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Claude Project と Backlog MCP で月間稼動レポート作成を自動化する

に公開

開発チームの月間稼動レポート作成って、手作業だと結構時間がかかりますよね。特に複数のメンバーが関わるプロジェクトだと、誰がいつ何をやったかを調べるだけでも一苦労です。

今回は、Backlog MCP と Claude Project を組み合わせることで、この面倒な作業を大幅に効率化できる方法をご紹介します。実際にデジタルキューブ社内で活用している事例をもとに、具体的な使い方を解説していきます。

背景と課題

従来の月間稼動レポート作成では、いくつかの課題がありました。

まず、Backlog の ユーザー ID とユーザー名の対応関係を毎回調べる必要があります。API を叩くときにはユーザー ID が必要なのですが、普段使っているのは名前なので、この変換作業が意外と手間でした。

また、期間を指定してタスクを絞り込んだり、担当者別に集計したりする作業も、手作業だと時間がかかります。特に月単位での集計となると、データ量も多くなるため、列挙するだけでも大変な作業になってしまいます。

Claude Project と Backlog MCP による解決

Backlog MCP の導入

今回活用したのは、Nulab 社が公開している Backlog MCP Server です。これは、Model Context Protocol(MCP)を使って Backlog API と連携できるサーバーで、Claude Desktop や Cline などの AI エージェントから直接 Backlog を操作できます。

Backlog MCP を使うことで、Claude 上から直接 Backlog のデータを取得できるようになります。課題の検索や特定の期間でのタスク抽出が、自然言語でのやりとりで実現できるでしょう。

Docker 環境があれば、以下のような設定で Claude Desktop に導入できます。

{
  "mcpServers": {
    "backlog": {
      "command": "docker",
      "args": [
        "run",
        "-i",
        "--rm",
        "-e", "BACKLOG_DOMAIN",
        "-e", "BACKLOG_API_KEY",
        "ghcr.io/nulab/backlog-mcp-server"
      ],
      "env": {
        "BACKLOG_DOMAIN": "your-domain.backlog.com",
        "BACKLOG_API_KEY": "your-api-key"
      }
    }
  }
}

Claude Project でのユーザーマッピング

最も効果的だったのは、Claude Project にユーザー名とユーザー ID の対応表を登録することでした。具体的には、以下のような形でユーザー情報を整理しています。

| ユーザー名 | User ID |
|-----------|---------|
| 田中太郎 | 1074123456 |
| 佐藤花子 | 1074234567 |
| 山田次郎 | 1074345678 |
| 鈴木美咲 | 1074456789 |

この対応表を Claude Project に登録することで、「田中太郎」という名前を指定するだけで、システムが自動的に対応するユーザー ID(1074123456)を参照してくれるようになります。

さらに、Claude Project のシステムプロンプトに、Backlog MCP の使い方やよく使用するコマンドの説明を含めることで、より効率的な操作が可能になります。実際のシステムプロンプトには以下のような内容を記載しています。

あなたは backlog を使ったタスクや労務管理のエキスパートです。
以下の MCP を駆使して、ユーザーの質問に回答してください。

- search_backlog_issues
- list_backlog_issue
- list_backlog_recent_user_activities

もし backlog のユーザー ID が必要な場合は、ナレッジにある「backlog ユーザー/ID 対応表」を
利用してください。ユーザー名から user id を探すことができます。

このようにタスクの検索方法や期間指定の書き方など、頻繁に使用する操作をあらかじめ定義しておくことで、毎回詳細な指示を出す必要がなくなります。

実際の使い方

Claude Project を設定した後は、以下のようなシンプルなプロンプトで月間稼動レポートを作成できます。

担当者が岡本秀高で6月9日から6月13日の期間でステータスが完了になったタスク一覧をテーブル形式でアーティファクトに出力してください。

このプロンプトを実行すると、指定した期間と担当者の条件に合致するタスクが自動的に抽出され、見やすいテーブル形式で表示されます。

運用上のポイント

ユーザーマッピングの保守

新しいメンバーが加わったり、既存メンバーの情報が変更されたりした場合は、Claude Project のユーザーマッピング情報を更新する必要があります。定期的なメンテナンスが重要です。

柔軟な条件指定

期間や担当者だけでなく、プロジェクトやタスクの種類など、様々な条件での絞り込みが可能です。月間レポートだけでなく、週次レポートや特定プロジェクトの進捗確認など、用途に応じて活用できるでしょう。

確実なデータ参照

Backlog MCP は実際の Backlog データを参照するため、レポートの信頼性が高いのも特徴です。手作業でのミスやデータの見落としを防ぐことができます。

導入による変化と今後の可能性

この仕組みを導入することで、従来数時間かかっていた月間稼動レポート作成が、数分で完了するようになりました。また、データの正確性も向上し、レポート作成者の負担も大幅に軽減されました。

今後は、この仕組みをさらに発展させて、より詳細な分析や可視化機能の追加も検討しています。開発チームの生産性向上に向けて、AI ツールの活用はますます重要になってくるでしょう。

まとめ

Backlog MCP と Claude Project を組み合わせることで、月間稼動レポート作成を効率化できることをご紹介しました。特に、ユーザーマッピングを Claude Project に登録することで、自然言語でのやりとりが可能になり、使い勝手が大幅に向上します。

同じような課題を抱えている開発チームがあれば、ぜひ試してみてください。初期設定には少し時間がかかりますが、その後の作業効率向上を考えると、十分に投資する価値があると思います。

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