Claude Opus 4.6 × Vertex AI 完全ガイド:Claude Code を GCP でセキュアに使い倒す

はじめに
Anthropic の最新最上位モデル Claude Opus 4.6 は、Google Cloud の Vertex AI 経由で利用できます。Anthropic と直接契約しなくても、GCP の課金に一本化できるため、すでに GCP を使っている企業や個人にとって導入のハードルが低い選択肢です。
この記事では、Claude の公式 CLI ツール Claude Code を Vertex AI バックエンドで動かす手順を解説します。
加えて、多くの人がハマる 「毎日 gcloud auth login しないと使えない」問題の原因と、サービスアカウントによる根本的な解決策もカバーします。
圧倒的な性能:Claude Opus 4.6 ベンチマーク
2026年2月5日にリリースされた Claude Opus 4.6 は、コーディングとエージェント能力において劇的な進化を遂げています。特に「自律的に考え、ツールを使いこなす」能力が突出しています。

Evaluating Claude Opus 4.6 by Anthropic
| ベンチマーク | Opus 4.6 スコア | 概要 |
|---|---|---|
| Terminal-Bench 2.0 | 65.4% | ターミナル操作を伴う自律コーディングタスク。GPT-5.2 (55.2%) を大きく上回る世界最高性能。 |
| SWE-bench Verified | 80.8% | 実際のGitHub Issue解決能力。非常に高い水準で安定。 |
| Agentic Tool Use | 99.3% | 複雑なツールオーケストレーション(Telecomタスク)。ほぼ満点の精度でツールを使いこなす。 |
Claude Code はこの強力な能力を CLI から直接引き出せるツールですが、Vertex AI 経由で使うことで、そのパワーをセキュアな企業環境持ち込むことができます。
なぜ Vertex AI 経由なのか
| 観点 | Anthropic 直接 | Vertex AI 経由 |
|---|---|---|
| 課金 | Anthropic へ別途支払い | GCP に一本化 |
| セキュリティ | API キー管理 | IAM / VPC Service Controls で堅牢に保護 |
| ガバナンス | 限定的 | 組織ポリシーで利用モデルや対象者を制御可能 |
| モデル選択 | Claude のみ | Gemini + Claude + 3Pモデル を同一基盤で |
| GCP クレジット | 使えない | 適用可能 |
特にエンタープライズ環境や、セキュリティに敏感なプロジェクトでは、APIキーの発行・管理が不要で、IAM による権限管理ができる Vertex AI 経由の利用が圧倒的に有利です。
事前準備
- Google Cloud プロジェクト(課金が有効化済み)
-
gcloudCLI インストール済み - Node.js 18 以上
ステップ 1:Claude Code のインストール
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
claude --version
ステップ 2:Vertex AI で Claude モデルを有効化
API の有効化
gcloud services enable aiplatform.googleapis.com --project=YOUR_PROJECT_ID
コラム:Vertex AI Model Garden とは?
