大西配列から薙刀式への移行体験記
大西配列から薙刀式への移行体験記

移行が完了した記念に薙刀式の単打のキーをYuzu Keycapsでキーキャップに印字した。
薙刀式v17に移行して、頭で考えた日本語をローマ字変換せずにそのまま出力できるようになった。
これは、薙刀式を習得してローマ字入力の呪いが解ける話である。
薙刀式への移行の動機
QWERTYから大西配列の移行時は、好奇心+必要性であったが、今回は好奇心+期待だった。
大西配列には好きではないところがあるが、移行の動機になるほど強くはなかった。
生成AIの時代になって、日本語入力の価値が向上した。日本語の入力効率を上げ、生成AIに自分の意思、意図をよりうまく伝えられるようになったら、もっと仕事や人生が捗るのではないかと思い、かな入力に興味を抱いた。
また、Alternative Typing Contest(以下 ATC)でかな入力の効率が良いと思ったのもある。
最初の移行ではかな入力の配列を実装コストと難易度が理由で選ばなかったが、初めての配列移行が成功したため、次もうまくいく自信があった。
↓参考 ATC2024
↓参考 ATC2025
薙刀式を実際に試してみて「日本語をタイピングしている」感じがあって惚れ込んだ。
また、私用でMacと仕事のWindowsの両方で使えるよう、キーボードのファームウェアに書き込むことを前提で配列を選んでいた。新下駄配列も検討したが、当時ZMKの実装が見つからなかったため選ばなかった。
移行するときに考えていたこと
タイムライン
私のXの投稿を遡るとこんな感じ。
| 日付 | 行動 | 考えていたこと |
|---|---|---|
| 2025/11/28 | 大西配列を練習開始 | QWERTYから変えたら手が楽になるかも |
| 2025/12/14 | 大西配列に移行完了 | プロジェクト移動期間中になんとか移行できた! |
| 2025/12/31 | 振り返り記事を投稿 | 大西配列でVimができることを伝えたい |
| 2026/01/11 | おさかなキーボード※を予約 | 大西配列を使えるようになったし、公式グッズが欲しい |
| 2026/01/23 | 薙刀式への移行を考え始める | かな入力できたらいいな |
| 2026/01/30 | keymapperを使って薙刀式を始める | とりあえず家で試そう |
| 2026/02/01 | ZMKを弄り始める | ZMKは見た目はイカツイがAIがあれば楽勝 |
| 2026/02/04 | ZMKに薙刀式と大西配列を実装する | これで本格的に練習できる |
| 2026/03/18 | 薙刀式を実戦投入 | 薙刀式の文字の位置を覚えた。 まだ大西配列でいようと思ったが、ふと疲れたときに薙刀式が出るようになった。 |
| 2026/04/22 | 薙刀式への完全移行完了を宣言 | 日本語入力で大西配列を使おうと思わなくなった。 |
※おさかなキーボード
大西配列の作者の大西拓磨氏作の左右分割キーボード。大西配列がデフォルトの配列になっている。かわいい。
公式discordにあるリンク経由で予約できる。
大西配列(日本語入力)→薙刀式の移行法
QWERTY→大西配列の移行時は、同じローマ字配列なのでビッグバン移行方式で一気に移行したが、今回は使うシーンを少しずつ増やすような移行方式で移行することにした。
移行元の配列がローマ字であるのに対して、移行先の薙刀式はかな入力の配列なので、頭が混乱しにくいと仮説を立てた。
その仮説をもとに、日本語を入力するのに大西配列と薙刀式の両方を使う期間があっても大丈夫だと思った。
最初のうちは家でしか薙刀式を使わなかった。
日中の仕事のときは大西配列で進めていて、平日の夜と休日は薙刀式、といった感じで最初はのんびりとやっていた。
仕事の待ち時間につかったり、タイピングが遅くてもボトルネックにならないときに使うようにしたりしながら、少しずつ頻度を増やしていった。
そんな感じでのんびりと移行していたため、移行には3ヶ月もかかった。
好奇心ドリブンで動いていたが、移行を完遂できた。
