個人開発で背負い込み過ぎて、まつ毛パーマに行き着いた話
「子供に使ってもらえるアプリをつくる」
そう思い始めて、はや2年。
モックは完成したが、なんだか使いにくい。
そう思ってデザインから作り直した。駆け出しエンジニアとはいえ、元はWebデザイナー出身だ。10年前はwebデザイナーとコーダーに境界はなかった。だからデザインツールもお手のものだ。
どうせならもっと実務寄りの技術スタックで挑戦しようと、あらゆるライブラリやツールに手を出した。AI で TypeScript の Next.js の叩き台は作るけど、AppRouter も理解してコンポーネントから作っている。バックエンドは勉強の日々だけど、私は案外バックエンドが楽しい。
途中からちょっと欲が出てきて、どんな子供でも使えるアプリにしたい、と思い始めた。
多動や過敏症ががあっても、操作に支障がなく、なおかつ夢中になれるアプリとは何かを考えるために発達障害の資格を取得。通信制の大学にも入学し、いまさら大学生になった。
我ながら盛大な寄り道をしていると感じている。でも「わたしがかんがえたさいきょうのアプリ」に根拠を持たせたかった。そのためにも、現実の子供達がどんな問題を抱えているのか知りたいと思った。そして実際の学習の場ではどんな学習が選ばれているのかも知りたいと思った。
エンジニアとしてはまだ駆け出しなので、情報基礎の資格を予約した。
また勉強することが増えた。
明らかにキャパオーバーだ。
勉強と仕事と個人開発で運動不足だ。
歩数計は今日も53歩しか記録していない。
これではエコノミー症候群か糖尿病で死ぬ。血圧も140を超えた。
とにかく時間がない。
いつも時間に追われているし、我が子3人の子育てもある。
自分のことにかまけてられないからいつもすっぴん。髪の毛もボッサボサ。
新しい案件を取得するために、オンラインで面談をした。
私はシングルマザーだ。案件獲得は子供達の生活がかかっている。そう思ったら、いつも以上に緊張して抜け出せなくなってしまった。オンライン面談の画面に映る自分の顔色は本当に真っ青だった。しどろもどろで終わった面談は落ちた。悔しくはなかった。当然の結果だから。
私は睡眠が浅い。夜中に子どもが布団を蹴飛ばしていないか、何回か起きて布団をかけてまわる。
私は体力がない。朝ジョギングを再開したら3日寝込んだ。
私は時間がない。1日のどのタイミングでジムに行けばいいか悩み、結局は通い始めても3ヶ月で休会した。
私は子供が一番大事だ。だから私が作りたアプリのペルソナはほぼ実寸大の我が子たちだ。
私は家族で唯一の大人だ。私がしっかりしなければ。子供を守らねば。私が私が私が私が
アラフォーは気づいた。このままでは潰れる。歳の功だ。
スマホを開いた。
直感でまつげパーマを予約した。
アラフォーの目元がぱっちりになった。ビューラーとつけまつげは不要になった。
まつ毛パーマは地味な顔を少しだけ華やかにした。久々に心が踊った。
次の日、いつも通り朝イチで散歩に行く。昨日と同じ生活リズムなのに、ちょっとだけ心が軽い。
ファンデーションとマユズミだけで寝起き顔から脱出できた。化粧が苦手な私には、時間的コストダウンだった。
頭の中でとっ散らかっていたタスクを整理し始めた。
大学の勉強も能動的に頭に染み込んでいく。
気分がいいうちに作りたいものを作っていく。
気分が落ち込んできたら、また、まつげパーマを予約しておこう。
自分自身を整えることは、誰よりも自分自身が喜ぶことだと再認識した。
ほんの少しだけ停滞していた個人開発は、こうやって再稼働を始めた。
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