Claude Managed Agents入門【概要と使い方】
はじめまして、ますみです!
株式会社Galirage(ガリレージ)というAIスタートアップで、代表をしております^^
その他にも、「AIとコミュニケーションする技術(インプレス出版)」という書籍を執筆させていただいたり、生成AIアカデミーというYouTubeチャンネルを運営したり、上智大学で非常勤講師をしたりしています!
AIエージェントをクラウドで動かす時代へ
2026年4月、Anthropicが新機能 「Claude Managed Agents」 を発表しました。
これは、クラウド上でAIエージェントを構築・運用するためのAPIスイートです。
サンドボックス環境でコード実行やWeb検索、MCP(Model Context Protocol)連携が可能になります。
本記事では、Claude Managed Agentsの概要を解説した上で、実際にハンズオンで触ってみます。
具体的には、「Notionのドキュメントを検索して、Slackに回答を投稿するAIエージェント」 を構築します。
Claude Managed Agentsとは
Claude Managed Agents は、Anthropicが提供するクラウドホスト型のエージェント基盤です。
公式の説明を引用します。
Introducing Claude Managed Agents: a suite of composable APIs for building and deploying cloud-hosted agents at scale. It pairs an agent harness tuned for performance with production infrastructure, so you can go from prototype to launch in days.
つまり、エージェントの「頭脳(推論)」と「実行環境(サンドボックス)」がセットで提供されるサービスです。
従来のClaude APIとの違い
| 比較項目 | Claude API(Messages API) | Claude Managed Agents |
|---|---|---|
| 実行形態 | 1回のリクエスト・レスポンス | 長時間実行のセッション |
| ツール実行 | 自前で実装が必要 | サンドボックスで自動実行 |
| インフラ | 自前で構築 | Anthropicが管理 |
| MCP連携 | 自前で構築 | 組み込みでサポート |
| 用途 | カスタムな制御が必要な場合 | 長時間タスクや非同期処理 |
一言でまとめると、Claude APIが「素のモデル呼び出し」なのに対し、Managed Agentsは 「エージェントの実行基盤まるごと」 を提供するサービスです。
5つの構成要素
Claude Managed Agentsは、以下の5つの要素で構成されています。
| 構成要素 | 説明 |
|---|---|
| Agent | モデル・システムプロンプト・ツール・MCPサーバーの定義 |
| Environment | エージェントが動作するクラウドコンテナの設定 |
| Session | エージェントの実行インスタンス(イベントログを保持) |
| Vault | OAuthトークンなどの認証情報を安全に保管する仕組み |
| MCP | 外部ツール(Notion、Slackなど)との接続プロトコル |
アーキテクチャの特徴
Managed Agentsのアーキテクチャには、興味深い設計思想があります。
Anthropicの公式エンジニアリングブログによると、システムは3つの仮想化レイヤーに分離されています。
- Session(セッション): すべてのエージェント活動を記録する追記専用ログ
- Harness(ハーネス): Claudeを呼び出し、ツール実行をルーティングするステートレスなループ
- Sandbox(サンドボックス): コードやファイル操作の実行環境
この分離により、各コンポーネントが独立して障害回復できます。
たとえば、ハーネスがクラッシュしても、新しいハーネスがセッションIDからイベントログを取得して再開できます。
実際に触ってみた:Notion→Slackサポートエージェントの構築
ここからは、実際にManaged Agentsを使ってエージェントを構築していきます。
今回作るもの
今回構築するのは、以下のようなエージェントです。
- ユーザーが質問を送信する
- エージェントがNotionのドキュメントを検索する(RAG:Retrieval-Augmented Generation)
- 検索結果をもとに回答を生成する
- 指定したSlackチャンネルに回答を投稿する
では、さっそく構築していきましょう。
Step1:Claude Consoleにログイン・Quickstartにアクセス
まず、Claude Console(platform.claude.com)にログインします。
左サイドバーの 「Managed Agents」 配下にある 「Quickstart」 をクリックします。

画面右側に「Browse templates」としてテンプレート一覧が表示されます。
今回は 「Support agent」 を選択します。
これは、顧客の質問に回答し、必要に応じてエスカレーションを行うエージェントのテンプレートです。
他にも、Deep researcher・Structured extractor・Data analystなど、さまざまなテンプレートが用意されています。
Step2:Support agentテンプレートを選択
テンプレートを選択すると、YAML形式のエージェント設定が表示されます。

設定内容の主なポイントは以下の通りです。
- モデル:
claude-sonnet-4-6 - MCPサーバー:Notion(
mcp.notion.com)とSlack(mcp.slack.com) - システムプロンプト:「Notionのドキュメントを検索して回答する」「80%以上の確信がない場合はエスカレーションする」などのルール
右上の 「Use this template」 をクリックして進みます。
Step3:エージェントを作成する
テンプレートを使用すると、エージェントが自動的に作成されます。

「Agent created」のチェックマークが表示されれば成功です。
画面には POST /v1/agents のcURLコマンドも表示されており、コードでの実装方法も確認できます。
左下の 「Next: Configure environment →」 をクリックして、環境設定に進みます。
Step4:環境(Environment)を設定する
環境設定では、Claudeから対話形式で質問が表示されます。

