務は、人とのコミュニケーションそのものであり、一晩集中して作業したら完了する類のものではない。しかも、コーディングは、コンパイラ、linter、バージョン管理、仮想環境など、二重・三重の安全策があり、AIに任せてもミスが気にならない一方で、人と人、人と企業の関係は不可逆であり、過ちをロールバックする方法はない。

さらに根本的な課題として、プロダクトが業務を進める上で必要な情報を網羅しているわけではない、というものがある。誰がカジュアル面談を担当すべきか、面接の内容を踏まえて通過にすべきかどうか、などはしばしば人の頭にしかない情報である。

そう、AIは我々の業務を"知らない"。AIに知ってもらうためには、まず計算機に情報を入れる必要があり、計算機に情報を入れるためには、業務をデータとしてモデリングする必要があるのだ。

我々がHERP AI Recruiterという採用業務を支援するプロダクトを開発し、それを自社の採用でも運用してく中で、その事実に強く気付かされた。業務に関する情報がプロダクトの外⸺Notion、Cosense、頭の中⸺にある限り、HERP Hireと連携するだけのソフトウェアはそれらを参照できず、提供価値の限界がある。

だからこそ、人間にとってもAIにとっても扱いやすいソフトウェアを作ることによって、AIがもたらす価値を大きく伸ばす余地がある。人にとって扱いやすくすれば、自然とデータが溜まっていき、データが溜まっていけば、それらを活用してさらに業務を支援できる。実装の大半はAIコーディングが担えるようになった今、いかにして業務をモデリングするかが、ソフトウェアの価値を左右する要であると思う。

我々は、プロダクト開発や、採用への関与を通じて、よりよいモデリングを探求する仲間を探している。

https://herp.careers/v1/herpinc/G5kBv3sKYPye

https://herp.careers/v1/herpinc/Uk8JmgZmi09_

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