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40代エンジニアが振り返る変化と、今思うこと

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はじめに

IT業界で働き始めて約20年、40代のエンジニアです。

働き始めて約20年という時間の中で開発環境も使う技術も働き方も大きく変わりました。
40代になり人を導く立場になることが増えてきました。
同時にAIの急速な進化を目の当たりにして、漠然とした不安も抱えています。

チームメンバーから質問があったのと個人的な節目を迎えたこと
また機会をいただいたため改めて振り返ってみたくなりました。

この記事は私が関わった中でIT業界がどう変わったか
そしてミドル層エンジニアとしてAI時代をどう捉えているかを書いたものです。

※本記事は私個人の経験と調査に基づいています。環境や時期によって異なる部分があるかもしれませんが、ご了承ください。


約20年で変わったこと

メンバーから「昔の開発ってどんな感じだったんですか?」と聞かれたので、私の環境でのBefore/Afterを比較してみます。

項目 2007年(入社時) 2024年(現在)
PC Windowsデスクトップ、メモリ4GB、HDD Mac、メモリ24GB以上、SSD
バージョン管理 CVS Git / GitHub
IDE Eclipse IntelliJ、VSCode
インフラ オンプレのみ。サーバー調達、OS・DB構築も自前 AWS、Docker、k8s
デプロイ サーバーにビルドして反映。問題があれば本番のファイルを直接修正する事もあった CI/CDで自動化
コミュニケーション メール、客先訪問 Slack、Zoom(基本オンライン)
ドキュメント Word、Excel、印刷して提出 Notion、Googleスプレッドシート
タスク管理 Excel、Redmine Notion、Jira
開発手法 ウォーターフォール、カンバン スクラム
働き方 出社のみ、スーツ リモートワーク併用、私服
困ったとき 先輩に聞く、本を読む AIに相談できる

全体的に「便利で快適になっている」という印象です。
一方でコミュニケーションは楽だが直接の方が理解や伝えたい事は伝わりやすいとも感じています。

技術の変遷と社会の動き

時期 出来事
2008年 iPhone 3Gが日本発売。当時は「新しいもの好きが買うもの」という認識
2008年 リーマン・ショック。業界にも影響
2010年代前半 スマホが爆発的に普及。「次の舞台はスマホ」と思えるくらい環境が変わった
2010年代後半 オンプレからクラウドへの移行が本格化
2020年 コロナ禍でリモートワークが一気に普及
2023年〜 生成AIの台頭

スマホを傾けるとビールを飲んでいるように見え、夢と遊び心のアプリ「iBeer」も2010年頃だったと記憶しています。


個人の変化

役割の変化

入社時はプログラマーでした。

現在はチームリーダー、スクラムマスター、プログラマー、営業やディレクターとの調整役やお客様と直接話したりと複数の役割を担っています。

「いつからマネジメントを意識したんですか?」と聞かれることがありますが、正直なところ狙ってそうなったわけではありません。

目の前の人や課題に対して「何が大事か」を考え、調整を続けていたらいつの間にか今の立場になっていました。
キャリアは狙って作るものだけではなく、積み重ねの結果として形になることもあるのだと思います。

多数のサービスクローズという経験

担当していたサービスが社会の流れとともにクローズになることも経験しました。

今と違ってサービスを1つ立ち上げるにはサーバーの調達から始まり、相当な時間と労力がかかりました。
事業判断でクローズが決まったとき、ユーザーからは良い反応をいただいていただけに複雑な気持ちでした。もっと何か出来たのでは?と。

作業がなくなってタスクは減るのですが、ぽっかりと穴が空いたような感覚になります。
とはいえ、実際には他の作業で忙殺されるのですが。。。


ミドル層エンジニアの現状

レバテックの「IT人材白書2024」によると、IT人材の年齢構成は以下の通りです。※1

年代 割合
20代 24.1%
30代 27.7%
40代 23.9%
50代 24.3%

40代以上が約半数を占めています。ミドル層は決して少数派ではありません。

一方で、レバテックの調査では40代以上のIT人材の約4割がキャリアに不安を感じているという結果も出ています。※2
これだけ変化が激しい業界で将来への漠然とした不安を抱えるのは自然なことかもしれません。


