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なぜカーシェアサービスでマイナ免許証がNGなのか?

2025/03/05に公開

なぜ作成したのか

  • 弊社でも問題になりそうなので調べてみる

参考

https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2503/05/news137.html


1. マイナ免許証とは

  • マイナカードに運転免許証情報を紐づけることで、カード1枚で複数の身分証明機能を持たせようとする取り組み。
  • 将来的には、スマートフォンのアプリなどから免許証情報をデジタルに提示できるようにする構想もある。
  • 2024年(令和6年)末頃から段階的にデジタル免許証機能の本格導入を目指しているが、実際の運用には法整備やシステム対応が必要。

2. なぜカーシェアで使えないのか

2-1. 法令上の課題(道路交通法と運用ルールの不整合)

  • 物理的な免許証の確認が前提
    現行の道路交通法や関連規則では、運転免許証は物理カードの提示が原則。デジタル運転免許証による本人確認の正式な運用ルールがまだ確立されていない。
  • 「身分証明」としての法的地位が未整備
    デジタル免許証が“運転資格証明”として法的に認められるには、警察庁・国会での検討や法律の改正・運用基準の策定が必要。現状では実証的な扱いにとどまっており、カーシェア各社が受け入れる根拠が乏しい。

2-2. カーシェア事業者の本人確認体制

  • 物理カードを前提としたシステム・オペレーション
    • カーシェアサービスでは、利用登録時・利用前に免許証情報(券面)をOCRや画像チェックで読み取り、システムに取り込むのが一般的。
    • デジタル免許証では「実物の券面」がないため、現在のOCRベースの仕組みをそのまま使うことができず、新システムの開発や導入コスト・リスクが発生する。
  • 不正利用や事故リスクへの慎重姿勢
    • カーシェアの場合、利用者本人の運転資格確認は非常に重要。
    • 新しい認証方法への移行には、セキュリティや不正利用リスクを十分に検証する必要があり、導入ハードルが高い。

2-3. デジタル免許証の提示・確認手法の不統一

  • ICチップの読み取り・専用アプリの標準化
    • マイナカードのICチップやQRコード等を読み取り、免許証情報を照合する仕組みが想定されているが、現時点では各事業者間で統一的な手続き・システムが整っていない。
  • オフライン時・障害時の対策不足
    • インターネット接続や端末に障害が発生した場合のバックアップ運用が未確立。物理カードなら目視確認が可能だが、デジタル証明のみではトラブル時に対応できないリスクが懸念される。

3. これまでの経緯・背景

  1. 国によるマイナカードの普及政策
    • 健康保険証との一体化など、マイナカードを主な身分証明として普及させる動きが進行中。
    • 運転免許証についても、2024年頃にかけてマイナカードとの統合を段階的に進める予定。
  2. デジタル免許証はあくまで「補完的」な位置付け
    • 初期段階では物理免許証と併存して運用される見込み。
    • いきなり物理カードを廃止するわけではなく、あくまでデジタル提示の実証と浸透を図る段階。
  3. カーシェア業界での本人確認強化の必要性
    • 過去に無免許・他人名義の不正利用が発生し、業界として本人確認を厳格化する流れがある。
    • 新しいデジタル認証手法を導入するには、リスク分析や運用コストの問題など、慎重な検討が求められている。

4. 今後の展開・課題

  1. 法整備・ガイドラインの策定

    • デジタル免許証を「運転資格証明」として正式に認めるため、警察庁や国会での法整備が必須。
    • これに伴い、レンタカー業・カーシェア業向けのガイドラインや標準化された認証プロセスが整備されることが期待される。
  2. 技術面・セキュリティ面での標準化

    • マイナカードICチップの読み取り方法や、デジタル免許証情報の表示・照合の仕組みを共通化する必要がある。
    • オフラインでも確認できる仕組みや障害対応策など、セキュリティ面・運用面の課題を解決する標準仕様が不可欠。
  3. 事業者側システムの改修とコスト負担

    • カーシェア各社が一斉に導入するには、改修費用や運用コスト、サポート体制の確立が課題。
    • 業界団体や政府の補助・支援策があるかどうかが、導入を進める上で大きなカギとなる。
  4. ユーザーへの周知と安心感の醸成

    • デジタル免許証に移行すると、個人情報の一括管理リスクが高まる、あるいはデジタル機器に不慣れな人が使いづらいなどの懸念がある。
    • 適切な周知・啓発や、万一のトラブル時の補償・サポート制度が求められる。
  5. 物理免許証との併存期間

