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AIシステムの現場導入において重要なこと

2025/02/04に公開

最近、昔の金八先生のドラマにハマってしまっている大谷です。

先々週、先週と2週間連続でAIを使ったシステムを現場に導入💪してきました。現場では色々なトラブルがつきもの、特にAIシステムならではの難しさがあったりします。細かいところはお客様との関係上記載できませんが、ざっくりどういったことが生じる可能性があるか、どういった点が重要になるかなど、経験を踏まえて書いてみます。なお、今回のAIシステムは、AIを使った検査装置で、ITシステムなどにAIを組み込むのとは違うところがあることは予めご理解いただければと思います。
今回はほとんど文字ばかりなので、読みづらいかもしれませんがご容赦ください。

AIシステムの難しさ

AIシステムがこれまでのシステム開発とは異なる点が多々あります。以下にざっくり、AIならではの点を挙げてみます。

  • PoCへの理解:AIを実際に作って試行錯誤が必要なことが理解してもらえない
  • 予算:不確実なものに対して承認を得られない
  • 適切なデータ:AIの学習に適切なデータが量・質ともに揃わない(お客様が十分にデータがあるという場合でもAIに適さないデータであるケースもある)
  • AIに対する期待値:期待が大きすぎて目標設定が高すぎる
  • AIへの落胆:期待が大きすぎたときの反動が落胆に変わる
  • 現場の協力:既存業務で忙しい、AIに対する警戒心(対抗心?)などから協力してもらえない

従来のウォーターフォール型の開発と違って、AIの開発は実際にやってみて試行錯誤して進めていくというところがなかなかお客様にはなかなか理解してもらえないところがあります。特に生産現場においては、これまで設備を購入したらすぐ使えるという中で仕事をされてきた人にとって、AIが入っているから検証が必要となると、お客様への説明が不十分だとできるかわからないものを購入させるのかとなってしまいます。

上で挙げた項目のほとんどが、AIを提供する側とAIを使用する側のAIに関する知識の差によることが多く、最初は小さなギャップでも後々大きなギャップとなり、いわゆるPoCの壁として立ちはだかることになります。お客様にAIのプロジェクトの特徴を理解してもらい、目標や進め方を理解してもらって協力体制を構築できるかというところが、テクニカルな部分よりも大きいと個人的には思っています。

また、最近はコンペ形式でのベンター選定が増えてきており、少々のトライアルした結果や価格の安さでベンダー選定し、PoCなしにいきなり購入するケースも増えています。ところが、いざ進めてみると思うような結果が出ず、そのあとの負担がかなり重くなるケースもあります。(現にAIソフトを購入したけど使えなかったということも多発しています)

現場作業の難しさ

しっかりPoCを乗り越えて、いざ現場でとなったときにも現場ならではの難しさがあります。

  • 導入に必要な水準:業務で問題なく活用できるというレベルはPoCよりも高い水準が求められる
  • 現場ならではの環境:天候や温湿度、外乱光、製品のばらつき、など学習で使用したデータと条件が違って精度が出ない
  • 現場のプレッシャー:すぐに動くと思っている現場の方々からの目には見えない圧力(多くがAIへの関心、期待値だが、一部猜疑心など様々)
  • 現場の既存システムとの連携:事前に試すことができないことが多く、現場でぶっつけ本番となる
  • 現場環境の制約:トラブル発生時にネットワークに繋ぎたくても繋げないなど
  • 現場への引き継ぎ:導入した後に使うのは現場の方々だが、AIの知識が豊富なわけではない中でAIシステムを使ってもらう必要がある

事前に準備できることもあれば、現場でその場でしか対応できないこともあります。とにかく可能な限り、自社の環境で近いことが再現できることは準備しておくことが必要です。現場で何かあったときには現場にいない人にも待機してもらい、すぐにリモートでも対応してもらうことも必要になります。現場の作業で時間が掛かり、焦っている状態だと、お客様も不安になり、信用を失っていきます。 一度お客様に大丈夫かと思われてしまうと、悪い印象が残ってしまい、それを払拭するのが大変です。

できることは事前準備しておくこと、想定外のことが起きた時のサポート体制、お客様への進め方の事前説明、タイムマネジメントが重要な要素になります。特にお客様にどういう進め方で行うのか、今どこまで進んだのか、というところをしっかり説明して信用を失わないことが重要です。

今回の現場導入

今回の現場導入でも、事前準備を行ってましたが、いくつか緊急のトラブルがありました。まず、メインの開発者がコロナに罹ってしまい、現場に来れなくなってしまいました。もう一人の開発者が頑張って穴埋めをしてくれ、またコロナに罹った開発者も体調不良な中、リモートで支援してもらい難局を乗り切りました。🙏

また、現場で立ち上げた装置で流す製品は、温度によって特性が変わることが今回わかり、事前に検証していたものとは画像が異なり、誤判定が出てしまいました。予めレシピを変更できるようにしておいたので、こちらも問題なく対応することができました。

現場の経験から培った現場力は、AIベンダーとしてはアピールが難しいポイントです。ただ単にAIを作るだけではなく、しっかりと現場に実装して使ってもらえるというところが本当のAIベンダーの実力だと思ってますし、今後もそれをしっかりと続けたいと思います!

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