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【ST試験対策】経営戦略

2025/01/14に公開

なぜ作成したのか

  • ITストラテジスト合格のため、書籍の内容をまとめてみる

参考


午前Ⅱ対策

経営戦略

環境分析

  • 外部環境分析

    • PEST分析
      • 外部環境を「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の4要因に分類し、自社に与える影響を分析する手法
      • 4つの観点
        • Political(政治的要因)
          • 法規制、政府の安定性、貿易政策、税制、労働法など。
          • 実例: 再生可能エネルギー分野では、政府の補助金政策やカーボンニュートラルに向けた規制強化がビジネスチャンスに影響。
        • Economic(経済的要因)
          • 経済成長率、インフレ率、為替、消費者購買力など。
          • 実例: 新興国市場への進出を考える場合、現地のGDP成長率や労働力コストが重要な評価要因となる。
        • Social(社会的要因)
          • 人口動態、文化、消費者行動、教育水準、ライフスタイルなど。
          • 実例: 高齢化社会では、シニア向け健康サービスや住宅が需要を伸ばす可能性が高い。
        • Technological(技術的要因)
          • 技術革新、研究開発投資、技術採用のスピード、知的財産権など。
          • 実例: AI技術の進化により、チャットボットや自動化ソリューションが急速に普及。
    • 5f分析
      • 自社を取り巻く環境要因を「競合他社の脅威」「代替品の脅威」「新規参入者の脅威」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」の5つの力に分けて分析する方法
      • 5つの要因と解説
        • 新規参入の脅威(Threat of New Entrants)

          • 新規参入者が増えると競争が激化し、収益性が低下します。
          • 要因例: 初期投資コスト、ブランド力、規制の有無、規模の経済。
          • 実例: クラウドサービス業界では、インフラ構築の高コストと既存企業のブランド力が新規参入の障壁となる。
        • 競争企業間の敵対関係(Rivalry Among Existing Competitors)

          • 同業他社との競争が激しいほど、価格競争や収益圧迫が発生します。
          • 要因例: 市場成長率、固定費の高さ、製品の差別化。
          • 実例: スマートフォン市場では、AppleとSamsungの競争が激化し、新技術やデザインの差別化が重要。
        • 代替品の脅威(Threat of Substitutes)

          • 代替品が多いと顧客が他の選択肢を選びやすくなり、収益性が低下します。
          • 要因例: 代替品のコストパフォーマンス、顧客のスイッチングコスト。
          • 実例: 通常の宅配サービスに対するドローン配送技術などの新しい代替手段。
        • 供給者の交渉力(Bargaining Power of Suppliers)

          • 供給者の力が強いと、コスト増加や供給条件の悪化が発生します。
          • 要因例: 供給者の数、製品の差別化、代替供給元の有無。
          • 実例: 半導体業界では、TSMCやSamsungが供給者として高い交渉力を持つ。
        • 買い手の交渉力(Bargaining Power of Buyers)

          • 買い手が強いと価格競争が激化し、利益率が低下します。
          • 要因例: 買い手の集中度、製品の代替可能性、価格への感応度。
          • 実例: ECプラットフォームでは、大口顧客の交渉力が収益に直接影響。
  • 外部環境+内部環境

    • SWOT分析
      • 縦軸を「内部環境」「外部環境」、横軸を「プラス要因」「マイナス要因」に分けてStrength(強み) 、Weakness(弱み)、Oppotunity(機会)、Threat(脅威)の4要素で考える手法。
        プラス要因 マイナス要因
        内部環境 Strength Weakness
        外部環境 Oppotunity Threat
    • 3c分析
      • 「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの観点から市場を分析し、経営戦略上の課題を導く手法。
  • 内部環境

    • バリューチェーン分析
      • 商品を生産し、顧客が購入するまでの企業活動の流れを「主活動」「支援活動」に分類して分析する手法。
      • 主活動
        • 原材料調達から市場での流通、販売までの売り上げに直接つながる活動
        • 購買物流、製造、出荷物流、マーケティング、販売、サービス など
      • 支援活動 :
        • 売り上げに直接つながらない、企業活動を裏で支える活動
        • 人事、労務、技術開発、企業インフラ、調達 など
  • 製品・市場分析

