GENIEE TechBlog
💭

顧客データの価値最大化をAIで加速する

に公開

MA/CDP/SEARCH開発部 部長 兼 CDPプロダクトマネジャー 胡 恩召 インタビュー

生成AIの登場によって、開発の現場は確実に変わり始めている。だが胡は、それを単なる効率化の話では終わらせない。コードを書く時間が短縮されることは、本質ではない。
重要なのは、その先で何を創るのか。そして、その創造速度をどこまで引き上げられるかである。

目指しているのは、エンジニアをコーディングから解放し、創造へ解き放つ組織。そして、企業の中で眠っている膨大なデータを、AIによって武器へ変えるプラットフォーム。

今回は、MA/CDP/SEARCH 開発部 部長兼 CDPプロダクトマネジャーである胡 恩召に、技術戦略、組織設計、そしてAI時代に求められるエンジニア像について聞きました。

データを価値に変える。その一点にキャリアを賭けてきた

——まずは自己紹介からお願いします。

胡:Marketing SaaS領域のMA・CDP・SEARCH開発の部長兼CDPプロダクトマネジャーをしています。開発組織を率いながら、CDPのプロダクト戦略と技術意思決定を担っています。

2011年に大学院を卒業して日本で就職し、自社Webサービス開発やデータアナリスト、レコメンド機能の新規開発を担当しました。2017年には機械学習を用いてCTRやCVR予測など広告主向けDSP事業の配信最適化に従事しています。

2020年には動画DSPスタートアップでVPoEとして開発組織を立ち上げ、採用、技術選定、プロダクト戦略まで一気通貫で担当しました。

2021年にジーニーへジョインしてからは、CHAT事業部、SEARCH事業部でRECOMMENDソリューションを立ち上げ、その後AI/DX統括本部でCDPの新規プロダクト立ち上げをリードしています。

振り返ると、ずっと問いは同じです。

どうやってデータを事業価値に変えるか。

アルゴリズムも変わり、技術も進化しましたが、その軸だけは一貫していると思います。

柔軟で、低コストで、高パフォーマンス。そのすべてを同時に成立させる

——現在の技術戦略について教えてください。

胡:技術戦略としては大きく二つあります。

一つは、柔軟性を保ちながら、低コストかつ高パフォーマンスなシステムを作ること。
もう一つは、AI時代に対応したデータ利活用プラットフォームを構築することです。

CDPは性質上、大量のデータを扱います。スケーラビリティ、コスト効率、そしてリアルタイム性を同時に満たさなければなりません。どれか一つでも欠けると、エンタープライズ向けの基盤としては成立しません。

さらに現在はAIが前提になります。推論処理を組み込んだ瞬間に、システム全体の負荷構造が大きく変わります。従来のデータ基盤設計の延長線では、もはや対応できません。

特に注力しているのが、AI×CDPの融合です。

AIの力で、お客様が保有するデータの価値を最大化する。

従来のCDPは、データを統合し可視化するところまでが中心でした。しかし、それだけでは差別化は難しい。企業の中には、まだ活用されていないデータが数多く眠っています。
構造化データ、例えば購買履歴や行動ログ。そこに問い合わせログやSNSといった非構造化データを掛け合わせる。

これらを横断的に解析し、AIによって新たなインサイトを抽出する。しかも、それをリアルタイムで顧客体験に還元する。

これらを言葉にするとシンプルですが、実装の難易度は非常に高いです。だからこそ、そこに技術的な競争力があると考えています。

止まらないことが前提の世界

——技術がどのようにビジネス目標を支えているか教えてください。

胡:ビジネスを支えているのは、まずパフォーマンスです。低コストかつ高パフォーマンスなデータ連携・ETL基盤がなければ、CDPは成立しません。データ量が増え続ける中で、処理性能とコスト効率を両立させることは、プロダクト競争力そのものに直結します。

そして、もう一つがシステムの安定性です。

エンタープライズ向けSaaSにおいて、高稼働率は前提条件です。止まらないことは「強み」ではなく、「最低条件」です。止まらないこと。それが信頼につながります。

——技術を活用した成功事例やプロジェクトを教えてください。

胡:リアルタイム連携用のLogAPIがあります。
ほぼ遅延ゼロで、秒間1000リクエストに耐えるAPIを開発しました。お客様が導入してから1年間、一度もトラブルは発生していません。

その裏では、分散設計、キュー制御、バックプレッシャー対応、可観測性の設計まで徹底的に作り込んでいます。
正直に言えば、「動けばいい」という世界ではありません。

止まらないことが当たり前。その水準を継続的に維持し続けることこそが、技術の責任だと考えています。

クロス部門連携と組織設計のリアル

——組織体制のビジョンとそれに伴う課題を教えてください。

胡:現在はフロントエンド、バックエンド、TechCSという体制で開発を進めています。
ただ、CDPは性質上、非常に横断的なプロダクトです。データ連携、分析基盤、顧客体験、運用支援まで
関わるため、どうしても部門をまたいだ連携が増えます。その結果、クロス部門でのコミュニケーションコストが高くなっていることが、今の課題です。

