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日本不動産学会2025参加報告

に公開

株式会社 GA technologies の三田です。

先日 11 月 15 日 ~16 日 に日本不動産学会の 2025 年度秋季全国大会が開催されました。
日本不動産学会は不動産を対象とした広範な領域の学際的な研究の報告が行われる学会になります。

会場は東京都市大学の世田谷キャンパスで、綺麗でオシャレな場所でした。

弊社からは 4 名が参加し、うち 1 名は発表も行いました。

本記事では弊社の発表の概要や、参加者からの所感などをご紹介いたします。会場の雰囲気などが多少でも伝われば幸いです。

弊社の発表

弊社からは「項目反応理論を用いたマンション共用部のスコアリング」という研究が審査付き論文の枠で採択されたため、そちらの発表をいたしました。

この研究はマンションの設備等の充実度を定量的に評価(スコアリング)する際に、実務上の運用も考慮して望ましい性質を満たすスコアリングの手法として項目反応理論を応用するアプローチを提案したものになります。

https://www.ga-tech.co.jp/news/tfbrl729sgrlyn/

研究内容をざっくりまとめると次のようになります:

背景:マンションの設備や構造・仕様の充実度合いは賃料への影響があることが知られ、賃料査定業務において重要な参考材料となっている。一部の熟練した査定担当者はマンション名やマンションシリーズ名から設備等の充実度合いやそこから想起されるマンションの造りの良さである「グレード感」が把握できており迅速に査定が行えるが、経験の浅い査定担当者には難しい。
目的:熟練した査定担当者による「グレード感」の評価をデータから再現する
方法:項目反応理論における 2PL モデルを用い、共用部の特徴からスコアを推定
結果:推定したスコアは査定担当者がアンケートで回答したグレード感と高い相関を持つことが確認された

モデルが出力する推定結果のイメージとしては、例えば「宅配ボックス」や「オートロック」など標準的な設備があり、「複層ガラス」「内廊下」などのやや珍しい設備・仕様はついていないようなマンションについては 100 点満点中 50 点程度の「平均的なマンション」と評価される、といった具合です。

参加したメンバーのコメント

学会に参加したメンバー(三田嶺井福中橋本)からの感想・コメントをご紹介します!

三田

まず、発表が無事に終わってよかったです!日本不動産学会は非常に学際的な学会であり、法学や都市政策、不動産経済学などバックグラウンドが様々な方が参加されるため、例えば実証分析に関する用語の説明などをどれくらい丁寧に行うべきか迷いながら発表資料を作成しておりました。最終的に内容をわかりやすさ重視の発表にした結果、懇親会などでも色々な方にご感想をいただけたりして、発表内容がちゃんと伝わっていたので安心しました。

また学会的にテーマは不動産関連のみであるため、「空室日数予測」「マンション購入後に後悔する要因」など我々にとっては身近な話が多く、他の方の発表も拝聴していて大変面白かったです。また参加したいと思います。

嶺井

今回、不動産学会に初めて参加し、非常に有意義な時間を過ごすことができました。
論文発表では、三田さんをはじめ、発表者の皆さんの資料のまとめ方や説明、質疑応答への向き合い方、そして座長の方々が議論を未来へつなげようとする姿勢を間近で拝見し、自分もいつかこのような場で発表してみたいという思いが強まりました。

注目したプログラムは、「不動産・都市の DX がまちづくりに与える影響と課題」をテーマにしたワークショップです。
国・民間企業・法人・大学など、多様な立場の参加者が、地理空間情報データ(GIS)を活用したまちづくりの取り組みやその課題について活発に議論していました。
中でも興味深かったのは、「GIS をコミュニケーションツールとしてどう活用するか」という視点です。GIS を扱える側からすればデータに基づくさまざまな提案が可能ですが、住民や地域の方々が主体的に意見を出せる環境はまだ十分とは言えません。GIS は多くの人にとって"すごい技術"に留まってしまい、日常的なコミュニケーションの手段として浸透していないのが現状です。だからこそ、教育のあり方や誰もが参加しやすいプラットフォームづくりが重要だという指摘に深く共感しました。
今回の学びを通じて、私自身も「ツールをただ活用すること」が目的ではなく、「ツールを通して関係者全員が意見を出し合い、共に課題に向き合える環境をつくること」が大切だと改めて感じました。
この視点を今後の業務にも活かしていきたいと思います。

福中

この度、不動産学会第 41 回秋季全国大会(学術講演会)に初めて参加いたしました。参加前は、自身の専門である統計データ解析分野への直接的な知見は限定的で、法制度や政策研究が中心になると予想していましたが、良い意味で予想を裏切る、多角的な視点と高い満足度が得られる学会参加となりました。

発表内容は、社会課題の解決に焦点を当てた実証研究が多く、データ解析の専門家としての関心を強く惹かれました。特に、特定のテーマ以上に私の関心を引いたのは、学会独自の査読付き論文と一般論文の選別プロセスです。
本学会では、大会発表に先立って論文の受付が行われ、査読に通過しなかった論文は一般論文として発表されます。発表当日には、査読に落ちた理由が丁寧なコメント付きでフィードバックされるという運営がなされており、研究者に対する極めて誠実な姿勢が伺えました。

それらのフィードバックを詳細に聞く中で、一般論文に共通して見られる、研究テーマ選定上の重要な課題が見えてきました。それは、「研究としては興味深いが、社会実装への道筋が見えにくい」という点です。
具体的には、「重要な事実は研究から明らかになった。しかし、その結果は外部からの政策的・市場的な介入を通じて改善することが困難である」という構造を持つ研究が、査読を通過できなかったケースが多いように感じました。
この分析から導かれる教訓は、不動産学会においても、純粋な学術研究のみならず、「社会をより良くするための明確なメッセージ」、すなわち政策提言や実務応用の可能性を包含した社会実装型の研究が強く求められているということです。

今回の大会で得られた「研究は、事実を明らかにするだけでなく、その先に外部介入による改善の余地と、具体的な道筋を示すべきである」という教訓は、今後の私の統計データ解析を主軸とした不動産研究におけるテーマ選定やアウトプットの設計において、極めて重要な指針になったと思います。
今後は、データサイエンスの力を活用し、単なる現象分析に留まらず、不動産市場や社会構造の具体的な改善につながるインパクトの大きな研究を推進していきたいと思いました。

橋本

今回は明海大学不動産学部の小松先生の発表に惹かれました。
https://www.jares.or.jp/events/2025papers/A-1-3_komatsu.pdf

よくある購入の決め手でなく購入後の後悔最小化観点での物件選びについて、制御焦点理論※にもとづく後悔とその要因解明が新鮮に感じました。
(※「促進焦点(ポジティブな成果の獲得)」と「予防焦点(ネガティブな状況の回避)を扱う)

一番印象に残ったのは「 (決め手でないが)買ってから後悔」についてで
短期:住民マナー、エレベータの待ち時間
長期:長期修繕計画や修繕費の妥当性
とのことで、とても納得感がありました。

我々も同じ業界の一員として、"長期修繕計画や修繕費の妥当性"をどのように示していくべきか、引き続き考えなければと改めて思いました。

おわりに

株式会社 GA technologies は今回ご紹介したような技術も活用しつつ、アナログな業界をテクノロジーで前進させていく会社です。

Zenn だけでなく note も書いておりますので、GA テクノロジーズグループ公式 noteAISC(研究開発組織)の note もぜひご覧ください!

https://note.ga-tech.co.jp/

https://note.ga-tech.co.jp/m/m56c4309d8dc6

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