RFPを貼るだけでAWSアーキテクチャ設計書が出てくるSaaSを個人開発した
はじめに
5月10日に ArchitectAI というSaaSをリリースします。
「仕様書・RFPを入力したら、要件定義書・アーキテクチャ設計書・構成図・コスト見積・提案書が出てくる」——そんなサービスです。
対象フェーズ: 要件定義〜アーキテクチャ設計まで。SIerが担当する基本設計書・詳細設計書の作成は対象外です。

▲ ArchitectAI トップページ
この記事では、なぜ作ったか・何に悩んだか・何を工夫したかを、ストーリー形式で書いてみます。
はじめての方へ: 「何を入力すればいい?」という方向けに、製造業DX(受発注・在庫管理)のサンプルシナリオ(Step0〜14・全15ステップの入力データ)をプロジェクト一覧画面から無料でダウンロードできます。クレジットカード不要でそのまま動かして試せます。
「設計書を書く時間 > 設計を考える時間」問題
エンジニアとして複数のプロジェクトを経験してきた中で、ずっと引っかかっていたことがありました。
設計書を「書く」ことに時間を使いすぎている。
要件定義書、非機能要件定義書、アーキテクチャ設計書、コスト見積、提案書——。これらを一から作ると、優秀なエンジニアでも1週間以上かかる。
でも、本当にエンジニアに必要なのは「設計書を書く技術」じゃなくて「設計を考える力」のはず。
「要件定義書のフォーマット合わせ」や「Excelの見積シート作成」に費やす時間を、「本当にこのアーキテクチャで要件を満たせるか」という思考に使いたい。
そう思って、ArchitectAI を作り始めました。
最初の壁:出力品質の安定性
最初のプロトタイプは Claude 1社で完結させていました。入力を与えたら設計書が出てくる、シンプルな構成です。
でも、品質が安定しなかった。
同じ入力を与えても、あるときは「可用性設計がしっかりした設計書」が出て、あるときは「シングルAZ・冗長性ゼロ」の設計書が出てくる。
しかも自分が生成したものを自分で審査させると評価が甘くなる。これでは実務で使えない。
そこで生まれたのが「Multi-LLM品質ゲート」のアイデアです。
Claude × GPT × Gemini の3社が独立して設計書をスコアリングし、全社が合格点(≥8.0/10)を出すまで再生成する。
ソフトウェアレビューで「複数のレビュアーに見てもらう」のと同じ考え方です。
これを実装してから、品質の安定性が大きく向上しました。
15段階のフロー設計で悩んだこと
設計書の種類は多岐にわたります。要件定義書だけでも「業務要件・機能要件・非機能要件・データ要件・外部IF」と5種類ある。
最終的に、企画フェーズから移行方針まで15のStepに設計フローを整理しました。
Step11(開発フェーズ移行提案書)は設計集大成のクライアント承認ゲートとして設計フェーズに配置。Step13(PoC実施支援)はコンサルがPoC実施を担当する場合のオプションStepで、SIerに委託する場合はスキップできます。
重要な設計判断が「どのStepからでも開始できる」ことです。

▲ プロジェクト画面。Step0〜14まで全ステップが一覧表示される。完了済みStepにはチェックマーク、進行中は進捗インジケーターが付く
「今日はアーキテクチャ設計書(Step9)だけ欲しい」でも、「要件定義から全部やりたい(Step1〜14)」でも、同じサービスで対応できる。
アーキテクチャ設計に特化したツールにするか、要件定義から全部カバーするかは長く悩みましたが、「途中から使えること」を優先した設計にしました。最低限必要なのは一箇所から入れること、という考えです。
draw.io 構成図の自動生成が一番難しかった
数あるアウトプットの中で、draw.io 構成図の生成が一番苦労しました。
テキスト系の設計書(DOCX)はある程度品質が安定してくるのに対して、draw.io の XML は「見た目」が重要なので、LLMの出力がそのまま使えないケースが多い。ノードが重なる、凡例がない、AWSアイコンじゃない汎用アイコンが使われる……。
解決策として「2-passレビューフロー」を実装しました。
- 初稿を生成
- 3社AIが6軸でレビューしてフィードバックを収集
- フィードバックを反映した改善版を必ず生成(合否に関わらず)
- 最終チェックを記録
「合格でも改善版を生成する」のがポイントで、これで図の平均品質スコアが 6.3 → 7.8 に向上しました。

▲ 自動生成されたAWS構成図の例(draw.io XML形式)。生成後そのまま draw.io デスクトップ版・diagrams.net に貼り付けて編集可能
プライシングで悩んだこと
「クレジット制にするか、機能別に制限するか」でかなり悩みました。最終的に、クレジット制(月次配布 + 追加購入可)+ プラン別機能制限の組み合わせにしています。
FREEプランは10クレジット(使い切り型・月次リセットなし・クレジットカード不要)。月次でリセットする仕組みにすると「無料で使い続けられる」サービスになってしまうため、あえて使い切り型にしました。試して価値を感じてもらえれば課金してもらう、というモデルです。企画フェーズ全体(Step0〜3、計7cr)がFREEプランの10cr以内に収まるので、最初のプロジェクトは無料で完走できます。
PROプランは¥9,800/月・125クレジット。フルプロジェクト設計(30クレジット)なら月4プロジェクト相当。ITコンサル・SIerの方に使っていただくことを想定したプランです。
リリースに向けて
5月10日にリリースします。
エンジニア・PM・ITコンサル・SIerの方、ぜひ5月10日のリリース後に試してみてください。「こんな機能が欲しい」「ここが使いにくい」というフィードバックを、コメントやお問い合わせページからいただけると嬉しいです。
FREEプランはクレジットカード不要・10cr付与。企画フェーズ全体(Step0〜3、計7cr)を無料で完走できます。
関連ガイド(他の内容も気になる方はこちら)
設計フローの各フェーズで実際にどんな分析・思考が行われているかは、ArchitectAI のガイドページで詳しく解説しています。
- 業務分析・要件定義プロセス — ステークホルダー把握・As-Is分析・To-Be構想の進め方
- 要件定義書の書き方・テンプレート — 7セクション構成・ヒアリング6ステップ・失敗パターン5選
- DX(デジタルトランスフォーメーション)とは — IT化・デジタル化・DXの違いと推進6ステップ
- レガシーシステムのモダナイゼーション — 6R戦略と選択フレームワーク
- クラウドアーキテクチャ設計とは — 3案比較設計の背景にあるWell-Architected Frameworkの考え方
- 機能要件と非機能要件の違い — なぜ非機能要件が設計の質を左右するのか
- SRE(サイトリライアビリティエンジニアリング)とは — SLI/SLO・エラーバジェット・オブザーバビリティ
- ガイド一覧(全20本)— IaC・FinOps・ゼロトラスト・REST vs gRPCほか
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