私はポテンシャル採用でこういうところを見ているよという小話
はじめに
「図月つくる[1]」というYouTuberをご存じでしょうか。私は存じ上げています。
その図月つくるさんが「Pythonのライブコーディング配信[2]」をされました。
その内容が、ITエンジニアのポテンシャル採用[3]において、とても望ましい内容に溢れていたため、紹介をさせて頂きたいと思います。
舞台設定
本稿では私の所属している組織にポテンシャル採用枠として応募してきた方が、自身のポートフォリオとしてライブコーディングの動画を提出されたため、それに対して採用担当者として評価を行うというロールプレイを行います。
なお、後述の評価点は実際に筆者が採用担当者として振舞う際に着目している点です。
筆者が採用担当者である組織に応募される方にとっては攻略法の開示となるので悪用厳禁でお願いいたします。
加点ポイントについて
課題設定がしっかりしている
動画内において、最終的に実現したいこと、およびそれの実現のためのマイルストンとして目下動画内で達成したいことについての宣言がされています。
プログラミング学習において、モチベーション維持のために適切な課題設定をすることは重要です。
そのことから学習意欲の高さを感じられ高く評価します。
参考資料に公式ドキュメントを使用している
プログラミングにおいて、最優先で参照すべきは公式ドキュメントです。
動画内で参照しているドキュメントは公式ドキュメントであり、一次情報としてそれに当たれている勘所を持ち合わせている点について高く評価します。
当初に宣言した時間内に実装を完了している
実業務に当たる際、自身の必要工数を正しく見積もる能力は重要です。
動画内で最初に宣言した時間内に目標の成果物を実装完了しており、課題に対する自身の必要工数について正しく見積もりが立てられる能力を持っていると判断でき高く評価します。
セキュリティに対する考慮がされている
動画内ではアクセストークンを使用する必要がある課題が設定されています。
応募者は後述の通りプログラミングに対しては不慣れであると判断します。
その上で、自身に可能な範囲でアクセストークンを公開しないための工夫、すなわちセキュリティ対策について取り組まれています。
その意識を持っていること自体がとても重要であり高く評価します。
より良い方法があるのは事実ですが、それについては研修等で身に付ければよいため、評価において影響なしと判断します。
メンターからの助言に対する取捨選択が適切である
動画内では視聴者をメンターとし、コメントによるアドバイスを受け付ける形を取られています。
動画内で寄せられたアドバイスはその殆どが有用なものでしたが、目下の問題解決に直接つながらないもの(いわゆる発展的なアドバイスに相当するもの)も含まれていました。
それらに惑わされることなく、問題解決につながるアドバイスを取捨選択できていました。
現時点でその勘所を持ち合わせていることは非常に伸びしろを感じさせられ、高く評価します。
留意ポイントについて
プログラミング自体には不慣れである
プログラミングそのものについては非常に不慣れに感じました。
こちらについては、研修等で学習を積み重ねて頂き補う必要があると評価します。
課題設定においてやや背伸びをしている印象がある
自身の現時点の技術力に対し、設定課題の難易度が高めに感じました。
ですが、実際には動画内で課題を達成しており、高いポテンシャルを感じさせられる側面もありました。
そのため、こちらに関しては要経過観察と評価します。
ただし、高い目標に対して取り組む姿勢については高く評価します。
総合評価
ポテンシャル採用枠において、採用と申し送りをします。
現段階の技術力について、不足している個所はあります。
ですが、それを補って余りある伸びしろを感じさせられ、不足点についても研修等で十分補える範囲と判断しましたため、採用と評価します。
結論
ポテンシャル採用においては、採用担当者に伸びしろを感じさせることがなにより重要です。
それを目指している方はその点について一考して頂けますと、有利に事を運べるかと思います。
謝辞
本記事を作成するに当たり、下記の方々が作成された情報を参照いたしました(敬称略)
謹んで御礼を申し上げます。
- 図月つくる, ライヴラリ所属, 株式会社ゆにクリエイト
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図月つくるさんのTwitterアカウント YouTubeチャンネル ↩︎
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即戦力ではないが、今後の成長を期待しての採用。未経験者採用もこれに当たる ↩︎
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