    • 当面は物理免許証も引き続き携帯が必要となり、デジタル免許証と併用する形になりそう。
    • カーシェア企業がどのタイミングで「デジタル免許証のみ」でもOKとするかは、今後の制度設計と業界方針しだい。

5. 各社の公開情報

会社 公開情報 概要
タイムズカーレンタル 「マイナ免許証」運用開始に伴うご案内 弊社タイムズカーレンタルのサービスにおいて対応ができるよう進めておりますが、当該免許証に対応するソフトウェアやハードウェアの発売が未定のため、大変恐縮ながら、従来の運転免許証のみの受付とさせていただく予定です。
レンタカーをご利用の際は、「マイナ免許証と従来の免許証の併用」または「従来の免許証」にて発行・更新いただきますようお願いいたします。
三井のカーシェアーズ 【重要】「マイナ免許証」運用開始に伴うお知らせとお願い 弊社サービスへの入会申し込みや、会員様の免許証更新、登録運転者追加等のお手続きにつきましては、従来の運転免許証のみの受付とさせていただきます。
サービスのご利用・継続をご希望される場合は「マイナ免許証と従来の免許証の併用」、または「従来の免許証」にて発行・更新いただきますようお願いいたします。
オリックスカーシェア マイナ免許証運用開始に伴う対応について オリックスカーシェアでは、以下の手続きの際は、従来の運転免許証が必要です。「マイナ免許証」のみでは手続きができませんので、あらかじめご了承ください。
■従来の運転免許証が必要な手続き
・入会の申し込み
・運転免許証の更新
・運転者の追加
・氏名変更
dカーシェア 【重要】マイナ免許証運用開始におけるdカーシェアの対応について dカーシェアにおきましては現在、マイナ免許証は非対応となりますので、dカーシェアをご利用いただく場合は、従来の免許証が必要です。
免許証の更新をされる際は、「マイナ免許証と従来の免許証の併用」、または「従来の免許証」にて更新手続きをしていただきますようお願いいたします。
楽天カーシェア マイナ免許証で楽天カーシェアに入会することはできますか? 楽天カーシェアはマイナ免許証には対応しておりません。
楽天カーシェアへの入会申し込みや免許証情報更新の際には、従来の運転免許証をご準備いただきますようお願い申し上げます。
ENEOSカーシェア 3月24日からの「マイナ免許証」運用開始における注意事項について ENEOSカーシェアでは「従来の運転免許証」のみご利用可能です。
運転免許証を発行・更新される際は、「マイナ免許証と従来の運転免許証の併用」または「従来の運転免許証」にてお手続きいただきますようお願いいたします。
※マイナ免許証のみでは、ENEOSカーシェアのすべてのサービスをご利用できません。
やさしいカーシェア 【重要】「マイナ免許証」運用開始に伴うお知らせ やさしいカーシェアでは、利用開始・終了時に、必ず「従来の運転免許証」が必要となりますので、サービスのご利用・継続をご希望の場合は、「マイナ免許証と従来の運転免許証の併用」または「従来の運転免許証」を発行・更新いただきますようお願いいたします。

6. まとめ

  • 現状: マイナ免許証は「法的整備」「業界の基準策定」「システム対応」などが未熟な段階であり、カーシェアなど既存の本人確認フローには組み込まれていない。
  • 主な理由:
    1. 道路交通法などの法令上、物理カード提示が前提で、デジタル免許証の正式な扱いが定まっていない。
    2. カーシェア各社が用いているOCR・画像認証を中心とした本人確認システムがデジタル提示に対応していない。
    3. 不正利用リスクへの慎重姿勢や、運用上の障害(オフライン時の確認など)の懸念が強い。
  • 今後の展望:
    • 警察庁・国会による関連法令の整備と、業界団体のガイドライン策定が進めば、段階的にデジタル免許証でもカーシェアが利用可能になる可能性はある。
    • ただし当面は物理免許証との併存期間が続き、デジタルのみで利用可能になるまでにはなお時間と調整が必要。

所感

  • マイナンバーカードによる公的事務デジタル化は非常に助かるんだけど、本人確認を複数の証跡で証明する類のものや、カード自体の紛失時どうにもならなくなりそうでなかなか手が出ないのが現状。
  • 一応事務部門にも共有しておこう
GitHubで編集を提案

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