新卒エンジニアが「メモの魔力」を読んで
概要
「メモの魔力」の内容をまとめたものである
読んだ目的
・アウトプットの苦手意識を克服するため
・メモをとる習慣を身に着けるため
アクション
・今日の出来事をメモに1つ書いてみる
→ Fact(事実)→ Abstract(抽象化)→ Transfer(転用) の型を使って
・自分の「価値観」や「行動の軸」を3つ言語化する
→ 「なぜそれが嬉しかったのか?」から自分のOSを掘り起こそう
・3年後の理想の姿を1文で書き出す
→ そのために今月・今週・今日できることを逆算してToDoに落とし込む
・“なぜ?”を5回問う習慣を1日1回だけ始める
→ 感情が動いた瞬間を深掘りして、自分の価値観の根っこを探ってみよう
1年目エンジニアに効く『メモの魔力』の知恵
・迷ったらまずメモる
→ 分からなくても書いておけば、後で“理解が追いつく瞬間”が来る
・指示に従うだけじゃなく、「なぜ?」を問う思考が身につく
→ ただ作業するのではなく、背景や意図を考える力が自然と育つ
・書く習慣が、話す力・考える力の土台になる
→ メモを繰り返すことで、自分の言葉で説明できる頭になる
・小さな違和感に気づける“察知力”が上がる
→ 設計ミス、仕様漏れ、チームの空気感など、見逃さなくなる
・質の高い質問ができるようになる
→ メモで思考整理してから聞くと、「質問の質」が変わる
・自分のキャリア軸が見えてくる
→ 日々の気づきや違和感を言葉にすることで、やりたい方向が見えてくる
各章まとめ
序章:メモの魔力を持てば世界に敵はいない
メモの魔力とは:
・日常の出来事をアイデアに変える力
・自己分析を深める力
・夢を現実にする
自分を知ることで、「人生のコンパス」を手に入れられる
選択肢で迷ったりぶれてしまうのは、自分のことをよく知らずに生きているからである
自身の明確な価値観や死生観を理解することで、正しい方向に進むことができる
1章:メモで日常をアイデアに変える
概要
この章のテーマ:
「メモは記録ではなく、アイデアを生む思考法である」 という考え方
→ただの書き留めで終わらず、ほかに転用できる知的財産に変えることがメモの力
メモの構造
①ファクト
・五感でとらえた事実・出来事・感想・会話・気づき
②抽象化
・具体的な気づきを応用可能・再利用可能な粒度まで一般化する
③転用
・自らのアクションに落とし込む
・ほかの分野・場面でどう活かせるかを考える
アイデアとは
・天才の閃きではなく、日々の観察と抽象化の積み重ね
・アイデアは「視点の切り口」の数によって生まれる
・メモの量=アイデアのストック量となりうる
2章:メモで思考を深める
概要
この章のテーマ:「抽象化の力」
筆者は、抽象化こそが 「他人の成功から学び、自分の力に変えるスキル」 だと断言している
抽象化の基本構造
具体 → 抽象 → 応用(転用)
ステージ | 説明 | 例 |
---|---|---|
具体 | 目の前の出来事・感情 | 資料作成がうまくいかなかった |
抽象 | 背後にある構造や要因 | 自分のやりやすいように作っていた |
転用 | 他の分野での再活用 | ユーザー目線をもつ |
3種類の抽象化:What型,How型,Why型
型 | 説明 |
---|---|
What | 目の前で起きた現象を言語化する |
How | 目の前の現象の特徴を抽出する |
Why | 抽象化して、物事の本質を知る |
言語化がうまい人に共通する2大条件
1.抽象化能力(特にアナロジー力)が高い
アナロジー力:一見無関係なものの間に何らかの共通点を見つけて、結びつける力
2.抽象的な概念に名前を付ける能力が高い
・語彙と表現のストックが多い
・似たような概念を複数の言い方で表現できる
[1]
「我見」と「離見」「我見」:自分が周りを見る視点
「離見」:客観的に自分を見る視点
離れた場所からフラット且つ客観的に自分を見つめる「離見」が抽象化においては重要
→全体の構造や、自分や物事に秘められた本質に気付きやすくなる
3章:メモで自分を知る
概要
この章のテーマ:「“自分の取扱説明書” を持ち、人生のコンパスを手に入れる 」
なぜ自分を知ることが重要なのか
理由 | 説明 |
---|---|
判断がぶれなくなる | 自分の価値観に沿って判断できるようになり迷いがなくなる |
