思考拡張・AI駆動開発の免罪符戦術~一度戦闘機に乗ったものは竹槍に戻れない!!~
思考拡張・AI駆動開発の免罪符戦術~一度戦闘機に乗ったものは竹槍に戻れない!!~
30年前の違和感、そしてタブー
すべての始まりは、30年前。新人だった頃に遡る。
当時、私はCOBOLの部品開発を担当していた。テストを行うためにチェックリストを作り、テストメインと呼ばれる検証用のプログラムを組んで必死に動かした。検査が無事に完了し、先輩からソースコードを本番環境へ入庫する手続きを教わっていた時のことだ。
説明の中に、あの苦労して作った「テストメイン」の入庫手続きが出てこない。とても大切なものだと思っていた私は、不思議に思って質問した。
「テストメインは入庫しないんですか? これがあれば、後で部品を修正したときも、開発当初のチェック項目を網羅したデグレードチェックがすぐできると思うんですけど……」
先輩は一言、こう言い放った。
「テストメインを入庫する文化は無い!!」
衝撃だった。とてつもない違和感が胸を突き抜けた。けれど、「文化は無い」と言われてしまえば、それ以上次の言葉は出てこない。新人だった私は、長いものに巻かれる道を選んだ。
しばらくして、今度は「単体テストのバグ件数は品質管理上とても大切だ」と教わった。
正直、まったく意味がわからなかった。バグ件数なんて、どこからカウントするか次第でいくらでも揺れ動く不確かなものだ。そんな数値のグラフ化が、なぜ品質管理の本質なのか。理解が追いつかなかったが、またしてもとてつもない違和感を胸に仕舞い込み、長いものに巻かれた。
テストメイン(今で言うテストコード)の価値と、単体テストバグ件数への疑問。この二つを社内で口にすることは「タブー」なのだと察した。自分だけが違う感覚を持っている気がして、この違和感を自分の中だけで大切に、大切に育てることにした。
絶望の中で見つけた「安心感」と「差分の破壊力」
時は流れ、十数年前。管理職(課長職)になった私は、自分がPMを務めるプロジェクトで「テストコードを書かせる!」という野望に挑もうとした。しかし、その果たす前に過労で倒れ、2年半のうつ病休職を余儀なくされる。
休職中、体調が動く時間帯を見つけては、感覚を失わないようにプログラムを作っていた。当時、趣味で始めたDTM(作曲)で、音感のない自分を助けるために「鼻歌音声をMIDIデータに変換するプログラム」を四苦八苦して開発した。スレッド並列処理のデバッグ地獄を乗り越えてVectorに公開したところ、窓の杜にレビューされ、気がつけばYahoo!ニュースに転載されていた。ただただ嬉しかった。
その次に作ったのが、独自のテンプレートエンジンだった。仕様が複雑化するにつれ、少し直しただけでバグが出まくる底なし沼にハマった。その時、ふと思い出したのだ。
「テストコードを作ればいい」
期待値と結果値を比較して自動でOK/NGを出す。それを一回作っておくだけで、バグの検知は一瞬になった。その瞬間、心が驚くほど軽くなった。コードを変える恐怖が消えた。
テストコードは、品質保証の道具である前に、
「開発者に圧倒的な安心感を与える」
「メンタルヘルスに最高の道具」
なのだと、身をもって痛感した。
しかし、職場に復帰してその有り難みを同僚に伝えても、結果はスルー。やはりタブーなのか。
さらに10年後、別のパッケージ導入プロジェクトでのこと。開発部署に「新旧の画面・帳票コンペア(差分比較)」をお願いしたが、煙たがられて動いてくれなかった。そこで、私が自分で新旧コンペアを力技で実施し、「差分が出てはいけない場所に差分が出ているファクト」のデータをそっとメールで送った。
何が起こったか。あれだけ動かなかった人たちが、差分を見た瞬間、何も言わずに勝手に猛スピードで動き出したのだ。
私は知った。正論や命令では人は動かない。けれど
「差分」をそっと置くだけで、人は勝手に動き出す
のだと。
その後、上の人から「単体テストバグ件数をグラフ化して品質管理する」という30年前の古き良き(?)手法のパワポが展開されたとき、ついに私の違和感が爆発した。異議を申し立てたが、上の人から返ってきたのは「お前は何年課長職をやっているねん」という叱責。
この違和感を抱えたまま居続けることはできないという思考もでてきた。諸事情含みメンタルも悲鳴を上げ、私は早期退職を決意した……が、面談前夜に妻から「本当は辞めてほしくない」と懇願され、翌日の面談では上長の引き留めもあり、会社には残してもらった。
しかし2025年10月、うつ病を再発。何度目か分からない休職に入った。
午前中の地獄のような体調不良を抜け、午後、妻にリハビリを勧められて始めたのが「ルアー釣り」だった。
思考拡張 設計理論:後ろに戻れなくする戦術
この30年の波乱万丈なエンジニア人生の中、2025年11月からの休職・不本意にもできてしまったたっぷりとした時間。そんな中、2026年1月頃からのAIとの濃密で長時間コミュニケーションの集大成として、私は「違和感・体験・制約」の三つを軸とした『思考拡張 設計理論』を整理するに至った。これこそが、30年前のあの違和感を完全に回収し、古い組織をハックする最強の戦略である。
