QAコミュニケーションアンチパターン 1章 新たなQAとチームの再生
新たなQAとチームの再生
ある日、龍井先輩と古林さんが口論しており、甲斐さんが仲裁に入っていた。
「何があったんですか?」
いつものように同期同士の龍井先輩と古林さんがふざけている延長だと思って聞いてみたら、状況は少し違ったようだ。
「責任のなすりつけだよ。まったく」
甲斐さんが呆れたように言う。確かに二人は本気で口論している。見ていて心地よいものではない。
「古林がさー、もうちょい情報くれたらこのバグはなかったっての」
「なんで俺に依存してんだよ」
しばらくすると、二人とも疲れたのか口数が減ってきた。ちょうど八島さんがやってきた。
「おっ、ケンカ仲裁のプロが登場だ」
「スクラムマスターを何でも屋さんじゃありませんよぉ。で、どうしました?」
「見ての通りケンカだよ」
「ほらほら、二人とも俺に話してみな」
しばらくすると二人とも反省しているようだ。
「ごめんな、ごめんな」
「いやいや、こちらこそ」
やっぱり、ふざけているようにしか見えない。
「それはそうと、最近雰囲気が悪いな」
「ですね。昨日は瀬羅さんとも一触即発になったし」
「ほんと、危なかったよ。もう」
「どうしたもんかな」
「最近、バグが増えているのは間違いないな」
龍井先輩が「あいつのせいですよ!」と不満を漏らす。
「それを言うんじゃない」甲斐さんが嗜めた。
「うーん、試しにだけど、メビウス君、QAをやってみるか?」
「はーひー」
「それ、同意と受け取っていいかな?」
「自信ないですが…」
「フォローするからさ」
「誤三さんはどうなるんですか?」
「一応、そのままQAを続けてもらうけど、影響の大きいところをメビウス君に任せようと思ってる」
「なるほど、バグが多発しているところを中心に対応するってことですか?」
「まぁ、そんな感じだね」
「はーひー」
こうして、メビウス君はQAも兼務することになった。
初めのうちは大変だったが、徐々にバグも減ってきてチームの雰囲気も明るくなってきた。
気になったのは、特に誤三さんとのコミュニケーションがほとんどなかったことだ。
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