    • PPM

      • Product Portfolio Management。
      • 市場占有率と成長率の2軸で。自社製品・サービスを評価する手法。
        占有率:高 占有率:低
        成長率:高 「花形」 「問題児」
        成長率:低 「金のなる木」 「負け犬」
    • アンゾフの成長マトリクス

      • 「製品」と「市場」の2軸を置き、それぞれ「既存の場合」「新規の場合」に分けて、成長戦略を4つに分類して考える手法
        既存製品 新製品
        既存市場 「市場浸透戦略」 「新製品開発戦略」
        新市場 「市場拡大戦略」 「多角化戦略」
    • コアコンピタンス

      • 持続的な競争優位の源泉
      • 他社にはすぐにまねできない、自社の強み

競争戦略

  • 競争戦略
    • ポーターの戦略
      • コストリーダーシップ戦略
        • 競合他社よりも安価な商品やサービスを提供することで競争優勢を獲得する
      • 差別化戦略
        • 自社の商品やサービスの独自性を追求し、他社との差別化を図る
      • 集中戦略
        • 狭い範囲にターゲットを絞り、自社の経営資源を集中させる
    • コトラーの戦略
      • リーダー
        • 業界No1企業。
        • すでにシェアがトップなので、市場拡大すれば、自ずと最も多く利益が享受できる
        • 採るべき戦略:市場規模の拡大、最大市場シェアの維持・拡大、最大利潤や名声の維持・拡大
      • チャレンジャー
        • リーダーに次ぐ規模のシェア。
        • リーダーに挑戦し、市場シェアの拡大を狙う立場。
        • 採るべき戦略:差別化戦略
      • フォロワー
        • リーダーには挑戦せず、チャレンジャーの鳥の腰を狙い、市場の地位を確立する
        • 採るべき戦略:リーダーやチャレンジャーの模倣
      • ニッチャ
        • リーダーが興味を示さない分野の特化
        • 採るべき戦略:価格帯、販売チャネルの限定、専門化
    • ブルーオーシャン戦略
      • 未開拓の市場を見つけ、他と競争せずに独り勝ちする
      • 対義語:レッドオーシャン=競争の激しい領域
    • ダイナミックケイパビリティ
      • 環境の変化に対応するため、企業が自己変革していく能力
      • 「企業変革力」とも呼ばれる。
  • 評価指標
    • KGI
      • Key Goal Indicator。
      • 重要目標達成指標。
      • 最終的に実現したいことを、定量的・具体的に設定する。
    • CSF
      • Critical Success Factor。
      • 重要成功要因。
      • KGI実現のために必要となる、成功の要因。
      • 定性的な記述、表現でOK(「指標」ではない)
    • KPI
      • Key Performance Indicator。
      • 重要業績評価指標。
      • CSFを実現するために必要な、定量的・具体的な要素を設定する。

企業間関係

  • M&A
    • Mergers and Accuisitions。二つ以上の会社が一つになったり(合併)、他の会社を買ったりすること(買収)
    • M&Aの実例
      • 成功例 :
        • AmazonによるWhole Foods Marketの買収(2017年)

          • 概要: Amazonがホールフーズを約137億ドルで買収。
          • 目的: オフライン店舗と物流ネットワークの統合、食品市場への進出。
          • 成果: ホールフーズの店舗をAmazonの物流ハブに活用し、食品分野での競争力を強化。
        • FacebookによるInstagramの買収(2012年)

          • 概要: FacebookがInstagramを約10億ドルで買収。
          • 目的: ソーシャルメディア市場の拡大、写真共有市場への進出。
          • 成果: InstagramはFacebookの主要収益源となり、広告収益を大幅に増加。
      • 失敗例
        • DaimlerによるChryslerの買収(1998年)

          • 概要: ドイツのDaimler-Benzが米国のChryslerを約360億ドルで買収。
          • 目的: 高級車市場と大衆車市場の統合。
          • 結果: 文化や経営方針の違いで統合が進まず、2007年に売却。
        • HPによるAutonomyの買収(2011年)

          • 概要: HPがイギリスのソフトウェア企業Autonomyを約111億ドルで買収。
          • 目的: ソフトウェア事業の強化。
          • 結果: 買収後、不適切な会計処理が発覚し、大規模な減損損失を計上。
  • 統合
    • 垂直統合
      • 上下関係にある会社の統合
      • バリューチェーンやサプライチェーンの効率化を目的として実施する
      • 原材料や部品の供給元を統合する「後方統合」と、流通や販売を統合する「前方統合」のタイプがある
      • 実例 :
        • 後方統合

