Geminiと対話して簡単なアプリを作ろう!アイデアを形にする生成AI実践ガイド
Bitkey Developers Advent Calendar 2025 2日目の記事です。
本日は、Software QCチーム所属の 田上_ビットキー が担当します。
はじめに
技術イベントに出展するブース設計で、生成AIを活用したコンテンツの企画を経験しました。
特に印象深かったのは、GoogleのAI「Gemini」を使ったクイズアプリの作成です。
専門知識がなくても、AIとの対話で簡単に様々なものが作れます。
アイデアさえあれば、誰もが創造性を発揮できるというAIの可能性を実感した瞬間でした。
しかしAIを効果的に使うには、特性を理解し、試行錯誤を重ねる必要があります。
そこでこの記事では、経験を問わずアイデアを形にしたいと考える方に向けて、AIとの対話を通じたアプリ作りの進め方と、実践から得た具体的なTipsをご紹介します。
対象読者
- 生成AIを使ってアイデアを形にしてみたいと考えている方
- 生成AIの実践的な活用方法を知りたい方
この記事から得られること
- Geminiを使ったアプリ作成の流れが分かる
- 生成AIを使いこなすための実践的なテクニックを知ることができる
完成したクイズアプリ
まずは、生成AIを使って作成したクイズアプリをご紹介します。
このアプリは、2025年9月12日に開催された「JaSST’25 Niigata」に出展したブースのコンテンツとして作成しました。
👇 ブースの詳細はこちらでご紹介しています
1. メイン機能
🔑 クイズに答えて景品をゲット
UXに関するクイズに挑戦すると、ブースに展示されたbitbox(宅配ボックス)を解錠するパスコードを取得できます。

2. アンケート機能
💬 みんなの感想を気軽にシェア
クイズの感想をアンケートする機能です。絵文字をタップすると結果が集計されます。
集計結果は「みんなの感想画面」で確認できます。

3. ガイド機能
📖 遊びをサポートする2つのガイド機能
企画の遊び方や、各問題の解説を確認できる機能を実装しました。

AIを使ったアプリ作り
このクイズアプリはコーディングを行わず、AIとのやり取りのみで作成しました。
使用したのは、GoogleのAI「Gemini」に搭載された「Canvas」というツールです。
このツールを使えば、AIとの対話を通じて、アイデアの整理やコードの生成などを手軽に行えます。
生成されたアプリはその場でプレビューできるため、即座に修正を加えられる点が大きな特徴です。
アプリ作りの2つの進め方
生成AIを使ったアプリ作りには、主に2つの進め方があると思います。
「対話形式で指示を重ねる進め方」と「要件をまとめて提示する進め方」です。
1. 対話形式で指示を重ねる進め方
AIへの指示を対話のように繰り返しながら、段階的にアプリを作る方法です。
「〇〇に関するクイズアプリを作って」「回答は4択にして」といった指示を行い、プレビューで結果を確認しながら実装を進めます。
このやり方の利点は、思いついたアイデアをすぐに実装し、細かく軌道修正できる点にあります。
また、プレビューで実装した動作をその場で確認できるため、直感的なアプリ作りが可能です。

2. 要件をまとめて提示する進め方
作りたいアプリの要件をまとめてAIに提示する方法です。
画面の構成や機能など、仕様を詳細に定義したプロンプトをAIに送信します。
この進め方には、AIが仕様を理解しやすく、意図した結果を得やすいという利点があります。
しかし、気軽に始めたい場面では、はじめから仕様を網羅したプロンプトを用意するのは難しく、現実的ではありません。
そのためこの方法は、対話形式でアプリの土台を固めた後、仕様を他者と共有しながら実装したい場合に適していると思いました。
さらに、プロンプトそのものの生成をAIに依頼すると、再現性の高い成果物を素早く用意できます。

