新米エンジニアが「書籍学習の効率化」を追求してみた
はじめに
2025 春に開催されていたオライリー・ジャパンのブックフェアで、オライリーメモ帳5種をフルコンプした、25卒新米エンジニアの者です。ちょうど先日、書店に寄ったところオライリーの書籍を購入するとオライリーカレンダーがもらえるということで、購入をあくまで検討していた書籍につい手をかけてしまいました。オライリーのマーケティングには、分かっていても喜んで乗ってしまう人間になってしまったことを改めて再認識しました。オライリーオタ活は最高ですね。
そんな話はさておき、私はエンジニア関連の勉強を腰を据えてしたいと考えたときに書籍をよく使用しています。ここ最近では AI の発展に伴い、書籍に限った話ではないですが、学習に関するハードルが大きく下がっていると勉強していて感じています。そこでこの記事では、新卒エンジニアが小難しい内容の勉強をする際に、
- 学習効果の最大化
- 学習負荷の軽減
- モチベーションの維持
のためにどのような工夫をしているのかを共有できればと思います。
この記事について
この記事では、執筆時に読んでいた書籍を例にして話を進めていきます。
ちなみにですが、前提として私はこの書籍を使って学習する前までは、
- Linux カーネルって名前は聞いたことあるけど何あれ?
- 仮想化って、PC の中に PC を作る的なやつだよね?知らんけど、、、
という完全な初心者のレベルでした。大学では物理学を専攻していて、学生時代はC言語のポインタから逃げ隠れしながら、コソコソ JavaScript を書いていた程度で、特段 OS に関わる機会がなかったため、このタイミングで既知の無知状態を抜け出そうと考えました。
学習方法としては、以下の書籍を踏襲しています。
私個人としては、勉強の方法を一新するのに非常に役に立った書籍だったので、もし読まれたことのない方で、興味ある方にはおすすめです。
それ以外に参考にしている本として、以下も挙げておきます。
対象者
対象者を指定するほど大層な記事ではないですが、対象者を敢えてあげるとすれば、
- 書籍を使った勉強に抵抗がある方
- 勉強の方法を試行錯誤している方
です。少しでも参考になれば幸いです。
勉強の流れ
書籍を手に入れるところから、どのように勉強を進めていくのかの一連の流れを紹介していきます。
書籍の選定
まず書籍で勉強するのですから、それを手に入れなければなりません。
1. 勉強内容を確定する
何を勉強するのかを決めないことには何も始まらないので、それを先に決めます。私と同じようなジュニアエンジニアの方であれば、勉強すべき内容が山ほどあると思います。私の場合は、3 ヶ月単位でトピックを 3 つに絞って学習するようにしています。例えば、この記事執筆中の期間(2025/10~2025/12)であれば
- UI/UX デザイン
- OS (Linux)
- ネットワーク
という 3 つのトピックに絞っています。1 つ補足として述べておきますが、1 ヶ月でトピック 1 つというわけではありません。あくまで 3 ヶ月で 3 トピックです。こちらの理由については、上述の勉強法に関する本で紹介されていた「分散学習」と「インターリービング」を取り入れています。特に後者が大きな理由になっています。
そしてこれらのトピックを、3 ヶ月の間に行き来しながら何度も学習ループを回すことで、より知識を強固に定着させるようにしています。
2. 書籍を選ぶ
ここから相棒(書籍)の選定をしますが、大前提として名著を選ぶことが一番安全です。理由は単純で、名著であるのにはそれなりに理由があるからで、多くの場合、読者にとって比較的平易に書かれている本であるからです。
何となくでもキーワードなどを知っているだけでも、書籍の選定はしやすくなります。ただ選定については、目が肥えていれば別ですが、初心者であれば尚更肥えているはずがないので、先人達の教えを乞います。職場の先輩に聞くのも手ですが、私は Amazon でのレビューを一番参考にしていて、件数が多いものを選ぶことが多いです。
ただレビュー件数が多いとしても、そのレビュー件数の多さが出版から日が経っていることを一因としている可能性もあるので、出版日も確認するようにしています。まとめると、名著である書籍の選定基準は、
- Amazon でのレビュー件数が多く、評価が高い
- 出版日が新しい割にレビューの件数が多い
となります。ここから先については個人の好みレベルでの話になりますが、選定の方法として、書籍を 2~3 冊程度に絞っておいて、最終決定は書店で中身を確認してみてから行うこともあります。(私は池袋のジュンク堂に駆け込んで最終決定することが多いです)ただ、ぶっちゃけた話にはなりますが、初心者目ではどの本が良いのかなんて知見がなければ分かるはずもないので、結局はレイアウトや醸し出される雰囲気が気に入るかなどのチェックになると思っています。
