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Google DeepMind CEOとAnthropic CEOが世界経済フォーラムで対談!(気になった点日本語にまとめました)

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この記事で扱うこと

2026年1月20日、世界経済フォーラム(ダボス会議)で注目の対談が行われました。登壇者はDario Amodei(Anthropic CEO)とDemis Hassabis(DeepMind CEO)で、二人の対談は昨年のパリ以来。司会者は「ビートルズとローリング・ストーンズが同じステージに立った」と紹介していましたね笑
タイトルは「The Day After AGI(AGIの翌日)」。AIの最前線を走る二人が、AGIの到来時期、社会への影響、そして私たちがどう向き合うべきかを率直に語りました。この記事では、対談の中で特に印象的だった発言をまとめます。(対談の後半は経済についてでしたので割愛します😅)

https://www.youtube.com/watch?v=NnVW9epLlTM

🔥 衝撃の告白:「Anthropicのエンジニアはもうコードを書いていない」

Dario(Anthropic)が語ったのは、自社エンジニアの働き方がすでに激変しているという事実です。

「社内には『もう自分でコードを書かない。モデルに書かせて、自分は編集したり、周辺作業をしたり、考えるだけだ』と言うエンジニアがいます」

驚きなのは、これはAIを「使っている」会社の話ではなく、AIを「作っている」会社の話なこと。最先端のAIを開発しているエンジニアたちが、すでに「自分ではコードを書かない」フェーズに入っているのは、これからのエンジニアのあり方を考えさせられますね。

そしてDarioは、こう続けました。

「分からないですが、モデルがソフトウェアエンジニアの仕事をエンドツーエンドで"ほとんど"あるいは"全部"やるようになるまで、あと6〜12ヶ月かもしれない

これは「いつかそうなる」という予測ではなく、**「来年の今頃には」**という話です。現在大学院に通う私は、この先エンジニアとして就職して、数年後の私はどうなっていくのかがとても楽しみになりました。

興味深いのは、DarioとDemisの間に「微妙だが重要な」タイムライン差があることです。

Demisはやや慎重です。

「コーディングや数学は比較的自動化しやすい。出力を検証できるからです。でも自然科学はもっと難しい。化合物が正しいか、物理の予測が正しいかは、実験してみないとわからない

「そして最も高度な科学的創造性——既存の問題を解くのではなく、問い自体を生み出す力——これはまだ欠けているかもしれません」

一見すると「まだ時間がある」と安心できそうな発言ですが、Demisはこうも付け加えました。

「ただし、AGI到来後は別です。そこは未踏領域になります」

つまり、二人のタイムライン差は「1〜2年か、5〜10年か」という話であり、「数十年後」という選択肢は、どちらの予測にも存在しないみたいですね。


🎯 勝ち残る会社の条件:「誰が率いている?」

対談で印象的だったのは、競合であるはずの二人が、お互いへのリスペクトを全く隠していなかったことですね。

Darioはこう語りました。

「私たちAnthropicとGoogle DeepMindの共通点は、研究側が『モデルを中心に、世界の重要課題を解く』という研究者が主導権を持っていることです。そういう会社が、今後成功していくと思います」

この対談で名前は直接挙がっていませんでしたが、時折ChatGPTやGrokを意識しているかのような発言も見られました。短期的な収益やバズではなく、**「科学的な問いを羅針盤にできる組織」**が生き残る。これは企業選びの指針としても、自分のキャリアを考える上でも、重要なヒントになるのかなと思いました。


💼 「ホワイトカラー職の半分が消える」は本当か?— 意外な回答

Darioは以前、「今後1〜5年でエントリーレベルのホワイトカラー職の半分が消える可能性がある」と発言して物議を醸しました。

この点について、Demisが興味深い補足をしています。

「現時点では、労働市場への目に見えるAI要因の影響はまだ出ていません。むしろ企業はAI能力を構築するために採用を増やしている

「従来の技術革命と同様、一部の仕事は失われますが、新しい、より価値のある、場合によってはより意味のある仕事が生まれるでしょう」

この対談では80%が農業をしていた時代から、それが次第に自動化され人々は工場などで働くようになり、テクノロジーの進化によりエンジニアなどのKnowledge Workerが生まれてきたことを例えに語っていました。