実際に行った進め方
当初はAIを、Geminiで動作するチャットボットにしようと考え、ブース案内を実演するプロンプトを準備していました。
しかし作業を進める中で、簡単なアプリであれば、GeminiのCanvasというツールで生成できることを知りました。
そこで、すでに作成していたチャットボット用のプロンプトを活用し、Canvasにクイズアプリの生成を依頼しました。
その結果、プロンプトを反映したクイズアプリが即座に生成されました。
その後は対話形式で機能追加や修正を行い、アプリを完成させました。
結果的に「対話形式で指示を重ねる進め方」と「要件をまとめて提示する進め方」の両方を組み合わせていたことになります。
簡単なクイズアプリを作成してみよう
AIと対話を通して、簡単なアプリを作ってみましょう。
ここではクイズアプリを例に、Geminiを使った対話形式での流れをご紹介します。
PCとGoogleアカウントを用意して、Geminiにアクセスしてください。
準備編 : 作りたいものを想像する 💭
実装前の準備として、簡単な設計を考えてみましょう。
完成形をイメージすると、AIへの指示がスムーズになります。
準備編の流れ
1. UIの構成を考える
画面の構成と必要な要素を洗い出します。
[例]
- クイズ画面:
- タイトル
- 問題文の表示エリア
- 4択の回答ボタン
- 進捗を示すプログレスバー
- 結果画面:
- 正解数を表示するテキストエリア
- リトライボタン
2. クイズの内容を考える
クイズのテーマと問題数を決めます。
[例]
- テーマ:海の生き物
- 問題数:4問
続いて、クイズの問題の作成方法を考えます。次のA,Bから選んでください。
[例]
- A:AIにおまかせする
- B:自分で指定する
このとき、Bを選んだ場合は問題の詳細を用意してください。
[例]
1問目
- 問題:海の哺乳類であるラッコが、眠る時にお互いの手をつなぐことがあります。その最も大きな理由は何でしょう?
- 選択肢:仲間意識を高めるため、体温を保つため、敵が来たらすぐに知らせるため、はぐれないようにするため
- 正解:はぐれないようにするため
2問目
- 問題:地球の歴史上、最も巨大な動物とされていますが、主食はオキアミという小さなプランクトンなのはどれでしょう?
- 選択肢:シャチ、ザトウクジラ、シロナガスクジラ、マッコウクジラ
- 正解:シロナガスクジラ
3問目
- 問題:生まれた浜辺に何十年も経ってから戻ってくるウミガメ。広大な海を旅するために、何を手がかりにしていると考えられているでしょう?
- 選択肢:太陽や星の位置、海の匂い、地球の磁場、仲間の出す音
- 正解:地球の磁場
4問目
- 問題:イルカは非常に社会的な生き物ですが、仲間同士を識別するために、あることを使います。それは何でしょう?
- 選択肢:体の模様で判断する、それぞれに固有の「名前」のような音を使う、泡の形でサインを送る、尾びれの動きで合図する
- 正解:それぞれに固有の「名前」のような音を使う
3. 動作を考える
ユーザーの操作に対して、アプリがどのように振る舞うかを考えます。
[例]
- 回答ボタンを押すと、ボタンの色が正解・不正解に応じて変化する
- 回答ボタンにマウスカーソルを乗せると、ボタンの色が少し濃くなる
- 次の問題に進むと、進捗バーが伸びる
実践編 : AIと対話して実装する 💬
準備編で整理した情報をもとに、AIへ実装の指示をします。
実践編の流れ
手順を始める前に、Geminiのツールバーから「Canvas」を有効にしてください。

