Cursor の「カスタムモード」使ってますか?
はじめに
この記事で伝えたいこと: Cursor に搭載されている「カスタムモード」機能を紹介します。これを使えば、AI アシスタントをもっと自分の開発スタイルや特定のタスクに合わせて最適化できます。
想定読者
- Cursor を使い始めたばかりの人
- Cursor は使っているが、カスタムモードはまだ試したことがない人
この記事を読むと何が得られるか
- Cursor カスタムモードの基本概念
- Codebase シンボルの概要とそのメリットがわかる
- カスタムモード作成の具体的な活用アイデアに触れられる
Cursor の「カスタムモード」って何?
公式ドキュメントから学ぶ
公式ドキュメント
Cursor には、標準で Agent、Ask、Manual という3つのモードが用意されています。カスタムモードは、これらに加えて自分だけのモードを作れる機能です。
通常のモードとは異なり、カスタムモードでは以下のことができます。
- 使用するツールの選択: 必要なツールだけを有効化
- カスタムインストラクション: 事前に詳細な指示を設定
cursor rules との違い
同じく Cursor をカスタマイズする機能として cursor rules がありますが、これらは目的が異なります
機能 | cursor rules | カスタムモード |
---|---|---|
目的 | コーディング規約や動作ルールの定義 | 特定のワークフロー用の対話モード |
設定方法 | .cursor/rules/hoge.mdc ファイルやグローバル設定 | チャット画面でモード作成 |
カスタマイズ内容 | コーディングスタイル、命名規則など | ツール選択、対話の指示 |
どんなことができるのか
カスタムモードでは、以下の要素を自由に組み合わせられます。
ツール選択
-
Codebase
(プロジェクト全体の理解) -
Web
(Web検索) -
Edit & Reapply
(コード編集) -
Terminal
(コマンド実行) -
Search files
(ファイル検索)
カスタムインストラクション
- AI に対する詳細な指示
- 特定のタスクに特化した振る舞いの定義
カスタムモード限定の機能: Codebase シンボルでプロジェクト全体を AI に伝える
Codebase シンボルとは?
実はカスタムモードでしか使えない @
シンボルがあります。(2025年6月5日現在)
それは @Codebase
というシンボルです。
@Codebase
は、AI がプロジェクト全体のコードやファイルを理解するための強力な仕組みです。チャットに @Codebase
と入力すると、AI は以下の4段階でプロジェクトを分析します。
- Gathering: コードベース全体から重要なファイルやコードチャンクをスキャン
- Reranking: クエリとの関連度に基づいてコンテキストアイテムを再順序付け
- Reasoning: コンテキストを使用する計画を思考
- Generating: レスポンスを生成
公式ドキュメント
-
@Codebase
- 以前は Agent モードなどでも使えていた模様
- なぜかこのページ、 https://docs.cursor.com/context/@-symbols/overview から飛べず普通にドキュメントを見ていたら検知できない
カスタムモードで Codebase シンボルを使うメリット
より精度の高いコード生成、リファクタリング、質問応答が期待できる
プロジェクトの構造、使用している技術スタック、既存のコードパターンを理解した上で提案してくれます。
「このプロジェクトについて何か聞きたい/作業してほしい」というときに非常に強力
プロジェクト固有の文脈を踏まえた、的確なアドバイスや実装提案を得られます。
自分だけのカスタムモードを作ってみよう
カスタムモード作成の第一歩
カスタムモードの作成はチャット画面から簡単に行えます。
-
モードメニューから Add custom mode をクリック
-
以下の項目を設定
- 名前: モードの名前
- アイコン: 識別しやすいアイコン
- ショートカット: 素早くアクセスするためのキー
- 有効化するツール: 使用したいツールを選択
- カスタムインストラクション: AI への詳細な指示
どんなモードが作れる?公式ドキュメントの例から学ぶ
Learn モード
- 目的: 詳細な説明と頻繁な確認質問を促す
- ツール: Search
- カスタムインストラクション: 解決策を提供する前に、概念を徹底的に説明し、明確化のための質問をする
Refactor モード
- 目的: 新機能を追加せず、既存コードの構造改善に特化
- ツール: Edit & Reapply
- カスタムインストラクション: 新しい機能を追加することなく、既存のコード構造の改善にのみ焦点を当てる
Plan モード
- 目的: コードを直接変更せず、包括的な実装計画を作成
- ツール: Codebase, Read file, Terminal
-
カスタムインストラクション: 直接的なコード変更を行わずに詳細な実装計画を作成し、
plan.md
に記述する
こんなカスタムモードも作れる
以下、実際に私が何回か使ったことのあるカスタムモードについて記載します。
例:技術記事の叩き台をサクッと生成するモード
目的: Cursor で AI とおこなったやり取りで学びがあった、ハマっていたエラーを解消できた、などの場合改めてドキュメントを生成するのが面倒なので叩き台を作成してほしい、というニーズに応える
どの tools を利用するのか: Search 系の tool 全般
カスタムインストラクションの例
あなたは技術エバンジェリストとして、開発者コミュニティ向けの魅力的な技術記事を作成する専門家です。
記事は Zenn に投稿するため、日本語で執筆してください。
# 基本原則
- 親しみやすくも専門的: 技術的正確性を保ちながら、読みやすいスタイルを使用
- 実践的: 理論よりも実装に重点を置き、すぐに試せる内容を提供
- 謙虚で正直: 「これが唯一の正解」ではなく「こうやって解決しました」というアプローチ
- エンゲージメント重視: 読者の興味を引き、コメントや議論を促すコンテンツ
# 記事構造テンプレート
1. キャッチーで具体的なタイトル
2. TL;DR: 要点を3〜4行で要約
3. 学習できること: 3〜5つの具体的な学習成果
4. なぜこの問題に取り組んだか: 実際の課題と背景
5. 解決策: ステップバイステップの説明
6. 具体的な実装: 動作するコードサンプルと説明
7. 注意点と制限事項: 課題や制限を正直に共有
8. 結論と今後の方向性: 学んだことと次のステップ
ドキュメント生成時は、マークダウン形式で作成してください。
使い方: 「今までのやり取りをテックブログとしてドキュメントに起こしたいので、技術記事の叩き台を生成してください」といったようなプロンプトを入力
ポイント:
- このように詳細な指示を与えることで、毎回一貫した記事構成を AI に生成してもらえます。
- 特定の用途(この場合は技術記事執筆)に特化した AI アシスタントとして機能させることができます。
- 他にも色んなカスタムモードが公開されていますので、見てみてください
まとめ
カスタムモードは、Cursor をより深く自分に合わせて使いこなすための鍵となるでしょう。
@Codebase
シンボルやカスタムインストラクションを活用することで、以下のような変化を体験してみてください。
- プロジェクト固有の文脈を理解した AI との対話
- 自分のワークフローに最適化された開発体験
- 繰り返し作業の効率化と品質向上
Cursor のカスタムモード機能は現在ベータ版ですが、すでに多くの可能性を秘めています。
まずは公式ドキュメントの例から試してみて、徐々に自分のニーズに合わせてカスタマイズしていくのがおすすめです!
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