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「ここだけの話」を供養する夜 ─ ナウキャスト・DATUM STUDIO・ちゅらデータ 3社合同LT会レポート

に公開

はじめに

データ・AI 系のコミュニティイベントは世の中に数多くあります。一方で「パブリックだと成功事例ばかりで試行錯誤や失敗談は赤裸々に話しにくい」「20 分枠だと準備が大変すぎる」という声もよく耳にします。

そんな声を受けて 2026 年 4 月 24 日(金)、ナウキャスト・DATUM STUDIO・ちゅらデータの 3 社合同でクローズドな LT 会を開催しました。テーマは失敗談の供養。Web の記事や登壇スライドには書けないような「ここだけの話」を、安心してぶつけ合える場を作ろう、というコンセプトです。

今回のイベントを企画していた羽入さんは残念ながら当日は諸事情で参加できませんでしたが、オープニングで以下のメッセージを届けてくださいました。

データやAIの案件を動かしていると、解くべき課題はそれぞれ違っても、実は『同じようなところ』で転んだり、頭を抱えたりしているケースが本当に多いですよね。

すでに交流がある方はお気付きの方も多いかと存じますが、ナウキャスト、DATUM STUDIO、そしてちゅらデータ。この 3 社は、驚くほど文化が似ています。技術への向き合い方や現場の空気感……これだけ似ているメンバーが揃っているなら、もっとオープンに繋がれるはずです。

今日をきっかけに、パイロットたちが格納庫でフランクに経験談を語り合う『ハンガーフライト』のように、現場のリアルな悩みをぶつけ合い、お互いを高め合える関係を築いていけたら嬉しいです。

せっかくのオフラインなので、Web の記事や登壇スライドには書けないような『ここだけの話』で、最高に盛り上がりましょう!

イベント概要

項目 内容
日時 2026 年 4 月 24 日(金)19:00〜21:15
会場 ナウキャスト オフィス
形式 オフライン・クローズド
参加者 3 社のデータ / AI エンジニア・PM 17 名ほど

タイムテーブルは次のとおりです。

時間 内容
19:00 開場
19:15 オープニング
19:25 LT(5〜6 分 × 6 本)
20:00 懇親会
21:15 終了

LT 発表ダイジェスト

各社 2 本ずつ、計 6 本の LT が行われました。クローズドな場だからこそ話せる「ここだけの話」が次々と飛び出し、会場では「あるある!」という声が上がっていました。

LT1. ちゅらデータ田代学さん

Snowflake x dbt x Terragrunt で作ったマルチテナント向けデータ基盤構築で、リーダーアカウントを失念していた話

マルチテナント向けデータ基盤の構築中に、Snowflake の規約上ユーザーアカウントを他社に払い出せないという制約を後から把握したお話でした。リーダーアカウントを挟む構成変更により約 1 週間でリカバリしたとのこと。「規約確認は早めに」という教訓が刺さりました。

LT2. DATUM STUDIO 船津陽菜さん

前職で CREATE OR REPLACE TABLE をしたら同名のテーブルが存在しており、データをすべて消す事故を起こした話

環境分離がされておらず強めの権限が払い出されていた構成の中で、先輩の SQL を参考に実行したところプロダクションのテーブルを消してしまったというお話でした。Snowflake の Time Travel 機能でなんとか復旧。「パニックでドキュメントが読めない」「デンマーク人の同僚に助けてもらった」という臨場感たっぷりのエピソードで会場が沸きました。

LT3. ナウキャスト松村茜さん

Iceberg テーブルを作る時に外部テーブルとの違いが分かっておらず、Parquet ファイルを直接作ればよいと思っていた話

Snowflake Iceberg テーブルの PoC 中に、外部テーブルと Iceberg テーブルを混同して全く別の設定を進めてしまったお話でした。「PoC だから設計もレビューも省略した」というのが根本原因。スピード優先の落とし穴を改めて感じさせる発表でした。

LT4. ちゅらデータ栁裕太さん

就職前に博士号が取れず研修と案件の傍ら論文審査を受けることになった話 〜東京沖縄反復横跳びを添えて〜

技術ではなく人生の失敗談として、内定後に博士論文がリジェクトされて入社後も審査を受け続けることになったお話でした。沖縄研修・海外登壇・最終審査が入り乱れる怒涛のスケジュールをくぐり抜けて無事博士号を取得。「やることは早めにやろう!」という教訓は全員に刺さっていました。

LT5. DATUM STUDIO 向井雄二さん

6年間データ基盤構築を行った私の失敗3選

PM として経験した 3 つの失敗事例をまとめて供養するという密度の高い発表でした。リリース遅延やリリース後のバグが多岐に影響してクレームに繋がった話などの様々な事故事例を紹介頂きました。

LT6. ナウキャスト沼尻祥太さん

API リクエスト毎に ECS タスクを起動していてパニックになった件

CLI 前提で設計したキューイング構成をそのまま API 化したところ、大量リクエストで ECS タスクが爆発的に起動してサブネット IP が枯渇。さらに API サーバー自体もダウンするという二重苦に見舞われたお話でした。「キューに入れるから大丈夫」という思い込みがいかに危険か、笑いとともに伝わる発表でした。

ディスカッション・交流タイムの様子

LT 終了後はそのまま懇親会へ移行し、各社のメンバーが活発に交流しました。

LT の内容を振り返ると、3 社間で共通する失敗パターンがいくつか見えてきます。

  • 環境分離と権限設計の甘さ: 船津さんの事例に代表されるように、検証環境とプロダクション環境が混在していたり、必要以上に強い権限が払い出されていたりするケースはどの現場でも起きやすい問題です。
  • 楽観的な見通しへの依存: 向井さんが 3 ケースをまとめて総括したとおり、「たぶん大丈夫」という思い込みが事故や遅延を引き起こす事例は技術職・PM 職を問わず起きています。
  • PoC やスピード優先の場面でのレビュー省略:「あとで直せばいい」「キューに入れるから大丈夫」という前提が設計上の見落としを生み、本番でトラブルになるケースが多くありました。

懇親会では「自分たちの現場でも全く同じことがあった」という声やその他データエンジニアリング、AI周りの話が飛び交い、会場全体で笑いと共感が広がっていました。

気づき・学び

クローズドという形式を選んだことで、「資料に書けないような具体的な経緯」「当時の心境」といった情報が安心して共有されました。パブリックな勉強会では聞けない粒度の話が出てきたことで、参加者全員にとって肌触りを持って勉強になる会になったと思っております。

3 社は文化的に近いと感じている節がありましたが、今回のイベントを通じてその確信がさらに深まりました。「ハンガーフライト」として定期的に集まる文化が根付いていけば、3 社の現場はより強くなれると感じた夜でした。

おわりに

「失敗談の供養祭」は無事に閉幕し、6 つの失敗談がしっかりと供養されました。

今後もこのようなイベントを継続して開催したいと考えています。つきましては、「一緒に勉強会を盛り上げたい」「共同で開催したい」という企業様も大募集中です。

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