1. UIを実装する
まずはアプリの構成をAIに伝えて、基本的な骨格を実装します。
準備編で考えた構成をプロンプトにまとめ、AIへ送信してください。
[プロンプトの例]
クイズアプリのテンプレートを作成してください。
必要な画面と要素は以下の通りです。
- クイズ画面:
- タイトル
- 問題文の表示エリア
- 4択の回答ボタン
- 進捗を示すプログレスバー
- 結果画面:
- 正解数を表示するテキストエリア
- リトライボタン
基本的な画面ができました
2. クイズの内容を実装する
クイズの内容を実装しましょう。
準備編で選んだ方法をもとに、次のような指示をAIに送信します。
▼ A:AIにおまかせする
[プロンプトの例]
クイズのテーマは「海の生き物」です。問題はAIが考えて、全部で「4問」作ってください。
▼ B:自分で指定する
[プロンプトの例]
クイズのテーマは「海の生き物」です。問題は以下の内容を反映してください。
1問目:
- 問題:海の哺乳類であるラッコが、眠る時にお互いの手をつなぐことがあります。その最も大きな理由は何でしょう?
- 選択肢:仲間意識を高めるため、体温を保つため、敵が来たらすぐに知らせるため、はぐれないようにするため
- 正解:はぐれないようにするため
2問目:
- 問題:地球の歴史上、最も巨大な動物とされていますが、主食はオキアミという小さなプランクトンなのはどれでしょう?
- 選択肢:シャチ、ザトウクジラ、シロナガスクジラ、マッコウクジラ
- 正解:シロナガスクジラ
3問目:
- 問題:生まれた浜辺に何十年も経ってから戻ってくるウミガメ。広大な海を旅するために、何を手がかりにしていると考えられているでしょう?
- 選択肢:太陽や星の位置、海の匂い、地球の磁場、仲間の出す音
- 正解:地球の磁場
4問目:
- 問題:イルカは非常に社会的な生き物ですが、仲間同士を識別するために、あることを使います。それは何でしょう?
- 選択肢:体の模様で判断する、それぞれに固有の「名前」のような音を使う、泡の形でサインを送る、尾びれの動きで合図する
- 正解:それぞれに固有の「名前」のような音を使う
Bで指定した内容がクイズに反映されました
3. 動作を実装する
準備編で考えた動作をプロンプトにまとめ、実装をしましょう。
[プロンプトの例]
アプリの動作を、以下の内容で実装してください。
- 正解の選択肢はボタンを薄い緑色に、不正解で選んだ選択肢は薄い赤色に変える
- 回答ボタンにマウスカーソルを乗せると、ボタンの色が少し濃くなるようにする
- プログレスバーは、完了した問題数に応じて更新し、1問目に回答し終えたら進捗が1問分進むようにする
プロンプトをもとに、AIが解釈した動作が実装されました
4. 見た目を整える
基本的な機能が動作するようになったら、アプリの見た目を整えましょう。
デザインテーマの提案をAIに依頼します。
[プロンプトの例]
現在作成中の「海の生き物」クイズアプリのデザイン案を3つ提案してください。
それぞれのデザインのコンセプトと、具体的な配色やフォントのイメージを教えてください。
このような依頼をすると、AIがいくつかのデザインテーマを提案します。
[AIの提案例]
1. デザイン案 A:「深海探検」コンセプト
コンセプト:
神秘的で少し大人っぽい「深海」をテーマにしたデザインです。落ち着いた配色の中に、発光生物のようなアクセントカラーが映える、没入感のあるデザインを目指します。知的な探求心をくすぐるような雰囲気を演出します。
2. デザイン案 B:「トロピカル・パラダイス」コンセプト
コンセプト:
明るく楽しい南国の海をテーマにした、親しみやすいデザインです。子供から大人まで、誰でも気軽に楽しめるような、元気でポップな雰囲気を演出します。クイズに答えるワクワク感を高めます。
3. デザイン案 C:「ミニマル・アクアリウム」コンセプト
コンセプト:
水族館の展示のように、クリーンで洗練された「ミニマル」なデザインです。余計な装飾を排し、情報そのものに集中しやすくします。白を基調とすることで、清潔感と知的な印象を与えます。
気になる提案があれば、適用する指示をします。
[プロンプトの例]
1. デザイン案 A:「深海探検」コンセプトを実装してください
雰囲気が大幅に変わりました。ですがもう少し調節をしたいです
さらに、適用されたデザインに対して、より細かなニュアンスの変更を指示することもできます。
[プロンプトの例]
背景に下から上へ昇る泡のアニメーションを追加してください。
クイズや結果が表示されるパネルを、すりガラスのように表示してください。
全体をモダンでレスポンシブなレイアウトを意識して調整してください。
基本となるアクセントカラーは、輝きを抑えたシルバーや白に近い色にしてください。
正解を示す色は、知的で深みのある緑色にしてください。
不正解を示す色は、上品で落ち着いた赤系の色にしてください。
具体的な指示によって、理想的なイメージに近づきました
5. 不具合がないか確認する
各画面で操作を行い、アプリが意図通りに動作するかを確認しましょう。
不具合を見つけたら、具体的な状況をAIに伝えて修正を依頼します。
[プロンプトの例]
結果画面にあるリトライボタンを押しても、クイズ画面の進捗プログレスバーがリセットされません。
リトライボタンを押したら、プログレスバーも最初の状態に戻るように修正してください。
さらに機能の追加や変更をしたい場合は、AIとの対話を通して実装をしてください。
一連の動作に問題がないことを確認できたら、クイズアプリは完成です。
6. 完成したコードをhtml形式で保存する
完成したコードをhtml形式で保存します。
Geminiを介さずとも、htmlファイルからアプリが起動できるようになります。