          • Apple
            • 自社で半導体(Apple Silicon)を設計し、製品に使用。
            • 目的: 性能の最適化と他社依存の軽減。
          • トヨタ
            • 自社でエンジンや部品を生産することで、品質と供給をコントロール。
        • 前方統合

          • Tesla
            • 自社の販売店舗を運営し、ディーラーを介さずに直接販売。
            • 目的: 顧客体験の向上と中間マージンの削減。
          • ユニクロ(ファーストリテイリング)
            • 自社店舗とオンラインショップを運営し、消費者に直接販売。
    • 水平統合
      • 同一業種、同一業態の企業に対するM&A
      • スケールメリットを目的として実施する
      • 実例 :
        • FacebookによるInstagramの買収(2012年)

          • 概要: ソーシャルメディア分野の競合を取り込む。
          • 目的: ユーザー層を拡大し、広告市場での収益力を強化。
        • Disneyによる21世紀フォックスの買収(2019年)

          • 概要: 映画やテレビ番組の制作・配信を強化。
          • 目的: ストリーミング市場(Disney+)での競争力を向上。
        • GoogleによるFitbitの買収(2021年)

          • 概要: ウェアラブルデバイス市場の競争力を高める。
          • 目的: 健康データとデバイス市場での存在感を強化。
  • MBO
    • Management Buyout。
    • 経営陣による自らの会社の買収
    • 会社の株式や部門を買収することにより、会社から独立する
    • 実例
      • 成功例
        • カルビーによるMBO(2009年)

          • 概要: 投資ファンドのカーライルグループと経営陣が提携して、創業家から株式を買い取る形でMBOを実施。
          • 目的: 創業家による経営権の分散と、新たな成長戦略の構築。
          • 成果: その後の成長戦略により、カルビーはスナック市場での競争力を強化し、事業を大幅に拡大。
        • ユニ・チャームペットケアのMBO(2010年)

          • 概要: ユニ・チャームが子会社のペットケア部門をMBOで独立させ、経営陣が出資。
          • 目的: ペット用品市場の成長性に特化した事業展開。
          • 成果: 独立後、ペットケア事業は柔軟な戦略を採用し、業績を向上。
    • 失敗例
      • パリス・クロージングのMBO
        • 概要: 経営陣が資金を調達してアパレル事業を買収。
        • 結果: 経営陣が過剰な負債を抱え、業績悪化により破綻。
        • 原因: 無理な借入と市場分析の甘さ。
  • EBO
    • Employee Buyout。
    • 従業員が株式や事業を買収する
    • 実例
      • 日本交通のタクシー部門(大阪、日本)

        • 概要: 日本交通の大阪エリアのタクシー事業が、従業員のEBOによって独立。
        • 背景: 経営の効率化を目的に地域ごとに事業を切り離し、従業員が経営権を取得。
        • 成果: 従業員が主体的に運営を行った結果、サービス品質の向上と収益改善を実現。
      • モンドラゴン協同組合(スペイン)

        • 概要: スペインのバスク地方で始まった世界最大の従業員所有型協同組合。
        • 背景: 地元経済の活性化を目的に、労働者が資本を出資して事業を運営。
        • 成果: 多業種にわたる成功例となり、雇用創出や地域経済への貢献を実現。
      • フェニックス・メタル(フランス)

        • 概要: 経営破綻した金属加工会社を従業員が買収。
        • 背景: 解雇を避けるため、従業員が資金を調達し、工場運営を継続。
        • 成果: 従業員の熱意と団結により、事業を再建し、安定的な収益を確保。
  • LBO
    • Leveraged Buyout。
    • 外部から資金調達し、少ない自己資本で買収すること。
    • 実例
      • 成功例
        • KKRによるRJRナビスコの買収(1989年)

          • 概要: 投資ファンドKKRがアメリカの食品・タバコ企業RJRナビスコを約250億ドルで買収。
          • 背景: タバコ事業と食品事業の分離を目指す。
          • 成果: 企業分割と効率化で収益性を向上させ、巨額の利益を実現。
        • SoftBankによるSprint買収(2013年)

