ファイルサーバーをAzureに移行する
はじめに
この記事では、ファイルサーバーをクラウドに移行されることをご検討されている方々に向けて、Azureの各種サービスをご紹介させていただきます。
移行先選定の一助になればと思います。
※記事内の情報は作成時点(2026年5月)のものとなります。
クラウド移行のメリット
ファイルサーバーをクラウドに移行することで、以下のようなメリットがあります。
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データ量の増加に応じてストレージサイズを拡張できます。
オンプレミスの物理サーバーの場合は、次回リプレースまでのデータ増加を予想して、あらかじめ十分な容量でストレージを調達する必要があります。
しかし、クラウドサービスであれば、画面操作のみでストレージサイズをいつでも自由に拡張することが可能であり、サービスによってはサイズを縮小させることも可能です。
また、適切なストレージサイズを設定することで費用削減となります。 -
ハードウェアの更新対応が不要となります。
ハードウェアはいずれ更新対応が必要となります。
しかし、クラウドサービスであれば、ハードウェアの保守・運用が不要となります。 -
ディザスタリカバリー対策が簡単に行えます。
オンプレミスの物理サーバーでディザスタリカバリー対策を行うには、複数のデータセンターを用意したり、データの他所保管を実施するなど、大掛かりな対応が必要となります。
しかし、クラウドサービスであれば、地理的冗長(東日本リージョンと西日本リージョン)やゾーン間冗長(東日本リージョン内の複数データセンター間)を画面操作だけで簡単に実現できます。
Azureの主なファイルサーバー移行先サービス
ファイルサーバーのクラウド移行先として、Azureでは主に5つのサービスがあります。
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1. Azure NetApp Files
Azureが提供するエンタープライズ向けの高性能ファイルストレージサービス
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2. Azure Files
Azureが提供するフルマネージドのファイル共有サービス
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3. Azure File Sync
オンプレミスのWindowsファイルサーバーとAzure Filesを同期するサービス
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4. Azure仮想マシン
クラウド上に置いた従来型(Windowsで共有フォルダを公開するなど)のファイルサーバー
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5. SharePointOnline
Azureではありませんが、Microsoft365のSharePointOnlineというサービスもファイルサーバ移行先の候補としておすすめいたします。
各サービスのおすすめポイント
パフォーマンス重視、最大容量重視:Azure NetApp Files
性能を重視するのであれば、Azure NetApp Filesをおすすめいたします。
1TB単位で容量を拡張することができ、サイズに応じてスループットが割り当てられます。
- Standard Storage 1TiBあたり スループット16MiB/s
- Premium Storage 1TiBあたり スループット64MiB/s
- Ultra Storage 1TiBあたり スループット128MiB/s
(どの種類でも最大スループットは12,800MiB/s)
容量とスループットを調整できる「Flexible Storage」という種類もあり、小容量でもスループットが大きいボリュームを作成することができます。
(1iTBの場合で最大640MiB/s、1,024TiBの場合で最大655,360MiB/s)
また、他のサービスと比べて最大容量が大きいのも特徴です。
- 1ボリュームの最大サイズ 7.2 PiB(ペピバイト 1TBの1,024倍)
- 1ファイルの最大サイズ 16TiB
コスト重視:Azure Files
費用を重視するのであれば、Azure Filesをおすすめいたします。
最大スループットはAzure NetApp Filesには及びませんが、コストパフォーマンスは優れたサービスです。
- SSD/HDDプロビジョニング v2:ストレージ、IOPS、スループットを個別にプロビジョニングできるプロビジョニング済み課金モデル。 実際に使用する金額に関係なく、プロビジョニングした内容に基づいて支払います。
- SSDプロビジョニング v1:必要なストレージの量をプロビジョニングするプロビジョニング済み課金モデル。IOPS とスループットはプロビジョニングするストレージの量によって決まります。
- HDD従量課金:使用済みのストレージ、トランザクション、データ転送でコストが決定される使用量ベースの課金モデル。
最小サイズは32GiBで、1GiB単位で容量拡張を行うことができます。(HDD従量課金を除く)
最大スループット:(SSD) 10,340MiB/s / (HDD) 5,120MiB/s
最大ボリュームサイズ:256TiB (SSDプロビジョニング v1、HDD従量課金は100TiB)
最大ファイルサイズ:4TiB
簡易性重視:Azure File Sync
とりあえずクラウドにデータを持っていきたいのであれば、Azure File Syncをおすすめいたします。
このサービスは、オンプレミスのファイルサーバーをキャッシュサーバー化します。
現在のファイルサーバー(Windowsに限る)はそのままにして、データをAzure Filesに転送同期させることができます。
これにより、ファイルサーバーのリプレース対応やディザスタリカバリー対策が容易になります。
移行性重視:Azure仮想マシン
現在の管理や運用をそのままに移行する必要がある場合は、Azure仮想マシンへの移行をおすすめいたします。
Office系ファイル共有重視:Microsoft 365 SharePointOnline
Microsoft 365の各種Office製品(Word, Excel, PowerPointなど)を共有するのであれば、SharePointOnlineへの移行をおすすめいたします。
月額費用の比較
※注意事項
記事作成時点(2026年5月)の価格となります。
東日本リージョンの価格となります。
日本円は1ドル160円で計算した価格となります。
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Azure NetApp Files (単一暗号化の場合)
