非技術系書籍の読書メモ
スマホ脳
人間の行動は原始的な仕組みに依存している
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人間の脳が適応した原始的な環境の特徴
- 脅威が多い(野生動物、病気、隣人)
- 平均寿命は30歳、半数が10歳を迎えられない
- 5人に1人は人間(同種)にやられていた
- 感染症や飢餓に常に苦しんでいた
- 集団で生活するが、敵味方の区別がつきづらい
- 同じもの(味方)と違うもの(敵)を素早く区別する能力が特に大事だった
- 毎日運動をする
- 狩りをしたり逃げたり、体を動かしている時こそ最大の集中力が発揮される
- 幸福感の強いのんびりとした人間を生み出す進化圧はこれまで働いてこなかった
- のんびり幸せな個体はこれまでの環境では生き残れなかった
- 脅威が多い(野生動物、病気、隣人)
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その結果
- 気が散る人ほど生き残る確率が高い(周りの変化に気づくため)
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気が散るたびにドーパミンが出るようにできている(周りに目を向けるように脳が仕向ける)
- 時々実がなる木をあきらめず何度でも訪れるようになっている
- ドーパミンがなければ人は確実な行動しかとらなくなってしまうので種としての生存が難しくなる
- 自分の周囲の環境を理解することが大切
- 夜ストレスを感じると眠れなくなる
- 野生動物などに寝首を掻かれる可能性があるため
- 噂話が気になる
- 集団のメンバーと自分の利害関係を明確にしないと生存しづらいため
- 特に悪口が気になる
- 集団の中に共通の敵を作ることで味方を増やせるため
- 自分の話をするのが好き
- 集団が自分をどう捉えているか把握することで生存に役立てたい(周りの反応を知りたい)
- 自分の話を周囲が聞いてくれると報酬系が刺激されるのは、集団内で生存の確率が上がっているから
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その結果がスマホとどう結びつくのか
- そもそも気が散りやすい人間にとってスマホは最高に気が散る(かつ最高にドーパミンが出る)
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同じ文章でもテキストリンクの有無で集中力に差が出る
- テキストリンクがあると、そのさきが気になって文章に集中できなくなる
- 手書きは一度内容を頭で整理してから書く必要があるため、より集中力が求められて気が散りづらい
- SNSを使う人ほど幸福度が低い
- 自分が損をしている気持ちになる
- 周りがどれだけ幸せか、という情報を浴び続けるから
- 群れの中の自分の順位を相対的に低く感じるから
- 炎上しやすい
- 相手の反応を見ながら発言を微調整できないから
- FB使う人の9%しか積極的に投稿していない
- 見る専の人ほど幸福度は低い
- 女性はSNS、男性はゲームに使う傾向が強い
- 女性の方が影響を受けやすい
- ティーンエイジャーの方がSNSを使うので影響を受けやすい
- 自分が損をしている気持ちになる
- 電車とか電話とか他の発明品が生まれた時も危険性を指摘する研究が多数発表された
- スマホの特異性は使用時間の長さ。1日6時間も鉄道に乗ったり電話をする人は少なかった
- 研究には時間がかかる。発明には未知の点が多い
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ストレスを感じた時の人間の特徴
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- 瞬時の判断が優先されるため感情が優位になる
- 接敵して悠長に考えている余裕はないため
- 結果、緻密な行動が取れなくなる
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- 取り巻く環境のエラーに気づきやすくなる
- 何でこんなところに靴下が捨ててあるんだ?とか
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- 一部の機能が疎かになる
- 長期記憶の保存
- 感情の抑制
- 警戒を解くこと
- ストレスを生み出す扁桃体の特性を理解する
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- 火災報知器のような過剰な性質を持つ
- 一度でも逃げ損なうより多めに逃げたほうが良いため
- 誤報が多い
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- 集団から排斥されることを強く恐れるようになる
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- 不安の正体はストレスシステムを事前に作動させること
- まだ起きていない未来の脅威に対して備えること
- 未来の脅威と現時点の脅威を人間の脳は区別できない
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なので解決不可能な未来の脅威に対して過剰なストレス反応を示してしまう
- 原始的な脅威であれば瞬時に解決できる(敵から逃げるとか)
- 未来の脅威は瞬時に解決できない(来年の利上げが怖いとか)
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ドーパミン
- 報酬を得られた時ではなく「得られるかもしれない」と思うときに放出される
- 自己啓発本が売れるのも似た仕組みかもしれない(自分が変わるかもしれない、と思うとドーパミンが出る)
- スマホの通知も、通知内容を読んでいる時より受け取った時にドーパミンが多く分泌される
- 「大事な連絡かもしれない」と思うことが快感を生み出す
- 報酬を得られた時ではなく「得られるかもしれない」と思うときに放出される
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事実や経験は海馬、自転車に乗る技術などは線条体に保存される
- マルチタスク中は後者に信号が送られる(つまりオートマチックに判断してしまう?)
