rustup で Rust コンパイラーを簡単インストール
以前、multirust を利用した Rustkコンパイラのインストール という記事を書きましたが、multirust はメンテナンスされないよ宣言 がなされてしまいました。そして代替ツールとして、rustup が用意されました。今回は rustup を使ったコンパイラーのインストールと、multirust 環境からの引越しについて解説します。
対象となる環境
rustup も UNIX ライクシステムで動作するツールです。MacOS や Linux では動作するでしょう(私は macOS Sierra で使ってます)。
Windows 10 でも使えますが、Visual Studio(2013 以降)もしくは、Visual C++ Build Tools 2015 のインストールが必要です。また標準のツールチェーンを x86_64-pc-windows-msvc
へと変更する必要もあります。
まっさらな環境へインストールするには
rustup のサイト にあるコマンドをコピペして実行するだけでインストールが始まります。
% curl https://sh.rustup.rs -sSf | sh
上記のコマンドを実行すると、途中で次のように表示されてインストール設定の変更を行うかどうかを確認されます。1 を入力すれば、最新の stable 版がインストールされます。なおこの時インストールされるのは、rustc
、cargo
、rustup
の 3 コマンドです。
Current installation options:
default host triple: x86_64-apple-darwin
default toolchain: stable
modify PATH variable: yes
1) Proceed with installation (default)
2) Customize installation
3) Cancel installation
パスの設定
環境変数の変更を行なった場合、~/.cargo/env
に環境変数の設定ファイルが作成されます。これを .zshrc
などで読み込むことで、パスの設定が行われます:
source ~/.cargo/env
インストール設定の変更
次の画面が表示された時に 2 を選ぶと、インストールするツールを変更できます。ターゲットとするアーキテクチャ、リリースチャンネル、環境変数 PATH
の変更するかしないかを、対話的に設定します。
Current installation options:
default host triple: x86_64-apple-darwin
default toolchain: stable
modify PATH variable: yes
1) Proceed with installation (default)
2) Customize installation
3) Cancel installation
例えば、macOS 向けの Rust コンパイラーを、beta チャンネルからインストールして、環境変数を変更しないなら、次のように設定します。
項目 | 値 |
---|---|
default host triple | x86_64-apple-darwin |
default toolchain | beta |
modify PATH variable | n |
multirust からの引越し
次の 4 ステップで multirust からの引越しができます。
- multirust のアンインストール
-
~/.multirust
の削除 -
/usr/local/lib/rustlib/uninstall.sh
が削除されているか確認し、削除されていなければ削除する - まっさらな環境へのインストールするように、rustup をインストールする
コマンドを順に書くと次のようになります:
% curl -sf https://raw.githubusercontent.com/brson/multirust/master/blastoff.sh | sh -s -- --uninstall
% rm -rf ~/.multirust
% rm -f /usr/local/lib/rustlib/uninstall.sh
% curl https://sh.rustup.rs -sSf | sh
rustup でできること
Rust コンパイラーのインストール以外に、次のことが可能です。
- 最新バージョンへのアップデート
- 異なるリリースチャンネルからのインストール
- 使用するツールチェーンの設定(リリースチャンネル、バージョン番号)
- クロスコンパイル
ここでは上の 2 つ、アップデートと異なるリリースチャンネルからのインストールについて、少し説明します。
最新バージョンへアップデートするには
次のように update
コマンドを rustup
で実行します。
% rustup update
rustup 自体のアップデート
rustup 自体のアップデートは以下のようにします。
% rustup self update
なお、rustup のバージョンは-V
オプションで確認できます。
% rustup -V
異なるリリースチャンネルからのインストール
Rust には stable / beta / nightly と呼ばれる 3 つのリリースチャンネルがあります。nightly は最新の開発版で、stable がリリース版です。beta では nightly でのテストが終わりリリースに向けた機能が利用できます。
rustup
を利用すると、それぞれのリリースチャンネルからインストールできるほか、使用するリリースチャンネルの変更や、リリースチャンネルを指定した実行が行えます。
まずインストールは、次のように行います:
% rustup install beta
install
コマンドに続いて、リリースャンネルを指定することで、そのチャンネルからツールをインストールします。上記の例では beta チャンネルから、インストールを行っています。
インストールした beta チャンネルのコンパイラーを標準で利用するなら、次のように default
コマンドを実行します
% rustup default beta
標準の環境は変えないけれど、このプロジェクトは nightly でビルドしたい。そんな時は、run
コマンドを使うと、実行に使用するツールのリリースチャンネルを指定できます。
% rustup run nightly cargo run
まとめ
Rust を始めるなら、ターミナルを開いて、ただ % curl https://sh.rustup.rs -sSf | sh
とやれば必要なツールがインストールできます。楽チンですね。悩む必要もありません。
これで楽しい Rust ライフをはじめましょう!
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