お疲れ様でした
以上がクイズアプリ作成の流れです。
今回紹介した手順は一例であり、AIとの対話によって様々な進め方ができます。
ぜひご自身の発想を活かして、生成AIを使ったアプリ作りを体験してみてください。
実践Tips : AIとアプリ作成を進める10の工夫
AIを使ったアプリ作成の体験を通して、多くの気づきを得ることができました。
実体験をもとに、すぐに実践可能な工夫を10個のTipsにまとめました。
💬 AIの特性を活かした対話の進め方
- Tips 1:AIのコード修正は文脈からの再構築。変更後の動作確認は確実に
- Tips 2:チャットを分岐させて実装をバックアップし、手戻りに備えよう
- Tips 3:応答の精度が落ちたら、新規チャットに移行しよう
⛑️ 実践的トラブルシューティング
- Tips 4:原因不明の不具合は、診断ログを取得して解明できる
- Tips 5:修正用プロンプトの生成をAIに依頼すると、的確な修正が可能に
- Tips 6:プレビューと実機の差に注意。デバイス固有の不具合を防ごう
🎨 UIの表現力を高める実装
- Tips 7:動きで伝える心地よさ。アニメーションで操作はもっと楽しく
- Tips 8:音で伝える没入感。効果音で体験はもっと豊かに
- Tips 9:シンプルな画像なら、AIの解釈を通したSVGコードで実装できる
🧩 複雑さに立ち向かうアプローチ
- Tips 10:複雑な実装は機能で分割し、完成後に統合しよう
💬 AIの特性を活かした対話の進め方
Tips 1 : AIのコード修正は文脈からの再構築。変更後の動作確認は確実に
きっかけ
修正の過程で一部のコードが抜け落ち、想定通りに動作しなくなる問題が頻繁に発生しました。
これはAIが持つ記憶容量(コンテキストウィンドウ[1])の制約が起因しています。
AIが一度に処理できる情報量には上限があり、過去の情報が処理対象から外れてしまうのです。
また、AIは新しい指示を受けるたびに、コード全体を再生成します。
処理対象から外れた情報がある状態でコードを再生成するため、重要な部分が欠落し、不具合が生じていました。
工夫したこと
修正後は全ての機能の動作確認を行うようにしました。
問題を早期に発見して対処することで、不具合の影響を最小限に抑えられます。
Tips 2 : チャットを分岐させて実装をバックアップし、手戻りに備えよう
きっかけ
機能変更を重ねるうちに、コードの抜け落ちが頻発し、アプリの復旧が難しくなることがありました。
元の状態に戻す指示をしても復旧できず、修正に多くの時間がかかりました。
この経験から、大きな変更は慎重に進める必要性があると分かりました。
工夫したこと
実装の区切りごとに、新規のチャットを作成するようにしました。
チャットを「安定版」と「修正版」に分けて、大まかなバージョン管理をしました。
これにより「修正版」で問題が発生しても「安定版」に戻し、素早く復旧できます。
さらに、チャットのタイトルに機能名のプレフィックスを付け、変更内容を分かりやすくしました。
機能名のプレフィックス
Tips 3 : 応答の精度が落ちたら、新規チャットに移行しよう
きっかけ
1つのチャットでの対話履歴が増えると、AIの応答精度が低下することが分かりました。
対話の文脈と関連のない返答をしたり、過去の指示を意図せず実行したりするようになります。
これはTips 1で触れた記憶容量(コンテキストウィンドウ)の限界により、AIが対話の全体像を捉えられなくなることが原因です。
工夫したこと
AIの応答の精度が落ちたと感じたら、新規チャットへ移行するようにしました。
既存のチャットで作成した最新のコードをコピーし、新しいチャットに送信します。
対話履歴がリセットされ、AIが重要な情報に注目しやすくなり、応答の精度が回復します。
⛑️ 実践的トラブルシューティング
Tips 4 : 原因不明の不具合は、診断ログを取得して解明できる
きっかけ
アンケート集計結果画面にて、回答が1つ過剰に表示される現象がありました。
1つの回答を送信したにもかかわらず、集計結果画面には2つの回答が表示されてしまいます。
事象についてAIに相談したところ「回答ボタンのタップイベントに問題がある」という見解がありました。
提案に従ってタップを正確にカウントする修正を試みましたが、問題は解決しませんでした。
工夫したこと
クイズアプリに「診断ログ」機能を実装しました。
これは、アプリの内部的な動きをログとして表示させる機能です。
現象が再現するまでの一連のログを取得してAIに送信したところ、不具合の原因が判明しました。
アンケート集計結果画面を賑やかにするため、保存された数値を2倍して表示するというコードが実装されていたためでした。
これにより「保存されている数」と「画面に見える数」に差異ができ、集計が2回行われているように見えていたのです。
診断ログ機能
💻 実際に送信したログ
[23934] [INV-1] handleFeedback 開始。ロック状態: false。イベント: pointerdown
[23935] [INV-1] ロックを取得しました
[23935] [INV-1] 全ボタンを無効化
[23935] [INV-1] 絵文字「🤯」が選択されました
[23937] [INV-1] 集計データを保存します
[24277] {"保存前のデータ":{}}
[24278] {"保存後のデータ":{"🤯":1}}
[25081] [INV-1] 処理完了。ロックを解除しました
[29334] 「みんなの感想」ボタンがクリックされました。
[29335] initFeedbackArt 開始: 感想アートを初期化します。
[29362] localStorageから取得した生データ: {"🤯":1}
[29362] {"パース後の集計データ":{"🤯":1}}
[29362] 集計データから 2 個の泡を生成しました。
Tips 5 : 修正用プロンプトの生成をAIに依頼すると、的確な修正が可能に
きっかけ
Geminiには利用上限があり、1日の上限を超えると翌日まで利用ができなくなります。
AIとの対話が長引くほど、この上限に早く達してしまいます。
より多くの実装を進めるため、少ない回数で的確な指示を行い、効率的な修正をしたいと考えました。

