IEEE 829とIEEE 29119 JSTQB Advanced Levelテストマネージャ資格のキーワード解説!
IEEE 829とIEEE 29119の変遷
IEEE 29119は、ソフトウェアテストの進化と業界の要求に対応するため、以前のIEEE 829を含む複数のテスト関連の標準を統合・置き換える形で導入されました。
IEEE 829-1998
IEEE 829-1998は、ソフトウェアテスト文書の標準規格として、IEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers) によって1998年に発表されました。この標準は、ソフトウェアテストのさまざまな段階における文書の形式や内容を定義しています。
IEEE 829-1998の60秒動画解説!
主な特徴
- テスト計画:テストの目的、範囲、戦略、リソースの詳細を定義します。
- テスト設計:テストケースやテスト条件の選択基準を特定します。
- テストケース:具体的なテスト手順と期待結果を記述します。
- テスト手順:テスト実行の手順を定義します。
この標準は、テスト文書の一貫性と品質を確保するための指針として使用されます。
IEEE 829-1998で定義されているドキュメント
1. テスト計画ドキュメント
- 目的: テスト活動の全体的な計画や範囲、目的、リソース、スケジュールを明記する文書。
- 内容: 使用するテストツール、テストの優先度やリスク、関与するステークホルダー、必要なリソースや予算、テスト環境の詳細など。
2. テストアイテム送付レポート
- 目的: テストアイテムのリリースや送付を文書化するもの。
- 内容: 送付されるテストアイテムの詳細、バージョン情報、関連するドキュメントやファイル、送付の日時や方法など。
3. テストサマリーレポート
- 目的: テスト活動の結果や結論をまとめる文書。
- 内容: テストケースの実行結果、発見された欠陥の状態、テストのカバレッジ、推奨や次のステップ、テスト活動の評価やフィードバックなど。
これらのドキュメントは、テストプロジェクトの進行状況や成果、課題を関係者に明確に伝えるための重要な手段となります。
IEEE 829-2008
IEEE 829-2008は、IEEE 829-1998の後継として、2008年に発表されたソフトウェアテスト文書の標準規格です。このバージョンは、前のバージョンを基にしており、現代のソフトウェア開発とテストの実践に合わせてアップデートされています。
主な変更点や特徴は以下のとおりです:
- アジャイル開発などの新しい開発手法への対応:現代の開発手法や環境に適応した内容が追加されています。
- 文書の柔軟性:固定されたテンプレートではなく、プロジェクトの要件に合わせて文書の内容を柔軟に変更することを容易にしています。
この標準も、テストプロセスの透明性、再現性、一貫性を確保するためのガイドラインとして広く使用されています。
IEEE 29119
IEEE 29119は、ソフトウェアとシステムのテストに関するIEEEの新しい標準規格です。この標準は、テストプロセスの一貫性、再現性、品質を向上させるために設計されました。IEEE 29119は、5つの部分から成り立っています。
1. IEEE 29119-1: テストプロセスの概念と定義
この部分は、テストに関連する用語や概念を定義しています。
2. IEEE 29119-2: テストプロセスのモデル
テストのプロセスやアクティビティを明確にし、それぞれのプロセスがどのように連携するかを示しています。
3. IEEE 29119-3: テストドキュメントの標準
以前のIEEE 829に替わり、テスト文書の構造やフォーマットに関する新しいガイダンスを提供しています。
4. IEEE 29119-4: テスト技法
さまざまなテスト技法やアプローチをカバーしており、それらをどのように適用するかのガイドラインを提供しています。
5. IEEE 29119-5: キーワード駆動テストの標準
キーワード駆動テストに関するガイドラインやベストプラクティスを定義しています。
全体的に、IEEE 29119はソフトウェアテストの標準化を目指しており、テストの品質や一貫性を向上させるためのガイドラインを提供しています。
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