Standard Storage 1TiB(スループット 16MiB/s) $180.90 (約28,950円)
Premium Storage 1TiB(スループット 64MiB/s) $361.05 (約57,770円)
Ultra Storage 1TiB(スループット 128MiB/s) $482.15 (約77,150円)頻繁にアクセスされるデータが少ないようであれば、クールアクセスを使用することでかなりの費用削減が可能です。
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Azure Files(LRSの場合)
SSDプロビジョニング済みv2 1TiB(スループット 203MiB/s) $194.99 (約31,200円)
HDDプロビジョニング済みv2 1TiB(スループット 81MiB/s) $88.62 (約14,180円)
SSDプロビジョニング済みv1 1TiB(スループット 203MiB/s) $196.61 (約31,460円)
HDD従量課金 1TiB $61.44 (約9,830円) + トランザクションコスト・データ転送コスト
(IOPS,スループットはサイズに応じた推奨値)なお、SSD/HDDプロビジョニング済みv2の場合は、IOPS・スループットを変更することで、費用を抑えたりパフォーマンスを向上させたりすることができます。
SSDプロビジョニング済みv2 1TiB(スループット 100MiB/s) $148.76 (約23,800円)
HDDプロビジョニング済みv2 1TiB(スループット 60MiB/s) $45.63 (約7,300円)
(※IOPS,スループットは選択可能な最小値) -
Azure File Sync
Azure Filesの料金 + 同期サーバー料金 1台当たり $7.25 (約1,160円) -
Azure仮想マシン
Azure仮想マシン(Windows Server, D2s_v5 2core/8GB RAM) $157.68 (約25,230円)
マネージドディスク(Premium SSD LRS, OS用, 128GiB) $22.67 (約3,630円)
マネージドディスク(Premium SSD LRS, データ用 1,024GiB) $155.44 (約24,870円) ※容量拡張はこのディスクのサイズを変更する。
合計 約53,730円 -
SharePointOnline
Microsoft 365契約には、1TB + 1ユーザーあたり10GBのSharePointOnline ストレージ容量が含まれています。
例えば、150ユーザーであれば、1TB + 1,500GB で2.5TBが使用できます。容量を追加したい場合は「Office 365 Extra File Storage」を購入します。
こちらは1GB単位で購入できます。
1GB 30円
1TB 30,000円
各サービスを使用する際の注意点
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Azure NetApp Files
- Active Directory接続が必要です。
- ファイルサーバーのコンピューター名は自動作成されたものとなります。
任意のコンピューター名で接続したい場合はDNS設定が必要です。
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Azure Files
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ハイブリッドIDが必要です。[※1]
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仮想ネットワーク経由の接続にはプライベートエンドポイントを構成する必要があります。
Azure Filesは標準でパブリックエンドポイント経由の接続を提供していますが、一般的にはセキュリティ確保やISPによるポート445の遮断を避けるため、VPNやExpressRouteを介したプライベートエンドポイント経由での接続が推奨されます -
接続パスは指定されたUNCパスのみです。
IPアドレスや独自の名前解決を含むパスでの接続はできません。
UNCパスの形式:\\<ストレージアカウント名>.file.core.windows.net\<共有フォルダ名>
(※1) ネイティブMicrosoftEntraID認証がGA(正式公開)されました。
Azure FilesではEntraIDのみで認証設定が可能となりました。
ただし、共有フォルダ内のサブフォルダやファイルに対する細かなアクセス制限は設定できないため、これまでのACL設定をそのまま移行させることはできませんのでご注意ください。 -
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Azure File Sync
- Azure Filesが必要です。
- 現在のファイルサーバーにエージェントをインストールする必要があります。
- 現在のファイルサーバーからAzure FilesにHTTPSでデータの送受信を行います。(プライベートエンドポイント構成可能)
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Azure仮想マシン
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複数のマネージドディスクを使用したダイナミックディスク構成は非推奨であるため、データ領域の拡張はディスクサイズ変更で行う必要があります。
マネージドディスクのサイズは以下の範囲で設定できます。(Premium SSD/Standard SSD/Standard HDD)
4,8,16,32,64,128,256,512,1024,2048,4096,8192,16384,32767(単位はGiB)
(Premium SSD v2)
1GiBから64TiBまで1GiB単位で設定可能
(Ultra Disk)
4GiBから64TiBまで1GiB単位で設定可能
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データ移行についての注意事項
オンプレミスからAzureにファイルサーバー移行を行う場合、保存されているデータ容量が多いほど、データ移行に時間がかかることが予想されます。
データ移行中はAzureとの接続回線の帯域を圧迫するため、他のAzureサービスへの影響も懸念されます。
そのため、容量の多いファイルサーバ移行の場合は、物理ストレージを使用した移行サービス(Azure Data Box)の利用もご検討いただければと思います。
最後に
ファイルサーバーのクラウド移行についてのご相談は、AZPowerまでお気軽にご連絡ください!
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