GeminiのGemで議事録作成を自動化!表形式で安定出力するプロンプト術
💎はじめに
こんにちは。新人エンジニアのむとうです。DSKアドベントカレンダー2025 20日目の記事を務めさせていただきます。
学生時代に公式ドキュメントに心が折れそうになったとき、最初の一歩を踏み出すための嬉しい手段がブログでした。ドキュメントに載っていないクセやらバグやらが先人のおかげで解決したときは宝物を見つけたような気持ちになります。
誰かに刺さるといいなと思いつつ、楽しみながら取り組んでみたいと思います!
⏰背景:議事録作成の時間を短縮したい
2025年の夏頃、生成AI活用の一環として会議の文字起こしデータを用いた「議事録作成の自動化」にチャレンジしました。

作成したGemのチャット画面
私が重視したポイントは以下の3点です。
- 完全自動化:できるだけ人の手を介さずに作成すること
- 漏れのない抽出:決定事項と宿題事項(ToDo)を確実に拾うこと
- フォーマットの安定:毎回同じ形式で出力されること
特に「フォーマットの安定」と「細かい指示の定着」を実現するため、今回は Google GeminiのGemを活用することにしました。
📅なぜ「表形式」を選んだのか
議事録の自動化にあたり、最初は一般的なドキュメント形式での出力も検討しました。しかし、実際に試してみると以下の点で運用に課題を感じました。
- 内容の把握が難しい:文章が続くと、どこに重要な事柄があるのか一目で判別しづらい。
- 修正の手間がかかる:これが最大の理由ですが、生成AIは必ずしも100%完璧な回答をするとは限りません。ニュアンスに間違いがあった場合、文章形式だと前後の文脈を考慮して修正する必要がありますが、表形式(セル)であれば、間違った箇所をピンポイントで書き換えるだけで済みます。また、行の挿入やセル単位での移動も容易です。
🥲課題:ただの表形式では「読みにくい」
まずは細かい指定を一切せずに「表形式の議事録を作成して」とだけ指示したGemを作成し、実行してみました。

出力された表をスプレッドシートに張り付けたもの
結果として、以下の課題が浮き彫りになりました。
- 構造化の甘さ:同一の列に「議題」や「発言内容」が混ざり、視認性が悪い。
- 重複する表記:「【決定事項】」「担当:」などの文字が何度も繰り返される。
- 区切りの不整合:区切りが「発言者ごと」になってしまい、複数の議題が同じセルに入ってしまう。
これらを解決するべく、表形式の良さを発揮しパッと見て状況がわかる議事録を目指してカスタム指示の修正を行いました。
💪🏻解決策:カスタム指示の試行錯誤
Geminiと対話しながらカスタム指示を調整し、理想のフォーマットを作り上げていきました。
0. 前提:表形式出力のための指示🪄
このGemの概要、目的、成果物を明確に指定します。気遣いが素晴らしいGeminiは提案や補足、確認をしてくれることが多いですが、できるだけ情報を簡潔にするため、作成した議事録(表)のみ出力するよう指示しました。
指示概要
定例会議の議事録作成専門家として、提供される会議の文字起こしデータを元に、指定フォーマットで議事録を作成せよ。
目的
会議の議論、決定事項、宿題(ToDo)を正確に抽出し、関係者が迅速に内容を把握可能にすること。構造化された表形式により視認性と検索性を高める。
成果物
Markdown形式の表形式の議事録のみを出力せよ。挨拶、前置き、補足、提案、確認の言葉は一切出力禁止とする。
応答制限
出力はMarkdownの表のみに限定すること。 「承知いたしました」「以下に作成します」等の前文や、「修正があれば教えてください」等の後文は一切不要。
ユーザーから直接的な質問や追加依頼がない限り、対話的な返答は行わない。
ここからが本題です。工夫したポイントを抜粋して3点紹介します。
1. 表頭・表側の構造化(ツリー構造)🌲
・議題の分割
初めは表頭を「議題」「トピック」「要約」で分けていましたが、要約列に複数のトピックが挿入されてしまいました。
そこで、「議題(大項目)」「議題(中項目)」「議題(小項目)」 と列を増やし、ツリー構造にすることで、1行(1セル)の内容が単一になるように制御しました。