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比較は喜びを奪う(ルーズベルト)
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群れのボスはセロトニンが多い。特定の個体のセロトニン量を増やすと突然仕切り始めてボスになる
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ボスザルと群れをマジックミラーで分けて、ボスザルの指示を群れが無視する状況を作ると、セロトニン量が減少する
- 新しい群れのボスと喧嘩しないための仕組みなのかもしれない
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ボスザルと群れをマジックミラーで分けて、ボスザルの指示を群れが無視する状況を作ると、セロトニン量が減少する
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ミラーニューロン(他人の体験や気持ちを追体験する脳組織)は対面での会話で最も育まれる
- 骨折した相手を見て痛みを感じるのは簡単だけど、落ち込んでいる相手を見て共感するのは難しい
- ミラーニューロンは生きた人間との反応のやりとりを通してのみ育まれるので、SNSでは育たない
- 辛い状況の人の共感する共感的配慮、対人関係における感受性の2つが80年代以降低下を続けている
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フェイクニュースは事実の6倍の速度で拡散する
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美味しいものを食べたい本能と抑える理性のうち、理性は25~30歳まで完全には発達しない
- 子供の頃は理性が働かない
- 理性が働かない子供にスマホを与えると本能の赴くままに報酬を求めてしまう
- しかも食事と違って限界が来ない
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WHOによると、程よく運動している人には平均より不安障害が少ない
- ストレスシステムは脅威に対して反応するが、体が強い人は脅威そのものが少ないからと思われる
- 遠くから音が近づいてくるテストをしたところ、体が強い人は弱い人ほど反応しなかった
- 筋肉が自信を作るのは、あながち嘘ではなさそう
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自動化で仕事が減っていく中、最後まで人間に残されるのは集中力が求められる仕事
- 気が散るのが人間の本来の仕組みなら問題ないと思われるかもしれないが、偉大な発明や躍進の多くは気が散った人ではなく、強い集中力を持った人から生まれている
- 今の社会はお互いを助け合う力が強いため、進化しなくても生きていける
- それが逆に進化の力を奪う可能性があるのが怖い
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自然に近い生活が体に良いと考えるのは自然主義的誤謬
- 祖先はそれが良いから食べていたのではなく、それしかないから食べていたに過ぎない
進化思考
- 椅子を椅子としか認識できない人が創造的な椅子を作ることはない
- 創造とは進化のように、時々エラーが発生して、それがたまたま環境に選ばれて生き残ること
- 環境に選ばれなければエラーはただのエラーで終わる
- 遺伝子をコピペする際のエラーに起因している
- 大半の創造が失敗に終わるのも不思議ではない。元々エラーなのだから
- 全ての創造物はエラーを抱えている
- 増やす、分離する、欠損するなど、何らかの変異を既存の創造物に与える
- その変異を適応させるために工夫するのが創造
- 名前がつくとイメージが固まる。あえて名前を外して逸脱したエラーを起こしてみる
1兆ドルコーチ
- オペレーショナルエクセレンスが業績に与える影響は22%、ゲームの独創性は7% (モバイルゲーム会社各社のパフォーマンスを研究した調査
Googleの優れたマネージャーが実施している8の習慣
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優れたコーチであること。メンバーが目標達成するための支援と、一人ひとりのキャリアや選択を尊重する敬意、信頼を持つこと
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マイクロマネジメントではなく権限委譲。マイクロマネジメントされたい人はいない
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包括的であること。チームの全員が目標に向けた一部分であると感じさせること
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生産的で結果思考であること。ただ欲しい結果を伝えるのではなくどうやって自分が求める結果を得られるのか伝えること
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コミニケーションが上手であること。傾聴して情報を共有できる
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キャリアを支援できること。良い点も改善が必要な点もフィードバックすること。かつ正しくフィードバックすること
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明確なビジョンや戦略を持っていること
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コアなハードスキルを持ち合わせていること。その職能に必要な能力や直面する課題を正しく理解すること
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決断できること。大事なのは あなたが何を考えたかではなくあなたが何をしたか。
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マネジメントに関するプラクティスを自分がどれだけ手札として持っているか
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楽しい職場環境を手っ取り早く生み出すには家族や楽しいことについて話す「社会情動的コミュニケーション」が1番らしい
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スタッフミーティングと1on1ミーティングがマネジメントの最重要原則
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あなたが今話したい事のトップ5は何か
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コーチも自分自身が話したい事のトップ5を書き出してそのリストを付き合わせることから始まる
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雑談は当たり障りないものではいけない。相手のプライベートについて本当に知りたいと思っていることを聞くべき
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続いて必ず同僚との関係を質問する
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上司にどう思われているかよりも同僚にどう思われているかの方が大切
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チームは常にやるべきことが明確になっているのか
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チームはイノベーションに取り組む余地があるのか?業務遂行とイノベーションの本質の対立関係にどう折り合いをつけているのか?
