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Cursorを月500ドル使う開発者が本気でGoogle Antigravityを2週間使った感想

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この記事でわかること

  • Antigravity のセットアップで最初にハマるポイントと回避策
  • Cursor との具体的な比較(コード生成精度・ブラウザ連携・コストなど)
  • クォータを実用的に運用するためのモデル使い分けとファミリーグループ活用法

きっかけ

私は Cursor を月500ドル使い倒しています。
内訳はおよそ業務で400ドル、個人開発で100ドルです。

問題は個人開発の費用でした。
自腹でリクエスト課金を払っていると、タスクを頼むたびに「このくらいなら自分でやるか」という判断が入るようになります。
気づいたときには個人開発のペースが落ちていました。

Google AI Pro プランに加入したのを機に、改めて Antigravity を本腰入れて試してみることにしました。
結論から言うと、個人開発で毎月かかっていた約100ドル分と同等の開発が Google AI Pro のサブスクリプション内で収まっています(後述する複数アカウント運用が前提になります)。

Google Antigravity とは

Google が開発する、VSCode をベースとしたエージェント型 IDE です。
Cursor と同様に VSCode のエコシステムを引き継いでおり、既存の拡張機能などもそのまま利用できます。

Google Antigravity の UI 画面

2025年11月のリリース当初は複数エージェントの同時起動もできないなど実用的ではありませんでしたが、現在は週2回以上のペースでアップデートが続いており実用レベルになってきました。

利用可能なモデルは Gemini 3.1 Pro、Gemini 3 Flash、Claude Opus 4.6、Claude Sonnet 4.6 の4種類です。
Google 製でありながら Claude も使えるのは非常にありがたい点です。

最初の1日でハマったこと

日本語で話しかけても英語で返ってくる

日本語でプロンプトを書いても、英語で返ってくることが多くあります。
GEMINI.md に以下のルールを記載することで、この問題はかなり改善されました。

GEMINI.md
## 言語設定
すべての出力において、以下の言語ルールを遵守してください:
1. **主要言語**: 厳密に**日本語**で回答してください。
2. **アーティファクト**: すべてのアーティファクト(プラン、ウォークスルーなど)は日本語にする必要があります。
3. **コードコメント**: コード内のコメントは日本語で記述してください。
4. **出力スタイル**: 簡潔かつ丁寧な日本語を使用してください。

.agent/rules は効かない

公式ドキュメントには、.agent/rules ディレクトリにルールを記載するように書かれています。
しかし、実際にここに書いたルールは無視されることが多いです。

正解は、Antigravity の UI から「Workspace ルール」を追加することです。
これにより、.agents/rules ディレクトリ(単数形の agent ではなく複数形の agents)以下にファイルが作成され、正常に機能します。
ドキュメントと実装が食い違っている点は、早急に修正してほしい部分です。

.gitignore に入れたファイルが読み込まれない

.gitignore に指定したファイルは、エージェントに読み込まれなくなります。
Antigravity の設定で「Agent Gitignore Access」を ON にしておく必要があります。
最初のセットアップ時に一度確認しておくと、余計なトラブルを防げます。

Planning モードにしても実装が始まる

Cursor の Plan モードでは、実装計画を作成した後にユーザーへの確認を求めてきます。
Antigravity にも Planning モードが存在しますが、プランを作成した後にそのまま実装を開始してしまいます。
最初はこの挙動の違いに困惑しましたが、Antigravity はそのような仕様なのだと割り切って使うことにしました。

Knowledge 機能はまだ動かない

Knowledge という設定があり、ON にするとエージェントが自律的に知見を蓄積してくれます。
プロジェクト固有のルールやよく使うパターンを自動で学習してくれることを期待して ON にしていました。
しかし、2週間使っても一覧には1つもナレッジが追加されませんでした。
現時点ではまだ意図通りに動作していないようです。