「このエージェントのネットワークアクセスを、NotionとSlackのMCPサーバーに限定しますか?」と聞かれます。
セキュリティの観点から 「Limited(Notion + Slack MCP only)」 を選択しました。
これにより、エージェントが接続できるネットワークを最小限に絞ることができます。

環境が作成されると、「Environment is ready」というメッセージが表示されます。
「Next: Start session →」 をクリックして次に進みます。
Step5:Slackチャンネルを指定する
セッション開始前に、Claudeから2つの質問が表示されます。
1つ目:顧客への回答を投稿するSlackチャンネル

選択肢が提示されますが、フリー入力欄に任意のチャンネル名を指定できます。
今回は 「#galirage_qaサポートセンター」 と入力しました。
2つ目:内部エスカレーション用のSlackチャンネル

エージェントが80%の確信を持てない場合に、この内部チャンネルへエスカレーションされます。
「galirage_qaサポートセンター_管理者のチャンネル」 を指定しました。
Step6:Notion・SlackのMCP認証を行う
チャンネル設定が完了すると、Vault(認証情報保管庫)が自動作成されます。
続いて、NotionとSlackそれぞれのOAuth認証を行います。
Notionの認証

「Authorization required to use this MCP」という画面が表示されます。
セキュリティに関する注意書きを確認し、チェックを入れてから 「Connect」 で接続を開始しましょう。

別ウィンドウでNotionのOAuth認証画面が開きます。
接続先のワークスペースと付与される権限を確認した上で、「続行」 をクリックすれば認証完了です。
Slackの認証

Notionの認証が完了したら、続けてSlackの認証に進みます。
同様にセキュリティの注意書きを確認し、「Connect」 で接続を開始しましょう。

SlackのOAuth認証画面では、「Claude」アプリに付与される権限の一覧が表示されます。
コンテンツへのアクセスやアクションの実行権限を確認の上、「許可する」 をクリックして認証を完了させましょう。
Step7:テスト実行
NotionとSlackの両方の認証が完了すると、テスト準備が整います。

「Both credentials are in place. The agent is ready to test」というメッセージが表示されます。
「Test run」 ボタンをクリックしてテストを開始します。

セッションが作成され、Previewパネルが表示されます。
入力欄に 「Galirageのビジョンは?」 と入力し、「Send」をクリックします。
動作確認
エージェントの処理の流れ(RAG)
質問を送信すると、右側のDebugパネルにリアルタイムでイベントログが流れ始めます。

Debugパネルには、Notion-search → Notion-fetch(認証エラー)→ Notion-search(再検索)→ Notion-fetch(成功)→ Slack投稿という一連のRAG処理がリアルタイムで表示される
処理の流れは以下の通りです。
- User → 「Galirageのビジョンは?」
- Thinking → エージェントが考え始める
- Tool(Notion-search) → クエリ「Galirageのビジョン」で検索
- Tool(Notion-fetch) → 認証エラーが発生(後述)
- Tool(Notion-search) → クエリを変えて再検索「Galirage vision ミッション 理念」
- Tool(Notion-fetch) → ページ内容を取得(成功)
- Tool(Slack Search Channels) → 投稿先チャンネルを検索
- Tool(Slack Send Message) → 回答を投稿
注目すべきは、途中でNotion-fetchの認証エラーが発生しても、エージェントが 自律的に検索クエリを変えてリトライしている 点です。
このような耐障害性は、実運用において非常に心強い特徴だと感じました。
Slackチャンネルへの回答投稿
指定したSlackチャンネルに、エージェントからの回答が投稿されました。

投稿者名がBotではなく、OAuth認証に使用した自分のアカウント名義(森重 真純 / Masumi Morishige)になっている点に注目。メッセージ末尾に「使用して送信されました @Claude」と表示される
投稿内容を確認すると、Notionのドキュメントから正確にビジョンを引用し、出典ページへのリンクも付記されています。
セッションのトレース確認
Previewパネル右上の 「View session」 をクリックすると、セッションの詳細トレース画面に遷移します。

Previewパネル右上の「View session」ボタンをクリックすると、より詳細なセッショントレース画面に遷移できる
以下が、セッションの詳細トレース画面です。

Sessions画面のTranscriptでは、Notion-search(13.1s)→ Notion-fetch(エラー)→ Notion-search(再試行 14.8s)→ Slack投稿という各ステップの実行時間とトークン消費量が一覧で確認できる
Sessions画面では、以下の情報を確認できます。
- セッションID・使用エージェント・環境・処理時間・トークン数
- 各ステップの実行時間とトークン消費量
- ツール呼び出しの詳細(入力パラメータ・出力結果)
左側のTranscript(トランスクリプト)に処理ステップが時系列で表示されます。
各ステップをクリックすると、右側パネルに詳細が表示されます。
全体の処理時間は約1分50秒でした。
Notion検索→Slack投稿までの一連の流れがトレースできるのは、デバッグや運用監視に非常に役立ちます。
Ask Claudeでデバッグ分析
Sessions画面の右上にある 「Ask Claude」 ボタンをクリックすると、セッションに関する質問ができるサイドパネルが表示されます。

