#1 M4 MacBook AirでローカルLLMを動かしてみた
はじめに
旧帝大理系で物性物理を専攻し、今は半導体やセンサの研究開発をしています。
生成AIを仕事で使いたいと思ったとき、クラウドだけでなくローカルでも動かしたいと思いました。というのは、セキュリティの面でリスクがあるのと、コストの面も安くはないからです。それに、数学的な厳密さは難しくても、もう少し生成AIを自分の手で触れながら使ってみたいという興味の気持ちもあります。
一方で、いきなり高価なGPUなどのデバイスを買うのは、ハードルがあります。なので、まずは手元のM4 MacBook Airから始めることにしました。使っていくうちに必要になったら、少しずつ規模を大きくしていくつもりです。その判断の過程も含めて、記録していきます。
また私の専門である、物理、電子工学の視点も、少しずつ取り入れていけたらと思っています。
同じように悩んでいる方の参考になればうれしいです。将来的には、こうした技術を仕事として提供できる形にしていけたらと考えています。
この記事と同じような内容はすでにたくさんあります。ただ、自分が実際に手を動かした記録として、また今後のシリーズの出発点として書いておくことにしました。
なお、同じようなMacを使っている方であれば、まとめのコマンドを実行するだけで、すぐにローカルLLMを構築することができると思いますので、ご参考ください。
この記事でやること
- Homebrewのインストール
- Ollamaのインストール
- モデルのダウンロードと起動
- 実際に質問してみる
Ollamaとは
ローカル環境でLLMを簡単に動かすためのオープンソースのツールです。コマンド一つでモデルのダウンロードから起動まで完了します。DockerのLLM版というイメージが近いです。
Homebrewとは
Macでソフトウェアを簡単にインストール・管理するためのツールです。brew installのコマンド一つで様々なソフトウェアをインストールできます。Mac開発環境の定番ツールで、Ollamaのインストールにも使います。
Homebrewのインストール
コマンド
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
解説
少し長いコマンドですが、やっていることはシンプルです。
まずcurlでHomebrewの公式サイトからインストール用のスクリプトをダウンロードしています。次に/bin/bash -cでそのスクリプトをそのまま実行しています。つまり「公式サイトからインストーラーを取ってきて、すぐ実行する」という2ステップを1行にまとめたものです。
実行するとパスワードを求められます。Macのログインパスワードを入力してください。入力中は画面に何も表示されませんが、正常な動作です。
実行画面
% /bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
==> Checking for `sudo` access (which may request your password)...
Password:
==> This script will install:
/usr/local/bin/brew
...
==> Installation successful!
Ollamaのインストール
コマンド
brew install ollama
解説
HomebrewでOllamaをインストールするコマンドです。OllamaはローカルでLLMを動かすためのツールです。
実行画面
% brew install ollama
==> Fetching downloads for: ollama
✔︎ Bottle Manifest ollama (0.21.2_1) Downloaded 13.9KB/ 13.9KB
...
==> ollama
Ollamaサーバーの起動
コマンド
ollama serve
解説
Ollamaのサーバーを起動するコマンドです。以下のような出力が出れば正常です。(主要な部分だけでかなり端折っています)
実行画面
Listening on 127.0.0.1:11434 (version 0.21.2)
inference compute id=0 library=Metal name=Metal description="Apple M4" total="11.8 GiB" available="11.8 GiB"
M4のGPUがMetalとして認識されています。11.8GBが使える状態です。このターミナルはそのまま開いたままにして、別のターミナルから次の操作を進めます。
起動確認
コマンド
ollama --version
解説
Ollamaが正しくインストールされているか確認するコマンドです。バージョン番号が表示されればインストール成功です。
実行画面
% ollama --version
ollama version is 0.21.2
モデルのダウンロードと起動
コマンド
ollama run qwen3:8b
解説
Qwen3の8Bモデルをダウンロードして起動するコマンドです。初回は約5GBのダウンロードが始まります。Wi-Fi環境で10〜20分程度かかります。ダウンロードが終わると、そのまま対話モードが始まります。
実行画面
% ollama run qwen3:8b
pulling manifest
pulling xxxxxxxx... 100% 5.2GB
...
