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rustup で Rust コンパイラーを簡単インストール

2020/09/18に公開約3,500字

以前、multirust を利用した Rustkコンパイラのインストール という記事を書きましたが、multirust はメンテナンスされないよ宣言 がなされてしまいました。そして代替ツールとして、rustup が用意されました。今回は rustup を使ったコンパイラーのインストールと、multirust 環境からの引越しについて解説します。

対象となる環境

rustup も UNIX ライクシステムで動作するツールです。MacOS や Linux では動作するでしょう(私は macOS Sierra で使ってます)。

Windows 10 でも使えますが、Visual Studio(2013 以降)もしくは、Visual C++ Build Tools 2015 のインストールが必要です。また標準のツールチェーンを x86_64-pc-windows-msvc へと変更する必要もあります。

まっさらな環境へインストールするには

rustup のサイト にあるコマンドをコピペして実行するだけでインストールが始まります。

% curl https://sh.rustup.rs -sSf | sh

上記のコマンドを実行すると、途中で次のように表示されてインストール設定の変更を行うかどうかを確認されます。1 を入力すれば、最新の stable 版がインストールされます。なおこの時インストールされるのは、rustccargorustup の 3 コマンドです。

Current installation options:

   default host triple: x86_64-apple-darwin
     default toolchain: stable
  modify PATH variable: yes

1) Proceed with installation (default)
2) Customize installation
3) Cancel installation

パスの設定

環境変数の変更を行なった場合、~/.cargo/env に環境変数の設定ファイルが作成されます。これを .zshrc などで読み込むことで、パスの設定が行われます:

source ~/.cargo/env

インストール設定の変更

次の画面が表示された時に 2 を選ぶと、インストールするツールを変更できます。ターゲットとするアーキテクチャ、リリースチャンネル、環境変数 PATH の変更するかしないかを、対話的に設定します。

Current installation options:

   default host triple: x86_64-apple-darwin
     default toolchain: stable
  modify PATH variable: yes

1) Proceed with installation (default)
2) Customize installation
3) Cancel installation

例えば、macOS 向けの Rust コンパイラーを、beta チャンネルからインストールして、環境変数を変更しないなら、次のように設定します。

項目
default host triple x86_64-apple-darwin
default toolchain beta
modify PATH variable n

multirust からの引越し

次の 4 ステップで multirust からの引越しができます。

  1. multirust のアンインストール
  2. ~/.multirust の削除
  3. /usr/local/lib/rustlib/uninstall.sh が削除されているか確認し、削除されていなければ削除する
  4. まっさらな環境へのインストールするように、rustup をインストールする

コマンドを順に書くと次のようになります:

% curl -sf https://raw.githubusercontent.com/brson/multirust/master/blastoff.sh | sh -s -- --uninstall
% rm -rf ~/.multirust
% rm -f /usr/local/lib/rustlib/uninstall.sh
% curl https://sh.rustup.rs -sSf | sh

rustup でできること

Rust コンパイラーのインストール以外に、次のことが可能です。

  • 最新バージョンへのアップデート
  • 異なるリリースチャンネルからのインストール
  • 使用するツールチェーンの設定(リリースチャンネル、バージョン番号)
  • クロスコンパイル

ここでは上の 2 つ、アップデートと異なるリリースチャンネルからのインストールについて、少し説明します。

最新バージョンへアップデートするには

次のように update コマンドを rustup で実行します。

% rustup update

rustup 自体のアップデート

rustup 自体のアップデートは以下のようにします。

% rustup self update

なお、rustup のバージョンは-Vオプションで確認できます。

% rustup -V

異なるリリースチャンネルからのインストール

Rust には stable / beta / nightly と呼ばれる 3 つのリリースチャンネルがあります。nightly は最新の開発版で、stable がリリース版です。beta では nightly でのテストが終わりリリースに向けた機能が利用できます。

rustup を利用すると、それぞれのリリースチャンネルからインストールできるほか、使用するリリースチャンネルの変更や、リリースチャンネルを指定した実行が行えます。

まずインストールは、次のように行います:

% rustup install beta

install コマンドに続いて、リリースャンネルを指定することで、そのチャンネルからツールをインストールします。上記の例では beta チャンネルから、インストールを行っています。

インストールした beta チャンネルのコンパイラーを標準で利用するなら、次のように default コマンドを実行します

% rustup default beta

標準の環境は変えないけれど、このプロジェクトは nightly でビルドしたい。そんな時は、run コマンドを使うと、実行に使用するツールのリリースチャンネルを指定できます。

% rustup run nightly cargo run

まとめ

Rust を始めるなら、ターミナルを開いて、ただ % curl https://sh.rustup.rs -sSf | sh とやれば必要なツールがインストールできます。楽チンですね。悩む必要もありません。

これで楽しい Rust ライフをはじめましょう!

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