【読書メモ】左門式ネスペ塾 ワークブック ─ 手を動かしてネットワークを深く理解する
はじめに
ネットワークの学習は、インプット(座学)だけではなかなか定着しません。
特にネットワークスペシャリスト試験のような応用力が問われる試験では、「手を動かして考える」アウトプット学習が非常に重要です。
以前、こちらの記事 で「徹底攻略 ネットワークスペシャリスト教科書」の学習内容をまとめましたが、今回は理解をより実践的に深めるために本書 『左門式ネスペ塾 ワークブック』 を手に取りました。
本書の概要
本書は、ネットワークスペシャリスト試験をターゲットにしながら、座学+演習型のアウトプット形式で構成されています。
左門至峰氏の人気講座「ネスペ塾」のエッセンスが凝縮されており、以下の3ステップで進みます。
- ステップ1:短答式問題による知識整理
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ステップ2:手を動かして考える演習問題
- IPアドレス設計、VLAN設計、パケットキャプチャ解析など
- ステップ3:過去問ベースの実戦問題
知識の整理から実践的な設計・解析スキルまで、段階的に深掘りできる構成になっています。
学びたかったこと
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知識の定着度確認
座学で得た知識が、実際の問題で正しく使えるか確認したい。 -
設計・構築スキルの習得
IPアドレス割当やVLAN設計、冗長構成(VRRPなど)、FWポリシー設計を演習を通じて実務感覚を養いたい。 -
プロトコル動作の可視化
パケットキャプチャ解析やテーブル読解を通じて、ネットワーク上のデータの流れを具体的にイメージできるようにしたい。
得られた知識・実践したこと
✅ IPアドレス・VLAN設計の実践
- 実際にネットワーク構成図を描きながらアドレス設計
- サブネットマスク計算やアドレス空間の効率化
- ブロードキャストドメインの分離
⇒ 頭の中だけで考えていたことを実際に図に落とす重要性を実感
✅ プロトコル動作の具体理解
- Wiresharkでのパケット解析演習
- TCP/UDP、ARP、DNS、SSL/TLSなどのプロトコルを実際の通信ログで確認
- ハンドシェイクや名前解決、暗号化処理の流れが具体化
⇒ 抽象概念だったプロトコルの動きが実際にイメージできるように
✅ 論理的思考力の向上
- ルーティングテーブルの構築
- FWポリシーの記述
- VRRPを用いた冗長設計の検討
⇒ 「設計条件に合わせて最適解を導き出す力」 が鍛えられた感覚がある
理解が難しかった部分
⚠ 複雑なプロトコル詳細
- BGPのパス選択アルゴリズム
- IPsecの鍵交換フロー
高度なプロトコル動作は演習だけでは完全に理解できず、より専門的な資料や実機検証が必要だと痛感しました。
⚠ 実践環境の不足
- 自宅環境では物理機器が足りず、一部はシミュレータ頼り(Packet Tracerなど)
- 実機特有の制約・挙動は今後の課題
現場での活用イメージ
🚀 モバイルアプリの通信トラブルシューティング
- TCP/HTTP/WebSocketレベルの詳細把握
- 通信遅延・切断・負荷集中時のボトルネック特定
- サーバー・NW機器・クライアントの役割分担理解
⇒ 実装・障害対応での応用力向上
🚀 社内ネットワーク運用支援
- ルーティング構成・FWポリシーの設計・評価
- 障害発生時の通信経路特定と影響範囲の迅速特定
⇒ インフラチームとの技術的連携が強化
🚀 PMとしての技術支援
- NW要件定義の精度向上
- 設計レビュー時の技術的観点提供
- インシデント時の技術状況把握と意思決定支援
⇒ 技術PMとしての信頼性向上
どんな人におすすめか?
- ネスペ受験者で インプット学習を終えたが実践感覚が足りない人
- 座学だけではなく手を動かして考えたい人
- 試験の「あと一歩」から合格ラインに届かせたい人
- 現場適用も視野にネットワークを深めたい アプリ開発者/PM志望の方
おわりに
「理解したつもり」を「本当に理解できた」に昇華させる良書でした。
知識の穴が可視化され、実際の設計・トラブルシューティングに繋がる力が確実に身に付きます。
引き続き、実機演習・プロトコル深掘りを通じて、ネットワーク基盤を理解できるエンジニアを目指して学習を継続していきます!
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