verifying sha256 digest
writing manifest
success
>>>
実際に質問してみた
起動したら、以下の質問を投げてみました。
>>> 最新の量子力学の技術動向について教えてください。
回答
最新の量子力学の技術動向は、量子コンピューティング、量子通信、量子センサー、量子材料の分野で急速に進展しています。以下に主要なトレンドと最新の進展を整理します。
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### **1. 量子コンピューティング(Quantum Computing)**
- **量子ビット(Qubit)の進化**
- **超伝導量子ビット**:IBMやGoogleが、超伝導量子デバイスのスケーラビリティを向上させています。IBMは2023年時点で
1,121量子ビットのチップを発表し、2024年には1,000万量子ビット規模のチップの開発に向けた計画を発表しました。
- **トポロジカル量子ビット**:米国の大学や企業が、トポロジカル絶縁体を用いた量子ビットの実現に注力。これは、デコヒ
ーレンス(量子状態の崩壊)を防ぐための有望なアプローチです。
- **量子エラー訂正**:GoogleやMicrosoftが、量子エラー訂正コード(例:表面コード)の実装を進め、大規模な量子コンピ
ュータの実現に向けた基盤を築いています。
- **量子アルゴリズムと応用**
- **ハイブリッド量子-古典アルゴリズム**:量子コンピュータと古典コンピュータを組み合わせたアルゴリズムが、薬物設計
や材料科学などに応用されています。
- **量子シミュレーション**:量子コンピュータが、分子や物質の量子力学的挙動をシミュレーションし、化学反応や新素材の
設計に貢献しています。
---
### **2. 量子通信(Quantum Communication)**
- **量子暗号(Quantum Key Distribution: QKD)**
- **中国の「墨子号」衛星**:2023年には、地上と宇宙間の量子通信の実証実験を継続し、国際的な暗号通信ネットワークの構
築に向けた進展が見られます。
- **欧州のQuantum Internet Project**:欧州委員会が推進する「Quantum Internet」プロジェクトでは、量子もつれを介した
国際的な通信ネットワークの実験が進んでいます。
- **量子ネットワークの拡大**
- **量子中継器(Quantum Repeater)**:長距離の量子通信を実現するための量子中継器の技術が進化。米国や欧州で実験が行
われています。
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### **3. 量子センサー(Quantum Sensors)**
- **高精度測定技術**
- **重力波検出**:LIGOやVirgoなどでは、量子ノイズを抑えるための量子センサー(例:光の圧縮)を活用して重力波の検出
を高精度化。
- **医学応用**:量子センサーは、MRIやがん検出などの医療分野で応用され、微細な磁場や温度変化の測定が可能に。
- **原子時計と磁場測定**
- **原子時計の進化**:量子力学を基にした原子時計は、GPSや通信ネットワークの精度向上に貢献しています。
---
### **4. 量子材料とデバイス**
- **トポロジカル絶縁体と超伝導体**
- 高度な量子デバイスの基盤となる材料の研究が進む。例:量子ビットの安定化や、量子コンピュータのハードウェアに必要な
超伝導体の開発。
- **量子ドットとナノ構造**
- 半導体量子ドットは、量子コンピュータや量子通信デバイスの構成要素として注目されており、2023年には新しい量子ドット
の製造技術が報告されています。
---
### **5. 量子技術の応用分野**
- **エネルギー分野**
- 量子シミュレーションを用いた新素材(例:超電導材料やバッテリー)の設計が進展。
- **環境科学**
- 量子センサーを用いた気候変動のモニタリングや、地下水の探査が試みられている。
- **金融とセキュリティ**
- 量子暗号技術が金融取引や個人情報保護の分野で実用化の検討が進む。
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### **6. 国際的な競争と協力**
- **米国・中国・欧州の技術戦略**
- 米国は「National Quantum Initiative」、中国は「量子技術革新計画」、欧州は「Quantum Flagship」を推進。国際的な競
争が激化しています。
- **国際共同研究**
- 量子通信ネットワークや量子コンピュータの国際共同プロジェクトが進展(例:EUのQuantum Internet Initiative)。
---
### **課題と今後の展望**
- **デコヒーレンスの克服**:量子ビットの安定性を高める技術の開発が急務。
- **スケーラビリティ**:大規模な量子コンピュータの実現には、ハードウェアとソフトウェアの両面での技術革新が求められる
。
- **倫理とセキュリティ**:量子技術がもたらす新たなリスク(例:量子コンピュータによる暗号解読)に対応するための規制・
倫理ガイドラインの検討が進んでいる。
---
### **まとめ**
量子力学の技術は、コンピューティング、通信、センサー、材料の分野で多岐にわたる応用が進んでおり、今後は実用化と国際競
争が加速する可能性があります。技術の進展に伴い、倫理的・社会的な課題も重要なテーマとなるでしょう
感想
全体的な回答の質は、数年前の有料のLLMと同じくらいの性能という印象でした。無料でローカルで動いていることを考えると、十分実用的だと思います。
一方で、気になる点もいくつかありました。
まず情報の新しさについて。IBMの量子ビット数に関して「2024年には1,000万量子ビット規模のチップの開発計画を発表した」とありますが、実際のIBMのロードマップは2033年までに10万量子ビット規模を目指すというものです。年数も1,000万という数字も間違っています。
また、情報全体が2023年頃で止まっている印象でした。GoogleのWillow量子チップの発表など、2025〜2026年の最新動向は含まれていませんでした。
ローカルLLMは学習データのカットオフ以降の情報を知りません。最新情報を調べるにはクラウドのLLMやWeb検索の方が向いています。一方で、セキュリティが必要な場面や繰り返し処理にはローカルで十分な場合もあります。この使い分けの必要性を実験的に確認することができました。
なお、以上の出力を得るのには、数十秒かかり、ちょっと遅いなという印象です。
まとめ:実行したコマンド一覧
# Homebrewのインストール
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
# Ollamaのインストール
brew install ollama
# Ollamaサーバーの起動
ollama serve
# 起動確認
ollama --version
# モデルのダウンロードと起動
ollama run qwen3:8b
次回予告
次回は国産モデルのLLM-jp-4を動かして、Qwen3と比較してみます。同じ質問を投げて、回答の違いを確認していく予定です。
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