プロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメントの違いとは? 〜経営層から現場まで知っておきたい視点〜
はじめに
「プロジェクトマネジメント」と「プロダクトマネジメント」は混同されがちですが、両者は役割や評価軸が大きく異なります。経営層、マネージャー、プロダクトオーナー、プロジェクトマネージャーはもちろん、スクラムマスターやアジャイルコーチにも知ってほしいと感じたことをまとめます。
1. プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントは、決められた期間内に、決められた範囲(スコープ)で成果物を完成させることを目的とします。
主な評価ポイントは、スケジュール、予算、リスク管理、進捗の管理など「計画通りに進めること」です。
2. プロダクトマネジメントとは
プロダクトマネジメントは、市場や顧客のニーズを満たし、価値を継続的に提供し続けることを目的とします。
評価ポイントは顧客価値、製品の成長、収益性、顧客満足度など、「成果物の価値と影響」です。
3. なぜ両者は混同されやすいのか
日本のIT業界では外注中心の体制や、要件を完全に固めてから発注する文化もあり、「プロジェクトマネジメント」の考えも大切です。
そのため、プロダクトの価値や顧客視点でのマネジメントが後回しになりがちだと感じます。
IPA 「DX動向2025」日米独比較で探る成果創出の方向性「内向き・部分最適」から「外向き・全体最適」への中の、DX動向2025(本文)PDF P.42 にもある通り、コア領域での日本の内製化の少なさが分かりますね。
同じくIPAのDX白書2023(現時点での最新)のP.192では、
日本における情報処理・通信に携わる人材がIT企業、IT企業以外に所属する割合は2020年が73.6%対26.4%である。
や、
米国における情報処理・通信に携わる人材のIT企業、IT企業以外に所属する割合は、35.1%対64.9%
と記載記載されているとおり、大きく違いますね。
上記のデータだけでも、日本では外注に対するマネジメントも大切であることが伝わります。
外注の話に発展すると、海外との単純比較では雇用形態の違い(極端に言えばレイオフのしやすさなど)も影響するかと思います。
ここでは主題と離れてしまうと思いますので、また別の機会に……。
4. アジャイル・スクラムにおける両者の役割
アジャイルやスクラムでは、プロダクトオーナーが「プロダクトの価値最大化」を担います。一方、プロジェクトマネージャーはプロジェクトの進捗やリスクを管理し、組織としての投資や成果を守る役割です。
この2つはどちらも重要ですが、評価軸が異なるため、混同しないことが成功の鍵です。
しかしながら、プロジェクトマネージャーがプロダクトオーナーを兼任していることが多いのではないでしょうか?
5. 具体的にどんな違いを見るべきか
改めて評価軸は以下が挙げられます。
- プロジェクトマネジメントの評価軸:計画の遵守、予算内での完遂、リスク管理
- プロダクトマネジメントの評価軸:顧客満足度、製品の市場適合性、価値の持続的創出
参考に、スクラム.orgの「アジャイルプロダクトオペレーティングモデル(APOM): エビデンスベースドアプローチ」は、プロダクトとプロジェクトの違いを理解し、評価する手助けになるかと思います!
日本語訳もありますので是非!(Download Japanese Translated Paper をクリック!)
6. 私の考え~プロダクトもプロジェクトもチームで価値を提供するためには大切な要素~
「プロジェクトマネージャーとして計画や進捗を説明する場」と「プロダクトマネージャーとして価値や成果を説明する場」は明確に分けるべきです。
また、チームメンバーがプロダクトオーナーの業務を理解し、スクラムマスターが適切にサポートできる体制が理想的です。
プロダクトの価値は大切、しかしながらビジネスとしてプロジェクトもチームで支えていくことができたら最高のチームと言えるのではないでしょうか!
7. おまけ~日本のIT産業における課題と今後の展望~
日本では外注が多く、要件を完全に固定してから発注する文化があることもスピード感や波に乗れない感じがあるのではないでしょうか……。
米国では内製化やIT企業ではない企業内でも多くのIT技術者がいることから、ビジネス側と技術側の連携が強いと感じるのですが、
日本でも「客先常駐」やそれに近い業務モデルがありますので、現場の人がビジネス層と技術者がもっと密にコミュニケーションをとり、価値を共創できるとより良い相乗効果が生まれるのではと考えています!
現実問題、セキュリティの問題、権限の問題、社外秘が漏れないようになど難しそうですけどね……。
おわりに
プロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメントは似て非なるものですが、両者の違いを正しく理解し使い分けることで、組織としてより高い価値を生み出せるはずです。
経営層から現場まで、視点の違いを理解して、一緒により良いプロダクトとプロジェクトを作り上げていきましょう。
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