          • 概要: ソフトバンクがアメリカの通信企業Sprintを約216億ドルで買収。
          • 背景: 米国通信市場への進出。
          • 成果: Sprintの経営改善を通じて、収益性を向上させた後、T-Mobileとの合併を成功させた。
        • BlackstoneによるHilton Hotels買収(2007年)

          • 概要: 投資ファンドBlackstoneがヒルトンホテルズを約260億ドルで買収。
          • 背景: 世界的なホテル市場の拡大を見越し、買収を決定。
          • 成果: 経営改善と市場拡大で業績を伸ばし、2013年にIPOで巨額の利益を得た。
      • 失敗例
        • TXU(エネルギー企業)の買収(2007年)
          • 概要: テキサス州のエネルギー企業TXUを投資ファンドが約450億ドルで買収。
          • 背景: エネルギー市場の成長を見込んだが、後に天然ガス価格の低下で業績悪化。
          • 結果: 買収後の収益低迷により、破産に追い込まれる。
  • TOB
    • Takeover Bid。
    • 株式公開買い付け。
    • 企業や個人が対象企業の株式を一定価格で一斉に買い取り、対象企業の経営権を取得すること。
    • 実例
      • 成功例
        • ソフトバンクによるLINEのTOB(2021年)

          • 概要: ソフトバンクと韓国NAVERが共同でLINEの株式を買付けし、完全子会社化。
          • 目的: Zホールディングス(ヤフージャパン)とLINEの統合を進め、国内最大のITプラットフォームを構築。
          • 成果: 統合後、広告や決済分野での競争力を強化。
        • パナソニックによるパナソニック電工のTOB(2011年)

          • 概要: パナソニックがグループ企業のパナソニック電工を完全子会社化するためにTOBを実施。
          • 目的: グループ内の経営資源を統合し、競争力を向上。
          • 成果: 生産体制の効率化と製品ラインの統合で収益性を改善。
        • ユニクロ(ファーストリテイリング)によるジーユーのTOB(2006年)

          • 概要: ファーストリテイリングが低価格衣料事業のジーユーをTOBで取得。
          • 目的: ブランドポートフォリオの多様化と低価格市場への参入。
          • 成果: ジーユーはその後、ファーストリテイリングの重要な成長エンジンとなった。
      • 失敗例
        • ライブドアによるニッポン放送のTOB(2005年)

          • 概要: ライブドアがニッポン放送の経営権を取得しようとTOBを実施。
          • 結果: フジテレビ側が対抗策を講じ、敵対的買収は失敗。
          • 原因: フジテレビによる防衛策(ライツ・オファリング)と、ライブドア側の買収資金の不足。
        • 楽天によるTBSのTOB(2005年)

          • 概要: 楽天がTBSの株式を大量取得し、TOBを通じて経営権を握ろうとした。
          • 結果: TBS側の抵抗で買収は失敗し、その後友好的な関係を構築。
          • 原因: 敵対的買収に対する企業文化やステークホルダーの反発。
  • カーブアウト
    • 親会社が子会社や自社事業の一部を切り出し、新しい会社として独立させること
    • 実例
      • eBayによるPayPalのカーブアウト(2002年、再スピンオフ:2015年)

        • 概要: eBayが子会社PayPalの株式をIPO(新規株式公開)し、事業の独立性を確保。
        • 目的: オンライン決済事業の成長を加速するため、分離して運営効率を向上。
        • 成果: PayPalは独立後に顧客基盤を大幅に拡大し、eBay以外の市場にも進出。現在はグローバルな決済プラットフォームとして成功。
      • Hewlett-Packard(HP)の事業分割(2015年)

        • 概要: HPはPC・プリンター事業(HP Inc.)とエンタープライズ事業(Hewlett Packard Enterprise)に分割。
        • 目的: 両事業の成長戦略を明確化し、それぞれが市場で競争力を高める。
        • 成果: 分割後、HPEはクラウドやエンタープライズ向けのサービスに注力し、HP Inc.はコア製品の市場シェアを拡大。
      • デュポン(DuPont)によるケミカル事業のカーブアウト(2015年)

        • 概要: デュポンはケミカル事業を切り離し、新会社「Chemours」を設立。
        • 目的: 環境規制の影響を受ける事業を分離し、コア事業に注力。
        • 成果: デュポンは化学素材以外の事業に集中し、Chemoursは独自の市場で成長を遂げた。
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