単に会話が増えるという話ではなく、責任範囲や意思決定の所在が曖昧になるリスクもあります。組織構造がそのまま開発スピードや品質に影響してしまう。

そのため現在は、より横断的な視点で最適化を行うための横断部門の設置も検討しています。スタートアップ時代に組織を立ち上げた経験がありますが、そのときに学んだのは、構造の歪みは放置すると必ず大きなボトルネックになるということです。

技術課題は設計で解けることが多いですが、組織課題は人や責任範囲、文化にも関わるため、むしろ難しいと感じることもあります。だからこそ、早い段階で構造を整え続けることが重要だと考えています。

AIと共に進化する、開発組織の未来図

——技術・組織成長を通じて達成したい未来のビジョンを教えてください。

胡:私たちは、AIと共に進化する開発組織を目指しています。

技術ビジョン:AI Native Dev Cycle

——エンジニアを、コーディングから解放し、創造へ解き放つ

私たちが目指すのは、開発プロセスの全域にAIが浸透したAI Nativeな開発スタイルです。数年後、私たちはコードを書く時間よりも、何を創るかを定義する時間に圧倒的なリソースを割いているでしょう。

企画からテストまで、AIがバディになります。企画・要件定義では、曖昧なアイデアをAIと対話しながら仕様へ落とし込み、エッジケースやリスクを瞬時に洗い出す。

設計・実装では、アーキテクチャ提案やボイラープレート生成、リファクタリングまでAIが支援し、人間はCore Logicの意思決定に集中する。

QAでは、生成コードに対してAIがテストケースを網羅的に生成・実行し、品質保証の自動化レベルを極限まで高める。

このサイクルを確立することで、エンジニアは作業者ではなく、AIという強力なチームを率いるプロダクトの指揮官へと進化します。

組織ビジョン:Hyper-Productive Organization

——10倍、20倍の生産性で、市場を塗り替える速度を

私たちが目指しているのは、10〜20%の改善ではありません。
10倍〜20倍の生産性向上です。

100人のエンジニアで100の成果を出す組織ではなく、10人の精鋭とAIで2000の成果を生み出す組織を構想しています。

AIによる能力の拡張によって、ジュニアエンジニアでもシニアレベルの設計が可能になる環境を構築する。これにより、個人の成長速度も従来の数倍に加速します。

圧倒的な生産性は、トライ&エラーの回数を飛躍的に増やします。市場のフィードバックを即座にプロダクトへ反映できるようになる。競合が1年かける進化を1ヶ月で成し遂げる。

そのスピードを持つ組織こそが、AI時代を制すると確信しています。

エンジニアに求めるのは「技術的経営」

——これから入社される技術者に対して期待する役割やメッセージを教えてください。

胡:コードを書く以上の視点を持ってほしいです。データ量は指数関数的に増えます。
AI処理は重い。コストも無限ではない。この三つをどう両立させるか。分散システム設計、技術選定、ロードマップ策定。それらを一体で考える視点こそが、私の考える技術的経営です。

さらに、AIのベストプラクティスは半年単位で変わります。今正しいことが、半年後には古くなる。だからこそ、技術トレンドを見極め、それをプロダクトと組織に落とし込む羅針盤の役割を担ってほしい。そして、保守性、可観測性、Developer Experienceを高い水準で維持し、組織全体の基準を引き上げてほしいのです。

私たちは、正解のない問いに向き合い続けています。このデータ量で、このAI処理を、この速度で返すにはどうするか。検索しても答えは出てきません。

だからこそ、自ら仮説を立て、検証し、設計し直す。そのプロセスを楽しめる人と、一緒に未来を作りたいと思っています。

最後に

AI時代は、エンジニアの価値を下げる時代ではありません。むしろ、設計できる人間の価値がより明確に問われる時代だと考えています。

データ量は増え続け、AI技術は加速度的に進化し、市場の変化も速い。その中で、何を選び、何を設計し、どのように組織へ落とし込むか。そこにこそ、エンジニアとしての本質的な役割があります。
私たちは、データを武器へと変える基盤を本気で構築しようとしています。その過程は決して簡単ではありませんが、技術で市場を前進させる実感を得られる環境であることは間違いありません。

正解のない問いに向き合い続けられる方とともに、この領域を前に進めていきたいと考えています。


ジーニーでは、共に未来を設計する仲間を募集しています。
少しでも関心を持っていただけたら、ぜひお気軽にご連絡ください。

GENIEE TechBlog
GENIEE TechBlog

Discussion