x402決済プロトコル：ステーブルコイン決済の未来
こんにちは！
ブロックチェーンエンジニアの Dr. Doru です。
昨日、Coinbaseから発表されたHTTP経由で直接ステーブルコインによる即時決済を可能にする決済プロトコル「x402」について解説記事を書こうと思います。
ピンと来ない方もおられるかと思いますが、ステーブルコインのマイクロペイメントが人間でもAIでもプログラムでも簡単にインスタントにできるようになる。その実装も簡単！これって熱いかもよっていう話です。
背景
以前までの決済、クレジットカード、銀行振込、サブスクリプションといった決済手段は地理的な制約や、費用といったもののため決済のスピードや組み込みというものが遅く使いにくいものとなっていました。
以前から「x402」プロトコルに関する研究は存在しましたが、L2が存在していない頃のブロックチェーンの技術ではガス代が高いことから、ステーブルコインによるマイクロペイメント決済は現実的なものではありませんでした。しかし、BaseなどのL2ではガス代を1セント未満にすることができるようになり、また自立型AIエージェントやステーブルコインが台頭してきたことで、以前とは異なる決済を即時かつ摩擦がないよう行うことが求められてきています。
このような理想を実現するのがこの「x402」の規格になります。
説明
x402 の規格は簡単にまとめると、「ステーブルコイン支払いを既存のWebシステムに組み込むための標準規格」です。
具体的には既存のHTTPの仕組みに対して「HTTP 402 Payment Required」を復活させ既存のHTTPの仕組みでトランザクションを完了させされるようにするということです。
仕組み
では、どのようにこのHTTPの仕組みが機能するのかについて見ていきたいと思います。
- クライアント (AI エージェントまたはアプリ) は、必要なリソース (例: GET /api) を使用して、x402 対応の HTTP サーバーへのアクセスを要求
- サーバーは、支払いの詳細 (価格、受け入れ可能なトークンなど) を含む 402 Payment Required ステータスで応答
- クライアントは、標準の HTTP ヘッダーを通じて、サポートされているトークン (USDC など) を使用して、署名された支払いペイロードを送信
- クライアントは、エンコードされた支払いペイロードを含む X-PAYMENT ヘッダーを含めてリクエストを再試行
- 支払いファシリテーター ( Coinbase x402 ファシリテーター サービスなど) は、チェーン上で支払いを検証および決済し、リクエストを満たす
- サーバーは、トランザクションの成功を確認する X-PAYMENT-RESPONSE ヘッダーを含む、要求されたデータをクライアントに返す
基本的にクライアント側からはサーバーのステータスを受け取り次第、ウォレットなどを用いて支払いの署名を作成しサーバーにリクエストを送ります。それを元にサーバーはFacilitatorにトランザクションの発行、実行を依頼するという流れになります。
具体的に何ができるようになるのか
- クライアント（人でもプログラムでもAIでも）が、ウェブページを読み込むようにすぐ支払いができるように
- HTTP経由のステーブルコイン決済
- 既存のHTTPインフラそのまま活用
既存のHTTPの仕組みに追加のリクエストや、Webサイトのクライアント/サーバー、フローの変更、広範な UI 統合なしでこの仕組みを用いることができます。
ユースケース
x402の規格を用いたユースケースは以下のようなものが考えられると思います。
- 有料API:スムーズなマイクロペイメントにより各 API 呼び出しを即座に収益化し、サブスクリプションベースのモデルの障壁と複雑さを排除します。
- ソフトウェアのロック解除:サブスクリプションや複雑な支払いなく、プレミアム機能やコンテンツへのシームレスなアクセスを提供します。
- 従量制サービス:実際のリソース使用量に基づいてユーザーに動的に課金し、前払いや請求サイクルの煩わしさなしに、スケーラブルな従量課金制エクスペリエンスを実現します。
AI×Cryptoの文脈ではより自立型AIが自由な決済を行うような仕組みが考えられると思いますし、Superfluidのような使用量ベースのプロトコルが当たり前になるというのがこの規格で実現されるのかなと期待しています。
開発者向け資料
サービス提供者、購入者向けの実装方法はこちらに記載されています。基本SDKの読み込みで簡単に実装できるので私も後ほど試してみようと思います。
まとめ
「x402」はよりAIや人間がスムーズにステーブルコイン取引を可能にする革新的な規格であると思います。これを用いたユースケースがより出てくると思うので注視していきたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました！
本日はここまで！
またの機会に、アディオス！
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