他人に伝えられる | 対話の場で「自分はこういう人間です」と明確に表現できる |
強みが活かせる | 自分の得意領域や好きなことに気づくことで、キャリアの方向性が定まる |
行動に一貫性が出る | 日々の意思決定が「自分らしさ」に沿ったものになるため、後悔が減る |
精神的に安定する | 自分を肯定的るに捉えられるようになり、自己不信や焦燥感が軽減される |
・自己分析とは、ただ自分を振り返ることではなく、「人生の操縦桿を自分に取り戻す」こと
自己分析の型:3ステップ
1.事象の抽象化:強い感情が動いたエピソードを具体的に思い出し、記録する
2.意味づけ:なぜその出来事が心に残っているのか、自分にとってどういう意味があるかを深掘る
3.パターン化:複数の出来事を並べて共通点や傾向を見つけ、「価値観」や「強み」に昇華する
自己分析を通して見えてくる軸
軸 | 質問例 | チェックポイント |
---|---|---|
感情の軸 | どんなときに嬉しくなる?悲しくなる?怒りを感じる? | 感情が動く“きっかけ”を明らかにする |
価値観の軸 | 自分にとって「正しさ」とは何か?何が許せないと感じるか? | 道徳・信念・美学の根っこを探る |
行動の軸 | どんな場面で本気になるか?どのような状況で自然と行動が起きるか? | 「動機付け」のスイッチをの軸 |
→ この3軸をメモで定期的に掘ることで、「ブレない判断基準」や「動ける環境条件」が明確になる
自己分析で陥りがちなワナ
ワナ | 説明 | 対策例 |
---|---|---|
思い出すだけで満足 | 過去を振り返るだけで、言語化・抽象化・パターン化せず終わってしまう | メモに残し、「なぜ?」を最低3回以上書いて 本質を掘る |
美化しすぎる | 都合のいいストーリーにしてしまい、 本音が隠れてしまう |
「そのときの自分は本当にどう感じていたか?」を赤裸々に書く |
抽象化が浅い | 「楽しかった」「嬉しかった」で止まり 価値観まで落とし込めていない |
「なぜそれが楽しかったのか?」「自分のどんな価値観が満たされたのか?」と掘る |
他人目線で語る | 見せるための文章になり、 自分との対話が置き去りになる |
自分以外に見せない前提で書き、 本音をさらけ出せる“自分ノート”にする |
書きすぎて疲れる | 書くことが目的化し、内容も伴わずに “作業”になってしまう |
毎日テーマだけ語る・週末に時間を取って じっくり書くなど、リズムを工夫する |
4章:メモで夢をかなえる
概要
この章のテーマ:「夢を再現可能な行動計画に変えるためのメモ術」
夢や目標は「ふわっとした願望」のままだと叶わない
メモによってそれらを「言語化→分解→行動化」することで、実現可能な"設計図"へと落とし込むことができる
なぜ夢をメモで言語化するのか
「メモ=夢を現実にする設計書」とするため
目的 | 理由・効果 |
---|---|
夢を見失わない | 日々の忙しさで忘れてしまいがちなビジョンを定期的に思い出せるようにする |
戦略的に進める | 夢を小さなステップに分解することで、現実的な計画にできる |
習慣につなげる | [やるべきこと」が明確になることで、行動に一貫性が出る |
モチベ維持 | 自分の願望の源泉を言語化することで、やる意味を日々再確認できる |
メモを通じて「夢の精度」が上がる理由
思考の可視化:
頭の中だけで考えていると散漫になるが、書くことで「本当にやりたいこと」が浮かび上がる
構造の明確化:
「なぜその夢を持ったのか?」「それは何のため?」という再確認ができる
目標の現実化:
抽象的だった願望が、ToDoリストになることで“現実味”を帯びてくる
行動の加速化:
具体化された分だけ、「今何をやればいいか」が明確になり、すぐ動けるようになる
陥りやすいワナとその回避策
ワナ | 説明 | 対策例 |
---|---|---|
夢がぼんやりしている | 「好きなことで生きたい」など抽象的すぎる | 「どんな状態が理想?」「誰にどう貢献していたい?」と具体化する問いを自分に投げる |
ToDoが大きすぎる | 「ポートフォリオを作る」などが1タスクになっていて重く感じる | 「まずは構成を考える」「素材を集める」など1時間以内でできる粒度に分ける |
目標を立てただけで満足 | 書いたことで達成した気になってしまう | 「実行したこと」を毎日メモし、実績ベースで記録・振り返りする習慣をつける |
