頑張りすぎない Zettelkasten
はじめに
Zettelkasten (と Obsidian や Cursor の組み合わせ)って最近聞きますよね。
Zettelkasten とは知識を相互にリンクさせ、新たなアイデアを育むフレームワークです。
例えばこのような解説記事が X で流れてくると思います。
- ObsidianとGemini CLIで知識を育てる:第二の脳を構築する実践ガイド
- Claude × Obsidian × Zettelkastenでテックブログ執筆ワークフローの脱構築をする
- 単なるメモから知的資産へ:Obsidian in Cursorで構築する知的生産システム|松濤Vimmer
- Obsidian × Cursor で “良質メモ → 記事執筆” を実現する徹底フロー|Shin
しかし、その理想的な手法に惹かれ多くの人が挑戦しては、その厳密なルールに挫折するか、ただの情報収集をするに留まってしまっているのではないでしょうか?
(Cursor などを使って情報収集を効率的に!みたいな手法を紹介する人もいますが、Zettelkasten は本来アウトプットに重きを置いたフレームワークなので、趣旨ずれを起こしてしまっていると思います)
例えば以下のような形です。
- 1ノート1アイデアを徹底できない
- 走り書きメモが溜まる一方で、永久保存メモ(Permanent Note)を作成できない
- 完璧な知識ベースを作ろうとして、メモを取ること自体が億劫になった or 時間がかかりすぎた
なのでこの記事では Zettelkasten の思想を汲み取りつつ、私の考案したなるべく継続しやすい・アウトプットを出しやすい「三層知識管理」の仕組みと、その具体的なワークフローを紹介します。
この記事で触れないこと
- Zettelkasten の教科書的な手法
- 効率的な情報収集方法
- Obsidian との連携方法
なぜ私たちは Zettelkasten に挫折するのか
Zettelkasten が提唱する手法はたしかに強力です。しかし、その運用にはいくつかのハードルが存在します。
- 思想に従いすぎる: Zettelkasten の思想に従いすぎて、「永久保存メモは完成されたものであるべき」というプレッシャーが、アウトプットのハードルを上げる
- 認知負荷の高さ: 一時メモ(Fleeting Note)・文献メモ(Literature Note)・永久保存メモ(Permanent Note)というノートの種類を常に意識し、適切に分類・リンクさせる作業は日々の業務と並行するには負担が大きい
- 即時性の欠如: 努力してノートを整理しても、その効果がすぐに見えにくいためモチベーションを維持するのが難しい。もしくは整理そのものが目的となってしまう。
これらのハードルを乗り越えるには、厳密にルールを守るよりも情報の流れを設計して心理的安全性を確保することが重要です。
つまり、教科書通りに Zettelkasten を実行するよりも、その思想を汲んだ知識管理をした方がベストではないかもしれないがベターであると私は考えます。
頑張らないための三層知識管理術
私が実践しているのは、「情報の流れ」を重視したシンプルな三層構造です。
大雑把に書くと、以下のようなディレクトリ構成をしています。(詳細は後述します)
.
├── DailyNotes/
│ └── YYYY-MM-DD.md
├── Knowledge/
│ └── ナレッジのトピック名/
└── LearningLogs/
├── Fleeting/
├── GenerativeAI/
├── Literature/
└── Studying/
第1層:デイリーノート
ここは、あなたの思考のすべてを受け止める場所です。業務ログ・会議のメモ・ふとした気づき・など何でも時系列で記録します。
ポイントは整理しないことです。フォーマットも自由です。まずは頭の中を書き出すことを最優先し、あとで綺麗にしないとというプレッシャーから解放されましょう。
この階層はいわゆるフローな情報群なので、ディレクトリ構成も凝らないで良いと思います。私は DailyNotes ディレクトリにそのままその日の分のドキュメントを格納・追加するようにしています。
./DailyNotes/
└── YYYY-MM-DD.md
第2層:学習ログ
デイリーノートの記述を元に、得た学びや特定のテーマについて調べたことは「学習ログ」として分類します。私の場合は、以下のように分けています。
-
Fleeting/: 断片的な学習メモや思考のひらめき。 -
GenerativeAI/: 生成 AI との対話ログやプロンプト。AI が出したアウトプットのコピペ場所。 -
Literature/: 論文や Web 記事など、引用元が明確にできる場合はFleetingよりもこちらに。 -
Studying/: 新しい技術を体系的に学ぶ過程の記録。
だいたい私は当日や前日のデイリーノートを見返して、調べたいことをリストアップして上記の4分類のいずれかにドキュメントを格納するようにしています。
この知識管理術は情報収集が目的ではないので、前日よりも前に遡ることは基本的にしません。完璧な分類は不要です。「この情報はだいたいこの辺り」とわかる程度で十分です。
これらのディレクトリをさらに深掘ると、私は以下のように管理しています。
