CA APIを利用して「データエージェントとしてのBigQuery」を皆に使ってもらおう
いい感じのクエリを書いて分析するエージェント(本記事では「データエージェント」と呼びます)が欲しい、という万人のニーズを万人に対して満たすかもしれないBigQuery会話型分析がPublic Previewとなりました。本記事は、質の高いデータエージェントを手軽に作って多くの社内ユーザーに展開するために、Google Cloudが用意している仕組みについて説明します。ポイントは以下3点です。
- データエージェントを様々なエンドユーザー接点で使い回すための、UnifiedなAPIが裏側にある
- データエージェント作成は「データソースとビジネスコンテキスト」だけ指定すればOK
- BigQueryは「エージェントのためのデータ基盤」ではなく「エージェントとしてのデータ基盤」
エグゼクティブサマリーな図

データエージェントを様々なエンドユーザー接点で使い回すための、UnifiedなAPI
要約
- Web Console上の会話型分析機能の裏側ではConversatinal Analytics API(CA API)が動いています
- CA APIはLookerをデータソースとするデータエージェントを呼び出す際にも利用するAPIです
- CA APIはAPIなので、データエージェントとはWebアプリ等をインタフェースにしても会話できます
- ADKやMCPの会話型分析を呼び出す機能も、内部的にはCA APIを呼び出しています
CA APIのエンドポイントはgeminidataanalytics.googleapis.com下にあります。すなわちCA APIはData Analytics API with Geminiのサブセットという位置づけのようです。いきなりややこしいですが、ドキュメントを読んで混乱する可能性があるので記載しておきます。
APIをラップしたPythonクライアントライブラリも利用することができます
BigQuery会話型分析も内部的にはこのCA APIを利用しています。そのため、BigQueryのWebコンソール上で作成したデータエージェントとAPI経由で会話することも可能です。データエージェントの作成や削除もAPI経由で可能です。こちらのサンプルコードを実行するとBigQuery上で作成したデータエージェントとStreamlitアプリ内でチャットできます。Lookerをデータソースとしたデータエージェント(Lookerの会話分析機能)とチャットすることも可能です。
BigQueryの会話型分析を外部のエージェントが利用する方法として、MCP Tooblbox for Databaseのbigquery-conversational-analyticsツールやBigQuery tool for ADKのask_data_insightsツールもあります。この2つも、内部的にはCA APIを呼び出しています。ただし、現時点ではMCPやADKのCA APIに対するコンテキストの渡し方は「インラインコンテキスト」のみとなっています。インラインコンテキストについては次項で説明します。
BQ会話型分析を利用する方法は色々あるように見えますが、結局、全部裏側にConversational Analytics APIがある、という点が重要です。
データエージェント作成は「データソースとビジネスコンテキスト」だけ指定すればOK
BQ会話型分析を使うとわかりますが、データエージェント作成に必要な情報はデータソース(テーブルの集合)とビジネスコンテキスト(手順、検証済みクエリ、用語集)のみです。手順というのはエージェントに対する指示を記載したテキストのことです。用語集はDataplexに登録されていれば連携されます。また、検証済みクエリは候補が自動生成されるので、その中身を確認・修正した上で採用してください。テクニカルコンテキスト(カラム説明を含むテーブルスキーマ、データリネージュ、データ統計情報等)はデータソースに応じて自動で参照されると思われます。
大切なポイントは、Google Cloud側で自動生成できるコンテキストは自前で用意する必要は無く、ドメイン知識に依存するコンテキストのみを登録する必要がある、という点です。
CA APIを通じてデータとチャットする際に、リクエスト本文でビジネスコンテキストの種類を指定・渡すことができます(ref.Method: projects.locations.chat)。以下のような指定方法があります。
- 会話IDの指定
- 以前の会話で指定、利用したビジネスコンテキストを使うよう指示します
- データエージェントの指定
- 構築済みのデータエージェントに登録してあるビジネスコンテキストを使うよう指示します
- インラインコンテキスト
- ビジネスコンテキストをAPIリクエスト本文にすべて記述して渡します
ここで前項の話に戻りますが、MCPやADKは2026/02/14現在ではインラインコンテキストしか対応していないので、会話IDやデータエージェントとしてビジネスコンテキストを指定するには、Python SDKないし素のAPIを利用する必要があります。
CA APIとしては、データエージェントを一度構築することで、ビジネスコンテキスト(データソースも)を都度指定しなくとも良い設計になっていることが分かります。
BigQueryは「エージェントのためのデータ基盤」でなく「エージェントとしてのデータ基盤」
Agent Redayなデータ基盤という単語を耳にする昨今ですが、具体的に何が既存のデータ基盤と違うのでしょうか。幾つかの違いがあると思いますが、1つは「エージェントとしてのデータ基盤」という側面ではないでしょうか(私見です)。データエージェントを直接エンドユーザーに提供し、またマルチエージェントシステムの一部として他エージェントからも呼び出せるようにすることで、BigQueryはとても素直な意味でAgent Readyなデータ基盤になっています。
BigQueryデータエージェントの超ざっくりとしたアーキテクチャ図が公開されていますので参考のために添付します。NL2SQL(Natural Language to SQL)、 NL2PY(Python)、Anomalies、Chart、Forecastといったコンポーネントがありますね。

精度の高いデータエージェントを実現するために、GoogleCloudではCA APIだけでなく、Dataplexによるテクニカルメタデータの自動生成や、AI.FORECAST()など独自SQL関数の開発・NL2SQL機能への取り込みといった、キーになる要素技術の開発を精力的に行っています。
データとやりとりするエージェントを自前で実装することも勿論可能ですが、上記アーキテクチャ図から推測できるように精度の高いエージェントを実現する労力は大きく、特別な理由がなければ今後はBigQueryおよびLookerの会話型分析データエージェントの利用をまず検討して頂くのが良いと考えます。BigQueryデータエージェントとLookerデータエージェントは、以下のような使い分けが良さそうです。
- BigQueryデータエージェント(会話型分析)
- 現場のAdhoc分析からスタートし、ボトムアップで展開していくエージェント
- Lookerデータエージェント(会話型分析)
- ガバナンスを効かせた組織展開を実現するために、トップダウンで展開していくエージェント
まとめ:CA APIを利用して「データエージェントとしてのBigQuery」を皆に使ってもらおう
BQ会話型分析のリリースによって、様々なfeature/serviceを使いこなし、内部テクニカルメタデータにアクセスできるデータエージェントを簡単に構築できるようになりました。そして、CA APIを利用することで構築したデータエージェントを多くの社員に向けて展開することが可能になります。
会話型分析機能は2026/01/29にPublic Previewとして出たばかりでMCPやADKの完全対応もまだですが、今後はその辺りも充実していくでしょう(充実していって欲しい)。まずはBigQueryのWebコンソールでエージェントを構築し、その回答精度に問題が無ければ、周辺技術の充実に合わせて様々な社内システム・マルチエージェントシステムにデプロイして行くロードマップを歩んでみてはいかがでしょうか。
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