⚖️

中学受験の釣り合い問題で重心を使う理由を、積分でちゃんと求めてみる

に公開

自分は小学生の時に中学受験をしているが、小学生の時に疑問に思ったことがある。

https://x.com/catatsuy/status/2007802987520115094

小学生時代の自分に対して、今の自分が回答するとすれば以下になる。

「あなたの言っていることは完全に正しい。これは本来積分しないと求められないが、計算すると実は同じ値になるから、今は便利な知識として覚えておいてほしい」

と回答すると思う。

細かいことを考えていくと物体が一様であるとも限らないし、回転する可能性もあると考えると角運動量の話になって外積も必要になってくるので複雑になってくるが、中学受験の範囲内ではそこまで面倒な話は出ないので、話を単純化して簡単な計算で小学生時代の疑問に答えていこうと思う。

なお物理の議論をしたいのなら重力加速度が必要になるが、中学受験では重力加速度は出てこないので、その辺りも単純化していく。今回は以下の方針でやる。

  • 物体は釣り合っているので、釣り合っている時のことしか考えない
  • 二次元の世界だけで考える(奥行き方向の釣り合いは考えない)
  • 密度は一様(積分計算が複雑になるのを避ける)

証明

全体は釣り合っているものとして、ここではそのうち右側(0からlまで)の部分だけを取り出して考える。釣り合っている点の座標を0とする。その物体の右側は0からlまであり、太さは場所で変わるとする。位置xでの断面積をS(x)、密度を一様に\rhoとする。微少な幅dxの薄片を切り出すと、その「重さ」(重力加速度は無視)は\rho S(x)dxである。

0まわりの力のモーメントは「腕×重さ」なので、右側全体が0まわりに作るモーメントTは

T=\int_{0}^{l} x\rho S(x)\,dx

となる。

次に、右側部分(0からlまで)の重心をgとする。これは左右で力のモーメントが釣り合っている箇所として定義できる。つまり点gを支点にしたとき

\int_{0}^{g} (g-x)\rho S(x)\,dx=\int_{g}^{l}(x-g)\rho S(x)\,dx

が成り立つ。この式を整理すると

\int_{0}^{l}(x-g)\rho S(x)\,dx=0

すなわち

g\int_{0}^{l}\rho S(x)\,dx=\int_{0}^{l}x\rho S(x)\,dx

となる。ここで物体の右側の重さをMとすると

M=\int_{0}^{l}\rho S(x)\,dx

に他ならない。よって

gM=T

となり、gM(右側の重さMを点gに集めたときのモーメント)が、最初に積分で書いた右側のモーメントTと一致することが分かる。つまり毎回積分しなくても、重心にすべての重さが集まっていると考えて計算してよい(同じ値になる)ことが示された。

最後に

計算すると分かるが、重心にすべての重さが集まっていると考えて計算をして良いというよりも、その計算結果が実際の力のモーメントと一致する点が重心の定義なのではないか、という結論になる。

なので小学生時代の自分に対しては「そう計算できる点を重心と定義している」という回答でも一応の回答になっている可能性がある。とはいえ当時の自分はそれでは納得しなかっただろうと思うので、この議論にどこまで意味があるかは謎である。

Discussion