技術書典18を終えて―頒布数・収支レポート
はじめに
技術書典18参加者の皆様、お疲れさまでした。
今回は1年ぶりに技術書典のオフライン会場に出展しました(前回はオフライン参加)。3回連続で新刊出すことができましたが、課題も多かったですね・・・
既刊の売れ行きはまずまずで概ね事前予想通りだったのですが、肝心の新刊の方はニッチなテーマだったこともあってあまり振るいませんでした。前回と前々回と順調な頒布数を経験してしまったことで自分の基準が高くなって、贅沢になってしまっているかもというのもありますが。
会場の様子
今回は2回目のオフライン会場参加となり、事前に写真を撮って回る余裕もありました。ただ、昨年売り子として手伝ってくれた方は来られず、設営・頒布まで全てワンオペとなりました。それなりに人が立ち寄るので、ワンオペだと他のサークルに顔出すタイミングを図るのが難しかったです。



頒布部数の集計結果
- 頒布総数 ... 101冊
- 新刊: Fletの匠 - PythonではじめるGUI実装 ... 27冊
- 既刊①: 英語ガチ勢エンジニアになる方法 ... 58冊
- 既刊②: PowerShell Daily Recipe Book ... 13冊
- 既刊③: 自分でつくる!電帳法対応タイムスタンプツール ... 3冊
↓今回の新刊
| 名称 | 会場(紙+電子) | オンライン(紙+電子) | オンライン(電子) | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 新刊 Python/Flet本 | 15 | 8 | 4 | 27 |
| 既刊① 英語学習本 | 39 | 11 | 8 | 58 |
| 既刊② PowerShell本 | 6 | 4 | 3 | 13 |
| 既刊③ タイムスタンプ本 | 0 | 3 | 0 | 3 |
| 合計 | 60 | 26 | 15 | 101 |

紙+電子の頒布部数 - 予測・実績
| 名称 | 予測値 | 実績値 | 差異 |
|---|---|---|---|
| 新刊 Python/Flet本 | 50 | 23 | -27 |
| 既刊① 英語学習本 | 40 | 50 | +10 |
| 既刊② PowerShell本 | 10 | 10 | 0 |
| 既刊③ タイムスタンプ本 | 10 | 3 | -7 |
| 合計 | 110 | 86 | -24 |
新刊のPython/Flet本の頒布数は思ったほどには伸びませんでしたね。これはもうテーマ設定からして多くの人に刺さるテーマではなかったということだと思います(もちろん、そのことを承知で執筆したのですが)。しかも内容の理解にPythonの基礎知識を要求するため、買ってくれる人が一定の経験のあるITエンジニア層に限られてしまう問題もありました。
半年前に出した既刊のタイムスタンプ本は全くの不発といっていい状態でした。昨年秋の技術書典17オンライン参加のときには、タイムスタンプ本の部数がそれなりに出ていたのですが、これはXで宣伝してくれた方がいた影響が大きかったのかなと思います。また、あまりにニッチな本である故に欲しい人の手には行き渡って追加の需要があまりなかったということかも知れません。
一方で頒布数が堅調だったのが英語本です。やはり英語学習はエンジニアの技術分野を問わないので、万人に根強い需要があるということでしょう。会場で見ている限りでは、オフライン会場で初めて当サークルの本を手に取った人たちが買ってくれているような印象でした。とは言え、いつかは本を欲しいと思う人の大部分に行き渡る時期が来るはずなので、英語本だけでずっと頒布数を稼ぎ続けるのは無理だなーとも思います。地道に執筆活動を頑張って、次の柱になる本を出したいですね。
PowerShell本は、あくたんを表紙として採用した本ですが、なんと昨年5月に技術書典16向けに印刷した150冊分全て(余部を除く)を頒布できました。本を書いた当初はこんなに数が出ると思っていなかったんですが、PowerShellはWindowsにデフォルトで入っているにも関わらず市販の本が少ないという状況が想像以上の追い風になってくれたと思います。印刷代の関係で増刷はしない予定なので、次回開催からは電子版のみの頒布となりそうです。
印刷所・印刷部数
| 名称 | ページ数 | 印刷所 | 形態 | 部数 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 新刊 Python/Flet本 | B5/116P | ねこのしっぽ | オンデマンド | 150 | \87,700 | 表紙PP加工有り |
新刊のFlet本の印刷部数は完全にやらかしました。PowerShell本が思ったより売れたことで、その感覚で150部も印刷してしまったのですが、これが完全に誤算でした。今回の頒布数を踏まえると年間通して50~60部程度に落ち着くと思われますが、このままの頒布ペースだと完全に赤字です。今回の新刊制作は苦戦続きで作業ペースが悪く、入稿時の早割を利かせられなかったのもまずかったポイントでした。