今回 Claude を有効化する Model Garden は、Google のモデルだけでなく、Anthropic (Claude) や Meta (Llama)、Mistral など、150種類以上の最先端モデルをワンストップで利用できるプラットフォームです。
- 多様な選択肢: Gemini はもちろん、オープンモデルも商用モデルもここから選ぶだけ。
- 統一されたガバナンス: どのモデルを使っても、GCP の IAM やセキュリティポリシーが適用されます。
- インフラ管理不要: 「まずは試したい」時に、自分で GPU サーバーを立てる必要はありません。ボタン一つでデプロイや API 利用が可能です。
「データの置き場所や契約を分散させずに、適材適所で最強のモデルを使い分けられる」 点が最大のメリットと言えます。
Model Garden で Claude Opus 4.6 を有効化
-
Vertex AI Model Garden にアクセス
- パートナーのところ、「ANTHROPIC」をクリック
-
Claude Opus 4.6 を選択して有効化
ステップ 3:認証の設定
認証方法は、利用用途や環境に合わせて 2つのパターン から選んでください。
パターン A:gcloud auth(個人利用・手軽さ重視)
対象: 個人開発者、まずは試してみたい方、Google Workspace 環境以外の方。
gcloud auth application-default login
これだけで動きます。
ただし、Google Workspace 環境(企業アカウントなど)で、管理者が RAPT(Re-Authentication Policy) を設定している場合、セッション時間が短く設定されているため、「毎日再認証が必要」というエラーが発生することがあります。その場合はパターン B へ進んでください。
パターン B:サービスアカウントなりすまし(セキュリティ推奨)
対象: セキュリティ重視な方、キーファイルの管理をしたくない方。
自分のユーザーアカウント権限を使って、一時的にサービスアカウントに「なりすまし(Impersonation)」を行います。JSONキーを発行・管理する必要がないため、キー漏洩リスクがなく非常にセキュアです。
1. サービスアカウントの作成
gcloud iam service-accounts create claude-code-sa \
--display-name="Claude Code Service Account" \
--project=YOUR_PROJECT_ID
2. Vertex AI の権限を付与
サービスアカウントに「Vertex AI ユーザー」権限を与えます。
gcloud projects add-iam-policy-binding YOUR_PROJECT_ID \
--member="serviceAccount:claude-code-sa@YOUR_PROJECT_ID.iam.gserviceaccount.com" \
--role="roles/aiplatform.user"
3. なりすまし権限の付与
あなた自身(ユーザーアカウント)に対し、このサービスアカウントになりすます権限(Service Account Token Creator)を付与します。
gcloud iam service-accounts add-iam-policy-binding \
claude-code-sa@YOUR_PROJECT_ID.iam.gserviceaccount.com \
--member="user:YOUR_EMAIL@example.com" \
--role="roles/iam.serviceAccountTokenCreator"
4. ローカル認証
# まず通常ログイン
gcloud auth login
# アプリケーションデフォルト認証(なりすまし指定)
gcloud auth application-default login \
--impersonate-service-account=claude-code-sa@YOUR_PROJECT_ID.iam.gserviceaccount.com
これで、Claude Code はあなたの認証情報を使ってサービスアカウントのトークンを取得し、Vertex AI にアクセスします。
毎日の再認証が面倒な場合(RAPT環境など)
Google Workspace 環境などで RAPT (Re-Authentication Policy) が設定されていると、上記の方法でも「毎日再認証が必要」になる場合があります。
その場合にかぎり、「サービスアカウントキー(JSON)」 を発行して使う方法が有効です(キー認証はユーザーセッションに依存しないため)。
ただし、キーファイルの管理には十分注意してください。
ステップ 4:Claude Code の設定
~/.claude/settings.json
(Windows では %USERPROFILE%\.claude\settings.json)を編集します。
パターン A(gcloud auth)の場合
{
"env": {
"CLAUDE_CODE_USE_VERTEX": 1,
"CLOUD_ML_REGION": "global", // 自動で最適なリージョンにルーティングされる
"ANTHROPIC_VERTEX_PROJECT_ID": "YOUR_PROJECT_ID",
"ANTHROPIC_MODEL": "claude-opus-4-6"
}
}
パターン B(サービスアカウントなりすまし)の場合