工夫したこと
AIに「修正用プロンプト」を生成してもらいました。
このプロンプトには不具合の原因や修正箇所が具体的に明記されています。
生成した「修正用プロンプト」を新規チャットに送信し、少ないやり取りで的確な修正ができました。
🤖 AIが生成したプロンプト
以下のHTMLファイルについて、1点だけ修正をお願いします。
発生している問題:
クイズの最後にあるアンケートで絵文字を1回クリックして回答すると、「みんなの感想」画面で集計結果が2つ(泡が2個)表示されてしまいます。内部データには正しく「1」と保存されますが、画面表示だけが2倍になる不具合です。
問題の原因:
原因は、JavaScriptのinitFeedbackArt関数の中にあります。集計結果の数(変数名 count)に * 2 を掛けて、画面に表示する泡の数を決めている箇所が原因です。
具体的な修正指示:
initFeedbackArt関数内にある以下の行を見つけてください。
const numToCreate = Math.min(count * 2, 40);
この行から * 2 を削除し、以下のように修正してください。
const numToCreate = Math.min(count, 40);
他の機能には一切変更を加えず、この一行のみを修正してください。
Tips 6 : プレビューと実機の差に注意。デバイス固有の不具合を防ごう
きっかけ
クイズアプリはタブレット端末での利用を想定しています。
PCのプレビューでは検知できない、デバイス固有の不具合があるかもしれません。
工夫したこと
PCのプレビューでの確認と合わせて、実機の動作を確認するようにしました。
その結果、タブレット端末でのみ再現する不具合を検知できました。
- アクティブ状態になったボタンの色が、次の問題で同位置にあるボタンに引き継がれてしまう
- アプリをバックグラウンドに移行して復帰すると、効果音が再生されなくなる
- 画面の向きを変えると、クイズの進捗がリセットされる
1と2はユーザーの混乱を招くと判断し、修正を行いました。
3は発生条件が限定的であり、デグレ[2]のリスクを踏まえて修正を見送りました。
実機テストによって、当日の利用状況を想定した修正が行えたと思います。
🎨 UIの表現力を高める実装
Tips 7 : 動きで伝える心地よさ。アニメーションで操作はもっと楽しく
きっかけ
イベントに出展するブースでは、コンテンツの演出によって参加者の興味を引くことが重要です。
さらに、心地の良い操作感によって、最後まで離脱せずに体験できるようにしたいです。
そこで、参加者の注目を集める動きや、心地の良いフィードバックを演出するアニメーションの実装が効果的だと考えました。
工夫したこと
3つのアニメーションを実装しました。
これによりアプリの視覚的な魅力が増し、操作プロセスそのものが楽しくなったと思います。
1. 世界観を表現する、動き続ける背景
クイズ企画で使用する「bitbox」のイメージに合わせて四角をモチーフにしたテーマを実装しました。
背景では複数のキューブが静かに浮遊します。
キューブの穏やかな明滅と周期的な大きさの変化によって、画面に奥行が生まれ、動きのある演出ができました。

