RustとRP2040マイコンでPWMを出力してみた(組み込み開発、PWM入門)
はじめに
多くのマイコンには、PWM(pulse width modulation:パルス幅変調)という波形を出力する機能があります。
このPWMは、デューティー比とと言われるON/OFFの比率を変化させることで平均的な電圧値を下げることができ、デジタル出力をアナログ出力の様に扱うことができます。これを利用すれば擬似的な正弦波を出力することもできます。以下、ディーティ比の数式です。
RP2040マイコンにも、このPWMの出力回路が備わっています。今回は、RP2040が搭載されていて手軽にRust組み込み開発ができる開発ボードのBaker link. DevでPWMを出力をしてみました。
RP2040のPWM回路について
コードの話に入る前に、PWM回路の説明をいたします。以下、公式のPDF(リンク)から抜粋したPWMスライス回路の図です。RP2040は、この図の回路と同じものが計8つ備わっています。
各スライス回路は 2つのPWM信号を出力できます(入力信号の周波数またはデューティサイクルを測定したりもできます)。つまり、8×2=16のPWM信号を出力することができます。また全てのGPIOピンは、PWM出力可能でGPIOと16のPWM信号は以下のように対応しています。PWM Channelは、コード中で指定する数字になります。
リンクより
使用するハードウェア
- Baker link. dev(Rev.1)
https://www.switch-science.com/products/10044?pr_prod_strat=e5_desc&pr_rec_id=a6e73e66d&pr_rec_pid=8373209497798&pr_ref_pid=8328468431046&pr_seq=uniform
プロジェクトを作成
- Baker link. Envを起動し、プロジェクト名を入力、createをクリック、プロジェクト保存先のフォルダを選択してください。
プロジェクトを作成
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Baker link. Envを起動し、プロジェクト名を入力、createをクリック、プロジェクト保存先のフォルダを選択してください。
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Visual Studio Code起動後は、左下のコンテナで再度開くをクリックしてください。しばらくすると、Dockerの環境がビルドされ、環境構築が完了します!
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Visual Studio Code起動後は、左下のコンテナで再度開くをクリックしてください。しばらくすると、Dockerの環境がビルドされ、環境構築が完了します!
コーディング(コードを書く)
- src/main.rsを次のコードに書き換えてください。
これは、緑のLEDの光を徐々に強く、徐々に弱くを繰り返すコードです。
#![no_std]
#![no_main]
use defmt::*;
use defmt_rtt as _;
use panic_probe as _;
use rp2040_hal as hal;
use hal::pac;
use embedded_hal::delay::DelayNs;
use embedded_hal::pwm::SetDutyCycle;
#[link_section = ".boot2"]
#[used]
pub static BOOT2: [u8; 256] = rp2040_boot2::BOOT_LOADER_GENERIC_03H;
const LOW: u16 = 0;
const HIGH: u16 = 25000;
const XTAL_FREQ_HZ: u32 = 12_000_000u32;
#[rp2040_hal::entry]
fn main() -> ! {
info!("Program start!");
let mut pac = pac::Peripherals::take().unwrap();
let mut watchdog = hal::Watchdog::new(pac.WATCHDOG);
let clocks = hal::clocks::init_clocks_and_plls(
XTAL_FREQ_HZ,
pac.XOSC,
pac.CLOCKS,
pac.PLL_SYS,
pac.PLL_USB,
&mut pac.RESETS,
&mut watchdog,
)
.ok()
.unwrap();
let mut timer = rp2040_hal::Timer::new(pac.TIMER, &mut pac.RESETS, &clocks);
let sio = hal::Sio::new(pac.SIO);
let pins = hal::gpio::Pins::new(
pac.IO_BANK0,
pac.PADS_BANK0,
sio.gpio_bank0,
&mut pac.RESETS,
);
let mut pwm_slices = hal::pwm::Slices::new(pac.PWM, &mut pac.RESETS);
let pwm = &mut pwm_slices.pwm3;
pwm.set_ph_correct();
pwm.enable();
let channel = &mut pwm.channel_a;
channel.output_to(pins.gpio22);
loop {
for i in LOW..HIGH {
timer.delay_us(8);
channel.set_duty_cycle(i).unwrap();
}
for i in (LOW..HIGH).rev() {
timer.delay_us(8);
channel.set_duty_cycle(i).unwrap();
}
timer.delay_ms(500);
debug!("Looping...");
}
}
ハードウェアの準備
難しいジャンパー線等の配線は不要です!USBでPCとBaker link. Devを接続してください。
プログラムをRUN
-
コーディングが終わったら、Baker link. EnvのRunをクリックしてください。するとバックグラウンドで、probe-rsのDAP Serverが起動します。
-
Visual Studio CodeでF5キーを押してください。すると、以下のようなアイコンが表示されます。
-
もう一度、F5キーを押すと、プログラムが動作します。
すると緑のLEDが点灯します!
最後に
以上の手順で、RustでPWMを出力することができました。今回はLEDを光らせただけですが、モーターなど他にも多くの場面でPWMは使えるので試してみてください!
今回のプログラム
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