GTTラジオ・リターンズ ~人が見える組織をつくる~
自己紹介
こんにちは。GovTech東京業務執行理事兼CTO、そして社内ポッドキャスト「GTTラジオ」のパーソナリティを務めている井原です。気づけば1月も下旬となってしまいましたが、本記事が2026年のテックブログ1本目となります。GTTラジオは、私がホストとなって、職員の皆さんをゲストに迎えながら対話する社内向けのラジオ番組です。
なお、番組の編集は毎回自分で行っています。プライベートな時間を使ってやっているんですよ、と別の理事に話したところ「理事にプライベートな時間はありません」と言われました。が、そんなことはありません。ちゃんとあるはず、です。
前回、技術広報の小暮さんに「潜入!GTTラジオの制作裏側レポート」という記事を書いてもらいました。今回はその"続編"として、あれから約半年経った今、GTTラジオがどう進化し、何が見えてきたのかを書いてみたいと思います。
GTTラジオの現在地
前回の記事が公開されたのは、GTTラジオが始まって間もない頃でした。
「まずはやってみる」という軽いノリで始めた企画でしたが、気づけば半年が経ち、回数は20回を数えています。

各回の長さや概要等の情報を載せることで視聴者が内容を把握できるようにしています
ゲストを呼ばずに一人で話すスピンオフ企画「リアルイハラジオ」も実施してみました。 GTTラジオが正式名称なのですが、私の名前が「いはら」ですので、社内では通称「イハラジオ」と呼ばれているようです。普段はゲストをお招きしますが、私が一人で話す回なので、あえて「リアルイハラジオ」と名付けました。
ちなみに第一回の配信では、「過去の年賀状」にまつわるエピソードを話しました。
先日、自宅で年賀状の整理をしていたところ、2010年に入社した当時の会社の社長からのハガキが出てきたんです。そこには、技術的な貢献への感謝はもちろんですが、それ以上に「井原が入社したことで『人をつなぐ』力を会社が得られたことが大きい」といったメッセージが添えられていました。
いただいた当時はあまりピンと来ていなかったのですが、今こうしてGTTラジオを通じてやろうとしていることは、まさにその「人をつなぐ」ことそのものだな、と。
10年以上経って改めてその言葉の意味に気づかされた、そんな話を、一人で語りました。
また、通常回は今回のゲストの方が次回のゲストの方をご紹介いただく「リレー形式」で進めていますが、そのつながりとは別に登場いただく「特別回」も生まれました。 特別回では、私の方から「個人的にぜひこの方のお話を聞きたい!」とご相談して、収録に参加いただいています。
当初の「隔週で一回10~15分」という計画から、なぜここまで広げてしまったのかと自問することもありますが、やめようとは思いませんでした。
なぜ続けているのか
理由はシンプルです。 GovTech東京は、この半年間でさらに組織が大きくなり、人も増えました。それ自体はとても良いことですが、その一方で「隣の人が何をしているのか」「どんな人なのか」が少し見えにくくなってきたこともあり、もっと色んな人のことを知ってほしいと思っています。
社内のTeamsやNotionに情報はたくさんありますが、テキストだけでは伝わらないものが確実にあります。
- どんなトーンで話す人なのか
- 仕事に対して何を大事にしているのか
- 実はどんな趣味を持っているのか
そういった「人柄」は、対話の中でしか見えてきません。
そのためGTTラジオでは、仕事の話だけでなく、あえてプライベートな話題も交えています。 よく「AIが期待通りの答えを返してくれない」みたいな話がありますが、こちらの伝え方が曖昧なことも多いですよね。仕事でも趣味でも、その人に関する情報を少し多めに知っているだけで、私たちはより良い仕事をしたりコミュニケーションをすることができると思っています。
また、正直に言うと、私自身がラジオの収録を一番楽しんでいます。色んな人の色んな話を聞けるのは、自分でやるから面白いのです。 なお、個人的に一番面白いのは収録後の本音の裏話ではありますが、もちろん外に出せない話は外に出しません。組織のため、という大義名分はありますが、「自分が面白いから続けている」というのが偽らざる本音です。
運用の裏側とアジャイルな改善
GTTラジオは、立派な番組設計から始まったわけではありません。むしろ別の理事からの「井原さんのポッドキャストが聴きたいんだけど」「じゃあやりますよ」と勢いで始めました。だからこそ、フィードバックと改善を大事にしています。