表頭の列数による構造の比較。上:修正前 下:修正後
副次的な効果として、要約列にある「〇〇について」等の文章が議題(小項目)に移動されることで、要約列がより簡潔になりました。
・アジェンダの固定
会議の流れ(アジェンダ)が決まっているため、議題(大項目)には以下の固定値を設定しました。
0.宿題確認/1.進捗確認/2.課題確認/3.その他相談事項/4.次回の開催予定
・空欄の取り扱い
セルに空欄(該当する内容がなし)が発生する場合、勝手に「なし」の文字が挿入されたりorされなかったりと実行の度に出力が変わることが判明しました。そこで意識的に「空欄」や「なし」の明確な指示を与えました。
基本構造
以下の5項目を持つ表を作成すること。 議題(大項目) | 議題(中項目) | 議題(小項目) | 要約 | 決定/宿題
項目別記述ルール
議題(大項目)
各トピックの開始行にのみ記述し、同じ大項目内の2行目以降は空欄とする。
以下の5項目をこの順序で必ず設定すること。
0.宿題確認
1.進捗確認
2.課題確認
3.その他相談事項
4.次回の開催予定
0〜3で該当する発言がない場合は行を作成し、議題(中項目)に「なし」と記述する。
議題(中項目)・議題(小項目)
中項目: 議論の主題を記述し、末尾に議論の中心人物を (氏名) 形式で追記する(例:会場の予約状況について(井出))。
小項目: 1つの中項目に対して決定事項や宿題が複数発生した場合、内容を分割して記述する。
中項目の決定事項・宿題が1つ以下、または無い場合は小項目を空欄とする。
2. 決定/宿題 列の作成✅
誰が承認したのか、誰が担当するのかを漏れなく、明確にするため「決定/宿題」という専用の列を設けました。
- 決定:決裁者(承認・許可を出した人)の名前を入れる
- 宿題:実務担当者の名前を入れる
こうすることで、要約の中に「担当は〇〇さん」と書く必要がなくなり、文章がスッキリしました。
決定/宿題
決定: 承認・許可を出した決裁者を「決定:氏名」の形式で記述する。
決定者の定義: 中項目に記載された人物(報告者・議論の中心人物)は、原則として決定者には含めない。承認を与えた上位者や議長のみを決定者とする。
宿題: 実務担当者を「宿題:氏名」の形式で記述する。
集約ルール: 同一の要約内容に対して「決定」と「宿題」が混在、または複数の担当者がいる場合は、行を分けず同一セル内に併記する。
決定事項や宿題を記載するために、要約欄が空白の行を増やすことは禁止する。
該当がない、または承認者が特定できない場合は空欄とする。
3. 要約の「出力ルール」を厳密に定義する📢
AIに任せると、項目によって記述が浅かったり、フォーマットがバラバラで再利用しにくいことがつきものです。
そこで、「人間による修正をできるだけゼロにする」 ことを目標に、項目ごとの性質に合わせた厳密なルールを設けました。
・アジェンダによる「情報密度」の可変
通常の議題は「1〜2文」で簡潔に済ませる一方、文脈が複雑になりがちな「3.その他相談事項」だけは「2〜3文以上記述しても良い(詳細に書く)」という例外ルールを設けました。一律の長さ制限をかけず、情報の濃淡をつけています。
【内容の粒度】
箇条書きは使わず、その議題に関する「議論のポイント(課題や背景)」と「結論・方向性」の2つの要素を盛り込み、1〜2文の簡潔な文章で記述する
特に、その行に「決定/宿題」がある場合、その具体的なアクション内容(「何を決定したか」「誰が何を調査するのか」等)が要約文に明確に含まれるようする。 決定/宿題列は担当者の確認用とし、要約だけで内容が完結するようにする。
3.その他相談事項の要約に限り、以下のルールを適用する
「議論のポイント(課題や背景)」と「結論・方向性」の2要素を盛り込み、原則として2〜3文で記述する。2〜3文で内容を収めるのが難しい場合は、会議に参加していない人が読んでも議論の概要を把握できる粒度になるまで文章を追加しても構わない。
・日付情報はフォーマットを固定して視認性を高める
「次回開催予定」などの日付情報は、「次回は8月1日にやります」のような文章表現を禁止し、「YYYY/MM/DD(曜日) HH:MM~HH:MM 場所」 という固定フォーマットのみを出力させるようにしました。
4.次回の開催予定の行の要約には、文字起こしで確認できた日程を「YYYY/MM/DD(曜日) HH:MM~HH:MM 場所」の形式で日付と場所のみを記述する。(例: 2025/08/01(金) 15:30~16:30 Meet)。「~にて開催する。」のような文章にはしない。ただし、開催がスキップされたり、日程が通常から変更されたりした場合は、その旨を説明する文章を追記する。
・文体の統一
調整を行うなかで文章量の削減で重要だったのが文体の統一です。「~である」や体言止めを禁止し、すべて「~する。」「~した。」という動詞の形に統一しました。地味な点ですが、ここを揃えるだけで 「そのまま提出できる」 レベルの品質に近づきました。
【表現スタイル】
文末は「〜する。」「〜した。」「〜となる。」「〜とする。」のように、客観的な事実や決定事項を示す動詞の形で記述する。
「〜である。」「〜だ。」といった断定表現や、体言止め(名詞で文を終える形)は使用しない。
「~に決定した」「~することとなった」のような冗長な表現は使用しない。
🎯結果・動作確認
これらの試行錯誤を踏まえたGemで議事録を再度作成してみました。

出力された表を修正せずにスプレッドシートに張り付けたもの
課題だった「情報の混在」や「文字の重複」が整理された構造化や項目の調整により解消され、パッと見て 「誰が・何をすべきか」 がわかる議事録が自動生成されるようになりました。
✨まとめ
Gemを活用することで、表形式の議事録を安定して出力できるようになりました。
実際に運用してみると、議題や決定事項、宿題事項(ToDo)の漏れはほとんどありませんでした。ゼロからの作成と比べ、全自動でベースとなる議事録が作成されるため作業時間は大幅に短縮できています。
一方で、要約に関しては欲しい情報の漏れが発生することがありました。会議や議題よって「欲しい情報」の粒度も可変するため、かなり難しい部分だと感じています。このあたりは、引き続き詳細なルール設定を工夫して改善を試みたいと思います。
カスタム指示を作り込むのは少し手間ですが、一度作ってしまえば日々の業務が格段に楽になります。
皆さんもぜひ、自分だけの 「議事録担当Gem」を作ってみてください!
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