評価とミーティングのためのフレームワーク
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職務に対するパフォーマンスを聞く。売り上げ数値やプロダクトの販売予定日やお客からのフィードバックなど
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部署同士の関係性について聞く
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マネジメントとリーダーシップについて聞く。部下はコーチできているか、できの悪い社員を取り除いているか、採用に全力を尽くしているか、勇気ある行動をとるよう部下を駆り立てているか
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イノベーションについて聞く。常に前進しているか、向上する方法を考えているか、新しいテクノロジーや手法を常に検討しているか、自分と業界トップや世界トップの人材を比較しているか?
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対立に対処するための標準的手順を設ける事はチーム全体の満足度を高めて実力を発揮させやすくする効果がある。(ホラクラシーにおける紛争解決プロセスに近いかもしれない)
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すべての意見とアイディアを俎上に乗せて話し合うのが1番。(しかし間違った人が入っていると間違ったアイディアが訴訟に乗ってくるからこそ不適切な人は取り除かなければいけないのだろう
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ミーティングに参加する人を吟味する必要があるのはこの影響があるかもしれない
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正解を見いだすのも大切だがみんなでそこにたどり着くプロセスも同じ位大事
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マネージャーの仕事は議論に決着をつけることと部下をより良い人間にすること。「この方針で行くぞ。くだらん議論はおしまい。以上」と宣言する勇気を持つこと
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ビジネスでは決定が下されないことがしょっちゅうある。完璧な正解が存在しないからそうなりがち
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決定を導くための適切なプロセスがある事は決定そのものと同じ位重要
- 例えば提案をワードで書いてきてそこにコメントとして修正点を投げてもらうのも良いかもしれない。そうすれば常に提案は建設的な形になる
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たとえ決定に不満があっても合意したことには全力で取り組まなくてはならない (でもそのメンタリティーは日本人で持ってる人は相当少ない気がした
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その状況における第一原理、すなわち会社やプロダクトを支えている普遍の真理を明らかにし、その原理をもとに決定を下すこと。
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例えばTell MeがAT&Tにソフトウェアのライセンスを提供すべきか考えたときは「Tell Meには成功している堅実なビジネスモデルが既にある」「当時の市場で最高の時代の先を行く優れた プロダクトを持っている」
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この権利を経営陣で話し合って正しいことを全員が認めたので、それに基づいて意思決定を下した
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規格外の天才はその功績と同時に周囲に与えているダメージやダメージコントロールに要する時間との天秤で考えなければいけない
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報酬は金だけとは限らない。役職や立場など。人は誰もが真価を認められたい生き物だ
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プロダクトのスピードを阻害しているものは何なのか。とにかく早く夜に出すことが大切な状況で、妨害しているものを取り除いていくのは何よりも大切
