atama plusと生成AI(2025年版)
こちらはatama plus Advent Calendar 2025 5日目の記事です。
こんにちは!atama plusのigawyです。
みなさんはどの生成AIツールを使っていますか?
2025年も生成AIツールが次々出て、様々なアップデートがありましたね。至るところで生成AIのTIPSや活用に関する記事を見かけます。
では、それらのツールはどうやって使い始めましたか?
組織としてツールを導入する場合、用途やコスト、セキュリティなど様々なことを考えた上で導入有無を判断したいところです。ただ、迅速にその状態に持っていくためにはリソースが必要です。
組織によっては情シスの方がその役割を担っているかもしれませんし、生成AI専門組織を作っている組織も多く見かけます。
人数の少ない組織でどう回していくのかは各社の工夫のしどころだと思います。
この記事では、atama plusにおける2025年の生成AI活用状況(対象は開発ツール)と、どうやってその状態にしていったのか、そこで得られた学びについて紹介します。
なお、具体の技術やプロダクトへの組み込みについてはこの記事では触れないので、他のエンジニアの記事を読んでみてください!
対象読者
- 組織で生成AIを導入する立場の方
- 生成AIを使っている方(こんなことを考えてたんだという参考に)
現在の生成AI活用状況
現在atama plusのエンジニアが開発で使っている主要な生成AIツールは以下になります。
- Github copilot、 Cursor、 Codex、 Claude code、 Devinなど
また、2025年9月(アンケート取得時点)のエンジニアの生成AI活用状況は以下になります。
- 何かしらのツール利用率:100%
- 使っているツールの数(平均):2つ
- 生成AI活用によって業務効率が上がっていると感じている:100%(6月時点は75%)
実は6月時点では利用率もここまで高くはなかったのですが、その後3ヶ月ほどで一気に状況が変わりました。
やったこと
atama plusでは基本的にエンジニアが使いたいツールを申請すれば使えるようになっていますが、社内で最初に使うためにはセキュリティや法務、コスト面のチェックが必要になります。生成AIツールについては日々新しいツールがリリースされるため、申請しようと重い腰を上げたところで次のツールが出てきます。このような状況で、適切な管理をしながら生成AIと付き合っていくためにはどうすればいいかが課題でした。
そこで、
- 目標設定
- 現状把握
- 施策実行
をぐるぐる回しました。
まずは目標設定です。最初に組織として目指したい状態を推進メンバー間で議論し、以下の目標を設定しました。
- エージェントツールを普段の開発で利用している人がエンジニアの80%を超えている
- 生成AIを開発で活用するためのナレッジマネジメントの仕組みが確立している
組織として目指したいのは組織的に生成AIを活用できることですが、具体的に誰がどこまでの状態になることなのかは曖昧でした。そこで今回は、エンジニア全員がMCPサーバーを立てられるようになることではなく(あくまで例です)、今使えていない人が使えたと言える状態になること、全員が生成AI活用を自分ごと化できる状態になることを目標としました。
次に、現状把握として月に1回アンケートを取得しました。アンケートの内容は月を追うごとにアレンジしていきましたが、以下のような項目についてヒアリングしました。
- 使っている/使ってみたいツール
- 現在の使い方(利用時間、用途、満足度、習熟度など)
- 使うにあたって不安なこと
- 組織として整備できてるといいこと
アンケートからエンジニアが気になっているツールや課題感がわかったので、優先度をつけて対応していきました。代表的な施策は以下の3つです。
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生成AIツールの管理部署を決めて、アカウント発行をはじめとする管理を集約
主要なツールはまとめて管理し、エンジニアは管理部署に連絡するだけで使えるようにしました。これはとても好評で、利用者が一気に増えました。(Devinのような従量課金型のツールはエンジニア全員に利用権限を付与して申請なしで使える状態)
展開初期は一人で複数のツールを使っている状況でしたが、徐々に各人の開発スタイルに合わせてツールを選定して使うことができています。
管理する側もこれまであまり見えなかった各人のツールの利用状況が(実績も!)把握しやすくなり、管理がしやすくなっていると感じます。 -
日々の知見共有
使い方や新しい発見、困りごとの相談を目的としてslackチャンネルを開設しました。
職種によって使い方や気になりポイントが違うため、現在はエンジニアチーム、QAチーム、コンテンツチームと、職種ごとのチャンネルが作成され、そこで活発に情報共有が行われています。
違う職種のチャンネルを見ると多様な使い方を知ることができて興味深いです。 -
活用促進イベントの開催
ハッカソンのテーマを生成AI活用にして、エンジニア、QA、コンテンツの複合チームで様々なアイディアについて具体化するイベントを実施しました。
これまでもハッカソンは何度か開催してきましたが、どのチームも具体で動くレベルまで仕上げてきてとても盛り上がりました。
このような取り組みを3ヶ月ほど実行した結果生成AI活用が進み、今はボトムアップでも様々な施策が行われています。以下は一例です。
- 生成AIが作成したコードの扱いをガイドライン化
- コードレビューの観点を育てる活動
- devが集まるミーティングで得られた知見を紹介
- チームで生成AI月間などを決めて使ってみた結果を共有
組織によってはルール整備も管理部署が実施するところが多いと思うのですが、atama plusのいいところは問題意識を持った人たちが自発的にルール整備やドキュメント化に動ける点だと思います。
学び
これらの施策を通じて以下の学びが得られました。
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トップダウンで進めるのは大事
アカウント発行プロセス改善で一気に利用者が増えたことを受けて、思った以上に申請のハードルが高かったことがわかりました。これはボトムアップだとアプローチしにくかったと思います。
また、ツールの管理方針もツール横断で検討することができるため、一貫性を持って対応できていると考えています。 -
ボトムアップも大事
エンジニアが複数ツールを気軽に試せるようになり利用が加速した結果、ルール整備や知見の共有、社内の他の職種への展開がボトムアップで進みました。
セキュリティ面などを考慮すると一定期間検証して展開する方が良いとは思いますが、ある程度リスクは許容しながらスピード優先で展開し、問題が見つかったら都度判断という形をとっています。ヒヤリハットがないわけではないので、そこはまた別な課題として今後取り組んでいきます。
トップダウン、ボトムアップ、両面からのアプローチが進んだことで、一気に組織での利用が増え、知見が溜まったと感じています。
まとめ
atama plusの生成AIツールの活用状況とこれまでの取り組みについてご紹介しました。
現在はビジネス職種での生成AI活用も広がり、ビジネスメンバーがvibe codingをしたり、Devinを使って様々なタスクをやらせてみたりと、組織全体での生成AIの活用度がますます上がっています。
今後もスピーディーに価値を届けられるよう、引き続き取り組みを推進していきます!
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