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Embedded Systems & Electronics in 2025 いま変わりつつある 7 つのトレンド

に公開

組込みの世界は、派手な進化よりも「静かな変化」が特徴です。
しかし 2024〜2025 年にかけて、現場の開発フローや HMI、
ディスプレイ、IoT、AI の扱われ方に確かな転換が見られました。

この記事では、最近のプロジェクトや新しいモジュールを調べる中で
「これは大きな流れになりそうだ」と感じたポイントを
7 つにまとめて紹介します。


1. Android SBC が HMI の “普通の選択肢” になった

ここ数年、産業用 HMI に Android SBC を採用するケースが急増しています。

理由はシンプルで:

  • UI 開発が圧倒的に早い
  • Multi-touch, animation, Material UI が標準装備
  • WebView/Flutter との相性が良い
  • OTA や Bluetooth/Cloud 連携が作りやすい
  • パネル付き SoC の価格が安定して下がった

数年前まで「Linux + Qt が定番」だった世界に、
Android の UI/UX と開発スピードがそのまま入ってきた感じです。

今後もこの流れは続くと思います。


2. IPS パネルが標準に。TN はほとんど見なくなった

2025 年現在、IPS は「高品質」ではなく「最低ライン」という印象です。

  • TN → ほぼ消滅
  • IPS → 産業向けでも当たり前
  • 円形やカスタム形状 LCD の採用増
  • 屋外向けでは 1000nit 前後が標準化
  • PCAP(静電容量タッチ)も完全にコモディティ化

特に印象的なのは、
ディスプレイが“UI コンポーネント”として扱われるようになったこと。
解像度よりも「見た目」「視認性」「使いやすさ」が優先されています。


3. エッジ AI が“実運用フェーズ”に入った

「エッジ AI は hype」という時期が長く続きましたが、
2025 年は本当に現場で使われている場面が増えています。

採用が進んでいる例:

  • 外観検査(欠陥・不良の検出)
  • スマート自販機の物体認識
  • 在庫/棚の検知
  • 予兆保全
  • 農業の状態分析
  • シンプルな行動認識

小型 NPU (1–4 TOPS) の効率向上と、
TFLite / ONNX / RKNN などのツール整備が大きいです。

AI が“高度な追加機能”ではなく、
既存センサの延長線として扱われ始めた ことが重要だと思います。


4. 通信は「高速」より「安定・省電力」へ

5G や高速通信が話題になる一方で、
産業用途の中心は次のような方向性です:

  • Wi-Fi 6 の採用増
  • BLE Audio(新 BT stack)
  • LTE Cat.1 bis の拡大
  • NB-IoT が依然として強い
  • CAN / RS485 は代替不可能

特徴としては:

「速い通信」より「壊れない通信」が求められている。

という点に尽きます。


5. 産業機器の UI/UX が一気にモダン化

ここ数年で、産業 UI のデザイン要求が劇的に変わりました。

  • カラーパレットの統一
  • Smooth animation
  • ベゼルレスガラス
  • モダンフォントの採用
  • モバイルアプリのような UI

「産業機器なのに UI がスマホみたい」というのが
もう当たり前の感覚になっています。

メーカーが UI/UX 専任チームを持つ時代 に入ったのは
非常に象徴的な変化だと思います。


6. 組込みソフトウェアのモジュール化が進む

昔のような「巨大 monolithic firmware」は減り、
以下の要素が当たり前に要求されるように:

  • OTA 更新前提の設計
  • ドライバとサービスの分離
  • ログ・監視の統一
  • AI inference モジュールの併存
  • コンテナライクな構造(OS による)

組込みが「小さなクラウド」のようになりつつあります。


7. サプライチェーンが落ち着き、設計自由度が戻ってきた

2020〜2022 年の混乱を抜け、部材供給は明らかに安定しました。

  • 主力 IC の lead time が正常化
  • パネルメーカーの在庫が安定
  • コスト変動が穏やか
  • “長期供給前提” の設計が戻ってきた

これにより、
「仕方なく選ぶ部品」から「本来必要な部品」を選べるフェーズに戻った
という実感があります。


まとめ

2025 年の組込みは“大きな革命”ではなく、
基盤・前提・当たり前が quietly 切り替わるタイミングでした。

  • Android SBC の普及
  • IPS の標準化
  • エッジ AI の実運用
  • 通信の安定志向化
  • UI/UX の重要度向上
  • ソフトウェア構造のモジュール化
  • サプライチェーン正常化

現場のエンジニアにとっては、
非常に開発しやすく、意思決定しやすい時期に入っていると感じます。


📚 最近読んでいる個人ブログ

最後に、技術や組込み周辺テーマに関連する個人ブログをいくつか紹介します。
大規模メディアとは違う視点があって面白いです。

● Danie’s Blog

旅と日常中心だが、UI デザインの参考になる写真が多い。
https://blog.dnevnik.hr/bdanie873

● Tony Daily Life Notes

雑記ベースだが、技術視点のメモも時々ある。
https://blog.dnevnik.hr/tonywalks121

● Embedded Android SBC Blog

Android HMI、IPS パネル、産業向け SBC の実践記事。
https://blog.dnevnik.hr/kevinzhang

● Mark Kin Blog

TFT / SBC / 組込み技術に関する軽い読み物。
https://blog.dnevnik.hr/markjblog

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