データポータルの会話分析とは?BigQuery でのデータエージェント構築手順
はじめに
こんにちは、クラウドエース株式会社 第四開発部の多賀です。
データ分析の現場でよくある悩みが、「先週の〇〇のデータを出して」「このグラフを地域別で絞り込んで」といった、ビジネス側からの突発的なデータ抽出依頼です。これまでは、データ担当者がその都度 SQL を書いたりダッシュボードを修正したりして対応する必要がありました。
しかし、データポータルに「会話分析」機能が統合されたことで、SQL が書けないビジネスユーザー自身もチャットでデータと対話するだけで、欲しいインサイトやグラフを即座に引き出せるようになりました。なお、この機能はデータポータルだけでなく、BigQuery 上からも直接利用することが可能です。
本記事では、この会話分析の概要から、裏側となる BigQuery でのエージェント設定、そして AI の回答精度を上げるカスタマイズ方法までを詳しくご紹介します。
対象読者
- 社内に「自然言語でデータ分析できる環境」を導入したいデータアナリスト・BIエンジニア
- SQL 不要のセルフサービスBI環境を構築したい DX推進担当者
会話分析の概要
新しくデータポータルに追加された「会話分析(Conversational Analytics)」は、一言で表すと「BigQuery のデータエージェントを、データポータルの画面上で直接操作できる機能」です。
2026年4月のアップデートにより、データポータルのトップ画面に新設された「会話分析」タブから、対象のデータエージェントにアクセスできるようになりました。
これにより、ユーザーはデータポータルから離れることなく、チャットUIを通じてデータソース(BigQuery)と直接対話することが可能です。また、作成したエージェントはデータポータルだけでなく、BigQuery 側から直接対話して分析を行うこともできます。主な特徴とできることは以下の3点です。
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自然言語による即時データ抽出と視覚化
利用者が「2025年の東京の平均気温と降水量を教えて」のように自然言語でチャットに入力すると、バックエンドの AI が自動で SQL に変換し、 BigQuery に対してクエリを実行します。
結果は単なる数字の羅列ではなく、テキストによる解説や、最適な形式のグラフとしてチャット画面上に表示されます。 -
文脈を引き継いだ連続的な深掘り
会話分析のエージェントは前の会話の文脈を保持します。
たとえば、先ほどのデータを算出した後に「それを週別の推移にして」「さらに前年と比較して」「埼玉エリアにも絞って」と連続して質問を投げるだけで、条件を付け加えながら分析を深掘りしていくことができます。 -
データに基づく将来予測
過去の実績データを集計・可視化するだけでなく、蓄積されたデータをもとに将来のトレンドを予測することも可能です。
たとえば、「今年の東京の気温推移を予測して」と質問すると、AI がデータからトレンドを読み取り、予測値を含んだグラフを生成してくれます。これにより、専門的な機械学習の知識がなくても、ビジネスの需要予測などをチャット上で手軽に実行できるようになります。

より詳細な仕様や制約事項などについては公式ドキュメントも合わせてご参照ください。
会話分析の設定方法
本章では、実際に会話分析を利用するための流れを、管理者側の設定から利用者側の操作まで、3つのステップで解説します。
ステップ1:BigQuery でのデータエージェント作成(管理者側)
まずは、Google Cloud コンソールでエージェントを作成します。
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Google Cloud コンソールの BigQuery 画面から、新しいエージェントを作成します。

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任意のエージェント名や説明を入力し、「ソースを追加」から分析の対象となるデータセットやテーブルをエージェントに紐づけます。

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エージェントへのアクセス権限(IAM)を利用させたいユーザーやグループに付与します。対会話分析機能を利用する際は、対象のユーザーに対して以下の 3 つのロールを適切に付与します。
- Gemini データ分析データ エージェント ユーザー
- Gemini for Google Cloud ユーザー
- BigQuery データ閲覧者
ステップ2:AI の精度を上げるためのデータ定義機能(管理者側)
単純にテーブルを紐づけただけでも基本的な質問には回答できますが、実業務でより正確な結果を得るためには、AI にデータの意味や独自のルールを正しく理解させる必要があります。ここで活躍するのが以下のカスタマイズ機能です。
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メタデータ付与
データベースに対して、「これは降水量(ミリメートル)を指す」といった説明を AI 向けに付与できる機能です。
BigQuery のグローバルなテーブル定義(スキーマ)には影響を与えず、このエージェント内に限定されたローカルな設定として保持されるため、本番環境のデータ定義を汚すことなく、AI 向けの注釈だけを柔軟に追加できます。

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検証済みクエリの追加
自然言語の質問に対する「正解の SQL」をあらかじめエージェントに登録しておく機能です。
AI に対して「こういう質問が来たら、このようにSQL を組み立てるように」と教え込む、いわゆるプロンプトエンジニアリングにおける「Few-Shot プロンプティング」のような役割を果たします。
管理者が手動で作成できるほか、Gemini によって候補を自動生成させることも可能です。「Gemini が生成した候補を表示」機能を使うと、AI がテーブル構成を読み取って「よく聞かれそうな質問と SQL のセット」を複数提案してくれるため、管理者はその正確性を確認(検証)して追加するだけで簡単に登録が完了します。
この検証済みクエリをいくつか登録しておくことで、ユーザーから少し複雑な質問が投げかけられた際にも、AI がこの「正解の型」を参考にして正しいクエリを生成できるようになります。

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用語集の反映
組織独自のビジネス用語や特殊な集計条件を、AI に正しく理解させるための機能です。
この用語定義は、エージェント側で個別にカスタム作成できるだけでなく、Knowledge Catalog(旧 Dataplex) で管理しているビジネス用語集を併用することが可能です。
例えば、「第1テストブロック」といった社外では一般的でない独自の用語に対して、「第1テストブロックはさいたま市と東京都のデータを指す」といった定義を登録しておきます。これにより、ユーザーが「第1テストブロックの降水量を教えて」と質問した際、AI がその意図を汲み取り、対象エリアを正確に絞り込んだ SQL 条件を自動生成してくれます。

ステップ3:会話分析の使用方法(利用者側)
設定が完了したら、実際にデータ探索を行います。本機能は「データポータル」と「BigQuery」のどちらからでも利用可能です。
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データポータルから利用する場合
権限を付与されたユーザーは、データポータルの「会話分析」タブから対象のエージェントを選択します。

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BigQuery から利用する場合
BigQuery のエージェントハブや、各エージェントの詳細画面からもチャットを開始できます。

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チャットでの対話
どちらからアクセスした場合でも、使い方は同じです。チャットボックスに自然言語で質問を投げかけるだけで、裏側で AI が用語集やメタデータを加味した精度の高いクエリを発行し、結果を表示してくれます。

まとめ
本記事では、データポータルに新しく統合された「会話分析」機能について、その概要から BigQuery での設定、そして AI の精度を高めるカスタマイズ方法までをご紹介しました。
「ユーザー自身がデータと対話して直接インサイトを得る」という新しいアプローチは、社内のデータ活用において大きなパラダイムシフトをもたらします。
本記事が、皆様の組織における BI環境構築の一助となれば幸いです。
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