幾何学的処理でGRIN配列を作る
Fusionのスケッチをフル活用するといい感じにGRIN配列(っぽいもの)が作れます。
主に使う要素はポリゴンと直線、あとは少々の数学的知識です。
※完全な動作については未検証なのでご了承ください
利点
流れ作業です
コピペでなんとかなるし、計算式も2本ぐらいしか使いません
数学的に位置決めを行うので、Kicad上で調整を行う必要は基本的にありません
通常の曲率範囲で、19.05mmピッチ/18.5mm角キーキャップであれば干渉しないと思われます
欠点
手戻りが難しいというか、ほぼ不可能
1つずれたら、その先作業した部分は全部作り直しです
線が交錯するため、スナップが変なところに効いてミスする可能性も高いです
処理が重すぎて並みのPCだとFusionが爆発したりSCP-8900-EXしたりします
曲率を決める
まず原点となる1u角の正方形を配置します。この文章では原点が水平である前提で書かれていますが、水平じゃなくても多分大丈夫です。
この原点がすべての配列を固定するようになります。
2点指定のポリゴンを使い、原点正方形の上の角2か所を選択し、中心が上側に来るように描画させます。辺の数は70~120ぐらいの適当な数に設定します(だいたい80で本家GRINっぽい曲率、それより小さいとより丸く、大きいとなだらかになります)。
描画されたポリゴンの各辺をもとに、1u角の正方形を2点指定のポリゴンで右方向に増やしていきます(辺の数が4だと正方形です)。4つぐらい傾いた正方形ができたら、一番端の正方形2つを除いた内側の正方形を選択し、移動でコピー&移動していきます。
まず180°回転させ、点から点への移動モードに切り替えたら、移動対象の左下の点が、端にある斜めの正方形の右下の点に接するように移動させます。
これで、一切被りがないなめらかな正方形のチェーンが完成しました。原点の正方形は同時に曲線の底に当たり、曲線上側の水平部分は小指担当キーや記号キーに相当するものなので、Minus/EqualやBackspaceに足りるように水平なキーを増やします。
曲率に満足がいったらこれでおっけーです。だめそうなら最初のデカいポリゴンを作るところからやりなおします(スケッチの拘束が正確に効いているならポリゴンの設定を編集すると調整できるかもしれません。知らんけど)。
下に増やす
最上段の右端にあたるキーの位置が固定できたら、次に下方向に移動してEnterやBackslash、Shiftなどのキーを追加していきます(ISO Enterが次々行に影響するのでこうしていますが、もっといいやり方があるかもしれません。なんかあったら是非記事にしてください。)。
作業している行の下の角から、「1uに相当する長さ×√2」の長さの線分を引き出します。Fusionなら線分→始点を指定→数字入力で長さが固定できます。
この状態で、作業している行の上の行の下端にちょうど当たるように線を引いていきます。
これが傾斜がついた正方形の対角線となります。対角線の中点から4辺の内接ポリゴンを描画し、対角線の端を指定することで傾いた正方形を作ります。
このやりかたを手法1と呼称します。
手法1で作業していると、途中で直前に作った正方形と新しい正方形の下端が被ることがあります。ここまできたら、被った正方形は削除し、直前に作った正方形の左上の角から2点指定のポリゴンを作成し、辺の長さを1uに指定、上行の正方形に接するように配置していきます。
このやりかたを手法2と呼称します。
こちらでも、直前の正方形と新しい正方形が被ったら手法1に戻ることで干渉を抑えられます。
手法1と手法2を繰り返すことで、無限に、かつ任意の曲線に対して列を増やすことができます。
微調整
最終的に、水平部や曲線の反対側に達したところで少しずつずれが出てきているはずです。どこかに隙間を設けて辻褄を合わせるか、ズレの総量を一行の中で均分して合わせるかは好みに合わせて大丈夫です。
対角線を引く
すべての正方形に1本以上の対角線があるように線を引きます。
変なところにスナップすることもあるので慎重に。
外形線を引く
この段階でしっかり作りこんでおきます。線の数は少ない方があとが楽です。変な処理をしない限りはフィレットも不要です。
DXFの書き出し
スケッチから直接DXFに書き出そうとすると手元のマシンスペックに頼ってエクスポートすることになります。ファイル→書き出し(エクスポート)でDXFに変換すると、Fusionのクラウド処理を用いてエクスポートが可能なので、ネットがあるならファイル→書き出しを行う方が安全でしょう。
Kicadでの処理
User.Drawingなどの画層にインポートします。フットプリントは線の中点にスナップするので、正方形の上下の辺のどちらかをクリックして角度を確認し、フットプリントをその角度に回転させて、正方形の中央に移動、を繰り返して配置していきます。
LEDやダイオードもまとめて回転、移動させると楽です。
外形線にあたる部分は1本ずつプロパティを開き、Edge.Cutsの画層に移動させていきます。
線の端がしっかり接していることを確認したら、PCBシミュレーションで様子を確認します。
最後に広域削除でインポートしたときの画層をまとめて削除します。
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