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エンジニアに好き勝手させるのではなくプロダクトチームは最初からその他のチームと協力し問題解決や機会創出につながる斬新なアイディアを推進する必要がある
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解雇が寝耳に水になるようではいけない。解雇は驚きであってはならない
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解雇する時は1日中やり切れない思いになる。そしてもっと早く解雇すべきだったと後悔する。何度チャンスを与えてもだめなものはだめ(解雇に至る要素は最初から明示しておくと良いのかもしれない
会議を仕切る
- 資料は絶対に先に共有する。どんな時も最初の議題は今日の報告。取締役会は会社の状態を把握している必要がある
- 取締役にふさわしいのはどんな人か。会社のことを心から気にかけ、聡明で、事業に関する専門的知見を持ち、CEOに協力し支援したいと本心から思っている人物
- 悪い取締役は、ただふらっと来て、自分が1番賢いと見せようとしてしゃべりすぎるやつ。
2章まとめ
- 大事な原則は、オペレーショナルエクセレンス、ピープルファースト、決断力、優れたコミニケーション、最も厄介な人材から力を引き出す、優れたプロダクトへのこだわり、解雇する人を手厚く扱う
コーチング可能な人にしかコーチングしなかった
新しいことを学ぶ意欲がある、正直である、謙虚である、 あきらめず努力をいとわない姿勢(グリット)
コーチの定義、大切な資質や行動
コーチとは自分がなれると思っている人物になれるように聞きたくないことを聞かせ、見たくないものを見せてくれる人
アドバイスを求められた時
- 人はアドバイスを求める時、実は努力を認めて欲しいと思っているだけのことが多い
- 相手がチームワークの一端を担っていることを感じさせるために全神経を集中して相手の話を聞くこと
- 敬意のこもった問いかけを通して相手の有能感、関係性、自律性を高められる(モチベーション3.0と同じことが書いてある)
- するべきことを指図するのではなく物語を語る
- こういう状態になれたらみんな喜ぶよね、とか、ゴールを伝えるってことなんだろうか
聞きたくないことを聞かせる時
- 「その程度のことをするためにこの会社にいるわけじゃないだろう?」と、 相手の尊厳を守り誠意を大切にしながらもパフォーマンスに対する厳しい評価を与える必要が生じることもある
- フィードバックを待たないこと。すぐ伝える。
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誰かの言動に腹が立ったら一歩下がって、彼からうまくやっていることや良いことを無理にでも考える。そして人前で褒める。相手が安全だと感じている時だけ「ところで」とフィードバックを与える
- 本の中で割とすぐクビにしてた気がするけど、蓄積があったんだろうな
- 「君が負けたのではなくチームが負けたんだ」
- 人は生まれつき失敗を恐れてリスクを避けるようにできているからこそためらいを乗り越えられるように背中を押してくれる存在が必要
チームのために動ける人を重宝する
- 「君はプライドのせいで会社のためになること、そして君自身のためになることができなくなっている」
- チームビルディングとは実行家を見つけて仕事を任せ、逆に不満を募らせて緊張をもたらす厄介者に対処すること
大事な要件(コーチャブルな人の要件と近い)
- 知性。 様々な分野の話を素早く取り入れつなげる能力を持っていること
- 勤勉であること
- 質問より答える方が多いのは赤信号らしい
- 誠実であること
- 自分の成功が他人との協力関係にかかっていることを理解している人、ギブアンドテークを理解している人、会社を第一に考えられる人
- グリットを持っていること
ペアで仕事に当たる
- チーム内で強固な協力関係を築くのに役立つ
フィードバック
職務遂行能力、同僚たちとの関係、マネジメントとリーダーシップ、イノベーションの4つの側面から見たパフォーマンスについて意見を同僚から集めて、本人にフィードバックしていた。途中からミーティング中の行動、周囲との協力関係、プロダクトビジョンの質問も追加された。
問題そのものではなくチームにフォーカスする
- CEOになったら、 今まで以上に人に賭けろ。チームを選べ。人とチームのことをもっと考えろ
- チームの中から実行家(実行する人)を見つけて登用すること
- チームが取り組むべき問題の全容を誰にでもわかる形で明らかにすること。根本原因を突き止めて解決に向けて働きかけること。悲観ムードになってはいけない。こうしてチームが問題に向き合える状態を作れば、自ずと問題は解決される
思ったこと
- 優れたリーダーはすべてに対して異常なほど細かく気にするらしいがこれはマイクロマネジメントとは違うのだろうか
- 確かに自分は自分の職種のトップの人とどんな違いがあるのか認識できていないかもしれない
- 自分が関わる全ての業務に関してフレームワークやマニュアルを作れるレベルまで言語化した方が良いのかもしれない