インプット
無事手元に書籍が手に入ったら、早速勉強に入ります。書籍を読む際に心がけていることは、
- なるべく少ない時間で
- なるべく負担少なく
- なるべく学習効果を大きく
の 3 つです。そのために愛用している進め方を紹介します。
1. 学習する内容の全体像を把握する
何を勉強するのかを確定させたら、その大まかな全体像を理解します。これについては、AI が非常に強い味方になってくれます。何でも良いので、内容の理解を進めることのできる質問を何個かしてみて、キーワードを押さえることができればそれで十分だと考えています。
ここでLinuxの勉強の話になりますが、私の場合は全くと言って良いほど知識がなかったので、書籍の目次を覗いてみて気になる単語を抽出して、「カーネルって何?」という質問を投げかけたり、普段から漠然としか理解していなかった「パスを通すという作業の意味を理解できるようになる?」とか聞いていました。
このフェーズにおいて、私は明確なゴールを設けてはいません。強いて言えば、その学習内容に対して「なんかおもしろそっ」と感じたタイミングが終わりの合図とすることが多いです。
2. 学習する書籍の全体像を把握する
次に書籍の全体像を把握するフェーズに入ります。書籍の読み込みに入ってもいいのですが、なるべく効率的に進めるために、書籍の内容の学習を始める前に、書籍について学習するということを意図しています。ある種のメタ学習に近いと考えています。
私が行っていることはシンプルで、WEB 上で「書籍名 目次」で検索し、その目次をそのまま ChatGPT 上にコピペし、「どのような内容の書籍なのかわかる範囲で説明・解説してほしい」というプロンプトと共に渡して、概要を把握するようにしています。そうすると、その書籍がどのような構成になっているかがよく分かります。
それに何の意味があるのかという声が聞こえてきそうですが、
- 書籍の学習後に見返すタイミングで、全体の構成を理解しているので、どこに何が書いてあったのかを思い出しやすくなる
- 学習の流れを把握することで、それがストーリーとして頭の中に残る
補足ですが、このタイミングで構成を完全に理解し切ることは不可能だと思っています。理由はシンプルで学習内容に対する理解がないからです。ただここでのゴールは、どれだけ小さくてもどれだけ少なくても、全体像に対する情報が 1 個でも 2 個でも獲得できれば成功だと考えています。実際に読み込むタイミングで少しずつ全体像に対する解像度は上がっていきますので。
ChatGPTとの会話サンプル
私のChatGPTは寄り添ってくれるようにカスタマイズしています。時々、某メンズコーチのようにカスタムする時もあります。

3. 書籍を読み込む
やっとここから書籍を読み込むフェーズに入ります。学習した内容をなるべく長期記憶として留めておくために、短いスパンで簡易的なアウトプットをできる状態を作ります。そのためにコーネル式ノート術と呼ばれるテクニックに沿ってノートを取り、それを利用してアクティブリコールと呼ばれる手法を繰り返し行います。
ノートサンプル
本来最終行には、学習した内容のまとめを入れる必要があるのですが、私はアクティブリコールをすることが目的でコーネルルールを採用しているので使用していません。
※ 間違ったことが書いてあったら申し訳ありません。

ちなみにですが、アクティブリコールはノートさえあれば、電車内などの移動中にもできるので、自分が取ったノートをスマホで見れるようにしています。
私はノートをiPad上(自由ノートというアプリで、コーネルルールに沿ったテンプレートがあります)で取り、スマホ上でも同アプリに同アカウントでログインすることで、出先でもノートを見れるような状態にしています。移動中などの隙間時間でアクティブリコールをすることができます。
アウトプット
学習した内容を応用するフェーズとしてアウトプットする機会は重要だと考えています。ここに関しては個人の好みだと考えています。私が好むアウトプットは、学習した書籍の中で出てきたソースコードなどに、何かしらのオリジナリティを添えたものを作ることが多いです。(↓ 参考:別解力)
正直な話、3 ヶ月で 3 トピックという勉強の仕方をしているので、トピック同士をくっ付ける方針で考えれば、大体オリジナリティが出ます。
ガラッと話が変わりますが、プログラミング言語の勉強の際によく巷で言われる話として、学習する前に何をアウトプットとして作成するのかを考えてから始めると良いというものがあります。こちらについて個人の意見を述べるとすれば、事前に考えることができるなら決めてしまえば良いと思いますが、勉強しながら考える方が学習効率は悪くとも、学習効果は高くなる傾向にあると考えています。