そして二人とも口を揃えてこう言います。

ただし、AGI到来後は別です

過去の技術革命との比較が通用しなくなる可能性がある。それがいつ来るかは分からないが、「来ない」という選択肢はもうないということを痛感するメッセージでした。


🚀 学生・若手への最重要メッセージ:「ツールを使い倒せ」

では、私たちは何をすべきなのか?
ここが学生の私にとっては最も面白かったセクションです。

Demisが語った、今の学生・若手へのアドバイスは、驚くほど具体的でした。

「もし今、学部生のクラスに話すなら、『これらのツールに、とてつもなく熟達しなさい』と言います」

そして、ここからが核心です。

「作っている当事者である私たち自身でさえ、開発に忙しすぎて、今日のモデルですら**"能力の出し切れていない余剰(capability overhang)"**を十分探りきれていない。明日のモデルはなおさらです」

AIを作っている人たちが、AIの可能性を使い切れていない。

最先端の研究者たちでさえ「今のモデルで何ができるか」を完全には把握していない。つまり、私たちがツールを深く探索することで、開発者すら気づいていない価値を発見できる可能性があるということでしょうか。冒頭で語られた、Anthropicエンジニアもすでにコードを書いていないことも踏まえると、新時代のエンジニアの価値は消費したトークン数に比例するのかもしれません。

そしてDemisは、こう締めくくりました。

「従来型のインターンよりも、ツールを使い倒して自分を"跳躍"させた方が、職業上有用になれる可能性すらあります。向こう5年くらいはそういう変化が起きるでしょう」


🔮 「来年、何が変わっているか」— 二人が見る未来

対談の終盤、モデレーターが問いました。

「来年また会うとき、何が変わっていると思いますか?」

Darioの回答は、シンプルで、そして背筋が凍るものでした。

「私が見るべき最大の点は、『AIシステムがAIシステムを作る』という問題がどう進むかです」

AIがコードを書く。AIがAIの研究を行う。そして、次世代のAIを生み出す。

このループが閉じたとき、進化の速度は人間の予測を完全に超える可能性があります。

Demisも同意し、「私たちは密に連絡を取り合っています」と述べました。競合でありながら、この問題については危機感を共有している。その事実が、この問題の深刻さを物語っています。


🌍 「もう少し遅い方がいい」— 開発者たちの逆説的な願い

対談の最後に、最も印象的なやり取りがありました。

モデレーターが「両社の開発がもう少し遅い方がいいのでは」と示唆したとき、Darioは意外にも同意したのです。

「私はDemisのタイムライン(5〜10年)の方を好みます。私たちが遅くできない理由は、地政学的な競争相手が同じペースで開発しているからです」

そしてDemisが、対談をこう締めくくりました。

「私たちは皆、あなた方(そして他の全員)がもう少し時間がかかる方が良い、と願うべきです。世界にとって、その方が望ましい」

AIの最前線にいる当事者たちが、自分たちの成功が"早すぎる"ことを懸念している

この逆説的な言葉が、彼らの偉大さとAIの急成長を代表しているような気がします。


おわりに: あなたは観客か、プレイヤーか

この対談から、私が導き出した行動指針は3つです。

1. 「Capability Overhang」を探索する側に回る

開発者ですら使い切れていない可能性が、今のAIツールには眠っています。待っているだけでは何も変わりません。今日から、ツールの限界を試す側に回りましょう

2. 「北極星」を持つ

短期的なトレンドに振り回されるのではなく、自分なりの「重要な問い」を持つこと。研究者主導の会社が生き残るなら、「問いを持つ個人」も生き残るはずです。

3. 変化を恐れず、でも速度は意識する

Darioは「安心材料はない」と言いました。でも同時に「次に何が起きるかは、人類として私たちが書いていくもの」とも言っています。

「恐れて立ち止まるのではなく、変化の中で自分の役割を見つける。」

「ツールを使い倒し、可能性を探索し、自分なりの「問い」を持って、この変化に参加していく。」

それが、2026年のダボス会議で語られた未来に対する現在の私なりの答えです。

ぜひ一度本編の動画を覗いてみてください🔗


本記事は、World Economic Forum Annual Meeting 2026「The Day After AGI」の対談内容をもとに作成しました。

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