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AI は「作る」から「決める」へ。Agentic AI Summit '26 Spring を前に専門性について振り返る

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こんにちは、クラウドエース株式会社 技術本部 第三開発部の宮川です。
2026 年 3 月の「Agentic AI Summit '26 Spring」開催が目前に迫っています。今回のサミットが掲げるテーマは「生成から実行(Agentic)へ」。 AI が自律的に業務を完結させる時代の到来です。

3 月のサミットの前に、改めて 2025 年 秋に開催された「AI Agent Summit ’25 Fall」の内容を振り返ってみたいと思います。AI 活用は「生成」から、自律的に行動する「エージェント(Agentic)」へと進化を遂げようとしています。このような時代だからこそ、当時の大きなテーマであった「専門性の変革」という切り口から、これからの AI 時代に我々がどう向き合っていくべきか、改めて考えていきたいと思います。

本記事の対象読者

  • AI エージェントを自社ビジネスにどう組み込むべきか悩んでいるビジネスリーダー
  • 「AI に仕事を奪われる」という漠然とした不安を抱えている専門職の方
  • Google Cloud の最新 AI ツール(Gemini Enterprise や ADK)の概要を手早く掴みたいエンジニア

本記事で伝えたいこと

AI が自律的に行動し始めた今、専門職としての価値はどこに残るのでしょうか。本記事では、セッションで語られたことを踏まえ、「作業から判断へのスキル転換」という生存戦略を整理し、一人のエンジニアとしてどう差別化を図るべきか、私の考察を交えてお伝えしたいと思います。


1. 2025 年 秋:誰もが「分身」を持つ時代の幕開け

2025 年 10 月 30 日 から 31 日にかけて開催された「Google Cloud AI Agent Summit '25 Fall」は、登録者数 1 万人、オンライン視聴 7 万人を超える大規模なイベントでした。
そこで提示されたキーメッセージは、「AI を単なる道具から、自律的に業務を完結させるパートナーとして実装する」 というパラダイムシフトであり、それを支える技術が急速な「民主化」を遂げた瞬間でもありました。

自分の分身を作るための技術

専門知識がなくても、誰もが高度なエージェント(分身)を作成できる環境が整いました。
イベントのセッションで主に紹介されていた技術・ツールは以下の通りです。

  • Gemini Enterprise (Agent Designer / Workbench): ノーコードで社内データと連携し、自分と同じ知識を持つエージェントを作成できます。
  • ADK (Agent Development Kit): エンジニア向けに、数行のコードでエージェント構築を可能にする開発キットです。
  • Agent Engine: 作ったエージェントを動かすためのフルマネージド基盤で、インフラの専門知識は不要です。
  • Gemini Code Assist / Gemini CLI: コーディング自体を AI が支援・代行し、実装における専門性を補完します。

2. BigQuery が実現する「自律型データウェアハウス」

Google Cloud のデータウェアハウスである BigQuery もまた、単なる「データを置く場所」から、分析業務を強力に支援する「自律型データウェアハウス」へと進化したと Agent Summit で語られていました。
具体的には、以下のようなエージェント機能が紹介されていました。

  • Data Engineering Agent: 自然言語で「やりたいこと」を指示するだけで、データパイプラインを構築します。
  • Data Science Agent: モデル作成や予測、データフレームの自動取り込み・クリーニングを支援します。
  • Conversational Analytics Agent: 対話形式での分析を可能にし、BigQuery の画面から直接エージェントを起動できます。

これにより、非データサイエンティストでも基本的な分析業務を完結できるようになります。セッションでは、これこそが専門家が本来取り組むべき「付加価値の高い業務(新事業の予測モデル構築など)」へ集中できると紹介されていました。

3. 専門職のアイデンティティ消失と、その「光と影」

このように AI が高度な作業を肩代わりしてくれるようになった世界は、一見すると希望に満ちています。しかし、便利な道具の登場という「光」の裏側には、専門職のアイデンティティ消失という「影」の議論が潜んでいることを忘れてはなりません。

AI で誰でも高品質なアウトプットが出せる今、専門職の人々からは「俺たちの積み上げてきたものはどうなるのか?」という切実な声が上がっています。
これまで専門職は、資格取得や実務経験という「壁」を超えることで、その希少性と価値を証明してきました。しかし、AI の進化によってその壁を容易に乗り越えられる可能性が出てきていると、私は考えています。これまでの「専門性があるから、良いアウトプットが出せる」という前提が崩れてしまう日が来るのかもしれません。

ここで問われているのは、我々自身の 「役割の転換」 であると思います。

イベントで紹介された役割転換の事例

職種 Before:従来の価値 After:これからの価値
データアナリスト SQL を書きデータを集計する「技術力」 データからビジネスの意思決定を導く「参謀」
クリエイター ゼロから案を出す「産みの苦しみ」 無数の案から本物を選ぶ「決断者」

結論:新しい専門性とは

これからの専門性は、作り方の技術である 「How」 から、なぜ作るのかという 「Why」 と、何を選ぶのかという 「What」 へとシフトしていくことでしょう。これは、私が日々の開発案件に携わる中で、一人のエンジニアとして強く実感している変化でもあります。

AI によって誰もが高品質なアウトプットが出せるようになりますが、そのアウトプットが「本当にビジネスの課題を解決しているのか」、あるいは「提示された解が本当に価値あるものか」を判断するのは、やはり人間にしかできない領域です。

こうした「真の価値」を見極める 「審美眼」 を持つための技術研鑽は、AI 時代においてこそ、その重要性を増していくはずです。専門性の本質は「作業の完遂」から「価値ある問いを立て、決断を下す力」へと進化していくのだと、私は考えています。


公式情報・セッション詳細

イベントの詳細や最新機能については、以下の公式リソースを確認してください。


おわりに

AI が「作る」から「決める」フェーズへと移行する中、私たちエンジニアに求められる専門性もまた、劇的に変化しています。単なる実装スキルの習得に留まらず、AI をパートナーとして使いこなし、ビジネスの価値を最大化するための決断を下す。そんな新しい専門性の形を、私自身も模索し続けていきたいと考えています。

間もなく開催される「Agentic AI Summit '26 Spring」でも、さらなる進化のヒントが得られるはずです。みなさんも、これからのエージェント時代を生き抜くための新しい知見を吸収していきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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