🎸

QAコミュニケーションアンチパターン 2章 再始動するチーム・メビウス

2024/09/11に公開

再始動するチーム・メビウス

黒々さんと大榊さんの話し合いから2週間後。

「チーム・メビウスは、この2週間で通知登録機能を作り上げました。この調子だと、編集機能と削除機能、さらに通知そのものの機能も完成しそうです。先行着手している部分を見る限り、そんなに時間はかからないでしょう。」

「そ、そんなわけない。設計だけで3ヶ月はかかるはずだ。」

「でも、実際に動いていますよ。」

「見かけ上、そう見せているだけですよ。」

「スプリントレビューに参加しましたよね?黒々さんの質問に答える形で、データフローも見せてくれました。疑う余地はないと思いますが。」

「まさか…」

「ゼロベースで開発する狙いは、俗人化の解消とナレッジの共有です。それがうまくいったということです。」

「そんな…」

「プロダクトバックログやスプリントバックログにはストーリーポイントもついていて、見積もりもされているので、ある程度の予測が立てられます。透明感が全然違います。以前の開発の問題点は、進捗状況が見えなかったことです。」

「…」

「進捗を聞いても毎週80%だと言われ、さらに深く聞くと『難しい機能で時間がかかっている』という説明でした。」

「…」

「黒々さんの経験を、今のチームで活かしませんか?」

「あ、いや…」

どんなやり取りがあったかはわからないが、黒々さんは別のプロジェクトに移動となり、チーム・メビウスが再始動した。

そして、新たにQAメンバーを迎えることになった。第三者検証会社から来ていただくことになった。

「QAの来世でーす!よろしくお願いしまーす!」

「ウォー!」

先輩たち3人が大喜びしている。QAの採用を含め、人材のアサインに困っていたが、意外にも大榊さんの紹介だったそうだ。お子さんも大きくなり、仕事に復帰されたらしい。リモートで仕事ができることで、こういったメリットもある。来世さんならフルリモートでも問題ない。たまにオフィスに来てくれるし。

こうして、また、あの時のチームのような雰囲気で仕事ができるようになった。

半年後、一つのプロダクトに通知機能をリリースできた。大きなバグもなく、以前のプロジェクトでは2年かかっても何一つリリースできなかったが、今回は自分たちのチームが初めてリリースに成功した。他のチームの士気も上がっているそうだ。

大変なこともあるが、このチームなら乗り越えられるだろう。

Discussion