印象的だったのが、「静かな環境で二人が喋っていると、リアルに”盗み聞き”しているような背徳感がある」という感想です。 なるほど、と思いました。確かに無音の中で会話だけが続くと聞く側が変に緊張してしまう。そこで、オープニングとエンディングにジングルを入れ、途中にも軽くBGMを入れるようにしたところ、「聞く心理的ハードルが下がった」という反応が返ってきました。
小さな違和感を放置せず、すぐ直す。 これはエンジニアリングで言えば、アジャイルの実践かなと思います。何事も、小さく始め、素早く直す。
機材への投資は「おもてなし」
最近は、マイクや機材も少しずつアップデートしています。例えば、マイクはHyperX QuadCast 2やDJI Mic Miniなどを導入しました。

並んだピンマイクとコンデンサーマイク
エンジニアとして、あるいは単なるガジェット好きとして言うと、音質の悪さはサービス品質の低さと同じです。「社内向けだからこれでいいや」とは、どうしても思えませんでした。クリアな音声はリスナーへの敬意です。これは完全に自己満足でもありますが、「聞いてもらう以上、できる限りのことはやろう」と思っています。
とは言え、まだまだやれば音質はもっと良くなるのですが、まあまあ大変ですのでこれくらいで勘弁してください、という気持ちでもあります。(スピード重視という言い訳)
ラジオを通じて見えてきた景色
続けていく中で、想像していなかった変化も起きました。 GTT内部のメンバーだけでなく、都庁の局長クラスの方々にもゲストとして出ていただけるようになったのです。
私たちGovTech東京と都庁(特にデジタルサービス局)は、東京のDXを共に推進する「バディ(相棒)」としての関係にあります。 デジタルサービス局次長の佐久間さんや、保健医療局長の山田さん(前デジタルサービス局長)など、まさにそのバディである方々にもご出演いただきました。
私自身、彼らと業務における戦略的な議論でご一緒する機会は多いのですが、そうした場ではどうしても「仕事」の話が中心になります。「実はこんな趣味があって…」といったプライベートな話や、その人の「素」の部分に触れる機会は、バディといえどもそう多くはありません。ましてや、現場の職員にとってはなおさらだと思います。
ラジオの場では、肩書きよりも「一人の人」としての側面が自然に出てきます。 仕事への思い、これまでのキャリア、意外な趣味。 それを知ることで、組織の中にある見えない「壁」が溶け、バディとしての結束がより強まっていく感覚がありますし、そのために収録を続けています。
ラジオは「糊(のり)」
GTTラジオは、直接業務を進めるためのツールではありません。でも、組織をつなぐ「糊」のような役割は果たしていると思っています。業務上の接点がない人同士でも、「ラジオで言っていたあの話、聞きました?」という一言から会話が始まる。
そこには権限も指示命令もありません。あるのは、興味や関心だけです。「権限で人を動かす」のではなく、「関心で人がつながる」。GTTラジオは、その小さな実験でもあります。
これからも目指すもの
私が目指しているのは、「人」が見える組織です。ドキュメントやコードはもちろん大事です。でも、その裏側にいる「人」が見えると、仕事はもっとやりやすくなります。誰が何をできるのか。何をやりたいと思っているのか。それが少し可視化されると、組織は滑らかに動き出します。
ラジオは、そのための数ある手段の一つにすぎません。私はCTOとして、私にしかできないやり方でそれをやっています。皆さんも、ぜひ自分らしいやり方で「つながり」をつくってみてください。それがうまくいかなくても、少なくとも私は、人が良かれと思ってする行動を否定したくはありません。
感謝と呼びかけ
最後に、感謝を。忙しい中でゲストとして出演してくださった皆さん。そして、毎回聞いてくださっている職員の皆さん。本当にありがとうございます。
ゲストは、自薦・他薦を問いません。「次はあなたが出る番です」。いつか社外のゲストにも出ていただきたいですし、都庁職員の回、動画版、国内外出張版など、やりたいことはまだまだありますので、引き続きやっていきます。
そして、前回の記事を書いてくれた技術広報の小暮さんへ。今回の記事へのアンサーソング、楽しみにしています(無茶振り)。
参考
潜入!GTTラジオの制作裏側レポート
東京都が設立した外郭団体「GovTech東京」のテックブログです。GovTech(ガブテック)は、Government×Technologyの融合させた言葉。このブログでは、行政DXへの技術的挑戦、現場で得た知見、そして組織のカルチャーを発信していきます。govtechtokyo.or.jp
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