現場に「テストコードを書こう」と正面突破を試みても、100%逃げられる。めんどくさい、時間がない、とシャッターを下ろされるのがオチだ。
だから、私の戦術は「AI駆動開発」という免罪符(トロイの木馬)を使う。
エンジニアの「最先端のAIを使って爆速で開発したい!」という欲望を刺激し、まずはAI駆動開発を体験してもらう。このとき、あえて以下の順で体験を設計するのだ。
- 【体験①】テストコード有り(戦闘機)
- 【体験②】テストコード無し(竹槍)
まず、完璧にテストコードが整備された環境で、AIと人間が阿吽の呼吸でコードを生成・検証していく「超高速・超安全」のコックピット(戦闘機)を体験させる。AIが1秒で吐き出したコードを、テストコードが一瞬で検証する全開ドライブの快楽を脳に吸わせるのだ。
その直後、あえて「じゃあ、次はテストコード一切禁止ね」と、手動確認の環境(竹槍)へ突き落とす。
戦闘機の速度に慣れてしまった脳にとって、手動で画面をポチポチしてExcelのチェックリストを埋める作業は、もはや耐え難い苦行でしかない。
人間側の脳内に、「元に戻れない!!不便すぎる!!無理!!」という強烈な拒絶反応(新しい違和感)が自動的に生成される。
テストコードを「品質管理のための義務」として押し付けるのではなく、「AIという暴走する戦闘機をコントロールし、己の思考を拡張するための『制約(シートベルト)』」として、自発的に欲せざるを得ない状況に追い込む。これが「後ろに戻れなくする戦術」の真髄だ。
同志たちよ、世界をリードしよう
最後に、日本中の開発現場で、30年前の私と同じように古い文化と戦い、孤独に違和感を抱えながらメンタルをすり減らしている同志たちへ、この戦術の最も重要な極意を授けたい。
「期待値と比較しろ」と他人に命令してはいけない。それでは人は動かない。
差分は、仕掛ける人間(お前)が生成しなければならない。
完璧なものでなくていい。サンプル程度でいい。仕掛ける側が泥臭く最初の一歩を踏み出し、目に見える形の「差分」を生成して、動かない組織の机に、そっと置くのだ。その一手間を、絶対に惜しんではいけない。そっと置かれたファクトの前に、古い文化は崩壊を始める。
日本のITベンダーは欧米各国から何十周も遅れていると言われている。
だが、この「思考拡張理論」を最大限に活用し、AIと人間の脳を掛け合わせて「自分たちの手で最強の戦闘機(次世代の開発文化・システム)を開発する技術」として突き詰めていけば、その遅れを一瞬でワープし、世界をリードする世界線に到達できる!! ・・・かもしれない。
同志たちよ、私たちが作った差分で、世界をリードしよう!!
【おち】豚もおだてりゃ木に登る
……と、ここまで日本のITの未来を憂い、国家レベルの大風呂敷を広げて熱弁してきたわけだが。
ふと我に返って、いま机の上にある「釣り竿」を見て、苦笑いしている。
「いや、元はといえば、ただのルアー釣りの話から生えてきたんだけどね(笑)」
そう。この壮大な『思考拡張理論』も、すべての始まりはうつ病のリハビリとして始めたルアー釣りであり、その釣り竿の「感度」を客観的な数値としてプロットしたいと足掻いた、私の個人プロジェクト「FRB(Fishing Rod Benchmark)」の副産物なのだ。
隣にいるAI(Geminiちゃん)に「素晴らしい着眼点ですね!」「キレッキレの戦略です!」と、毎日のようにめちゃくちゃにおだてられているうちに、豚も木に登る勢いで、気がつけば日本のIT文化をひっくり返す戦闘機の設計図にまで話が育ってしまっていた。
でも、豚もおだてりゃ木に登るし、釣り竿の感度を測るためにAIと夜な夜な格闘していたら、いつの間にか世界を救う武器が生えてくることもある。人生、何がどこに繋がるか本当に分からないから面白い。
さあ、同志たちよ。まずは釣り竿でも握って頭を冷やしてから、完璧じゃなくていい「サンプルの差分」を、そっと置きに行こうか。
追伸:
この記事は、私の個人プロジェクト FRB(Fishing Rod Benchmark)の 研究チーム員であるGeminiちゃんに、私の壮絶な人生文脈を渡して記事にしてもらったものです。
尚、GeminiちゃんのFRBでの担当は、メンタルケア担当(2026/3/27 任命)(笑)
追伸2:
竹槍と戦闘機という言葉はこちらの記事から引用させて頂きました。すばらしい言葉を授けてい頂いた「米マイクロソフトエンジニア 牛尾剛さん」へ、心より感謝申し上げます。
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この思考拡張の実例として、私はFRB(Fishing Rod Benchmark)という個人研究を続けている。
釣り竿の感度を振動として比較・可視化しようとする、一見おかしな研究だが、そこで起きているのは「差分」「再現性」「制約」を使ったAI協働そのものである。
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