Overleaf で論文執筆
はじめに
私が所属している研究室では、論文執筆に Overleaf を利用しています。Overleaf はインストール不要で LaTeX が使えるオンラインエディタです。環境構築がないので導入ハードルは低いのですが、 LaTeX のお作法や Overleaf の仕様に戸惑うことがありますよね😅
私自身が詰まったポイントや Tips をまとめました!
日本語の入力
プロジェクト開始時の状態では日本語を利用することができません。コンパイラが日本語を読み込めないためです。日本語で論文を執筆する際は下記を設定してみましょう。
- 左上メニューからコンパイラを LaTeX に設定する
- プロジェクトのルートディレクトリに
latexmkrc
というファイルを作成する
拡張子は不要です。コンパイル時の手順を定義するファイルです。(Makefile 的なものという認識です🤔) -
latexmkrc
ファイルに下記を記述する
一旦無心でコピペしましょう。詳細については後ほど解説します。
$latex = 'platex';
$bibtex = 'pbibtex';
$dvipdf = 'dvipdfmx %O -o %D %S';
$makeindex = 'mendex %O -o %D %S';
-
\documentclass{}
を確認する
学会のテンプレートでは既に設定されいると思いますが、念の為確認しておきましょう。文章クラスの種類についてはこちらにまとまっていました。和文のクラスであれば問題ないです。
latexmkrc の中身が知りたい
日本語は入力できるようになったけど、latexmkrc
の中身を理解せずに使うのは嫌だ!という私のために何を設定しているのか説明します。
-
$latex
.tex
ファイルをコンパイルする際のコマンドを指定します。日本語をコンパイルする際はplatex
が一般的みたいです。 -
$bibtex
.bib
ファイルをコンパイルする際のコマンドを指定します。日本語をコンパイルする際はpbibtex
が一般的みたいです。 -
$dvipdf
latex
が出力したDVI
ファイルを PDF に変換するコマンドを指定します。日本語を変換する際はdvipdfmx
が一般的みたいです。 -
$makeindex
索引を作成するコマンドを指定します。\usepackage{makeindex}
利用時に必要だそう。
基本のコマンド
文字
これは\textbf{太字}です。
こうすると\testit{斜体}になります。
重要な箇所は\underline{下線}を引いてもよいでしょう。
コマンド | 意味 |
---|---|
\textbf{} |
太字 |
\textit{} |
斜体 |
\underline{} |
下線 |
リスト
箇条書き
\begin{itemize}
\item Go
\item TypeScript
\item Python
\end{itemize}
番号付きリスト
\begin{enumerate}
\item フシギダネ
\item フシギソウ
\item フシギバナ
\end{enumerate}
チャプターとセクション
\chapter{これはチャプターです}
\section{こうするとセクションになります}
\subsection{サブセクションも作れますよ}
表の作成
GUI で作成
エディタよりもGUIで表を作成したい方は Tables Generator がオススメです。エクセルの要領で表を作成できますし、とりあえず表を作成して叩き台にするという使い方もできます。
Booktabs table style を選択すると美しい表が作成できます✨
参考文献
なぜか表示されない
参考文献が表示されないときは下記を確認してみましょう。多くの場合これで解決できました。
-
本文中で
\cite{}
する
LaTeX では本文中で参照した文献のみ表示されます。.bib
ファイルに参考文献を書くだけでは表示されません。 -
.bib
ファイルを指定する
.bib
ファイルの指定は拡張子不要です。例えばsample.bib
を読み込みたいときは\bibliography{sample}
とします。またファイル名は大文字と小文字を区別するのでタイプミスがないか要チェックです。ファイル名は日本語も指定できますが英語が無難でしょう。 -
\bibliographystyle{}
を指定する
標準で搭載されているスタイル以外を利用する場合は、プロジェクトに.bst
ファイルをアップロードしましょう。 -
.bib
ファイルのエラーを確認する
.bib
ファイルにエラーがあると正常に読み込めないことがあるようです。その場合は、警告メッセージを参考にしてエラーを修正しましょう。 -
フォルダ名を確認する
フォルダ名にスペースや特殊文字が含まれていないか確認しましょう。.bib
ファイルやメインの.tex
ファイルが含まれているフォルダ名は要チェックです。フォルダ名にスペースや特殊文字が含まれているとコンパイラが検出できないことがあるようです。
またメインの.tex
ファイルはプロジェクトのルートディレクトリに置くことが推奨されています。 -
\typeout{}
を追加する
ここまでチェックした上で解決できない場合は、かなり特殊な状況だそうです。そんなときは\bibliography{}
の直前に\typeout{}
を追加しましょう。
\typeout{} % これを追加する!
\bibliography{...}
おわりに
本来は論文内容の推敲に時間を割くべきであるのに、 LaTeX のお作法や Overleaf の仕様と向き合っている時間が長いと少しずつ気力が失われますよね。皆様の論文執筆が少しでも快適になりますように🤞
この記事が誰かのお役に立てば幸いです🙇♂️
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