既刊の売上分でカバーできてるので赤字幅はそこまで痛くないですが、1箱ぶんの在庫を置くスペースを余分にとられるのがキツい。ニッチな本は印刷数は8掛けして印刷数を減らすくらいが丁度よかったのかもと思います。ただコンパイラ・CPU・エミュレータ関連の本は技術書典では頒布数が伸びやすいように見えるので、本の完成度に自信があれば強気の印刷数で攻めても問題ないかもしれません。
今回の出展による収支
前回に続き、技術書典18の開催期間中は電子版を900円に値下げして頒布しました。
売上
| 種別 | 単価 | 頒布数 | 合計 |
|---|---|---|---|
| オンライン売上(紙+電子) | @1,000 | 86 | \86,000 |
| オンライン売上(電子) | @900 | 15 | \13,500 |
| 合計 | --- | 101 | \99,500 |
費用
| 種別 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 印刷代 | \87,700 | 日光企画・オフセット印刷 |
| 印刷所発送料 | \1,500 | 分納に伴う配送料金 |
| A2ポスター代金 | \1,900 | オフライン会場用 |
| 個人発送料 | \2,500 | オフライン会場への在庫発送 |
| 技術書典・販売手数料 | \19,900 | 総売上に対して20% |
| 技術書典・配送手数料 | \8,600 | 紙の本の発送手数料(1冊あたり100円) |
| 旅費交通費(飛行機代) | \20,040 | ジェットスター(熊本⇔千葉) |
| 合計 | \142,140 |
損益
・単純な損益計算
\99,500(売上) - \142,140(費用) = △\42,640(損益)
印刷代でやらかしてるので、当然ですが赤字です。地方組なので旅費の面でもハンデを抱えています。たとえ印刷数が適正だったとしても赤字は免れなかったのかもしれません。
一応、売上原価の計算もしてみます。
| 名称 | 印刷単価 | 頒布数 | 売上原価合計 |
|---|---|---|---|
| 新刊 Python/Flet本 | @607.33 | 23 | \13,967 |
| 既刊① 英語学習本 | @322.17 | 50 | \16,109 |
| 既刊② PowerShell本 | @451.34 | 10 | \4,513 |
| 新刊③ タイムスタンプ本 | @446.5 | 3 | \1,340 |
| 合計 | - | 86 | \35,929 |
(※印刷単価およびは小数点2位までで繰り上げ計算、合計額は小数点繰り上げ)
・売上原価をもとにした損益計算
\99,500(売上) - \100,638(費用) = \9,131(損益)
売上原価ベースでようやく黒字ですが、新刊のFlet本については100冊くらいまで頒布数が伸びないと採算ラインに乗らないので現段階ですでに赤字は確定しているようなものですね。Flet本は1冊あたりの単価が600円台になってしまっている有り様で、それでいて印刷数ミスって30冊も頒布数いかないのでそりゃ赤字だわ、という納得の結果です。既刊の英語本がなかったらどれだけ赤字幅が拡大していたのか・・・
昨年と同様に早割も使いたかったんですが、連続で新刊を作っていると段々とネタ出しに困るようになって原稿が遅れ、早割期間内に入稿するのが難しいのです(無駄にイラスト描いたりしてたのもあるけど)。半年という期間の縛りの中でイチから原稿を書き上げるのは想像以上に大変です。
今回は「ねこのしっぽ」を印刷所として使ってみましたが、オンデマンド印刷でも表紙の色合いや質感は納得感のあるものでした。しかし印刷の品質が高い代わりに、料金もお高いです。
ねこのしっぽでは、表紙のPP(ポリプロピレン)加工が基本料金に入っておらず、これをオプションに入れると+9,800円で想定より高くなります。早割を効かせても割引率は20%までで、あまり安くなりません。印刷代を安めに抑えるなら日光企画の早期入稿(開催3週間以前くらい)の方が良いかなぁと思いますね。
総括
これまでの技術書典とは違って、今回は課題にぶち当たった回だったと思います。自分の書きたいテーマと読者が求めるテーマとのすり合わせをどうするかはいつも悩むところです。やっとの思いで新刊を書き終わると、執筆で無理をした分だけ無気力に陥る期間が出てくるので、モチベーションのコントロールも大変だったりします。
次回、11月開催予定の技術書典19についても5冊目の新刊を出すべく動いていきますが、来年2026年はどうなるやら・・・うまく休みも入れながら2~3年かけて何とか2桁の技術同人誌刊行を目指したいと思います。
今後はイラストやドット絵制作等の分野の活動も増やしていこうと考えているので、技術同人誌だけだった創作スタンスから徐々にシフトするかもしれません。ホロクルのようなVTuberのオンリーイベントでの出展もしてみたいと考えています。
備考
他サークルの収支・頒布数報告
過去の収支について
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