以下のクイック質問オプションが用意されています。
| オプション | 内容 |
|---|---|
| Identify errors | セッション中のエラー・例外を特定 |
| Analyze performance | ツール実行時間・ボトルネックを分析 |
| Trace conversation flow | 会話ロジックと意思決定ポイントを追跡 |
| Suggest improvements | プロンプト・ツール使用の改善提案 |
今回は 「Identify errors」 を選択して、先ほどのNotion-fetchエラーを分析してみました。

Ask Claudeは、エラーの内容・影響範囲・根本原因の推定・修正案までを構造化して報告してくれる。従来のログ解析を大幅に効率化できる
Ask Claudeの分析結果として、以下が報告されました。
- エラー内容:Notion MCP Auth Failure(Critical)
- 原因:OAuthトークンの期限切れ(断続的)
- 影響:初回のNotion-fetchが失敗し、約15秒のロスが発生
- 根本原因の推定:セッション開始時にアクセストークンがちょうど期限切れの境界にあり、Vaultの自動リフレッシュが約25秒後に作動した可能性
このように、エラーの原因分析から改善提案まで、Claude自身がセッションのトレースを読み解いてくれます。
従来であればログを目視で追う必要があった作業が、大幅に効率化されると感じました。
発展:Slackからトリガーして自動応答させるには?
ここまでの構成では、Claude Console上から手動で質問を送信していました。
では、Slack上で質問を投稿したら、エージェントが自動で回答する ことはできるのでしょうか。
Ask Claudeに聞いてみました。

現時点のManaged Agentsはプル型アーキテクチャのため、Slackからの自動トリガーには別途バックエンドサーバーが必要。ただし、必要なコンポーネントと最小実装コードも提示してくれる
結論として、現時点のManaged Agents単体では直接は実現できません。
理由は、Managed Agentsが プル型 のアーキテクチャだからです。
ユーザーがセッションにメッセージを送る形式であり、Slackメッセージを自動トリガーにする機能は標準では提供されていません。
ただし、バックエンドサーバーを組み合わせれば実現可能です。
必要な構成
| コンポーネント | 役割 |
|---|---|
| Slack App(Event Subscriptions) | チャンネルへの新規メッセージを検知 |
| バックエンドサーバー | Slackイベントを受信 → セッションに user.message を送信 |
| Managed Agentsセッション | 既存の設定そのまま(Notion検索 + Slack投稿) |
処理フロー
Slack(質問投稿)
↓ Slack Event API / Webhook
バックエンドサーバー(メッセージを抽出)
↓ Managed Agents セッションに user.message として送信
エージェント(Notion検索 → 回答生成 → Slack MCP で投稿)
↓
Slack(回答が投稿される)
最小実装イメージ(Python)
まず、必要なパッケージをインストールします。
pip install flask anthropic
import anthropic
from flask import Flask, request
app = Flask(__name__)
client = anthropic.Anthropic()
# 実運用では、セッションIDを動的に管理する必要があります。
# 例:チャンネルごとにセッションを作成し、DBやキャッシュで管理する
SESSION_ID = "YOUR_SESSION_ID"
@app.route("/slack/events", methods=["POST"])
def slack_events():
data = request.json
# Slack Event APIのURL検証
if data.get("type") == "url_verification":
return {"challenge": data["challenge"]}
# メッセージイベントの処理
event = data.get("event", {})
if event.get("type") == "message" and not event.get("bot_id"):
question = event["text"]
# Managed Agentsセッションにメッセージを送信
client.beta.sessions.send_event(
session_id=SESSION_ID,
event={
"type": "user.message",
"content": question
}
)
return {"ok": True}
まとめ
本記事では、Claude Managed Agentsの概要と、実際にNotionナレッジベース×Slack回答エージェントを構築する手順を紹介しました。
良かった点
- ウィザード形式の対話型セットアップで、コードを書かずにエージェントを構築できる
- セッションのトレース機能が充実しており、デバッグが容易
- Ask Claude機能でエラーの原因分析・改善提案をすぐに得られる
- エージェントが自律的にエラーをリカバリーする耐障害性がある
注意点
- Slack投稿がOAuth認証したユーザーアカウント名義になる(Bot名義ではない)
- Slackからの自動トリガーには、別途バックエンドサーバーの実装が必要
- OAuthトークンの期限切れが発生しうる(Vaultの自動リフレッシュに依存)
- 2026年4月時点でベータ版のため、仕様変更の可能性がある
今後の展望
Managed Agentsは、AIエージェントの構築・運用の敷居を大きく下げるサービスだと感じました。
特に、MCPを通じた外部ツール連携が標準でサポートされているため、Notion・Slack以外にも、GitHub・Jira・Google Driveなど、さまざまなSaaSとの連携が期待できます。
今後、Slackトリガーのようなプッシュ型の機能が標準サポートされれば、さらに活用の幅が広がるでしょう。
最後に
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
この記事を通して、少しでもあなたの学びに役立てば幸いです✨
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