Cursor の方が優れていると思った点

Ask モードがないのは少し不便

Cursor には Ask モードがあります。
コードを変更せずにコードベースへ質問だけできるモードであり、「この処理の流れを教えて」といった会話の際に重宝します。

Antigravity にはこのモードがありません。
プロンプトを送るとそのままコードを書き換えようとするため、毎回「コードは変更しないこと」と一言添える必要があります。
慣れれば対処できますが、最初は何度かコードを勝手に変更されてしまい戸惑いました。

モデル選択の自由度は低め

Cursor は GPT-5.2 などの外部モデルも選べます。
「コード生成は Claude、レビューは GPT-5.2」といった使い分けが自由にできる点は、Cursor の大きな強みです。

一方 Antigravity は、Gemini および Claude 系に限定されます。
さらに Claude モデルはクォータの消費が激しいため、実質的に Gemini 一択になりやすい傾向があります。
Gemini はデザイン生成と広いコンテキストウィンドウが強みですが、難解なバグの特定はやや苦手な印象を受けます。
そのため、モデル選択の幅の狭さは少し痛手だと感じました。

細かい操作のカスタマイズができない

Cursor は「Cmd/Ctrl+Enter で送信する」や「タスクが完了したら次のプロンプトを自動送信する」といった細かい操作をユーザーが設定できます。
自分の開発スタイルに合わせて挙動を調整できるのは、非常に快適です。

Antigravity はまだ設定できる項目が少なく、ユーザーごとのカスタマイズの幅が限られています。
エディタとしてのツール自体の完成度の差が、そのまま出ている部分だと思います。

Antigravity が Cursor に勝っている点

ブラウザを自分で操作して検証まで完結できる

Antigravity のエージェントはブラウザを自律的に操作できます。
スクリーンショットの撮影からデザインの確認、レイアウト崩れの検出、クリック操作による動的な検証までを一気通貫で実行してくれます。

Cursor では「修正 → ブラウザで確認 → AI にデザイン崩れをテキストで伝える」という往復が発生します。
しかし、Antigravity ではこの往復操作が一切不要になります。

Antigravity によるブラウザの自律操作の様子

サブスクリプションモデルが個人開発の心理的ハードルを下げる

従量課金モデルで個人開発をしていると、タスクを AI に頼む前に「このくらいなら自分でやるか」という費用に対する判断が毎回入ります。
これが開発を止める口実にもなりやすいです。

定額のサブスクリプションモデルでは、これが逆転します。
「クォータ上限まで使えば使うほどお得」という感覚になり、AI に試行錯誤させる心理的コストがほぼゼロになります。
業務では会社負担なのであまり意識していませんでしたが、個人開発においてこの差は思っていたよりも大きかったです。

実際に何を作ったか

Antigravity を使って、ComfyUI-Meld という ComfyUI の画像ビュワー拡張機能を開発しました。
もともと Cursor で開発していましたが、途中から Antigravity に乗り換えました。

ComfyUI 本体にサイドバーやモーダルを追加する拡張機能なので、レイアウトが崩れやすいという問題が常に付きまといました。
サイドバーが表示されなくなったり、ComfyUI 本体のコンポーネントと競合したり、z-index の設定ミスでモーダルが画面の裏側に表示されたりと、なかなか手強い開発でした。

Antigravity はブラウザを自動で開いて、動作確認からデザインチェックまでを自律的にこなしてくれました。
画面スクロール時の挙動まで検証してくれたのは想定外の驚きでした。
1つ1つの操作に時間はかかりますが、30分ほど任せておけば一定の品質に仕上げてくれます。
ブラウザで動くアプリケーションの開発には、かなりフィットしていると思います。

また、ゲームポータルサイトである game-portal も、スクラッチから Antigravity を使って開発しました。
ブラウザですぐに遊べるので、Antigravity のコード生成の実力を体感するにはこちらのほうが分かりやすいかもしれません。