2. 感覚に訴えかけるポジティブなフィードバック
アンケートで回答をタップした際のフィードバックとして、ボタンから絵文字が噴き上がるアニメーションを実装しました。
さらに、選択した絵文字が画面下部から浮かび上がる演出を加え、ポジティブで楽しい操作感が生まれるようにしました。

3. アンケートの集計結果を、触って楽しめる遊びに
アンケートの集計結果を数字で表示しても、面白みに欠けます。
そこで、集計した参加者の回答を「タップで弾け、スワイプで動くシャボン玉」として表示する機能を実装しました。
この演出により、集計結果の確認がインタラクティブな体験に変わりました。

Tips 8 : 音で伝える没入感。効果音で体験はもっと豊かに
きっかけ
アプリの操作をゲームのように楽しく、没入感のあるものにしたいです。
そのためには、視覚的なフィードバックに加えて、効果音による聴覚へのフィードバックが効果的だと考えました。
工夫したこと
AIの提案により「Tone.js」というJavaScriptライブラリ[3]を活用して効果音を実装しました。
「Tone.js」はプログラムで音を合成し、イメージに合う音を幅広く表現できるツールです。
アプリの各操作に最適な音を選定するため、AIに具体的なイメージを伝え、複数の候補音を生成しました。
また、実装前に音を聴き比べるための、サウンドテスターアプリを別途作成しました。
これにより、各操作に対して最適な効果音を選定することができました。

Tips 9 : シンプルな画像なら、AIの解釈を通したSVGコードで実装できる
きっかけ
クイズの内容を分かりやすく伝えられるよう、参考画像を表示させたいと考えました。
しかし技術的な制約によって、画像を直接実装することができませんでした。
そこでAIとの対話を重ね、実現可能な方法を模索しました。
工夫したこと
Googleスライドで作成した参考画像を、AIにSVG[4]コードとして変換してもらう方法を試みました。
しかし複雑な画像はAIが理解できず、表示が崩れてしまいました。
そこで、シンプルな画像に絞って依頼したところ、AIは画像を正確に解釈し、SVGコードとしてアプリに実装することができました。
AIに提示した画像
表示崩れした画像

🧩 複雑さに立ち向かうアプローチ
Tips 10 : 複雑な実装は機能で分割し、完成後に統合しよう
きっかけ
実装が進むにつれ、コード全体が長く複雑になりました。
軽微な修正をAIに依頼するだけでも、応答までに数分かかるようになり、さらにコンテキストウィンドウの制約に起因するデグレのリスクも増大しました。
この状態で全ての実装を続けるのは、非効率だと判断しました。
工夫したこと
複雑な機能は、別アプリとして切り分けて実装することにしました。
今回の実装で切り分けた機能は「クイズ」と「アンケート集計結果」です。
各機能が完成した後、AIに依頼して1つのコードに統合しました。
最後に統合時に発生した不具合を修正して、アプリが完成しました。
この工夫によりAIの応答速度を維持しながら、デグレのリスクを抑えた効率的な実装ができたと思います。

体験を次に繋げるために
今回の経験を他の場面で応用したいと考え、クイズアプリ生成用のプロンプトを手軽に用意できる「プロンプトメーカー」を作成しました。
画面の案内に沿って設定を入力するだけで、指定したクイズの条件がコピー可能なプロンプトに変換されます。
このアプリは、生成AIを使ったアプリ作りの成功体験を共有する手段として、チーム内で公開しました。

AIの解釈に揺らぎがあるため、実際に生成される内容はプレビューと異なります
最後に
AIは私たちの知識を補い、発想を形にするための心強いパートナーです。
ですが、AI自身が「何をしたいか」を自律的に考えることはできません。
だからこそ、まずは「AIを使って何をしたいか」という自分自身の動機に目を向けることが大切だと感じます。
この記事が、AIを使ってアイデアを形にするための第一歩となれば幸いです。
-
コンテキストウィンドウ
AIが一度に処理できる情報量のこと。この上限を超えると処理対象外となった情報をAIが参照できなくなる ↩︎ -
デグレ
「デグレード」の略。機能の修正や追加をきっかけに正常に動作していた既存機能で不具合が生じること ↩︎ -
JavaScriptライブラリ
特定の機能を簡単に実装するために用意されたJavaScriptコードの集まりのこと ↩︎ -
SVG (Scalable Vector Graphics)
図形を数値データ(座標や数式)で描画するベクター形式の画像フォーマットのこと。拡大・縮小しても画質が劣化しないのが最大の特徴で、ウェブ上でロゴやアイコンなどによく利用される ↩︎
Discussion