エンジニアリングマネージャーのためのエネルギー管理
はじめに
こんにちは、軍曹です。
私の仕事はエンジニアリングマネジメントです[1]。
ソフトウェアエンジニアの個人貢献者(IC)からマネージャーになって約3年になります。
その過程で学んだことは、マネジメントでは「エネルギー管理が重要だ」ということです。
この記事では、そんな私の学びから、以下の2点を紹介します。
- エンジニアリングマネジメントの「エネルギー管理」に関する情報
- 私のエネルギー管理術
エンジニアリングマネジメントとエネルギー
エンジニアリングマネジメントは精神的にエネルギーを使う仕事です。
私はこれを楽しく誇りあるものだと思っていますが、それはそれとして大変に感じることは多いものです。
例えば以下は、私がエネルギーを大きく使った仕事の例です。
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取りうるアーキテクチャのアイデアが2つある。どちらかに決めなくては何も始まらない。でも決め手にかける。どちらもPros/Consがあり、リスクの評価も難しい。決めるのは自分だ。
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AさんとBさんが感情的に衝突している。両者の意見をヒアリングし、尊重し、建設的な解決に導きたい。
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ある機能の開発が遅れている。開発の遅延に向き合い、ステークホルダーとリリースタイミングを調整しなければいけない。
時間にすれば30分で終わる仕事もありますが、作業時間がかかるものよりも、エネルギーを使う仕事が多いと感じます。
こうした仕事をうまく実行するためにも、マネージャーはエネルギーをチャージした状態でいなければいけません。
例えば、こんな問いを思い浮かべながら仕事をしています。
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疲れ切った顔をしているマネージャーに、メンバーが個人的な相談を持ちかけるでしょうか?否です。
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疲れ切った状態で何となくの意思決定をして、それがいい意思決定でしょうか?否です。
逆に、エネルギーに溢れていれば、いい仕事ができます。
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チームメンバーが新しいプロセスへの変化に尻込みしている。自分のエネルギーを総動員してチームを鼓舞し、失敗しても大丈夫!という雰囲気を作ろう。
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チームの目標を立てよう。自分の力の限り、メンバーがワクワクする目標にできないだろうか?
マネージャーは、自分のエネルギーをうまく管理していく必要があります。
そして実は、エネルギー管理についての知見は、多くのシニア達が既に語ってくれているトピックです。
シニアマネージャーのエネルギー管理
エネルギー管理とセルフマネジメント
書籍『エンジニアリングリーダー』ではセルフマネジメントの編で、「エネルギー管理」の考え方が述べられています。
多くの場合、もっと大きな課題となるのはエネルギー管理です。つまり、仕事の難しい部分で特に効果的に動けるようにするために、エネルギーを調整することです。この章では、便利屋になってしまわないようにする方法、燃え尽き症候群への向き合い方、そして、マスラック・バーンアウト・インベントリー(MBI)で燃え尽き症候群の兆候を見つけて対処する方法について扱います。
私個人にとって最も効果的だったアドバイスは「1日の始まりにゆったりと時間を取り、今日やるべき最も重要なことを紙に書き出してみよう」というものでした。
朝に時間を取る・紙に書き出すというのは予想以上に効果的で驚きました。
エネルギー管理はポジティブサム
書籍『エンジニアリング統括責任者の手引き』では、「エネルギー管理はポジティブサム」と述べられています。
これは、エンジニアリングリーダーシップがエネルギー管理をすることは、会社にとっても本人にとっても良いということです。
同書の中で、著者のWill Larson氏は「持続可能な互恵関係」フレームワークを紹介しています。
これは、基本は会社とチームのために優先事項を決めるが、自分の活力がなくなってきたら自分の活力が出る仕事を優先してみる、という働き方のことです。
経験豊かなWill Larson氏もリーダーシップとして長期的に成功する経験則として、自分のエネルギー管理に注目しているということです。
情熱プログラマー
『エンジニアリング統括責任者の手引き』の訳者の島田さんも、『情熱プログラマー』を引用し、情熱・エネルギー管理について言及されています。
エネルギーに言及したまさにその通りのタイトルです。
シニアの皆さんがエネルギー管理に言及されていることは、エネルギー管理の重要性を示しつつ、エネルギー管理に悩むのは私だけではないという心強さを感じさせます。
私のエネルギー管理術
ここからは、私の個人的なエネルギー管理術を紹介します。
シニア達が素晴らしい考え方を提唱してくれていますので、私は少し話を小さくして、Tipsを紹介しよう、ということです。
やることを絞る
全てやろうとすると途端に自分のエネルギーが減っていきます。
個人で言えば、エッセンシャル思考・エフォートレス思考を徹底します。
チームで言えば、無駄なことはしないリーン思考を徹底します。
自分の得意なことに集中する
『Think Clearly [2]』では「能力の輪」という考えが提唱されています。
これは投資家ウォーレン・バフェット氏の表現です。
簡単に言えば、自分が向いていること・得意なことにキャリアの軸を定めよということです。
私も一時期苦手なことも頑張ろうとしましたが、自己効力感が下がるだけでした。
今は極限まで人に頼らせてもらうことにしています。
できなかったことではなく、できたことを見る
できないことはたくさんあるので、個人・チームの「できたこと」を見て、お祝いします。
最近仕事で大きな挑戦をして失敗も経験しましたが、失敗の中の成功・学びにフォーカスするようにしています。
散歩する
散歩は最強です。
ぼーっとしながら散歩をするとアイディアが浮かび、精神が落ち着いてきます。
冬は寒くて習慣が途切れそうなので、布団から出てすぐに散歩できるような着替えセットを枕元に用意しています。
旅行する
私は旅行が大好きです。今年だけで4回くらい海外旅行をしました。
新しいことに挑戦する、普段の環境を離れるというのが良いです。
運動する
私はクラシックバレエをやっています[3]。
休息とは身体を休めることだけではないです。
身体を動かすことでエネルギーが生じることもあります。
運動中はデジタルデトックスにもなるので良いです。
本を読む
私は本を読むのが好きです。
技術書も好きですし、ファンタジーもよく読みます[4]。
最近は技術書翻訳レビューにも協力させていただいて[5]、とても充実感のある活動ができています。
睡眠ファースト
今年から、寝ること・寝る時間を守ることをプライオリティの最優先に置き始めました。
生活にリズムができ、朝からエネルギー豊かに過ごすことができます。
寝る時間から逆算して、朝、日光を浴びるのが大切です。
これによってセロトニンが分泌され、夜にメラトニンに代わり、自然と眠くなります。
おわりに:AI時代のエネルギー管理
この記事では、マネージャーとしての私が気づいたエネルギー管理の重要性を共有しました。
最後に少し話を発展させて、AI時代のエネルギー管理について考えてみます。
知的労働の生産性はAIによって高まるでしょう。
しかし、短期的な成果を求めすぎてAIを利用する側が燃え尽きてしまっては元も子もありません。
知能労働者にとって、長期的に成果を出す・人生をより良く生きるという観点も必要なはずです。
AIによる短期的な生産性向上だけでなく、長期的なエネルギー管理にも目を向けてみることで、会社・個人・投資家にとって、長期的なリターン・三方よしな状態が実現できるかもしれません。
この記事が、誰かのクリスマスプレゼントになれば幸いです。
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正確にはエンジニアリングマネージャーという肩書きではなく、チームリードという肩書きです ↩︎
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週平均3~4日程度はレッスンしています ↩︎
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翻訳レビュー : 『エンジニアリング統括責任者の手引き』、『ソフトウェアアーキテクトのための意思決定術』、『スタッフエンジニアの道』 ↩︎
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