なりすまし認証を行った場合、GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS の指定は不要です。gcloud CLI が認証を裏側で処理してくれます。
macOS / Linux / Windows (共通):
{
"env": {
"CLAUDE_CODE_USE_VERTEX": 1,
"CLOUD_ML_REGION": "global",
"ANTHROPIC_VERTEX_PROJECT_ID": "YOUR_PROJECT_ID",
"ANTHROPIC_MODEL": "claude-opus-4-6"
}
}
RAPT 対策としてキーファイルを発行した場合
もし上で紹介した RAPT 対策としてキーファイルを発行した場合 は、以下のように指定してください。
macOS / Linux:
{
"env": {
"CLAUDE_CODE_USE_VERTEX": 1,
"CLOUD_ML_REGION": "global",
"ANTHROPIC_VERTEX_PROJECT_ID": "YOUR_PROJECT_ID",
"ANTHROPIC_MODEL": "claude-opus-4-6",
"GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS": "/Users/YOUR_USERNAME/.claude/claude-code-sa-key.json"
}
}
Windows:
{
"env": {
"CLAUDE_CODE_USE_VERTEX": 1,
"CLOUD_ML_REGION": "global",
"ANTHROPIC_VERTEX_PROJECT_ID": "YOUR_PROJECT_ID",
"ANTHROPIC_MODEL": "claude-opus-4-6",
"GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS": "C:\\Users\\YOUR_USERNAME\\.claude\\claude-code-sa-key.json"
}
}
Windows の場合はパスの \ を \\ にエスケープすることを忘れずに。
パラメータ一覧
| パラメータ | 値 | 説明 |
|---|---|---|
CLAUDE_CODE_USE_VERTEX |
1 |
Vertex AI バックエンドを有効化 |
CLOUD_ML_REGION |
global |
グローバルエンドポイント(自動ルーティング) |
ANTHROPIC_VERTEX_PROJECT_ID |
プロジェクト ID | GCP プロジェクト |
ANTHROPIC_MODEL |
claude-opus-4-6 |
使用するモデル (Opus 4.6) |
GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS |
キーのパス | SA 認証時のみ必要 |
モデルの使い分けでコストを最適化する
Claude Code では、タスクの種類に応じて使用するモデルを環境変数で指定できます。
{
"env": {
"ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL": "claude-opus-4-6",
"ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL": "claude-sonnet-4-5",
"ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL": "claude-haiku-4-5"
}
}
| 環境変数 | 用途 |
|---|---|
ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL |
複雑な推論・Plan Mode |
ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL |
通常のコーディングタスク |
ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL |
軽量タスク・バックグラウンド処理 |
なお、ANTHROPIC_SMALL_FAST_MODEL は非推奨となっています。ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL を使用してください。
リージョンについて(global vs 指定リージョン)
基本的には global を推奨します。これを指定すると、Google Cloud 側で自動的に利用可能なリージョン(us-east5 や europe-west1 など)へルーティングされます。
もし「データレジデンシー要件でアジアリージョン(asia-east1)のみを使いたい」といった場合は、以下の両方を合わせる必要があります:
- Model Garden でモデルを有効化する際にリージョンを指定
- ここで
CLOUD_ML_REGIONにそのリージョン名(例:asia-northeast1)を記述
ステップ 5:動作確認
ターミナルもしくは Desktop App で動作確認します。
claude
Claude Code が起動したら、質問してみます。
> which model are you?
I'm Claude Opus 4.6 (model ID: claude-opus-4-6), made by Anthropic.

