クリスマスに13,340件の攻撃が来てAI監視で自動検知した話
はじめに
「年末年始はサイバー攻撃が増える」
IPAの調査によると、年末年始期間は通常の約2倍の攻撃が発生するそうです。
監視体制が手薄になる時期を狙った攻撃が増えるとのこと。
本当にそうなのか?自社サイトで検証してみました。
検証環境
- 対象: 自社コーポレートサイト(daihou-llc.com)
- 構成: S3 + CloudFront + WAF
- 監視: CloudLogAI(自社開発のAI監視ツール)
- 期間: 2025/12/1 - 2026/1/2(33日間)
12月の全体像
まず33日間の全体像から。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 総リクエスト | 99,876件 |
| 総エラー | 約44,000件 |
| 平均エラー率 | 約44% |
エラー率44%。 半分近くがエラーです。
クリスマスの惨劇(12/24-26)
12月の日別推移を見ると、異常な3日間がありました。
| 日付 | リクエスト | エラー率 |
|---|---|---|
| 12/23 | 1,018 | 37.7% |
| 12/24 | 6,663 | 49.6% |
| 12/25 | 6,677 | 50.3% |
| 12/26 | 1,198 | 45.1% |
| 12/27 | 1,093 | 41.4% |
12/25のリクエスト数は6,677件。 通常の約7倍です。
何が起きていたのか
CloudLogAIの分析結果から、攻撃の内訳が見えました。
| 攻撃パターン | 検出日数 | 主なパス |
|---|---|---|
| PHPファイル攻撃 | 21日 |
/new.php, /admin.php
|
| WordPress管理画面 | 13日 |
/wp-admin/, /wp-includes/
|
| 設定ファイルスキャン | 14日 | /setup-config.php |
| .envスキャン | 5日 |
/.env, /api/.env
|
| Git情報漏洩 | 4日 | /.git/config |
WordPress関連の攻撃が多いですが、うちのサイトはWordPressではありません。
攻撃者は「とりあえず試す」スタイルで、無差別に攻撃しています。
WAF導入の効果
段階的な適用
実は、WAFは2段階で適用しました。
| 日付 | 状態 | 効果 |
|---|---|---|
| 12/18 | モニタリングモード | ログ収集のみ、ブロックなし |
| 12/31 | ブロック有効化 | 攻撃を403でブロック開始 |
Before/After(真の効果)
| 期間 | 403ブロック率 | 404エラー率 |
|---|---|---|
| WAF前(12/1-17) | 0% | 45.4% |
| モニタリング(12/18-30) | 0% | 43.9% |
| ブロック有効(12/31-1/2) | 22.2% | 10.6% |
404エラー(攻撃すり抜け)が45% → 10%に激減。
WAFがなければ、これらの攻撃は全てサイトに到達していました。
WAF設定内容
- AWS-AWSManagedRulesCommonRuleSet
- AWS-AWSManagedRulesKnownBadInputsRuleSet
- AWS-AWSManagedRulesWordPressRuleSet
- カスタム: SensitivePathsブロック(.env, .git等)
- カスタム: Rate Limit
月額約$5で、これだけの攻撃をブロックできます。
アーキテクチャ
WAFはCloudFrontの前段に配置。 攻撃はサイトに届く前にブロックされます。
「エラー率」の正しい見方
ここで重要な視点があります。
1/2のエラー率は**46.2%**と高く見えますが、内訳を見ると:
| ステータス | 件数 | 割合 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 403 Forbidden | 944 | 46.2% | WAFがブロック |
| 301 Redirect | 887 | 43.4% | 正常なリダイレクト |
| 200 OK | 171 | 8.4% | 正常アクセス |
403はWAFが攻撃をブロックした証拠。
つまり「エラー率が高い」のではなく「ブロック率が高い」と解釈すべきです。
ブロック率の推移(WAF有効化後)
| 日付 | リクエスト | 403ブロック | ブロック率 | 検知した攻撃 |
|---|---|---|---|---|
| 12/31 | 2,214 | 110 | 5.0% | ブロック開始 |
| 1/1 | 3,965 | 769 | 19.4% | 元旦 |
| 1/2 | 2,045 | 944 | 46.2% | 1,441件検知 |
日を追うごとにブロック率が上昇。 WAFが学習・最適化されている証拠です。
年末年始の推移
| 日付 | リクエスト | ブロック(403) | ブロック率 | エラー率 | 特記 |
|---|---|---|---|---|---|
| 12/29 | 1,603 | 0 | 0% | 32.9% | |
| 12/30 | 2,600 | 0 | 0% | 36.2% | |
| 12/31 | 2,214 | 110 | 5.0% | 33.8% | ★ブロック開始 |
| 1/1 | 3,965 | 769 | 19.4% | 25.3% | 元旦 |
| 1/2 | 2,045 | 944 | 46.2% | 46.2% | 大量ブロック |
IPA統計との比較
IPAの「年末年始は攻撃2倍」という統計と比較すると:
| 期間 | 1日平均リクエスト |
|---|---|
| 通常期(12/1-17) | 1,151件 |
| クリスマス(12/24-26) | 4,846件 |
クリスマス期は通常の4.2倍。IPA統計の「2倍」を大幅に上回りました。
小規模サイトでもこれだけ攻撃される
ちなみに、このサイトの規模は:
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 月間UV | 約2,000-3,000人 |
| 日次UV | 60-200人 |
ECサイトでもない、ただの会社紹介サイトです。
それでも33日間で約100,000件のリクエスト、うち約44,000件がエラー(攻撃含む)。
もしあなたのサイトがもっとPVが多いなら、攻撃も比例して多いはずです。
月間1万PVなら3倍、10万PVなら30倍の攻撃が来ている可能性があります。
「うちは小さいから大丈夫」は幻想です。
「エラーが出るだけでしょ?」は甘い
攻撃によるエラーは、単なるログ上の数字ではありません。
実害があります:
- サーバー負荷増加 → レスポンス低下
- ページ表示が遅くなる → 離脱率上昇
- 3秒以上かかると53%が離脱(Google調査)
つまり、攻撃を放置 = 売上機会を失っている可能性があります。
でも、監視していなければ気づけません。
「最近なんかサイト重いな」と思ったときには、すでに攻撃を受け続けているかもしれません。
まとめ
- クリスマスに6,677件/日の攻撃が来た
- 攻撃者は「とりあえず試す」スタイル(WordPressじゃないのにWP攻撃)
- WAFブロック有効化で404エラーが45% → 10%に激減
- WAFは月額$5で入れられる
教訓
- 「うちは小さいから狙われない」は幻想
- WAFは$5/月で入れられる、入れとけ
- 監視していないと気づかない
- 「エラー率」より「ブロック率」を見ろ
続編
攻撃パターンを詳しく分析してみた:https://zenn.dev/dhc4aki/articles/21503ca3751a32
WAFで防御してみた:https://zenn.dev/dhc4aki/articles/96a92fbe3290c6
この分析は CloudLogAI で自動検知しました。
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「うちのサイト、今どうなってるんだろう?」と思ったら、お気軽にどうぞ。
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