変化に対応できない | 当初立てた計画が現実とズレてきても、軌道修正せず放置する | 毎月振り返りを入れて、夢の再定義や計画の調整をする |
5章:メモは生き方である
概要
この章のテーマ:「メモを生き方として定着させる」
これまでの章で、メモは「思考を深める」「夢を叶える」「自分を知る」ための強力なツールであると語られてきた
本章では、それらを単なる技術としてではなく、日々の生活の一部=生き方としてどう根づかせるかにフォーカスしている
なぜ「生き方」としてのメモが重要なのか
観点 | 説明 |
---|---|
一過性で終わらない | 技術としてのメモは、やめれば効果も消える。一方、習慣になれば一生使える資産になる |
思考のリズムが整う | メモを通じて「考える→書く→整理する→行動する」のサイクルが日常になる |
人生を記録し続けられる | 「なぜそう判断したか」「どう感じたか」が残り、未来の自分の意思決定に使える |
メモを"生き方"に変える3つの視点
1.「自己との対話」としてのメモ
メモは“自分との会話”である
今日の出来事に対して「なぜ?」「どう感じた?」「どう活かす?」と問い続ける習慣を持つ
2.「他者との架け橋」としてのメモ
自分の考えを他者に伝えるための素材としてメモを使う
対話や発信において、自分の思想や経験を論理的に話せるようになる
3.「未来への資産」としてのメモ
振り返れば、“何を考え、どう行動してきたか”の記録になる
未来の自分が迷ったときに、“過去の自分の言葉”が背中を押すこともある
習慣化のためのコツ(継続のポイント)
コツ | 実践例 |
---|---|
1日1トピックでいい | 無理に全部を書こうとしない。1つの気づきや感情だけでもOK |
完璧を目指さない | 雑でも短くてもいい。「残すこと」自体に価値がある |
読み返す習慣を持つ | 週1で見返すだけで、自分の思考の変化や成長が見えるようになる |
メモが“生き方”になると起こる変化
変化 | 説明 |
---|---|
思考がクリアになる | 情報や感情を一度外に出すことで、思考のノイズが減る |
判断が早くなる | 「自分にとって何が大事か」がメモを通じて明確になっているため、迷いが減る |
人生の軸が定まる | 自分の価値観・夢・行動記録が日々蓄積されることで、人生に一貫性が生まれる |
なぜ「問い」が重要なのか?
・良質な問いは、思考の深さを一気に引き上げるトリガーになる
・自分とは違う立場からの問いを通じて、思考・視点が広がる
・「どうすれば?」という問いは、具体的なアクションを促す
自分を変えるための“問いの型”
型 | 例 | 目的 |
---|---|---|
なぜ型 | なぜ自分はこの状況にモヤモヤするのか? | 感情や価値観の源を探る |
どうすれば型 | どうすれば自分の力を最大化できるか? | 行動や戦略のヒントを得る |
逆転型 | 逆の立場ならどう感じるか? | 視点をずらして思考を拡張する |
仮説型 | もしかすると●●なのでは? | 直感的な仮説を立てて、深掘りする起点にする |
質の高い問いを持つには?
・日常的に「なぜ?」を5回繰り返す癖をつける
・他人の問いをストックしておく(読書・対話・講演など)
・過去の自分が困ったときの問いをメモしておく(再利用可能な資産になる)
問いが“習慣”になると人生が変わる理由
気づきが増える:小さな出来事から学べるようになり、メモに深みが出る
選択に軸ができる:問いに答える過程で、自分なりの判断基準が言語化される
人生が“設計可能”になる:夢やキャリアを「問い→答え→行動→検証」のサイクルで進められる
総まとめ
メモは、人生を変える"思考の武器"である
ただの記録ではなく、
・日常の出来事を「アイデア」に変える
・出来事を「抽象化」し、他分野に「転用」する
・自己理解を深め、「人生のコンパス」を手に入れる
・夢や目標を「逆算」し、日々の行動に落とし込む
このすべてを可能にするのが、メモの力である
そしてその本質は、
"問いを立て、考え抜き、自分の言葉で残す"という習慣である
-
世阿弥が能楽論書「花鏡」で述べた言葉 ↩︎
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