これが表示されれば、Vertex AI 経由で Claude Opus 4.6 が正常に動作しています。
Google Antigravity でも Claude が使える
Google が提供する Google Antigravity は、Code OSS ベースのエージェント型 IDE です。Claude との関わり方が 2 通りあります。
1. ビルトインエージェントとして Claude を選択
Antigravity のエージェント機能は Vertex AI Model Garden と連携しており、モデルセレクタから Claude を選ぶだけで利用できます。
現在選択可能なモデル:
- Gemini 3 Pro / Gemini 3 Flash
- Claude Sonnet 4.5 / Claude Opus 4.5(thinking)
- GPT-OSS
2. Antigravity 内で "Claude Code" を使う(ハイブリッド活用)
ここが重要なポイントですが、Antigravity は Code OSS ベースであるため、ターミナルで claude-code CLI をそのまま動かせます。

これにより、以下のようなハイブリッドな使い分けが可能になります:
- Antigravity Agents: エディタと深く統合された機能(リファクタリング、設計、実装計画、テスト生成、コード補完)は IDE ネイティブのエージェントに任せる。
- Claude Code CLI: 大規模なファイル操作や、GCP リソースへのコマンド操作など、CLI ならではの「自律的な暴れ回り」が必要なタスクに使う。
Vertex AI の認証情報を使って、適材適所で AI を使い分けることができるのが、Antigravity × Claude Code の隠れた魅力です。
| 観点 | Claude Code(CLI) | Antigravity ビルトインエージェント |
|---|---|---|
| インターフェース | ターミナル(対話型 CLI) | GUI(エディタ・チャット統合) |
| 得意領域 | 広範囲なファイル操作、コマンド実行 | コード理解、実装計画、コンテキスト認識、ブラウザ操作 |
| 並行作業 | 裏で走らせておくことが可能 | 並列で複数のエージェントを走らせることが可能 |
| 価格 | Vertex AI 従量課金 | 幅広いプランあり |
詳しくは Antigravity 公式サイト と ドキュメント を参照してください。
トラブルシューティング
invalid_rapt エラー
原因: Google Workspace の RAPT ポリシーによるトークン失効。
解決策: サービスアカウント認証(パターン B)に切り替える。
PERMISSION_DENIED エラー
解決策: サービスアカウントに roles/aiplatform.user が付与されているか確認する。
gcloud projects get-iam-policy YOUR_PROJECT_ID \
--flatten="bindings[].members" \
--filter="bindings.members:claude-code-sa@"
モデルが見つからない
解決策: Model Garden で Claude Opus 4.6 が有効化されているか確認。CLOUD_ML_REGION の値も確認する。
Windows でパスが認識されない
JSON 内のバックスラッシュは \\ でエスケープが必要です。
"C:\\Users\\username\\.claude\\key.json"
料金
Vertex AI 経由の Claude の料金は、Anthropic 直接利用時とほぼ同等です。
Anthropic の最新モデルと、Google の Gemini 3 シリーズの料金比較です(2026年2月現在)。
Claude Opus 4.6 は性能向上とともに大幅な価格改定が行われ、非常に使いやすくなっています。
また、Gemini 3 Flash の圧倒的なコストパフォーマンス(特に長文コンテキスト)も注目です。
| モデル | コンテキスト長 | 入力 ($/1M) | 出力 ($/1M) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| Claude Opus 4.6 | 標準 (<200K) | $5.00 | $25.00 | 高性能 |
| 長文 (≧200K) | $10.00 | $37.50 | ||
| Claude Sonnet 4.5 | 標準 | $3.00 | $15.00 | バランス型 |
| 長文 | $6.00 | $22.50 | ||
| Gemini 3 Pro | 標準 | $2.00 | $12.00 | 高性能 |
| 長文 | $4.00 | $18.00 | ||
| Gemini 3 Flash | 全サイズ共通 | $0.50 | $3.00 | 超高速・最安 |
最新の料金は Vertex AI の料金ページ をご確認ください。
なお、大規模な本番運用などで安定したスループットが必要な場合は、Provisioned Throughput(帯域保証)を利用するオプションもあります。
まとめ
- Claude Opus 4.6 は Vertex AI 経由で GCP 内から利用可能
- サービスアカウント認証で毎日の
gcloud auth loginが不要になる - Google Antigravity と Claude Code のハイブリッド運用が可能
- GCP ユーザーなら課金一本化・IAM 管理・マルチモデル利用など多くのメリットがある
Discussion
ありがとうございます。
支払いは Google Cloud に一本化したいですが、個人の Google Cloud から利用できないですね...
認証などは問題なかったですが、claude opus 4.6 を使ってみると、「429 quota error」でした。
Google Cloud Support に確認したところ、
との回答でした...
429 [{"error":{"code":429,"message":"Resource has been exhausted (e.g. check
quota).","status":"RESOURCE_EXHAUSTED"}}]