理由としては、事前に決めておいても勉強を進めているうちにアウトプットしたい内容が上書きされることが多いと考えているからです。勉強していればその領域に対しての解像度が上がるので、当たり前と言えば当たり前ですね。というより寧ろ、アウトプットを決めてから勉強してしまうと、それに関係しない情報を切り捨てる勉強になってしまう可能性があるので、私はあまり好みません。そのため私個人としては、勉強する中でアウトプットの内容を決める方が良いと考えています。
補足事項としては、学習した内容をまとめるというアウトプットは避ける方が良いと思います。先述の学習法に関する書籍でも効果は低いと研究結果が出ており、私個人の経験としても学習効果のムラが激しいので私は避けています。
Tips
ここからは、ちょっとした小テク的なものを紹介します。
ポモドーロテクニックと瞑想
比較的有名なテクニックなのでご存知の方も多いと思いますが、普段の勉強にはポモドーロテクニックと呼ばれる手法を取っています。私はオーソドックスな25分の集中と5分の休憩でサイクルを回しています。集中時間をカスタマイズしても良いのですが、1サイクル30分でスケジューリングしやすいのでデフォルトの時間設定にしています。
個人的に良いなと感じたのは、残り時間という概念があることによって集中することを強制されることです。個人の勉強では強制力を持たせるところに課題が生まれがちだと思うのですが、それを自然と解決させる方向に持っていってくれています。(そうじゃない時もありますが)
デメリットとして、休憩から集中に戻るのが身体的・精神的に負担が大きいというのがあります。そこで目を付けたのが瞑想でした。休憩時間が残り1分になったら、強制的に席に座って瞑想をするようにしています。瞑想自体は負担が全くないので、比較的スッと休憩から戻れますし、たった1分の短い時間でも集中モードに持っていくことができるので、非常に有効だと感じています。
私はまだまだ瞑想初心者なので、さらに熟達していけば、セルフコントロールし放題になるのかもしれませんが、未熟者なので妄想するだけに留めておきます。
念の為、瞑想に対して偏見がある方がいらっしゃる気がするので述べておきますが、スピっている人間では決してありません。なんなら先述の通り大学は物理学科を卒業しているので現実主義者であると言えます。幽霊は信じていません。私を信じてください。
姿勢(セルフモニタリング効果)
集中が切れてきたタイミングで、自身の姿勢を正すという操作をすると、集中力が返ってくるように感じています。これはセルフモニタリング効果(無意識に行っている行為に気づき、達成感を得たり反省したりすることで、一時的な集中状態に入ることができる)と呼ばれるもので、集中し直す際に姿勢を変えるのと似ているのかもしれません。
その他
それ以外のちっぽけなものにはなりますが、光を活用することも効果があるように感じています。人間という生物は、青色の光を見ることで集中力・分析能力・思考力が上昇するようです。それを踏まえて、勉強やリモートワークをする際には、ボタンひとつでライト調光を変えることができる私の部屋の明かりを、限界まで青色側に寄せた状態にしています。手元にディスプレイライトがあるのでそちらも同様です。プラシーボの可能性もありますが、体感集中力がアップするような気がしています。(というより落ち着くという方が強いかもです)
まとめ
この学習方法を取り入れるまでは、体感ではあるものの、数ヶ月もすれば学習した内容の大半を忘れるというのがテンプレートでした。印象深かったり、業務に直結している話だけ長期記憶に繋がっていたというイメージです。
それが学習方法を変更することで大きく改善しました。コーネル式ノート術のキーワード欄(ノート左側)の内容は時間が空いても自分の言葉で説明できるものが多く、読んだ本のどこに何が書いてあるのかもボンヤリとですが覚えています。
ちなみにですが、私がここまで「記憶すること」にこだわっているのには理由があります。学習内容を活かそうと思うのであれば、まずは「長期記憶として定着させること」が大前提にあると考えているためです。
- 記憶しているから他の知識と結びつけて理解を深めることができる
- 理解が深まっているから応用することができる
- 応用できるほどの力があるから創造することができる
つまり、学習した内容を忘れてしまっては意味がありません。そのための対策として、アクティブリコールなどの手法を使用して長期記憶に定着しやすい(と考えている)アプローチを取るようにしています。
今後もこのやり方をベースに、もっと自分に合う形にアップデートしながら使い続けていくつもりです。この記事の内容が少しでもお役に立てたのであれば幸いです。
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