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Enabling Team Season 2を立ち上げました

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この記事はFinatext Advent Calendar 2025の24日目の記事です。


こんにちは、Finatextの @s_tajima です。
2023年に、「Enabling Teamを立ち上げました」という記事を書きましたが、その続編の記事です。

前回の記事で紹介したEnabling Teamは、

といった実績を出すことにつながりました。
色々と試行錯誤や検証はしたものの、プロダクション環境へのリリースまでは至らなかった取り組みも多数あるのですが、専任者をおかずいわゆる20%ルール的な立ち位置でやっている取り組みとしては、十分な打率なのではないかと考えています。

今回、取り組み自体のコンセプトは、前回の記事で紹介した内容から大きく変えず、Enabling Team Season 2として新たな5つのテーマを設定したのでご紹介します。

新たなテーマ

Post-Quantum Cryptography (PQC)

量子コンピュータの実用化に伴い、既存の暗号アルゴリズム、特にRSA暗号や楕円曲線暗号が解読されるリスクが高まっています。この問題に対処するために、耐量子性のある暗号技術(Post-Quantum Cryptography / PQC) の導入を進めていく必要がります。

"導入を進めていく" といっても、2025年12月現在においては、エコシステムの対応を待つ必要 (例:Apple製品のPQCの対応状況) があったり、単にRSA暗号や楕円曲線暗号を使うのをやめてPQCに切り替えればよいわけではない (例:TLSにおけるハイブリッドモードの必要性など) というのが難しいところです。

このテーマでは、PQC対応においてやるべきことやその適用対象、現時点でできること・できないことを明確にし、ノウハウを溜めておくことで、グループ全体としてのPQC対応を後押しすることを期待しています。

Automated Reasoning

証券・保険・貸金といった金融ドメインのシステムは、そのドメインの複雑さゆえに、一般的なWebシステムと比較すると仕様や実装が複雑になることがあります。

当然のことながら、ドメインロジックが正しく実装できていることを担保するために、単体テストやE2Eテストをはじめとし、QAの体制を整備しているのですが、その複雑さゆえに、適切なテストやQAをやりきれていないケースもあります。

そんなドメインロジックの仕様や実装の正しさを担保するために、形式手法の1つであるAutomated Reasoningを活用できないかを検討していくテーマです。

反社チェックシステム

Finatextグループでは、グループ全体の共通の反社チェックプロセスに加えて、証券・保険・貸金等の金融事業において、個別の反社チェックやAMLのプロセスが整備されています。現在は、それぞれのプロセスが独立して設計・運用されているのですが、実は似たようなことをやっていたり、重複した外部サービスを利用しているのに、車輪の再発明が行われているという課題がありました。

このテーマでは、グループ全体で共通して利用できる反社チェック・AMLのプロセスやシステムを整備し、それぞれの事業に簡単に組み込めるようにすることを目指しています。共通化されたプロセスやシステムを整備しても、最終的には各事業固有の運用が必要になるため、Enabling Teamという立ち位置としています。

AI-OCRシステムの生成基盤

金融業界は、ここ数年でしっかりとデジタル化が進んではいるものの、引き続き顧客から提出される紙の書類を取り扱う業務が多数存在します。例えば、貸金業における収入証明の書類や、保険業における保険金請求の添付資料などが該当します。

特定個別要件におけるOCRは、従来の機械学習や生成AIの力で十分にワークする仕組みが作れるようになっています。
一方で、要件それぞれでOCRの仕組みを個別に開発するのではスケールに限界があります。

このテーマでは、「要件に合わせて最適化されたAI-OCRの仕組み」を簡単に作成できる基盤を開発し、社内の様々なプロダクトへのAI-OCRの機能の取り入れを促進することを目指しています。

スマートコントラクト / ステーブルコイン

Finatextグループは、これまでトラディショナルな金融領域を中心に事業を行っていましたが、セキュリティトークンの取引機能の提供を開始する 等、ブロックチェーン関連の金融事業にも裾野を広げつつあります。

その一連の取り組みとして、スマートコントラクトやステーブルコインに関する技術検証を始めています。
スマートコントラクトを用いたシステムは、利用する技術スタックも従来のWebアプリケーションとは大きく異なり、その性質上、実装の安全生の担保や、強固なCI/CDの仕組みを整備する必要があるなど、様々な準備が必要です。

今後、より具体的にスマートコントラクトやステーブルコインを利用するサービスの提供が計画された場合に、スムーズに対応できるようにしています。


以上、FinatextグループのEnabling Team Season 2のご紹介でした。なお、個別にはわざわざ書かなかったのですが、それぞれのテーマで、生成AI/LLMの活用は前提となっています。

もしこんなEnabling Teamの取り組みに興味がある方は、ぜひX(@s_tajima)等でご連絡ください。

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