量子マグロ亭の開発過程は以下の別記事で紹介しています。
Antigravity にフォーカスした内容ではありませんが、どのようなアプリを作れるのかの参考になるはずです。
各ゲームの開発詳細については、別途記事にする予定です。

https://zenn.dev/happy_onigiri/articles/399b8d91126587

クォータの実情と上手な付き合い方

モデルごとのクォータ消費感

基本的には5時間サイクルでクォータが回復します。
しかし、全体で使いすぎると週次の上限に抵触し、一週間のロックアウト状態になります。
モデルごとにクォータ消費の激しさが大きく異なります。

Claude Opus 4.6: 約30分の連続使用で上限に達します。
この上限に2回程度引っかかると1週間ロックされました。
賢さは折り紙付きですが、長時間の連続使用には向きません。

Gemini 3.1 Pro: 約2時間の連続使用で上限に達し、5回程度上限に達すると週次ロックされました。
デザイン生成と広いコンテキストウィンドウが強みであり、開発でメインとして使うモデルになります。

Gemini 3 Flash: 約2時間で上限になりますが、ヘビーユースしていても今のところ週次ロックには至っていません。
現状、3つのモデルの中では最も寛容です。

プロジェクトにおける実際の運用

基本的な開発は Gemini 3.1 Pro で行います。
そして、コミットや Lint エラーの修正など、比較的軽い作業の際には Gemini 3 Flash に切り替えています。
難解なバグの特定など、Gemini が苦手とする複雑なタスクには、Claude Opus 4.6 を温存しておき投入する運用にしています。

ファミリーグループを利用して実質的なクォータを増やす

Google AI Pro の加入者は、ファミリーグループに最大5名を追加できます。
招待されたファミリーメンバーも同等のクォータで Antigravity を利用できます。

Google のファミリーグループは厳密な家族関係を要件としておらず、18歳以上の Google アカウント保有者であれば誰でも参加できます(詳しくはGoogle ファミリー公式ページを参照してください)。
そのため、自身のサブアカウントをファミリーに追加することで、利用できるクォータを実質的に2〜6倍に増やすことが可能です。

既に Google アカウントを複数持っている状態であれば、追加の手続きは数分で完了します。
現在私は3つのアカウントを切り替えて使っていますが、5時間連続でハードに開発してもクォータ切れに悩まされることがなくなりました。

複数アカウントの管理には、サードパーティ製ツールの Cockpit Tools が便利です。
各アカウントのクォータ残量の一覧確認と、ワンクリックでのアカウント切り替え機能が備わっています。

Cockpit Tools による複数アカウントのクォータ管理機能

おわりに:今から触れておく価値は十分にある

評価軸 Cursor Antigravity
コード生成精度
UI・操作性
ブラウザ連携
コスト(個人開発)
モデル選択肢
カスタマイズ性
アップデート頻度

総合的には Cursor が一歩リードしている。ただし「ブラウザ連携」と「個人開発のコスト」という2軸では Antigravity に明確な優位がある。

比較表に示した通り、現時点での総合評価は Cursor を基準にするとおよそ70点くらいの感覚です。

現状の課題: Workspace ルールの設定などでハマりやすい点、コードを変更しない Ask モード相当の機能がない点、そして複数モデルのクォータ管理が複雑な点が挙げられます。

強み: やはりエージェントによるブラウザの自律操作機能が唯一無二です。
また、サブスクリプションモデルは個人開発との相性が良く、週2回以上実施される高頻度のアップデートも魅力です。

私の場合は、業務では引き続き Cursor をメインに使っていきますが、コストを抑えたい個人開発においては Antigravity へ完全に移行しました。

2025年11月の機能追加時から現在に至る数ヶ月のアップデート速度を見ていると、今後の伸びしろはかなり大きいと感じています。
現時点ですぐに Cursor を完全に置き換えられるものではありませんが、今のうちから触れておいて損はないツールだと思います。

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