./LearningLogs/
├── Fleeting/
│ └── YYYY/
│ └── MM/
├── GenerativeAI/
│ └── YYYY/
│ └── MM/
├── Literature/
│ └── YYYY/
│ └── MM/
└── Studying
└── 学習のトピック名(例:PHP)/
Studying 以外は全て YYYY/ → MM/ の構造にしており、月単位で管理しています。 MM/ 以下はメモの題名をつけたドキュメントファイルを格納しています。
- 例:MCP接続する時のリポジトリとやり方メモ
Studying に関しては明確な学習をおこなう時に使用するようにしており、例えば新しい言語を学習する時の記録とかはここに記すようにしています。
第3層:ナレッジ
デイリーノート → 学習ログ、とインプットのフローが整理できました。なので次は、アウトプットについて述べます。
学習ログに蓄積された知識のネタを元に、技術記事や社内展開の資料として管理・生成するものを私は「ナレッジ」と定義しています。
ここにどれだけドキュメントを蓄積できるかが知識管理術としては肝になります。
ナレッジ層はこのようなディレクトリ構成にしています。
./Knowledge/
├── ナレッジのトピック名/
│ └── hoge.md
├── Marp/
│ └── marp_hoge.md
└── Zenn/
├── articles/
└── scraps/
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ナレッジのトピック名: 知識として自分が整理したもの。- ここのドキュメントは、AI の生成物に頼り切るのではなく、ご自身の言葉で記述することをおすすめします。なぜなら AI の生成物をそのまま配置するだけでは、単に AI の出力ログ(
LearningLogs/GenerativeAI/)を複製しているに過ぎず、ご自身の知識として昇華されないからです。
- ここのドキュメントは、AI の生成物に頼り切るのではなく、ご自身の言葉で記述することをおすすめします。なぜなら AI の生成物をそのまま配置するだけでは、単に AI の出力ログ(
-
Marp: marp 形式でドキュメントを保存したい時はこちら。社内 LT の資料とかはここに格納しています。 -
Zenn: Zenn に記事やスクラップを投稿する時はこちら。- スクラップへのアウトプットが最もハードルが低いと思うので、ここから意識しておこなうと良い気がします。
実践ワークフロー: AI で知識のアウトプットを補助する
ここまでの説明で、三層構造で知識の管理をすることは出来るようになりそうですが、アウトプットまでのハードルはまだ高いと思います。
なのでここでは、私が普段おこなっているアウトプット術を記します。
具体的に言うと、Cursor を使って以下の手順でアウトプットとなるドキュメントを生成することが多いです。
- テーマ設定: 例えば「知識管理術」など。
-
AI に相談: Cursor のような AI 搭載エディタで、関連する「学習ログ」のファイルを読み込ませます。そして、こう指示します。
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これらのメモを元に、『頑張りすぎない Zettelkasten』というテーマでブログ記事の構成案を作成してください。- あくまでも構成案を考えてもらうのが良いです。ドキュメント自体を生成してもらっては、あなたの知識として身につきません。
- 書くのが億劫なら、その構成に対して具体的にどのようなことを書くと良いのか下書きレベルのドキュメントを生成してもらうのが良いと思います。
-
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下書き作成: AI が生成した構成案を元に、各セクションの執筆をします。
- AI に下書きを作成してもらった場合は、それはあくまでも「素材」なので、自身の経験や言葉で肉付けするのをおすすめします。
- 推敲・仕上げ: 執筆したドキュメントは、誤字脱字があったり構造化が上手くいってない場合もあるので、Cursor rules などを定義しておいて、AI に文章をチェックしてもらうのが良いと思います。
このステップに従えば、0からアウトプットを出す心理的ハードルを下げてくれるのではないでしょうか?
まとめ:完璧な管理より、継続できる仕組みを
今回紹介した「三層知識管理術」は、Zettelkasten の理想を追い求めるのではなく継続可能性に焦点を当てた、現実的なアプローチだと思います。
- デイリーノートで、記録のハードルを極限まで下げる
- 学習ログで、知識のネタを作る
- ナレッジとして、知識のネタを知識として昇華する(アウトプットする)
この緩やかな情報の流れを作ることによって、Zettelkasten が目指す知識を連携させて新たな洞察を得るという体験を挫折することなく得られるのではないでしょうか?
Zettelkasten に挫折してしまった方は、まずは「デイリーノートに何でも書く」ことから始めてみましょう!
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