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Windows11pro の手動セットアップ手順を整理しておく
なぜ作成したのか
- 諸事情で弊社にもWindows11proを導入することになったので手順をメモしておく
前提条件
- Azure Entra ID Freeを利用(Microsoft 365ライセンスなし)
- Entra IDにGoogle Workspaceと同じメールアドレスでアカウント登録済み
- 利用者がMFAを設定してから端末利用開始予定
- Surface Laptop 7(Windows 11 Pro)にGoogle ChromeとSlackをプリインストール
- セットアップ中に情シスがMFAを回避したい
Azure Entra ID 側の事前準備
-
ユーザーアカウントの作成・確認
- Microsoft Entra IDポータル(entra.microsoft.com)にアクセス
- 利用者用アカウント(例:
taro.yamada@example.com
)が存在するか確認 - 無ければ新規作成(手動またはCSVインポート)
-
MFA一時無効化の設定(初回セットアップのため)
- Entra ID Freeでは「条件付きアクセス」が使用できないため、セキュリティの既定値(Security Defaults)を一時的に無効化する
- 手順:
- Entra管理センター → 「プロパティ」
- 「セキュリティの既定値を管理する」
- 「セキュリティの既定値を有効にする」を オフ
- ※情シスのMFAを残す場合、後述のユーザーごとのMFA設定で対応
-
対象ユーザーのMFA設定確認
- Entra IDポータル → 「ユーザー」→ 該当ユーザーを選択
- 「認証方法」から、現在のMFA状態を確認し、「強制しない」状態であることを確認
-
アカウント初期パスワード確認・発行
- 初回ログイン用に情シスがログインできるよう、初期パスワードを控える or 再設定
Surface Laptop 7 初期セットアップ手順(情シス)
-
電源オン → OOBE開始(初期起動)
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ネットワークに接続(Wi-Fi or 有線LAN)
-
「Microsoftアカウントでサインイン」画面で、利用者のアカウントを入力
- 例:
taro.yamada@example.com
- 例:
-
パスワード入力(初期パスワード)
-
MFA要求が出た場合:
- 「セキュリティ既定値を無効化」済みであれば、MFAはスキップされる
-
ログイン完了後、ローカル環境セットアップ
- Windows Updateの適用(必要に応じて)
- Google Chromeのインストール
- Slackのデスクトップアプリインストール
- オプション:
winget install Google.Chrome
/winget install SlackTechnologies.Slack
- オプション:
-
設定の初期化や管理ポリシーが必要な場合は手動で反映
- 例:画面ロック設定、ブラウザのデフォルト、スリープ時間など
-
情シスアカウント(ローカルor共通アカウント)を作成しておく(管理用途)※任意
-
利用者アカウントから一度サインアウト
利用者引き渡し手順
- 利用者が端末を受け取り、自分のMicrosoftアカウントでログイン
- Authenticatorアプリをスマホにインストール
- MFA初回登録のフローが開始されるので、QRコードを読み取り
- パスワード変更を求められたら、新しいパスワードに変更
- 正常にMFAとサインインが完了すれば準備完了
セットアップ完了後にすべきこと(Entra ID)
-
セキュリティ既定値を再度「有効」に戻す
- 全社的にMFAが必須になるので、運用ポリシーに注意
- または、Entra ID P1以上にアップグレードすれば、条件付きアクセスで「特定グループ・IPだけMFA不要」にするような柔軟な制御が可能
補足ポイント
項目 | ポイント |
---|---|
MFAの回避 | Entra ID Freeでは条件付きアクセスが使えないため、「セキュリティの既定値を一時オフ」にするのが一般的 |
Google Workspace連携 | 既にメールアドレスが同一であれば、ユーザー管理の一本化も可能。SCIMなどの自動プロビジョニングはEntra P1以上で本格運用可能 |
Intuneによる管理 | 今後、アプリやポリシーを一括配布したい場合は、Microsoft Intuneの導入を検討(別ライセンス必要) |
セキュリティの既定値ON/OFFの既存ユーザーへの影響
セキュリティの既定値の動作概要
セキュリティ既定値を 「有効」 にすると、以下が全ユーザーに一律で適用されます:
- 多要素認証(MFA)の強制
- レガシー認証のブロック
- 管理者ロールのアカウントに対する追加保護
- MFA初回登録の強制(14日以内)
状態変化とユーザー影響
ステップ | 設定 | 影響内容 |
---|---|---|
① 初期状態:有効 | セキュリティ既定値 = 有効 | - 全ユーザーにMFAが強制される - まだMFA登録していないユーザーには「14日以内に登録」の猶予付きプロンプトが表示される |
② 無効に変更 | セキュリティ既定値 = 無効 | - MFAの新規登録プロンプトが停止 - 登録済みMFAはそのまま有効(削除されない) - ユーザーはMFAを求められなくなる |
③ 再度有効に変更 | セキュリティ既定値 = 有効 | - MFA未登録ユーザーには再び登録プロンプトが表示される(最初から14日カウント開始) - すでに登録済みユーザーは継続してMFAが求められる - 一時的に無効化していた影響は元に戻る |
具体的なユーザーケースの例
ユーザータイプ | 再有効化後の動作 |
---|---|
すでにMFA登録済 | → そのままMFAが有効、ログイン時に認証が必要 |
一度もMFA登録していないユーザー | → 再有効化後、ログイン時にMFA登録を再度促され、14日間の猶予が与えられる |
登録済MFAだがAuthenticator削除 | → 再登録を求められる(管理者対応が必要) |
所感
- HomeからProに移行できるチャンスではあるものの、それを十分に生かす環境が整っていないのがもどかしい気持ち
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