AI時代に思うこと

恩恵は確実にある

生成AIの登場で私の開発の現場は確実に変わりました。

以前なら3日かかっていた作業が数時間で終わることもあります。
仕様を完全に把握していないコードの要約、壁打ち相手としての活用など恩恵は大きいです。

個人的に一番革新的だと感じているのは「好きなタイミングで相談できる」ことです。

昔は分からないことがあっても人の時間やタイミングを伺う必要がありました。(新卒時は恐怖でもありました)
何度も聞くのは憚られるし、まとめて質問するにも準備が必要でした。
別チームの人に聞くときはミーティングを組む必要もありました。

それが今は思いついたときにすぐ相談できる。
これは地味ですが大きな変化だと感じています。

同年代が感じている不安

一方で不安がないかと言えば嘘になります。これは私だけではないようです。

前述の通り40代以上のIT人材の約4割がキャリアに不安を感じています。※3
さらにITmediaの記事によると「AIがないとキャリアが成り立たない」と感じている40代は33.5%で、全年代で最も高い割合です。※3

同記事では不安の声としてこんなものが紹介されています

  • 「自分の業務の8割はAIで代替できる」(40代・プロジェクトマネージャー)
  • 「これまでの経験があまり重要視されなくなる」(50代・インフラエンジニア)

開発スピードは確実に上がる。では、エンジニアとしての価値はどこに残るのか。

同年代はどう進もうとしているか

一方、ラクスパートナーズの調査では不安を感じていない人の声も紹介されています:※4

  • 「最終判断は人間にしかできない」
  • 「AIを使いこなす力を強みに変えたい」

特にマネジメント層では「人間にしかできない判断・関係構築」への確信が、不安を和らげる要因になっているようです。※4

また、ログミーの記事でひろゆき氏はこう言っています:※5

「仕組み丸ごと理解し、コストと納期のバランスを見極める力こそが、AI時代のエンジニアの価値」

AIにコードを書かせることはできても、「何を作るべきか」「どこまで作るか」「誰とどう進めるか」を決めるのは人間です。
技術だけでなくコミュニケーションや調整のスキルはこれからも必要とされると考えています。

ただし、動かなければ置いていかれる

AIができることや可能性を理解しようとしなければ、淘汰される側になると思います。

日経BPの調査によると日本人の約44%が「AIは脅威ではない」と考えているそうです。※6
先進国の中では異例の楽観傾向とのこと。
海外ではAIを脅威と捉えて積極的に対応が進む中、日本だけが取り残されないか危機感を持って対応する必要があると思います。

もちろん依存しすぎるのも問題です。
AIが出力した情報の真偽を判断する力は必要ですし、最終的な責任は人間が持つべきです。

地方の古いシステムなど、しばらくは「聖域」として残る領域もあるかもしれません。
しかし、担当者が代替わりしたタイミングで一気にリプレイスされる可能性もあります。

その時では遅く、今が動くタイミングだと感じています。


おわりに

約20年という時間の中で私の開発環境、技術も働き方も大きく変わりました。

変わらなかったのは「目の前の課題に対して、何が大事かを考える」というスタンスくらいかもしれません。

技術力については、正直なところ尖った方ではありません。並程度だと思っています。
それでも約20年続けてこられたのは技術以外の部分——信用の積み重ねや、人と関わる役割としての動き——が少しは評価されたのかもしれません。

AI時代、不安を感じているミドル層は多いと思います。私もその一人です。

ただ、不安を感じているのは自分だけではないこと
そして今が何かを始めるには良いタイミングであること。この2つを書きたいと思いました。


※この記事はClaude CodeとGeminiに壁打ちしながら作成し、アイキャッチ画像はNano Banana Proで生成しました。


参考

GMOメディアテックブログ

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