大西配列→薙刀式の移行の結果
呪いが解けて、日本語でタイプできるようになった
薙刀式を使っていると、日本語をタイプしている感覚を得られる。
何がこの感覚を作っているかといえば、下記の三つだと思う。
- 日本語の意味ごとに片手で連続して打てること
- 左手で繋ぎの言葉をタイプして右手で終わらせる動き
- 日本語として発音する1音(モーラ)と動作の一致
ローマ字入力では得られないリズムと加速感がある。
脳内で作った日本語をローマ字変換せずそのまま出力できるので、脳への負荷が軽く感じる。
これは体験してみないとなかなか伝えるのが難しい感覚だが、呪いが解けたような感覚だ。
ローマ字入力は地味に頭に負荷をかけているのだろう。
移行のタイムラインのところで、「まだ大西配列でいようと思ったが、ふと疲れたときに薙刀式が出るようになった」と書いたが、これは私の脳が無意識に楽だと認識しているからだと思われる。
かなり整理されている大西配列からの移行でもこうなのだ。
QWERTYから薙刀式に直で移行していたらもっと開放感があったかもしれん笑
左右の同期ずれの解消
大西配列は母音が左にあって、子音が右にあるため左右交互に打鍵することになる。
一定の速度は出るのだが、ある水準を超えると左と右の同期が取れなくなり、左を打鍵する前に右を打鍵してしまうことがでてくるようになった。
同期ずれを避けるために、速度を落とさなければならなかった。
薙刀式は左右交互打鍵ではないので、大西配列で起きたような同期ずれの問題は発生しなかった。
「ぜ」が打ちやすくなった
移行の動機のところで「大西配列には好きではないところ」があると言ったが、それは「ぜ」が打ちづらいことである。
大西配列では「ze」は小指下段と小指中段の二連である。打ちづらすぎ。
仕事で結構「前提」「前回」「全部」など「ぜ」をよく使うからそこだけはどうしても気に入らなかった。
薙刀式では「ぜ」は「せ」(左小指中段)と右人差し指の濁点の同時押しだから、まあまあ打ちやすくなった。
IT用語はちょっと苦戦した
「プロジェクト」「パフォーマンスチューニング」「ファイル」「フォルダ」「ディレクトリ」「アジャイル」「ウォーターフォール」「フィルター」「ウェブ」「ファームウェア」「フィーチャーブランチ」「フォーマット」「レビュー」などなど、三キー同時打鍵がIT用語には多い。
これらは慣れが必要だった。
全体で見ると問題とは言えないが、大西配列からの移行で唯一気になった点だった。
それでXで「パフォーマンスチューニング」と書くのがまだ慣れないとつぶやいたら、薙刀式の作者の大岡氏直々にフォの練習メニューを作ってくださった。
このおかげでタイプできるようになった。ありがたや!
↓「ウェ」の打ち方についても聞いたら作者や先人たちが答えてくれた。
難しいと思ったら、Xにつぶやいてみるのも手かもしれない笑
親切な人が練習法や回避策を答えてくれるかもしれない。
薙刀式のコミュニティは親切で熱心な人が多いと感じた。
終わりに
大西配列についてもいろいろ書いたが、英語入力やVimには使い続けているし、その整理された美しさは今でも好きだ。
大西配列はよく整理されたローマ字入力の新配列であるが、薙刀式に移行してよかったと思う。
移行は大西配列を使える状態を維持しながら移行することができた。
ただ、薙刀式を使えるようになってからは、大西配列を日本語入力に使っていない。
ローマ字入力の呪いが解け、大西配列に戻る理由を失ったためだ。
かな入力はそれだけ強力だ。
もうすぐおさかなキーボードが届く。
届いたら、大西配列とZMK薙刀式をおさかなキーボード上で動かしてみたい。
謝辞
大西配列を作ってくださった大西拓磨氏、薙刀式を作り、たまにXのポストに反応してくださった大岡俊彦氏、薙刀式のkeymapper版を作って紹介してくださったdeepprog氏、ZMK実装を作って公開してくださったeswai氏と、Xで反応してくださる薙刀式の先人の皆様にこの場で感謝を伝えたいと思います。
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